(点名)姫篠

2020年12月6日(日)
天気:
メンバー:T
行程:防獣フェンス 7:55 …林道を横断 8:30 …姫篠(1408m) 11:05 …1420m標高点峰 11:45〜12:25 …姫篠 12:55〜13:00 …林道を横断 14:55 …防獣フェンス 15:30
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

山と高原地図『赤城・皇海・筑波』を見ると、図幅の左上は旧利根村(現沼田市利根町)に属する山々で占められるが、赤城山、袈裟丸山、皇海山以外に赤線(登山コース)のある山がなく、一般的な登山の対象になっている山のない空白域が広がっている。

マイナーな山も多数紹介している『群馬300山』でも、この山域で掲載されているのは、雨乞山、天狗山、大楊山・万寿ヶ峰水無山、想台山など、ごく少数の山しかない。

他に登って面白い山はないかなあ、と地形図を眺めていて、万寿ヶ峰の南東にある無名の1408m三角点峰に目が留まる。点の記によると、三角点の点名は「姫篠」、俗称は「ヒメザヽ」となっている(「ヽ」は重ね字で、この場合は「サ」を表す)。

ネットで調べても1408m三角点峰(以下、姫篠と表記)の山行記録は全く見当たらない。北面に通じる林道を利用すれば登頂は容易と思われるが、それでは面白みに欠ける。姫篠の南に延びる尾根は、いくつもの小ピークを連ねて長々と続き、根利の集落に落ちる。地形図では南尾根の上に破線路が記載されている。地形図のそれは得てして当てにならないが、なだらかな尾根なので辿れそうな感じはする。南尾根から姫篠に登れば、歩き応えに加えて未知の楽しみもあり、面白そう。という訳で、ちょっと歩いてみました。

桐生を車で出発。R122、県道沼田大間々線を経て根利までは小一時間で着く。倉見川を渡り、根利の集落を抜けて右岸の道を走ると、程なく未舗装道となり、防獣フェンスのゲートに着く。ゲートにはデカデカと全面通行止(栗林川林道)立ち入り禁止と記した看板が掲げられ、物々しい。ゲート前の路側に、転回余地を確保した上で車を置く。

栗原川林道は、昨年の台風19号の被害により通行止となっていたが、復旧の見込みが立たず、ついに廃道となることが決まった(沼田市HP)。これに伴い、皇海山への最短ルートで、最も利用されていた皇海橋〜不動沢のコルのコースも入山ができなくなっている。

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防獣フェンスのゲート

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ゲートの先で枝尾根に取り付く

ゲートは閂(かんぬき)をスライドさせて簡単に通過することができる。ゲートの左右には高く頑丈なフェンスがずっと続き、ゲート以外でフェンスを越えることはできない。フェンスは多分、根利の集落をぐるりと取り囲み、どこにゲートが設置されているか情報がないので、ここで通過しておくのが吉。ゲートのすぐ先で左の枝尾根に取り付いて登り始める。冬枯れの明るい雑木林に覆われ、藪は全くない。

枝尾根を急登して小ピークを越えると、樹林の切れ間から北方の展望が得られる場所があり、左右に平坦な稜線を拡げた山を遠くに望む。あれが姫篠の頂上稜線だ。三角点峰の頂は手前の小さな三角のピークに隠れているようだが、その右(東)にある1420m標高点峰はバッチリ見えている。余裕があれば、標高点峰まで行ってみよう。

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枝尾根を急登

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1420m標高点峰(右)を望む

雑木林が切り開かれた枝尾根を辿り、小さく急なアップダウンを繰り返す。南尾根との合流地点はそれと分かり難い。案の定、南尾根の上には道型がなく、痕跡すらないが、藪もなくて何の問題もなく歩ける。雑木林の中を進むと、左から上って来た作業道に出合う。

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雑木林に覆われた枝尾根を辿る

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作業道に出合う

尾根を絡んで北に続く作業道を辿ると、程なく尾根を横断する比較的新しい林道に出る。林道からは赤城山の黒檜山や小黒檜山船ヶ鼻が眺められる。

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林道を横断する

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林道から赤城山を展望

林道を横断して正面の尾根に取り付き、植林と雑木林の境界を急登する。登り着いた小ピークには御影石の石標がある。上面に十字が刻まれいるが、三角点標石ではない。

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植林と雑木林の境界を急登

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石標のあるピークに登り着く

明るい冬枯れの雑木林に覆われ、藪のない尾根を延々と辿る。展望は乏しいが、木立を透かして袈裟丸連峰の前袈裟、後袈裟を遥か高くに仰ぎ、正面には姫篠の頂上稜線が見え隠れする。次の小ピークを越え、左に少し寄ってから正面の斜面を急降下し、1124m標高点峰の手前の鞍部に下り着く。

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姫篠の平坦な頂上稜線を望む

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1124m標高点手前の鞍部へ急降下

鞍部から登り返して1124m標高点峰を越え、さらにいくつものアップダウンが続く。尾根は幅広くなだらかで、歩き易い。既に人里から離れた山奥だが、左の山中から微かにオーとかワーとか人の叫び声が続けて聞こえる。やがて、パーンという発砲音が伝わって来て、やはりハンターが入っているようだ(今年度の群馬県の狩猟期間は11/15〜2/28)。

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明るい雑木林の尾根を辿る

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木立を透かして袈裟丸連峰を望む

1167m標高点峰はそれと気付かずに通過。ハンターの気配はもうない。右手には浅い窪が並走し、源頭は雑木林の緩斜面となる。尾根は右折し、斜面を急登。登り上げた小ピークには二つめの石標がある。一つめの石標と同じく御影石製で上面に十字が刻まれているが、少し風化している。

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急斜面を登る

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二つめの石標のあるピーク

行手には木立を透かして、姫篠の平坦な頂上稜線が近づいて眺められる。緩やかな尾根を辿ると、枯れたスズタケがポツポツ現れ、雑木林に針葉樹が混ざって、植生に少し変化が現れる。頂上稜線に向かって最後の登りとなり、若いスズタケが生えた斜面を急登すると、三角点標石のある姫篠の頂上に登り着く。

山名標識の類はなし。樹林に囲まれて、木の間に赤城山や皇海山が垣間見える程度で、残念ながら展望には恵まれない。しかし、小広い平地が開けているので、雰囲気は明るい。

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スズダケが生えた斜面を急登

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姫篠(1408m三角点峰)頂上

まだ11時で、時間に余裕があるので、1420m標高点峰まで足を伸ばしてみよう。頂上稜線上はスズタケが生えて若干藪っぽいが、藪漕ぎと言える程のものでは全くない。途中、まだら模様の木肌で三つ股の大木が目を引く。これはナツツバキかな。

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頂上稜線を東進

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まだらな木肌の大木

小さくアップダウンしながら、なだらかな稜線を辿る。やがて、ブナの大木や針葉樹が混じる林となり、少し登りがあって、1420m標高点峰の頂上に着く。

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登ってきた尾根と赤城山

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ブナの大木

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ブナの稜線を辿る

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1420m標高点峰の頂上

この頂には三つめの石標(御影石製で上面に十字)がある。樹林に囲まれて、ここも展望に乏しいが、木立を透かして袈裟丸山から皇海山にかけての雄大なスカイラインを望むことができる。そろそろお昼時なので大休止。パックの鯖味噌煮をつまみに缶ビール(小)を飲み、ガソリンコンロで湯を沸かしてカップ麺のワンタンメンを食べる。これ、ワンタンとメンマは美味いが、スープは塩気が少し強いな。

のんびり昼食をとったのち、往路を戻って下山にかかる。姫篠から南尾根への下り口に、木の幹に巻かれた黄テープのマーキングがあることに気づく。今回の行程中、マーキングらしきものがあったのはこれが唯一。

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1408m三角点峰へ戻る

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皇海山を遠望

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1408m三角点峰に帰着

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南尾根の下り口のスズタケの斜面

往路の通りに南尾根を戻るが、下りは尾根の分岐で迷い易い。枝尾根の方が高い分岐があり、まんまと騙されて引き込まれる。急な下りに差し掛かってルートミスに気がつき、南尾根に復帰。

石標のあるピークで右に折れて、急斜面を下る。傾斜が緩むと尾根筋が拡散し、ここも進路が分かり難い。GPSで確認しながら進む。次の石標のあるピークから、左の雑木林と右の植林の境を下ると林道に下り着く。

林道を横断し、尾根を辿る。往路の枝尾根は、赤ペンキでマーキングされた木が立ち並んでそれと分かるので、ここは分岐で迷わずに済む。

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南尾根から往路の枝尾根を下る

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1420m標高点峰(右)を振り返る

最後は枝尾根を末端まで辿ると、往路の急登の箇所を回避して、栗原川林道にうまく下り着く。そこから駐車地点までは、林道を歩いてほんの少しの距離であった。

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枝尾根の末端の下り

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栗原川林道に下り着く

今回の山歩きは、冬枯れで明るい雑木林の尾根が続いて藪もなく、終始、気分良く歩けた。頂上稜線からクリアな見晴らしが得られれば、袈裟丸山や皇海山の絶好の展望台になると思うのだが、そこはちょっと惜しかった。帰りは水沼に立ち寄り、ゆっくり湯船に浸かって温まったのち、帰桐した。


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