大倉山〜谷倉山

天気:
メンバー:T
行程:真名子介護保険事務所バス停 8:50 …大倉山(455m) 10:40〜10:55 …東峰 11:45〜12:20 …479m標高点 12:30 …500m標高点 13:25 …林道真上男丸柏木線 13:35 …谷倉山(599m) 14:10〜14:20 …465m標高点 14:40 …星宮神社 15:35 …星野遺跡前バス停 15:45
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

鹿沼・栃木市境に位置する大倉山は、足尾山地の端っこの標高455mの低山にも関わらず地形図に堂々と山名が記載されているので、以前から気になっていた(が、低山なので登頂が後回しになっていた)山である。登山道はなく、ネットで検索するとその筋の方々が登られた山行記録が多数見つかる。様々なルートが歩かれている中で、大倉山〜谷倉山の稜線は途中に岩場が多く、特に面白そうである。谷倉山は登頂済だが、大倉山に登るなら谷倉山まで縦走したいな。という訳で、今回はこの縦走ルートを歩いてきました。

桐生を未明の5時過ぎに車で出発。R293、県道栃木粕尾線を経由して、星野遺跡憩の森駐車場に6時半頃到着。車を置く。今日はここからバスで西方町真名子に移動し、大倉山、谷倉山を越えて、ここに下山する計画である。

定刻どおり、星野遺跡前バス停7:01発の栃木市ふれあいバスに乗車する。私「イオン前までお願いします」運転手さん「承知しました」。最初は乗客は私一人だったが、途中でパラパラと乗客が増えて6人程になる。イオン前バス停7:31着で下車。運賃は200円也。ここで、8:12発真名子行のバスに乗り換える。40分程時間があるので、イオンの食料品売り場(7:00から営業)でおやつを買い、バス停でせんべいを齧りながらバスを待つ。

定時にバスが姿を現わすが、バス停に客がいると思ってないらしく、片側2車線道路の追い越し車線を走って来て、直前で私に気が付いて車線変更。スルーされるかと思った(^^;)。運転手さん「真名子行きだよ」私「終点までお願いします」。以降、貸切で、終点の真名子介護保険事務所バス停に8:45着。運賃は200円也。星野遺跡から乗換待ち時間込みで1時間44分かかったが、滅多に使う機会のない路線に乗れて、小旅行気分が楽しめた。

星野遺跡前バス停と駐車場
真名子介護保険事務所バス停

バス停から車道を歩き始めると、正面にこれから登る大倉山の南東尾根、その右奥に大倉山の頂上付近が眺められる。「八百比丘尼の里」方面に直進すると、ネットの情報どおり、尾根末端の民家の左に庚申碑があり、ここから尾根に取り付く。最初の平地は灌木と雑草の藪が酷いが、尾根を登り始めると疎らな雑木林に入って歩き易くなる。

やがてヒサカキが密に生えた林に入り、枝を躱しながら登ると、林の中に石祠と地蔵菩薩の石像がある。里山でこういう石造物に出会うと嬉しい。このお地蔵さんは、髪型、切れ長の目、ぽっちゃりした唇が特徴的で、なんとなく渋い声で演歌を歌いそうな顔立ちだ。

これから登る尾根(左)と
大倉山(右奥)
取り付きの庚申碑
最初は藪っぽい
ヒサカキ林の中に
石祠と地蔵菩薩

冬枯れの雑木と緑のヒサカキに覆われた尾根を、小さくアップダウンしながら登って行く。樹林に覆われて展望は乏しいが、所々で木立を透かして行く手の尾根や奥の大倉山が見える。左下の山麓のグラウンド(真名子運動広場)では野球?の試合が行われているようで、応援の掛け声が微かに聞こえてくる。

大倉山を奥に望む
ヒサカキ林が断続する

やがて岩場が現れる。左に赤松が生えた露岩の多い枝尾根が分かれ、そちらに立ち寄ると山麓の眺めが良い場所がある。主尾根に戻って小さな岩場を登る。変化に富んで、なかなか楽しい尾根だ。ただし、時々遠くでパーンと銃声が響くのが気に掛かる。尾根の左方には谷を隔ててゴルフ場が広がるが、このご時世、ゴルフ場は廃業して太陽光発電所に変わっているようだ。また、右方には小ピークを連ねた市境尾根が延びる。

山麓を俯瞰
小さな岩場が続く
栃木・鹿沼市境尾根を望む
右斜面が古い伐採地となる

ところどころに杉植林を混じえ、雑木や赤松、ヒサカキに主として覆われる尾根が続く。右斜面が古い伐採地となって眺めが開け、市境尾根がだいぶ近づいて見える。再び樹林に入り、尾根の傾斜が増してくると岩稜となる。左側には市境尾根上の479m標高点峰を眺め、遠くには頂に電波塔が建つ谷倉山を眺める。479m標高点峰は東西に三つの峰を連ね、低山にしては険しくどっしりした山容の山で、山名がないのが不思議に思える。

(2023-04-30追記:『栃木県市町村誌』に、谷倉山の北東に「三峯、大倉、雨換の諸山」があるとの記述があり、479m標高点峰は三峰山という山名をもつと思われる。)

岩稜を登る
谷倉山(左奥)と479m標高点峰(右)

岩稜を登り、傾斜が緩むと水盤と石祠がある。石祠は、屋根の棟の上に鳥居の笠木の形の石が載ったもので、この型の石祠を見るのは初めてかも(そういえば、尾根取り付きの石祠も、笠木形のパーツが外れて屋根の上に置いてあった)。

大倉山の頂上は石祠のすぐ先だ。三角点標石と山名標識があり、東面は杉林に覆われて眺めはないが、西面は広大な伐採斜面で、西から北にかけて展望が開け、休憩適地だ。

石祠と水盤
大倉山頂上

西にはこれから辿る市境尾根上の479m標高点峰と谷倉山を望む。谷倉山の左奥に微かに見える円頂は永野三峰山だ。北には足尾山地の山並みが広がり、口粟野周辺の城山、三峰山、奥にのっそりと大きなハナント山が見える。今日は気温が高いため霞んでいるが、横根山のなだらかで大きな山影や白い日光白根山も遠望する。空気が澄んでいる日ならば、足尾山地と日光連山を見渡す大展望が得られるだろう。今日はその点がちょっと惜しい。

大倉山から谷倉山(左奥)と
479m標高点峰を望む
大倉山から横根山方面を遠望

展望を楽しんで一休みしたのち、479m標高点峰に向かって西面の伐採地を適当にジグザグを切って急降下する。下り着いた鞍部からスズタケと松の幼樹の藪に突入する。これは昨年2月の葛生の低山以来の酷い藪漕ぎだ。

スズタケ藪の中で、破れかけたビニル袋に入った地図を拾う。地理院地図にGPS軌跡を重ねてプリントアウトしたものだ。GPS軌跡は久野から大倉山、谷倉山、大越路峠を経て北側を久野に戻るもので、このマニアックな(^^)コース取りには見覚えがある(後日確認したら、やはりふみふみぃさんが歩かれたコースだった)。

大倉山から西へ急降下
大倉山を振り返る
スズタケと松の幼樹の藪
藪を抜けて雑木林の尾根を登る

伐採地を抜けると雑木林と檜植林の境の尾根となり、藪のない歩き易い登りとなってホッとする。木立を透かして見える行く手の山は結構高い。露岩混じりの尾根を急登し、赤松に覆われた小ピークを越えると、尾根上に岩塔が立つ。ここから、479m標高点峰を中心とする三峰の岩場が連続する。岩塔の左を巻いて鞍部に下ると「久野小松神社社有地」「平成十九年三月吉日建立」と記された木の標柱が立つ。

岩塔は左を巻く
久野小松神社社有地の標識

鞍部からの登りの岩場は右から越える。登り着いたピークは479m標高点峰の東峰で、低山ながらもちょっと奥深い雰囲気のある頂だ。樹林に覆われているが陽だまりの小平地があって暖かく、腹も減ってきたので、ここで昼食とする。鯖味噌煮を肴に飲む缶ビール(小)が美味い。それから熱々の鍋焼きうどんを作って食べる。

この岩場は右から越える
東峰頂上

エネルギーを補給して温まったところで、先に進もう。東峰から下って登り返すと大きな岩場が現れる。北面(右側)は切り立った岩壁となっている。左から巻いて、さらに急坂を登ると479m標高点峰の頂上に着く。すぐ先で南面が開けて眺めが得られるから、ここも休憩適地だ。

この岩場は左から登る
479m標高点峰頂上
479m標高点峰から南麓の展望
谷倉山を望む

稜線を辿ると、梢越しに谷倉山が少し近づいて眺められる。再び岩場が現れ、左からザレた急斜面を下る。痩せた岩尾根を登り、小さくアップダウンを繰り返し、479m標高点峰の西峰に着く。樹林に囲まれた狭い頂で、あまり特徴のないピークだ。

この岩場は左を巻いて…
…ザレた急斜面を下る
痩せ尾根を辿る
西峰頂上

西峰から緩く下って小さな瘤を越えると、松の生えた岩頭の上に出て行き詰まる。正面には市境尾根が500m標高点峰へゆったりと延びる。少し戻り、左から岩頭を巻いて下る。

500m標高点峰を望む
この先は崖
崖を巻いて左から下る

杉植林帯に入れば、479m標高点峰の岩場が連続する区間も終了。なかなか面白かった。

幅広い尾根を辿って緩く登ると広大な伐採地の上に出て、眼前になだらかな山容の谷倉山が現れる。頂上の電波塔も近くなって良く見える。ここが500m標高点峰の頂上だ。殺風景ではあるが、まだ新しい伐採地なので藪が全くなく、歩き易い。緩く下って、舗装された林道真上男丸柏木線に出る。この林道は、地形図では南から市境尾根上までしか記載されていないが、北麓まで全通しているそうだ。

岩場が終わって杉林に入る
広くなだらかな尾根を辿る
500m標高点峰から谷倉山を望む
林道真上男丸柏木線

林道向かいの法面の登れる所を探してうろうろ。コンクリートブロックの林道標識からちょっと滑り易い踏み跡を登って、尾根上に復帰する。しばらく広大な伐採地の縁を歩く。まだ藪はないが、丈の低いイバラ類が生え始めて、大倉山の西のような藪漕ぎになるのも、そう遠くなさそう。

広大な伐採地の縁を登る
杉林と笹藪の斜面を急登

伐採地を抜けて、杉と笹の急斜面に取り付く。ここはほとんど踏み跡がなく、藪っぽい。急坂を登って、谷倉山の北尾根の登山道に合流する。前回(2015年)は、伐採地越しに日光連山が眺められた地点だが、植林と笹藪が育って眺めはほとんどない。

登山道を緩く登って、谷倉山の頂上に着く。三角点標石のある頂上の広場は適度に草が生えて、こちらはちょっと雰囲気が良くなっている。丸太に座って一休みしていると、西側からソロのおじさんハイカーさんが登って来た。話を伺うと、星野遺跡から芳姫の墓経由で登って来たが、途中で道がわからなくなって、西の市境尾根を上がったそうである。また、 前回は沢沿いの倒木で苦労したので、そのことを伺うと、今は問題ないそうである。

谷倉山の北尾根に登り着く
谷倉山頂上
頂上の電波塔
市境尾根を西へ下る

話の流れでハイカーさんと連れ立って市境尾根を西に下る。幅広い尾根をゆるゆる下ると、最低鞍部辺りで左に芳姫の墓経由の沢沿いのコースが分岐する。そちらは前回登ったので今回はコースを変え、みつまんさんの山行記録を参考にして、市境尾根を末端まで下る所存。沢コースを下るハイカーさんと別れ、465m標高点峰へ短い急坂を登る。振り返れば、既に谷倉山が意外と遠い。

緩やかな下り
芳姫の墓へ道を左に分ける
465m標高点峰への登り
465m標高点峰から谷倉山を振り返る

465m標高点峰からの下りは、最初は尾根が広くて方向を定めにくいが、雑木林の枯葉を踏んで緩斜面を下るのは快適。やがて尾根筋がはっきりして、一部に痩せた区間もある。

南に折れた市境尾根を下る
途中の痩せ尾根

中間の348m標高点の前後は、尾根が屈曲して進路が分かりにくいので、GPSで確認しながら下る。下部は杉植林帯に入り、右下の県道栃木粕尾線を通る車の音が聞こえてくる。

雑木林に覆われた尾根を下る
杉林に入る

市境尾根末端の198m三角点標石を過ぎて直進すると、右下に県道、左下に星宮神社の屋根を見て、杉やアオキの急斜面を下る。測量で切り開かれたらしく、微かな踏み跡があるが、石を落とすと神社の屋根を直撃するので、慎重に下って神社の裏手に降り立つ。

説明板によると、星宮神社は1138年の創立。磐裂命(いわさくのみこと)、根裂命(ねさくのみこと)、経津主命(つつすぬしのみこと)を祭神とするとのこと。参道石段下の石鳥居には新しく太い注連縄が張られている。車道に出て、正面にゆったりと稜線を広げる谷倉山を眺めながら、星野遺跡の駐車場に戻った。

198m三角点の標石
星宮神社
星宮神社の石鳥居
谷倉山を仰ぐ

帰りは栃木湯楽の里に日帰り入浴で立ち寄る。混む時間帯に当たったのか、駐車場はほぼ満車、受付では行列ができていたが、中に入ればまあ余裕あり。ゆっくり湯船に浸かって温まったのち、北関東道経由で帰桐した。