八柱山〜雨池山〜北横岳〜縞枯山〜茶臼山

天気:
メンバー:T
行程:麦草峠駐車場 5:10 …雨池 6:35 …八柱山(2115m) 7:05〜7:10 …雨池峠 8:40〜8:45 …三ッ岳Ⅲ峰 10:00 …北横岳ヒュッテ 10:45 …北横岳(2480m) 11:10 …北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅 12:15 …雨池峠 12:35〜12:55 …縞枯山(2403m) 13:15〜13:20 …茶臼山(2384m) 14:15〜14:40 …麦草峠駐車場 15:30
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

北関東では7/9以降、真夏の暑い天気となり、特に7/13からは最高気温が35℃を越える猛暑日が続いている(当月の桐生の気象データ)。7/14〜16の三連休は泊りがけで山に出かける良い機会なのだが、こうも暑くては行き先が限られるし、計画を考える気も削がれる。手軽に日帰りで涼しい高峰に登ることにし、前回に続いて北八ヶ岳へ。標高2120mの麦草峠から北横岳まで周回する計画を立てる。標高が2000mを下ることがないコースなので、暑さから逃れられるだろう。という訳で、三連休の最終日に出かけてきました。

桐生を深夜2時頃に車で出発。八千穂高原ICで高速を降り、R299を上がる。途中で夜が明けて、麦草峠に到着する。麦草峠は樹林に覆われた広くなだらかな峠で、こんなに広い峠は来たことがないかも。峠周辺の道路は路側駐車禁止。峠を少し越えた所に登山者用駐車場があり、ここに車を置く。連休中で既に山に入っている登山者が多いのか、7割方埋まっている。また、後続の車も続々とやって来る。綺麗なWCあり。外の空気は期待通りヒンヤリと冷たく、車の外気温計は17℃を示している。朝食にパンを食べたのち、出発する。

麦草峠登山道入口
茶水の池

赤く大きな三角屋根の麦草ヒュッテに立ち寄ったのち、R299を横断して、シラビソやアオモリトドマツ、コメツガなどの針葉樹林帯の中の登山道に入る。すぐに茶水の池があり、左に大石峠・茶臼山への道を分けて、右の雨池・八柱山への道に入り、木道で池を渡る。岩石帯に針葉樹が密生し、林床の苔が見事。はじめは木道が敷かれていて、歩き易い。

針葉樹林帯の木道を進む
苔の林床

木道が尽きて笹原を切り開いた登山道を進む。笹の朝露で腿から下が少し濡れるが、気にしない。途中、左に分かれる山道があり、これが地獄谷への道のようだ(道標なし)。どんな場所か気になるので、立ち寄ってみよう。山道を少し登ると防獣網があり、地獄谷の自然保護のため設置されているとのこと。防獣網を開閉して通り、擂り鉢状の窪みの底に下ると、巨石を沈めた深い池が口を開く。冷気が沈殿して薄く靄がかかり、神秘的だ。

地獄谷
登山道に戻って緩斜面を進む

登山道に戻り、針葉樹林と笹原の緩斜面を進むと、未舗装の林道大河原峠線に出る。道標があり、右に行くと八千穂高原自然園・花木園に至る。左に進んで幅の広い登山道という感じで高原情緒のある林道をしばらく辿り、道標に従って右に分かれる登山道に入る。

林道大河原峠線に出る
林道から右へ登山道に入る

針葉樹林中の木道を歩くと、明るく広々と開けた雨池の湖畔に着く。樹林に縁取られた池はシンと静まり返り、周囲にひと気なし。左手には雨池山から三ッ岳にかけての山々がなだらかに連なり、凪いだ水面にその姿を映す。実に良い風景だ。

池の風景を楽しみながら湖岸の山道を左回りに辿り、八柱山への分岐に着く。八柱山はここから緩い登り降りで往復1時間程の距離だから、ピークハントのため立ち寄ってみよう。

雨池(背後の山は三ッ岳)
八柱山分岐

針葉樹林と笹原に覆われたなだらかな頂を越える。この頂上部には樹林に囲まれた小さな池がある。緩斜面を下り、尾根筋が少しはっきりした登りに転じる。途中、「からまつ尾根コース」の古いプレートを見る。右側がカラマツ林となった短い坂を登ると、八柱山の頂上に着く。

八柱山への登山道
八柱山頂上

頂上はこぢんまりとした草地の平地で、三角点標石と古びた電波塔(宇宙科学研究所・深宇宙探査用大型アンテナコリメーション設備)がある。樹林に囲まれて展望に乏しいが、木の間から浅間山や富士山が眺められる。東南東に落ちるカラマツ林の尾根上には、少し草深いが明瞭な山道が通じている。ちょっと休憩したのち、雨池に戻る。

八柱山から浅間山を望む
八柱山から富士山を遠望

雨池の湖岸の道を左回りに辿り、双子池方面への迂回路を右に分ける。この間、ハイカーさん数組と交差する。今度は北岸から雨池を見渡す。奥の山は、中山とニュウ辺りかな。

双子池分岐
北岸から雨池を見渡す

雨池を3/4周した地点から、再び林道大河原峠線に上がる。林道は幅がさらに狭まって、普通の登山道とほぼ変わらない。程なく雨池峠登山口に着く。林道の先には立看板があり、この先の林道(大河原峠線)は双子池入口までの区間、落石の危険があるため、全ての通行・立入は禁止、と書かれている。

林道大河原峠線を辿る
雨池峠登山口
林道はこの先通行止

雨池峠への登山道に入ると、樹林に覆われた岩石帯の登りとなる。しばらく急な登りが続くが、やがて樹林が低くなって傾斜が緩むと雨池峠に着く。雨池山と縞枯山の間にゆったりと横たわる広い鞍部で、正面(西側)は八丁平と呼ばれる笹原が広がる。

岩石帯の道を登る
雨池峠

雨池峠から北の雨池山に取り付く。樹林中の岩の多い道を直登すると、「雨池山展望台」の道標のある岩場に登り着く。名に違わず眺めが良く、振り返って雨池峠を挟んで縞枯山を望み、右手にはロープウェイ駅とその向こうに中央アルプスや御嶽山を遠望する。

雨池峠から雨池山を仰ぐ
雨池山展望台から
ロープウェイ駅を望む

展望台から緩く登ると雨池山の頂上だが、単なる登山道の途中で、樹林に覆われて展望もない。三ッ岳に向かい、樹林に覆われた鞍部に下る。登りに転じて岩石帯を急登すると、三ッ岳Ⅰ峰の標識のある岩峰の上に出る。見晴らしが良く、風通しも良くて涼しいので、腰を下ろして一休み。巨石が積み重なる三ッ岳Ⅱ峰、Ⅲ峰を間近に眺め、振り返って雨池や、なだらかな山容の雨池山と縞枯山を望む。

雨池山頂上
三ッ岳へ岩石帯の急登
三ッ岳Ⅰ峰頂上
三ッ岳Ⅲ峰とⅡ峰を望む
雨池を望む
雨池山と縞枯山
遠く南八ヶ岳を望む

Ⅰ峰からさらに奥へ、巨石を飛び渡ってⅡ峰への登りに取り付く。鎖場を登ると巨石が累々と積み重なるⅡ峰の頂上に着く(標識有り)。岩と岩の間は深く、万一落ちるとタダではすまない。右(北)側は溶岩台地で、台地を挟んで前回登った大岳のピークが眺められる。ペンキのマーキングを頼りに巨石帯を進むと、三ッ岳最高地点のⅢ峰頂上に着く(ここにも標識有り)。北横岳やその手前の北横岳ヒュッテが間近に眺められる。

三ッ岳Ⅱ峰へ鎖場の登り
三ッ岳Ⅲ峰頂上
三ッ岳Ⅲ峰から北横岳を望む
三ッ岳Ⅲ峰から鎖場の下り

Ⅲ峰からは急な岩場の下りとなり、ちょっとした鎖場もある。下っても溶岩台地の岩石帯の歩きが続く。この辺りでハイカーさん数組とすれ違う。周りの樹林中にはハクサンシャクナゲが多いが、花はもう終盤を迎えている。

溶岩台地を進む
ハクサンシャクナゲは終盤

やがて「三ッ岳分岐」の道標のある地点でロープウェイ駅からの道に合流すると、一気に老若男女様々なハイカーさんの数が増えて、メインコースの賑わいを見せる。登山道もグッと歩き易くなり、少し登って北横岳ヒュッテに着く。

三ッ岳分岐
ロープウェイ駅からの道に合流
北横岳ヒュッテ

ヒュッテから七ッ池へは数分の距離とのことなので、立ち寄って行こう。現在は一ノ池と二ノ池を探勝することができる。

七ッ池(一ノ池)と北横岳
七ッ池(二ノ池)

ヒュッテから北横岳へは、樹林帯のジグザグ道と尾根上の階段道を登って、10分程の行程だ。登り着いた北横岳南峰は小広い平地で三角点標石があり、大勢のハイカーさんが休憩中。360度の展望が開け、特に縞枯山、茶臼山から遠く赤岳に連なる八ヶ岳連峰、西麓に広がる田園の緑とその向こう遥か遠くの中央アルプス、御嶽山の眺めが素晴らしい。

北横岳への登り
北横岳南峰頂上
南峰より南八ヶ岳を遠望
南峰より中央アルプスと
御嶽山を遠望

北横岳の最高地点の北峰には先々週に登ったばかりだが、南峰から一投足の距離しかないから立ち寄っておこう。北峰からの展望は、やはり端正な円頂峰の蓼科山が目を引く。

北横岳北峰頂上
北峰より蓼科山を望む

北横岳からヒュッテを経て三ッ岳分岐まで戻り、ここからロープウェイ駅方面へ向かう。溶岩原の坪庭を俯瞰する急斜面に付けられた道を下るが、斜めにトラバースしているので、きつい下りはない。坪庭に下り着き、坪庭を一周する遊歩道に合流する。

坪庭に向かって下る
坪庭の遊歩道に合流

ハイカーさんと一般観光客に混じり、溶岩原とそれを取り巻く北横岳や三ッ岳を眺めながら、遊歩道を順路に従って右回りにのんびり歩く。

坪庭より北横岳を仰ぐ
坪庭より三ッ岳を望む

やがて急な階段を下って雨池峠への登山道に合流。このあとは雨池峠から縞枯山、茶臼山を越えて麦草峠に戻る予定だが、ちょっと道草。木製通路を辿って、ロープウェイ駅に行ってみる。子供の頃、家族でロープウェイ(当時はピラタスロープウェイという名だったと思うが、近年、北八ヶ岳ロープウェイに改称)で上がって坪庭を散歩したことがあるような気がするのだが、記憶はあやふや。坪庭や駅周辺に見覚えはなかった。

坪庭からロープウェイ駅に向かう
北八ヶ岳ロープウェイ山頂駅

ロープウェイ駅から来た道を戻り、そのまま雨池峠に向かう。木製通路から木道になるが、歩き易いことに変わりない。狭い谷の左側は溶岩台地の末端で、溶岩の崖が迫る。

やがて谷が開けて笹原が広がると、大きな青い三角屋根の縞枯山荘が建つ。この山荘も麦草山荘と同じくレトロな味わいのある山小屋だ。ここまでは観光客もやって来ている。

雨池峠へなだらかな谷間の道
縞枯山荘(振り返って撮影)

山荘から八丁平と呼ばれる笹原の緩斜面を登って、雨池峠に着く。既に12時半を回っているので、ここで昼食にしよう。しかし、喉は乾いたが食欲はあまりない。鯖味噌煮をつまみにノンアルを飲み、オレオを数枚、水で流し込んで昼食を済ます。麦草峠までコースタイムで約2時間なので、シャリバテの心配はないだろう。

八丁平の笹原を緩く登る
雨池峠
背景は縞枯山

雨池峠から縞枯山の登りに取り付く。こちらも針葉樹林帯の中の石がゴロゴロの急坂で、おまけに後ろに若い女性ハイカーさんが後からピッタリ付いて来るものだから、何となくペースが上がって、縞枯山の頂上に登り着いたときには大汗をかいていた。

頂上は樹林に囲まれて展望なし。休んでいると程なく件のハイカーさんが、疲れたー、と言いながら到着。続いて若い男性ハイカーさんも到着。なんだ、二人連れかーい(^^;)

縞枯山へ樹林帯の急登
縞枯山頂上

二人連れハイカーさんには先に行って貰い、5分程休憩してからリスタート。樹高の低い針葉樹に覆われた平坦な頂上稜線を進む。バイケイソウが多く、いくつか咲き始めた株の花には、小さなカミキリムシが蜜を吸いにたくさん来ている。

平坦な頂上稜線を進む
バイケイソウ

頂上稜線の末端で縦走路から分岐し(道標あり)、ちょっと脇道に入った所に縞枯山展望台がある。先程のハイカーさん二人を含め数組が休憩中。森林から抜きん出て巨石が積み重なったピークで、四方に渡って眺めが良い。

縞枯山展望台から茶臼山
麦草峠と南八ヶ岳の展望
縞枯山展望台から西麓の眺め

縦走路に戻り、茶臼山への鞍部に下る。鞍部で、右に五辻・ロープウェイ駅への道を分ける。鞍部から登り上げると、樹林に囲まれた平地に茶臼山の標識があるが、少し脇道に入った所にある茶臼山展望台の方が標高が僅かに高い。

縞枯山と茶臼山の鞍部
茶臼山頂上

展望台は赤茶けた砂礫地に小高い岩場があり、東を除く三方の眺めが良い。南には麦草峠の向こうに南八ヶ岳主峰のギザギザのスカイラインを遠望する。振り返って北にはなだらかな縞枯山を望み、中腹の樹林帯には三筋程の縞状の枯木帯を見ることができる。

後は麦草峠へ下るだけなので、のんびり休憩。西面には森林に覆われたなだらかな大斜面が広がり、その中に北八ヶ岳ロープウェイの山麓駅や蓼科の別荘地が点在する。陽射しは強いが、西麓から間断なく風が吹き上がって来て涼しく、非常に心地良い。時刻は14時で、一日で最も暑い時間帯だが、ここは全くの暑さ知らずだ。下界は今日も暑いだろうなあ(後日調べると、桐生のこの日の最高気温は37.7℃ ^^;)。

茶臼山展望台から南八ヶ岳の眺め
茶臼山展望台から縞枯山
北横岳と蓼科山を望む

展望台で涼んだのち、茶臼山から樹林帯の中の転石の多い登山道を一直線に下る。ちょっと登り返した岩場には中小場の標識があり、振り返ると茶臼山から結構下って来たことがわかる。

樹林帯を一直線に下る
中小場より茶臼山を振り仰ぐ

さらに下ると大石峠に着く。峠と行っても樹林に覆われた緩斜面の途中という感じの場所だ。「旧峠道跡 大石峠旧跡」の標柱があり、古の峠道らしい。樹林帯を緩く下るとやがて木道となり、茶水の池のほとりに出る。後はR299を歩いて、麦草峠駐車場に戻る。15時半なので既に帰った登山者も多いようで、駐車場の車は、朝よりも少なくなっていた。

大石峠
麦草峠駐車場に戻る

帰りは八峰の湯に立ち寄る。途中で通りがかった白駒池入口の有料駐車場は大変混んでいて、白駒池はかなり人気が高そうだ。八峰の湯は、GWに立ち寄った時は大混雑で入湯を諦めたことがあったが、今日は比較的空いていてゆったりと湯船に浸かる。汗をさっぱり流し、帰宅の途につく。三連休の最終日のせいか、横川SA〜富岡IC間で自然渋滞に巻き込まれ、帰桐したのは少し夜遅くとなった。