八子ヶ峰

天気:
メンバー:T
行程:プール平駐車場 8:40 …蓼科大滝 8:55 …ヒュッテ・アルビレオ 10:55〜11:15 …展望ピーク 11:35〜12:05 …八子ヶ峰(1833m) 12:30 …1722m三角点峰 13:15 …南平台別荘入口バス停 13:55〜14:07 =🚌= プール平バス停 14:56
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

この週末は予報によると長野県で天気が良さそう。それなら、八ヶ岳連峰でまだ登っていない八子ヶ峰(やしがみね)に行こうかな。八子ヶ峰は東西約3kmに渡るほぼ平坦で丘のような稜線を延ばす山で、東はスズラン峠で蓼科山に接し、西は白樺湖を挟んで霧ヶ峰に相対する。顕著なピークがなく、稜線の中間に位置する1833m三角点峰が山頂と目されている。稜線には草原が広がって展望に優れ、ハイキング向きの山として人気が高い。

八子ヶ峰に行くなら、頂上稜線を東西に歩き通したいし、少し歩き応えをプラスして、南麓の蓼科高原から登りたい。山と高原地図を参照すると、南麓からの登路として東急トレッキングコースや信濃自然遊歩道、信玄棒道が記載されている。ネットで調べると、プール平という所に無料駐車場があり、蓼科温泉共同浴場が隣接している。ここに駐車して信濃自然遊歩道を登り、八子ヶ峰を経て白樺湖に下山。路線バスでプール平に戻って、即、温泉入浴という行程が充実して楽しめそうだ。

さらに調べると、9/3~11/27の土日祝日限定でハイランドフリーシャトルと称する無料バスが運行中らしい。白樺湖→プール平だと運賃1000円となるところが無料という太っ腹。これは使わせて頂くしかないでしょう。という訳で計画を立て、出かけてきました。

桐生を車で朝5時半に出発。ビーナスラインでスズラン峠を越え、蓼科山登山口を通り掛かると、ここの駐車場は既に満車。蓼科高原の別荘地の間を大きく蛇行して下り、8時半頃にプール平に着く。こちらの駐車場はだだっ広くて余裕。駐車も十数台あるが、どうも近隣の宿や店の従業員の方々が利用しているようだ。綺麗なWCを利用させて貰った後、出発する。思いの外、天気が良くて気温が高く、冬用のトレックパンツでは少々暑く感じる。まあ、山上では多分丁度良くなるだろう(実際、丁度良かった)。


プール平駐車場
背景中央奥に蓼科山の頂上が覗く


滝ノ湯川沿いの遊歩道を歩く

WCの左脇から路地に入り、「名所 原生林と水苔 大滝 徒歩約12分→」の道標に従って滝ノ湯川の渓谷に下ると、渓流沿いの遊歩道に合流する。上流に向かうと、大きなカメラと三脚を抱えた男性とすれ違う。道標にも記されていた苔むした原生林に入ると程なく東屋があり、その奥に蓼科大滝が現れる。大滝と言う程の落差はないが、幅広く豪快に水を落とし、折り良く陽が差し込んで水飛沫を照らし出している。周囲の紅葉がさらに深まれば、(私にはその技量はないが)傑作写真が狙える被写体になりそうだ。


苔むした原生林


蓼科大滝

遊歩道を戻って下流に向かうと車道に出る。ここにも駐車場有り。栂の木橋で滝ノ湯川の右岸に渡り、鹿山別荘地内の車道を歩く。別荘地と言っても、別荘は山林内に散在して疎らに見かけるのみ。車道の分岐が多いが、要所に道標がある。大滝の下流からショートカットしてこの車道に上がって来る道(地形図の波線路)もあった。途中、大滝キャンプ場の中を通り抜ける。カラマツ林を区画割りしたサイトにはテントが1張あった。


鹿山別荘地内の車道を歩く


道標にしたがってここは右へ

山腹を蛇行して登り、右に竜源橋への山道(信玄棒道)を分ける。その数分先に信濃路自然歩道と八ヶ岳山麓スーパートレイルのプレートが付いた「八子ヶ峰・白樺湖→」の道標があり、ようやく車道と分かれて山道に入る。カラマツと笹の林の中に刈り払いされて良く踏まれた道型が通じ、緩く一直線に登る。これはなかなか気持ち良い道だ。


山道に入る


笹とカラマツの林を緩く登る

最後の別荘の脇を通ると、カラマツから雑木の林に変わる。雑木はほんのり紅葉し、足元には小さな毬栗がたくさん落ちている。ちょっと古くて、空だったり、実が入っていても虫に食われているものが大半だが、綺麗な山栗の実をいくつか拾ってポケットに入れる。


ほんのり紅葉した雑木林を登る


山栗の実

山道は一旦、左斜面に入ってトラバースし、尾根上に復帰する。尾根道を登ると、やがて板状の岩屑に覆われた細尾根となる。意外と変化に富んだルートで面白い。この辺り、雑木林の紅葉も見頃で、黄葉が主だが、その中にハッとする赤のカエデも多い。


岩が露出した細尾根を登る


見頃の紅葉

ほどなく幅広く平坦で丈の低い笹原に覆われた尾根上の道となり、カラマツ林と雑木林の境を進む。左から2本の山道が合流し、「蓼科東急トレッキングコース(C地点)」の道標が建つ。山道の右脇の高みに、笹に覆われて1811m三角点の標石がある。


平坦な尾根道を辿る


1811m三角点(点名:凧落)付近
東急トレッキングコースC地点

平坦な尾根道を進むと樹林が疎らになり、眺めが開けてくる。左手には狐色の草原に覆われたなだらかな稜線が横たわり、青空と白い雲を背景として大きな三角屋根の建物が見える。右手には北横岳がどっしりとした山容を見せ、その右に縞枯山や茶臼山の円頂が連なる。これはいい景色だなあ。


草原が広がる稜線と三角屋根を望む


北横岳、縞枯山、茶臼山を望む

さらに進むと草紅葉の草原に黄葉したカラマツが点在する尾根となり、ますます展望が開けて、南八ヶ岳や蓼科山が見えてくる。頂上はあいにく雲に隠れているが、中腹から山麓にかけての樹林は色付いて綺麗だ。

同じく展望を楽しむソロハイカーさんがいらして、いい景色ですねー、と挨拶する。話を伺うと、なにやら周回コースがあるらしい(後日調べて、東急リゾートから先程のC地点を経由して八子ヶ峰を周回するコースがあることを知った)。


南八ヶ岳を遠望


蓼科山は雲に隠れている

展望を楽しみながら歩いて、程なく蓼科山登山口からの登山道と合流。ここには「八子ヶ峰〜蓼科湖ハイキングコース」の古びた案内看板がある。登って来たコースや東急トレッキングコースが描かれていて、これらのコースの歴史が感じられて趣が深まる。


蓼科山登山口からの道と合流


ハイキングコースの古い案内看板

草原の緩斜面をひと登りして、大きな三角屋根のヒュッテ・アルビレオに着く。ヒュッテの正面には、何やら星座が描かれている(アルビレオとは、はくちょう座β星の名前だそうだ)。ヒュッテは現在、営業休止中だが、管理人さんらしき方が中の掃除をされている。


ヒュッテ・アルビレオ


ヒュッテ前から南の展望

ヒュッテから少し進むと、だだっ広い草原の中に「八子ヶ峰東峰頂上」と記した標柱が建つ。ここが八子ヶ峰の最高点(標高1869m)だ。360度の眺めが得られ、行く手に続く草原に覆われたなだらかな稜線が眺められる。


八子ヶ峰東峰頂上


東峰から西に続く稜線を望む

東峰から笹と樹林の中を少し下り、なだらかな鞍部から草原の中を登り返す。20人程の団体のハイカーさんと交差したのち、小ピークの頂上に登り着く。ここも展望が良い。行く手にはまだまだ草原の稜線が続き、その向こうには霧ヶ峰が姿を現す。


草原を登る


展望ピーク頂上

頂上は小広く、露岩を配して居心地が良くて、数組のハイカーさんが休憩中。腹が減ったので、私もここで昼食休憩とする。露岩に腰を下ろして缶ビールを飲み、鯖味噌煮とカップ麺を食べる。それから、拾った山栗を茹でて齧る。小さくて食べる部分はちょっとしかないし、数も少ないが、ほくほくとした甘みがあり、秋の味覚が楽しめた。


展望ピークから霧ヶ峰を遠望


山栗を茹でる

昼食後、さらに稜線を西進する。笹と穂の出たススキがモザイク状に混じった草原が広がり、草紅葉が美しい。南麓にかけての山腹の紅葉も見事。展望と紅葉を楽しみながら、なだらかな稜線をのんびり歩く。


南面の紅葉を見おろす


平坦な草原の稜線をのんびり歩く


あちらの尾根の紅葉もなかなか


大岩の脇を通る

大岩を過ぎると右斜面はスキー場となり、芝生に覆われたゲレンデの下にレストハウスとビーナスラインを見おろす。リフトが稜線まで上がって来ていて、その終点の辺りが八子ヶ峰の三角点だが、真っ平で山頂らしくない。なお、三角点の標石はうっかり見逃した。


北側のスキー場を見おろす


八子ヶ峰頂上
奥の小さな瘤が東急リゾート分岐

すぐ先の大岩のある瘤の方が山頂らしさがある。この瘤の上から南へ東急トレッキングコースが分岐し、草紅葉に彩られた尾根の上に山道が通じている。振り返れば、歩いて来た八子ヶ峰のなだらかな稜線を眺め、蓼科山と北横岳の大きく黒々とした山容を仰ぐ。その右奥には南八ヶ岳の高峰が連なるが、雲がかかって頂稜は見えない。


手前が八子ヶ峰頂上
奥に蓼科山と北横岳を望む


南面の紅葉と南八ヶ岳の眺め


東急トレッキングコースの尾根


霧ヶ峰を望む

展望を楽しんだ後、稜線を進んで、ゲレンデ内の砂利道を鞍部へ下る。リフト終点の建屋を過ぎ、再び山道に入って、一面の笹原に覆われたなだらかな稜線を辿る。最近、刈り払いされたようで、細いながらも明瞭な道型が続く。振り返ると八子ヶ峰のスキー場と、その奥に蓼科山と北横岳が少し遠ざかって眺められる。


スキー場を下る


笹原の中の登山道に入る


蓼科山と北横岳を振り返る


樹林が点在する笹原を進む

ゆるゆると稜線を辿って、疎らにカラマツが生えた小ピークに着く。妙に大きな「茅野市」の石標と、文字が掠れた信濃路自然歩道の道標が建つ。ここで稜線は左(南)に折れて西側の眺めが開け、スキー場と白樺湖を隔てて霧ヶ峰を間近に望み、車山の頂上に建つレーダードームも識別できる。


「茅野市」石標


霧ヶ峰と白樺湖を望む

右にゲレンデを見おろしつつ、稜線上の登山道を歩く。途中、右斜面の笹原の中へ下る山道が分岐する。これが白樺湖への最短路のようだが、稜線の先に見える一面ススキに覆われた小ピークがどうも気になる。現在時刻は13:04で、東白樺湖バス停の無料バスの発時刻は14:04。その後は14:23(路線バス)、15:34(無料バス)なので、14:04に間に合いたい。小ピークに道草する時間の余裕があるか、際どいな。しかし、まあなんとかなるか。


ゲレンデを見ながら登山道を辿る


ススキのピークを目指して藪に突入

稜線をゆるゆると辿り、リフト終点の建屋を過ぎる。ここにも道端にベンチがある。程なく登山道は右折して下り始め、稜線上はススキに密に覆われる。しかし、良く見るとススキの間に微かな踏み跡が通じている。ここまで来たら行くしかない。踏み跡を辿るとちょっとの藪漕ぎで小ピークの頂上に着いた。

頂上は丈の低い笹原が広がる。北八ヶ岳とその山麓、霧ヶ峰など360度眺められるが、高いススキに遮られて、写真映えはしないかなー。笹原の中に三角点標石を見つけて、小さな満足を得る。気になるピークも訪ねたし、あとはバス停へ急ごう。


1722m三角点峰頂上


三角点標石(点名:持栗沢)

登山道に戻り、笹とススキの緩斜面をジグザグに下る。スキー場に出、搬器を外してワイヤーのみのリフトを潜り、芝生に覆われたゲレンデを突っ切って車道に下り着く。地形図には「八子ヶ峰公園」と記載される地点だが、特に公園らしい施設は見当たらない(後日調べると、ゲレンデ自体や歩いた登山道、稜線上のベンチが施設の公園らしい)。


一輪だけ咲いていたリンドウ


登山道をジグザグに下る


スキー場に出て突っ切る


八子ヶ峰ホテル

ここで時刻は13:30。間に合うかギリギリだ。地形図を見て、東白樺湖バス停には向かわず、バスが通るビーナスラインへ最短ルートで出ることにする。その方が距離が短いし、バスの発時刻も少し遅くなる。多分、ビーナスラインに出た辺りにバス停があるだろう。

お洒落なホテルを横目にして、山腹をトラバースする車道(県道茅野停車場八子ヶ峰公園線)を早足で歩く。ビーナスラインに出たが、バス停、ないな😅。時刻は13:47。スマホで検索する時間の余裕もない。人家のある方がバス停がありそうなので、白樺湖へ戻る方向に進むと、南平台別荘入口バス停を発見。時刻は13:55、バス停の時刻表で発時刻を確認すると14:07。いやー、間に合って良かった。


南平台別荘入口バス停


蓼科温泉共同浴場

定刻通りに来た無料バスに乗車。乗客は他に1人。途中、蓼科山登山口バス停でハイカーさん3人が乗車し、その後、数人乗る。バスは北八ヶ岳ロープウェイの山麓駅に立ち寄り、WC休憩を挟む。プール平バス停で運転手さんに礼を述べて下車。駐車場はバス停の真ん前だ。車にザックを置き、サンダルに履き替え、着替えを持って共同浴場へゴー(600円)。

蓼科温泉共同浴場の泉質は無色透明で、源泉かけ流し。お客さんは地元の年配の方が多いようである。湯船にゆったり浸かって温まったのち、桐生への帰途についた。