信夫山

天気:時々
メンバー:S,S,T
ルート地図 地点名を地理院地図上に表示します。

年末年始恒例のS&Sとの温泉旅行。今回は12月30日から1月3日まで4泊5日の日程で、福島県福島市の土湯温泉と宮城県白石市の小原温泉(共に2泊ずつ)へ。5日間とも暖かく穏やかな天気に恵まれ、周辺の里山6座(信夫山、女神山、千貫森鹿狼山深山阿津賀志山)で軽い山歩きを楽しんできました。

30日に桐生をJRで出発し、小山10:54発の新幹線で東京から乗車のS&Sと合流、福島12:04着で下車。駅レンタカーでフィットを借り、まずは昼食へ。近場の蕎麦屋をネット検索し、最初に喜多八に行ってみるも駐車場待ちの車が長い列をなしていて断念。次に信夫山(しのぶやま)登り口にある御山角屋に行くと、こちらは入れた。店内は新しい木板張りで雰囲気が良い。囲炉裏端を囲み、笙幻温蕎麦を頂く。ツルツルでコシのある麺が美味。

店を出て、信夫山に車で上がる。信夫山は、標高は275mと低いが、福島市街の平野の真ん中にひょっこりひょうたん島のように浮かぶ孤立丘で、福島盆地のどこからでもよく見える。福島市民の山で、うつくしま百名山の1座に選定されている。また、山上には出羽三山の三社(月山、湯殿山、羽黒)が祀られ、その他にも小さな社寺が多くあり、古からの信仰の山でもある。実は2年前の年末年始の温泉旅行で福島に来たときも信夫山に車で登っているのだが、そのときは下調べが足りなくて最高点に行っていない。という訳で、今日のミッションは信夫山最高点を踏むことと、出羽三山信仰の三社にお参りすることである。

信夫山は西から東へ、月山、薬師の峯、羽黒山、熊野山、立石山のピーク(というか丘)が連なる。まず月山に上がって、頂上近くの月山駐車場に車を置く。駐車場の奥に「羽山廃寺跡」の石碑があり、その脇から竹林の中の歩道を緩く登ると、数分で月山神社に着く。かつては石祠だけだったが、昭和15年に社殿を奉進したとのこと。正月を迎えるため、新しい注連縄が張られている。


月山駐車場


月山神社

月山神社から西へ湯殿山神社に向かう。途中には「吾妻山」と刻まれた石碑があり、吾妻権現を祀っているとのこと。車道終点を過ぎたすぐ先に湯殿山神社があり、大山祇命と大己貴命を祀る。社殿の傍には「羽黒山月山湯殿山大神千人講中」の銘のある立派な石碑も建つ。神社裏手の露岩が信夫山最高点だ。北側は山麓に向かって急斜面となっているが、展望はあまり良くない。まあ、これで今日の第一の目的は果たした。


湯殿山神社


湯殿山神社の石碑

さらに山上の平坦な山道を西に向かうこと僅かで、信夫山西端に突き出た岩場の烏ヶ崎に着く。ここは眺めが良く、展望デッキが設置されている。福島盆地を俯瞰し、信夫山をトンネルで貫いた新幹線の線路が福島駅へ続くのを俯瞰する。遠景は雪雲の中だが、吾妻連峰まで遮るもののない展望が得られる。ここは信夫山を訪れたら外せないポイントだ。月山駐車場から烏ヶ崎まで、道草しても12分の距離である。眺めを堪能して駐車場に戻る。


烏ヶ崎から福島駅と市街を俯瞰


烏ヶ崎から吾妻連峰を遠望

次は羽黒神社に向かう。山上を車で移動して、参道入口の駐車場に車を置く。ここの周りにも立派な木造の社が三つもある。十数段の石段を上がると、硬い岩盤が露出した参道となり、仁王門跡、名月の碑を経て、羽黒山頂上の羽黒神社に登り着く(駐車場から5分)。


羽黒神社駐車場


羽黒神社参道入口

説明板によると、祭神は渟中太命(ぬなかふとのみこと)と伝えられ、現在は山麓の黒沼神社の摂社となっているとのこと。社殿は再三の火災を受け、昭和51年に焼失したのちに拝殿が再建されたとのこと。

広い境内の一角には、日本一の大わらじが高々と聳える。大きいとゆーか、長〜いわらじである。なお、長さは12m、幅は1.4m、重さは2tあるとのこと(説明がないかと境内を探したら、水槽にさりげなく書いてあった)。この大わらじを履く巨人を想定して身長を大まかに推定すると、27cm:176cm=12m:x よりx =78mとなり、超大型巨人(60m)を凌ぎそうである。


羽黒神社


日本一の大わらじ

出羽三山の三社目にお参りし、これで mission complete だが、one more thing ™。駐車場から民家の間を通って幅が狭く急な旧参道を下ると、右手に「ねこ稲荷」の案内板があり、赤鳥居を潜って民家の軒先を通ると西坂稲荷(通称、ねこ稲荷)がある。ここは「あにねこ」を名乗る管理人としては、お参りしない訳には行かないでしょう(^^;)

なんでも昔々、人を化かす悪戯好きの三匹の狐がいた。名を信夫山の御坊狐、一盃森の長次郎、石が森の鴨左衛門という。が、とあるきっかけで御坊狐は改心し、蚕を食い荒らす鼠を退治する養蚕の守り神となって村人に感謝され、「ねこ稲荷」として祀られたのが由来とか。昔の農家が、如何に鼠に困っていたかが伺い知れる話だ。祠の傍らの掲示板には、猫の幸せを祈願して詣でた人が貼り付けた愛猫の写真がたくさんある。


ねこ稲荷入口


ねこ稲荷

これにて、温泉旅行の初日の山歩きは終了。と言っても、ほとんど歩いていないが、半日の空き時間の訪問先としては丁度良かった。夕食のご馳走のための腹ごなしにもなったし。今日の宿の土湯温泉向瀧旅館に向かう。

土湯温泉は吾妻連峰の山懐、阿武隈川支流荒川の渓谷のとば口にある。平野部には全く雪がないが、山に入ると多少積雪が残る。宿に着いて、早速、風呂へ。渓谷に面した大浴場と露天風呂にゆっくり浸かって温まった。

(温泉旅行2日目、女神山・千貫森に to be continued )