千部ヶ岳〜剣ヶ峰

2018年1月13日(土)
天気:
メンバー:T
行程:出流町公民館 8:50 …千部ヶ岳遊歩道入口 9:15 …千部ヶ岳(572m) 10:10 …656m三角点峰 10:50 …剣ヶ峰(543m) 11:55 …417m三角点峰 13:00 …出流町公民館 13:35
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

栃木市出流町にある千部ヶ岳は、ガイド本『栃木の山150』にも紹介されているハイキング向きの低山だ。登山道が整備され、千部ヶ岳だけならば2時間半の行程で登ることができる。しかし、それではさすがにちょっと歩き足りない。

ネットで調べると、千部ヶ岳から出流山満願寺を取り巻く山稜を周回して、656m三角点峰、剣ヶ峰、417m三角点峰へ繋いで歩いたたそがれさん他その筋の方々の山行記録が見つかる。周回コースならば5時間程の行程となり、そこそこの歩き応え。早めに出発して昼頃に下山すれば、山麓で名物の蕎麦を食べて帰るのにちょうど良いかも。という訳で、この週末は千部ヶ岳〜剣ヶ峰の周回コースを歩いてきました。

未明に出発するつもりが、朝食にトーストを食べた後、外が寒そうなのでついウダウダしてしまい、日が高くなった7時半に桐生を車で発つ。R293、県道仙波鍋山線を経由して出流町に入り、出流町公民館の広い駐車場に車を置く。満願寺境内が満車の場合はここに駐車するそうだが、今は他の車は全くなし。駐車場の背後の山が417m三角点峰で、今日は最後にあの天辺からここへ降りて来る計画である。

天気は快晴で風もないが、とにかく寒い。車の室外温度計は−4℃を示している。今日は長袖・長ズボンのアンダーウェアを1枚余分に着込んでいる。既に計画から2時間遅れだが、急げば汗をかいて冷えるので、のんびり歩き出す。駐車場を出たところで、朝の散歩中のおばあさんに会う。話を伺うと、千部ヶ岳の名はご存知だが、417m三角点峰には特に名前はなさそう。出流山では、と尋ねたら、それは満願寺を指すとのことであった。

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出流町公民館駐車場

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千部ヶ岳に続く尾根を見上げる

正面に千部ヶ岳に続く尾根を見上げながら車道を歩く。すぐに「いづるや」という蕎麦屋がある。まだ開店前なので広い駐車場はガランとしている。駐車場に面して石碑・石仏を集めた一角がある。その中に一体の青面金剛があり、月日・弓矢・天邪鬼・三猿がくっきり彫られていて、目が留まる。

蕎麦屋が建ち並ぶが、まだひと気のない通りを進むと、満願寺への道と出流ふれあいの森への道に別れるY字路となり、出流観音バス停がある。栃木駅からの路線バスの終点で、ここまで電車とバスで来ることも(酒を飲んで帰れるので^^;)検討したが、始発でも9:50着と遅いので、今回は車で来た。もっとも、そのアドバンテージは約1時間に減ってしまったが……。朝食での水分摂取が足りていない気がするので、自販機でホットココアを買って飲む。満願寺への道の奥に見える小高く険しい山が剣ヶ峰のようだ。

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いづるや駐車場の青面金剛
明和七庚寅天(1770年)

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出流観音バス停から剣ヶ峰を望む

時間に余裕があれば満願寺まで往復して参拝したいところだが、ないので割愛。右のふれあいの森への車道を辿る。集落を抜けて川を渡る手前に千部ヶ岳遊歩道の入口がある。ここの古い案内看板には、千部ヶ岳展望台について「出流山の中で、剣ヶ峰(656m)に次いで高い山頂で、日光連山が望める景色の素晴らしい所で、1200年前勝道上人が、日光開山の意を固められた所と伝えられている。」と書いてあり、フムフムと読む。しかし、後日気がついたが、この記述は656m三角点峰と剣ヶ峰を取り違えているようである。

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千部ヶ岳遊歩道入口

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杉林を登る

登山道に入り、高く育った杉植林の中を登る。遊歩道と銘うっているだけあって、木の階段が良く整備されているが、枝打ちされた杉の葉が被さって、最近の人通りはそう多くない感じ。大きくジグザグを切って登り、作業道を横断する。やがて、「山の神」の看板に着く。その後ろを登ると、横倒しになった石灯籠がある。たそがれさんの記事(2013年)で建っている石灯籠の写真を見たから、ここ数年でとうとう倒れてしまったようだ。

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山の神

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尾根上を登る

この後は尾根幅が広く、作業道も錯綜して道型が少し怪しくなるが、とにかく尾根を辿ればOK。杉林に覆われて展望に乏しいが、左側には木の間を透かして剣ヶ峰が眺められる。やがて傾斜が増して石灰岩の露岩が多くなる。岩場を直登して千部ヶ岳護摩壇の旧跡に着く。登山道は左から巻いて登って来ていた。説明板には、勝道上人が日光開山を祈願して護摩修行を行い、千部の経巻を唱えたのが山名の由来。徳川末期まで出流山から足尾を経て日光へ、春秋の入峯の修行が続いていた、と書かれている。

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千部ヶ岳護摩壇跡(展望台)

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これが護摩壇跡かな

このすぐ先に日光連山が遠望できる地点がある。とは言っても、雑木が育ってしまい、冬枯れの木の間越しの展望だ。木がなければ、日光表連山を眺めるには良いロケーションだとは思うのだが。日光の山々は冠雪はしているものの、雪は多くなさそうに見える。

杉林と雑木林の境の尾根をゆるゆると登ると、千部ヶ岳の頂上に着く。平坦な、尾根の途中のような場所で、山名標識がなければそれとは気づかず通り過ぎそうな頂上だ。樹林に囲まれて展望にも乏しい。写真を撮って、すぐに先に進む。

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日光連山を望む

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千部ヶ岳頂上

緩やかな尾根道を辿ると、途中にベンチと岩場があるが、ここも樹木が育って眺めはない。程なく、左に観音入林道に下る道を分ける。ガイド本に記載されているコースだが、枝打ちされた杉の枝葉に深く覆われて、道型はちょっと怪しい。尾根上に続く山道の方向には「←林道片角観音入線」の道標がある。

尾根上の山道を辿ると幅広い作業道となり、程なく綺麗に舗装された林道に出る。この地点には「千部ヶ嶽展望台0.9km」の古い道標がある。左へ林道を辿り、稜線の左を絡んで緩く下る。林道歩きは陽当たりが良く、暖かい。

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緩やかな尾根が続く

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観音入林道分岐

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林道片角観音入線に出る

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正面に656m三角点峰に続く尾根

途中、右に分かれる作業道に入って、656m三角点峰に向かう。山腹をトラバースして緩く登り、なだらかな尾根の上に出る。丈の低い笹を踏んで尾根を辿ると、656m三角点(点名:出流)の標石がある平坦な頂に着く。一応、ここが今回の山歩きの最高点で、折り返し地点ということになる。杉林に覆われて展望もなく、地味〜な頂上である。小腹が減ったので、一休みしてピーナッツチョコレートを齧る。

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林道を辿って尾根上に出る

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656m三角点峰

さてここからどうしようか。石祠があるという644m標高点(ここから南西0.8km)も気になるが、早く下山して蕎麦を食べたい気分になってきたので割愛。作業道を林道片角観音入線まで戻る。

少し林道を歩き、切り通しの手前から尾根(佐野・栃木市境稜線)に取り付く。短い急坂を登ると、左側が伐採された斜面のピークに出て、展望が開ける。手前には千部ヶ岳のなだらかな、どこが頂上なのかよく分からない稜線が横たわり、その向こうには低いながらもどっしりとした山容の谷倉山が眺められる。右端にちょっと見えている、日影で黒々とした山は永野三峰山だ。樹林に覆われて展望に乏しい尾根歩きに少々飽きていたから、この好展望で気分がグッと上向く。

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正面の尾根に取り付く

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展望ピークから千部ヶ岳(手前)と
谷倉山(中央奥)を望む

再び雑木林と杉植林帯の間に入り、市境稜線を辿る。剣ヶ峰へは小ピークから左の枝尾根に入る。枯れスズタケがあって藪っぽく、なんか怪しいと思ってGPSを確認したら、案の定、一本北側の枝尾根に入り込んでいた。山腹をトラバースして正しい枝尾根に乗る。こちらはスズタケ藪はない。少し下ると、左斜面が伐採された平坦な尾根となり、千部ヶ岳の稜線の向こうにチョコンと尖ったピークの三峰山(鹿沼市)やギザギザの稜線を広げる古賀志山が眺められる。

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剣ヶ峰へ枝尾根から
古賀志山(左奥)と三峰山を望む

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作業道を横断

作業道を横断すると、今度は右斜面(南面)が伐採された尾根となり、少し登って剣ヶ峰頂上に着く。ガイド本(前出)によると、かつての修験場の跡とのこと。頂上には石灰岩を積み上げた立派な石垣があり、その上に石祠が置かれている。祠の塔身に刻まれた文字は、確かではないが「武部申策」と読める。後日調べると、武部申策は博徒・総会屋・893の大物で、出流観音への信仰が篤かったそうである(『観音の霊験』)。

頂上からは南面の展望が開け、永野三峰山の東面から葛生にかけての石灰石採掘場や葛生市街、周辺の低山が眺められる。剣ヶ峰は、石造物があって眺めが良い点で、訪れる価値が大だと思う。

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剣ヶ峰頂上の石祠

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剣ヶ峰から三峰山(左)と
石灰石採掘場を望む

市境稜線に戻って南下すると、次の小ピークに屋根が外れて落ちた石祠がある。ここで市境稜線は左(東南東)に折れて急降下する。

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市境稜線上の石祠
天保六未(1835年)四月朔日

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石祠から左に折れて急降下

しばらくなだらかな尾根歩きが続き、既に正午を回っているので、かなり腹が減ってきた。一応、昼食にカップ麺を持って来てはいるが、ここまで来たら蕎麦を食べたいので、空腹をグッと我慢。杉林の中に石灰岩の露岩が散在する地点を過ぎると市境稜線は右(南南東)に折れて、幅広い尾根を緩く下る。

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石灰岩の露岩

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幅広い尾根を緩く下る

石灰岩の露岩から小ピークを二つ越えると、壊れた石祠のある峠に下り着く。左(東)に向かって明瞭な作業道が下っている。尾根を直進し、次の小ピークへ短い急坂を登る。小ピークの上で左(東)に折れ、市境稜線から離れて417m三角点峰に向かう枝尾根に入る。斜め右前には三峰山東面の採掘場がだいぶ近づいて見える。

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峠の壊れた石祠

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三峰山の石灰石採掘場が近い

やがて平坦な尾根となり、露岩が点在する斜面を登って417m三角点(点名:油羽根)の標石のある頂上に着く。山名標の類はない。頂上は小広く、木の間を透かして出流町の集落がすぐ下に見える。ここまで来ればあとちょっとの行程で、楽勝だろう……。

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417m三角点峰へ枝尾根を辿る

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417m三角点峰頂上

と思ったら、そうは問屋が卸してくれなかった。頂上の先の尾根を少し辿り、そこからシダが下生えの杉林を右下(南東)の公民館駐車場を目指して下ると、結構な急斜面に突き当たって、下が見えない。右へ回り込んで、シダの間のザラザラと崩れやすく微かな獣道を頼りに急降下。横をみるとほとんど崖だ。

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417m三角点峰から南東へ下る

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横を見るとこんな崖

南の谷まで下って、ようやく一息つく。水流はなく、そこはかとなく踏み跡がある。下った斜面を見上げると凄い急斜面で、よくまあここが下れたものだ。この下りは、ルート選択を失敗したので、お勧めしない。石祠のある峠から作業道を下るのが吉かも。

反対側の斜面は採掘場で、あと数mで沢底に達しようとするところまで削り取られている。あとは踏み跡を辿って、すんなりと出流町公民館の駐車場に帰り着く。もう13時半を過ぎて、腹ペコだ。

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谷に下り着く
向こう側は石灰石採掘場

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谷沿いの踏み跡を下る

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出流町公民館の駐車場に下り着く

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野菜天ざる@いづるや

早速、手打ち蕎麦を食べに「いづるや」に立ち寄る。昼時を少し過ぎているのに、広い駐車場はまだ車で埋まっていてビックリ。席が空くまで、少し待たされる。新なんとかの大人数の団体さんもいるようだ。カウンター席に案内され、ノンアルコールビール(Alc. 0.00%)と野菜天ざるを注文。天ぷらは揚げたて、蕎麦はしっとりかつ腰があって大変美味しい。繁盛しているのも納得。蕎麦を食べたあと、桐生温泉湯ららに立ち寄り入浴して、まだ明るい時間帯で帰宅した。


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