日向山〜鞍掛山〜大岩山

2018年5月5日(土)
天気:
メンバー:T
行程:尾白川渓谷駐車場 4:35 …矢立石登山口 5:35 …日向山(1660m) 6:55〜7:00 …鞍掛山分岐 8:40 …鞍掛山(2037m) 9:10 …展望台 9:15〜9:30 …鞍掛山分岐 10:05 …大岩山(2320m) 11:25〜12:05 …鞍掛山分岐 13:10 …日向山 14:30〜14:40 …矢立石登山口 15:35 …尾白川渓谷駐車場 16:10
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

GW後半の四連休。最初の二日間は寒気が入って不安定な天気となったが、三日目の5日は晴との予報。どこに行こうかな。GW前半は飯盛山〜横尾山を歩いて八ヶ岳を眺めたので、次は南アを眺めに行こうと考えて、甲斐駒山脈前衛の日向山を思い付く。頂上付近に花崗岩が風化してできた白砂の薙が広がる景観と、展望が良いことで人気が高い山だ。

日向山だけだとファミリー向きのハイキングとなり、遠出の割りに軽くて、ちょっと歩き足りないかも。手元の『山と高原地図 北岳・甲斐駒』(2004年版、古い^^;)を見ると、日向山から奥へ、鞍掛山や大岩山まで尾根通しに登山道が通じている。大岩山まで足を延ばすとかなりのロングコースになり、歩き応えは十二分。それに、大岩山は以前、雨乞岳に登ったときに日向山と共に眺めていて、大いに興味を惹かれる。

最近の山行記録をネットで確認すると、つい先日の5/1に日向山から大岩山に登った方のレポがあり、林道や残雪の状況について最新の情報が記されている。これを参考にさせて頂き、日向山から鞍掛山を経て大岩山まで往復する計画を立てて、出かけてきました。

前日は19時に就寝して睡眠時間を確保。翌1時半に桐生を車で出発。中部横断道、R141を経由し、山梨県内はカーナビ任せのルートで、未明に尾白川渓谷の北杜市営無料駐車場に到着する。20台程の車があるが、キャパは余裕。WCや売店(まだ営業時間前)がある。

「皇太子殿下 甲斐駒ヶ岳御登頂記念碑」(1990年7月に登頂)を見て、未舗装道を奥に入る。尾白川の川岸にはキャンプ場があり、GWとあってテント(と車)が多いが、渓谷の瀬音の中でまだ寝静まっている。道標にしたがって右折。日向山への登山道に入る。

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尾白川渓谷駐車場

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日向山は右へ

まだ薄暗い中、急斜面をジグザグに登る。ハイキングコースとして良く整備され、歩き易い。5:10頃に陽が昇って、林内に橙色の光が差し込む。天気は予報通りで、良さそうだ。

一旦、尾白川林道に出て山道に戻り、再度、林道を横断するところが矢立石登山口。以前はここまで車で来ることができ、駐車場もあるが、昨年の台風29号によって生じた崩落のために林道は通行止。また、ここから錦滝に向かう林道も崩落し、歩行者も通行禁止となっている(北杜市HP)。という訳で、駐車場に車はないはずなのだが、なぜかserenaが1台ある。林道、通れるんだ(帰りもあった。多分、工事関係者の車じゃないかな)。

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急斜面をジグザグに登る

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矢立石登山口

日が昇って明るく照らし出された新緑の林をジグザグに登る。矢立石から日向山頂上まで「10 \ 1」の様に表記された合目標識が設置されている。三合目を過ぎて数分の所の道端に石仏がある。頭上に馬の頭を載せているから、馬頭観音かな。四合目辺りから笹原とカラマツ林の登りとなり、五合目を6:25に通過。ようやく半分か、と感じるが、ここから先は傾斜が緩んで楽になる。

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新緑の樹林帯を登る

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三合目付近

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馬頭観音像
天保十三年

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五合目

六、七、八合目をトントンと通過し、なだらかたピークを越えて少し下った所が九合目。日向山雨量観測所の塔が建っている。

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八合目

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日向山雨量観測所のある九合目

緩く登り、日向山の三角点標石はこの辺りかなと気を付けていたら、ご丁寧にも「三角点→」の道標があり、登山道からほんの僅か右に入った所で見ることができた。

白砂を堅く敷いたような道を辿って程なく、樹林から雁ヶ原と呼ばれる一面の白砂に覆われた北斜面に出て、日向山の山名標と山梨百名山の標柱が建つ。砂の上には全く足跡がなくて、今日は私が頂上一番乗りのようだ。

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日向山三角点

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日向山頂上
甲斐駒ヶ岳を仰ぐ

展望は素晴らしいの一言。南西には残雪を戴く甲斐駒を高く仰ぐ。目を右に転じ、西にこれから登る鞍掛山や大岩山を眺める。大岩山は遠いが、届かない遠さとは感じない。大岩山の手前から発する谷は白い大岩壁の所で落ちており、あそこには大滝があるんじゃなかろうか(後日調べると、落差約100mの霧ノ滝という滝があるそうである)。

また、正面にはのっそりと大きな山容の雨乞岳を望む。左の白いザレが水晶薙だ。数年前にあっちの薙からこっちの薙を眺めたなあ。懐かしい。

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日向山から大岩山を仰ぐ

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日向山から雨乞岳を望む

東には釜無川の谷を隔てて八ヶ岳を遠望するが、靄がかかってぼんやりとしか見えない。南を除く三方に遮るもののない雄大な展望が開けるが、当然、風を遮るものもなく、寒気が砂が飛ぶほどの強風となって吹きつけて、特に手が寒い。GW前半は暑かったので、すっかり油断して手袋は持ってこなかった。

頂上は寒いし、先は長いので、あまりのんびりとしてはいられない。頂上を辞し、ちょっと見には残雪のような白砂の斜面をザクザクと踏んで、西の鞍部に下る。

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日向山から八ヶ岳を望む

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白砂の斜面を下る

鞍部で左に錦滝へ下る道(現在通行止)を分け、直進して細い尾根を辿る。樹林に入れば風が遮られて、寒さはかなり和らぐ。つがいのシジュウカラが囀りながら木立の間を行ったり来たりと賑やかだ。一羽が止まったところをなんとかカメラに収める。

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錦滝分岐

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シジュウカラ

1622m標高点の前後の尾根は痩せて小さなアップダウンが多く、岩稜や下が切れ落ちたトラバースが断続して、次の鞍部までは気が抜けない。鞍部から左に下る踏み跡があるのは、水場への道かな(2018年版の山と高原地図によると、錦滝への近道があるようだ)。

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1622m標高点への登り

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岩稜を絡んで歩く

鞍部で「←鞍掛山 大岩山」との道標を見て、急坂に取り付く。この後も大岩山まで要所に道標がある。左に水のない小さな窪を見ながら、急な小尾根を登る。

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鞍部から急登

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急登が続く

大岩の下で小さな窪を渡って、急斜面をさらに登る。標高もグングン上がって、木の間から日向山を振り返ると、頂上は既に随分下だ。白砂の上には数人の人影が見える。

標高1800mまで登ると針葉樹林に覆われた明瞭な尾根の上に乗り、急登は一段落する。日向山からちょうど1時間歩いた。小平地があるので一休み。木の間から黒戸尾根の向こうに鳳凰三山が眺められる。

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振り返ると日向山が遙か下
(ズームして撮影)

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標高1800mで急登は一段落
木の間から鳳凰三山を望む

ここからコメツガなどの針葉樹林に覆われた尾根を緩く登る。展望はなく、ひたすら登り。途中、尾根上の浅い凹地を通る。下生えにはコケや笹原、少しシャクナゲもあるが、まだ咲いていない。

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針葉樹林の尾根を緩登

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尾根上の浅い凹地

尾根が細くなって薙った左斜面の縁に出ると、名の通り馬の鞍形の鞍掛山と、その背後に大きく甲斐駒が眺められる。ここまで来ると鞍掛山分岐(駒岩)は近い。

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露岩の尾根

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鞍掛山と甲斐駒を望む

樹林に覆われたなだらかで広いピークに着くと「鞍掛山分岐」という北杜市が設置した新し目の道標があり、三方を指して鞍掛山0.3h、大岩山2h、日向山2hと書いてある。また「駒岩分岐点」という道標もある。ここから鞍掛山を往復する。

笹原の中の明瞭な道型を下ると、直ぐに急斜面の下りとなり、どこまで下るのと思うくらい下る。鞍部の手前の大岩の基部には石碑がある。碑銘は掠れて見えない。ようやくザレの源頭となった鞍部に下り着く。地形図の等高線を数えると100m近く下っている。

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鞍掛山分岐

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鞍掛山との鞍部に急降下

鞍掛山へは同じだけ登り返す。正面は岩壁で、赤テープに導かれて右へ巻く。見上げる岩壁には小さなツララが下がっている。下が切れ落ちた急斜面のトラバースとなり、ここは落ちたらアウト。固定ロープを掴んで慎重に渡る。

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鞍掛山との鞍部

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右へトラバース

急斜面を巻き終わり、次は立木を頼りに急斜面を直上する。ようやく急斜面を登り切り、細い稜線を辿ると鞍掛山の頂上に着く。樹林に覆われて展望は全くない。ここにも北杜市設置の山名標が建ち、「展望台 ←6分」の道標もある。直ぐに展望台に向かおう。

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急斜面を直上

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鞍掛山頂上

樹林に覆われた瘤を二つ程巻き、ザレの縁に出て少し登ると、白砂の小平地となった展望台に着く。北面は風化した花崗岩の岩場で、大展望が開ける。また展望台の一角には数体の石像や倒壊した大きな石祠など、甲斐駒を遥拝したした古の宗教の石造物がある。

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展望台に向かう

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展望台の石仏と石祠

まず展望は、尾白川のV字に深く切れ込んだ谷を隔てて、左から黒戸山、ひときわ高い甲斐駒、烏帽子岳、右に大岩山、烏帽子岳と大岩山を結ぶ稜線の向こうに鋸岳を望み、青空に描かれた鋭利なスカイラインを眺める。これらの山々に黄蓮谷、尾白川本谷、鞍掛沢が突き上げ、坊主山の岩壁や鞍掛沢のスラブが屏風の如く聳り立つ。これは凄い景観だ。

ここは日向山に増して風が強く、カメラを構える手がブレて止められない。ここでこの強風だと甲斐駒の頂上ではどうなっているか。GWの高峰は、厳しい時はやはり厳しいな。

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鞍掛山展望台からのパノラマ

石造物も大変興味深い。衣冠の石像には「…正九年…無月開山大菩薩」などの銘があるが、掠れて全部は読めない。不動明王像には「奉祭 袈裟掛不動明王」の文字が見える。また、石仏を納めた石祠や「鞍掛山二代開山三十年記念」と刻まれた横倒しの石柱がある。

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衣冠の石像

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不動明王像

大展望を堪能したら分岐に戻ろう。鞍掛山から鞍部に下る途中で、ソロハイカーさんに出会う。クモイコザクラ咲いていませんでしたか、と尋ねられたが、そもそもどんな花か知らないので、(多分)見ていないです、とお答えする(後日検索すると、その方のレポがあった)。鞍部まで崖の様な急斜面の下りとトラバースを注意して通過。鞍掛山分岐に登り返して戻り着くと、若い男性二人組が休憩中。鞍掛山に向かうそうで、展望良かったですよ、と伝えると喜んでおられた。

すぐに大岩山に向かって、緩やかに尾根を登る。「鞍掛山の天然カラマツ林」との看板があり、笹原を下生えとし、芽吹き始めたカラマツの美林が続く。それから苔むした針葉樹林帯の登りとなる。右側にザレの源頭を見て直ぐ先に「大岩山自然保存地区」と題する木の説明看板が倒れている。それによると、この一帯の樹林は、シラビソ、オオシラビソ、ダケカンバ、カラマツ、トウヒ、ヒメコマツなどの原生林だそうだ。

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天然のカラマツ林

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苔むした針葉樹林

看板から10分程で駒薙ノ頭に着く。樹林に覆われているが、南西が開けて、大岩山と鋸岳が眺められる。一旦、鞍部に下って、大岩山への最後の登りに取り付く。意外と急な登りと思うのは流石に疲れが出て来たか。周囲の樹林の中に名残の雪が見え始めるが、登山道の上の雪はほぼ無し。傾斜が緩み、三角点標石のある大岩山頂上に登り着く。

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駒薙ノ頭から鋸岳(左奥)と
大岩山(右)を望む

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鞍部から急登

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頂上直下のなごり雪

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大岩山頂上

山頂は深い樹林に覆われて、展望はほとんどない。しかし、約7時間の登りの末の登頂だから、満足は大きい。道標には「←烏帽子岳 3.3h 鞍掛山分岐 1.3h →」と書いてある。烏帽子岳まで登山道が拓かれていたとは知らなかった。ここからさらに3時間強とは、凄いロングコースだなあ。歩いてみたいかも。

まずは残雪で冷やした缶ビールを飲み、レトルトパウチのさんま味噌煮とカップ麺のラーメンを食べる。

昼食を終え、一休みして下山開始。往路を戻る。大半が下りなので楽だ。鞍掛山分岐まで誰にも行き遭わなかったので、今日、大岩山まで行ったのは私一人ということになる。

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駒薙ノ頭から鋸岳をズーム

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鞍掛山分岐の先で山麓を俯瞰

鞍掛山分岐からもハイカーさんに遭わず、日向山へ驚く白さの砂の斜面を登る。日向山頂上はそこそこ賑わっていて、ハイカーさんのグループが3組ほど。風が止んで気温が上がり、靄が晴れて八ヶ岳がクリアに眺められる。日向山からの下りでもハイカーさん数組と交差したり追い抜いたり。日向山はやはり人気がある。

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日向山への登り

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日向山から八ヶ岳を望む

矢立石登山口を過ぎ、ジグザグに下って尾白川渓谷駐車場に戻る。11時間35分の久々に長い行程を歩き通し、大展望にも恵まれて大満足。売店は営業中。駐車場の車は朝よりちょっと増えた程度だ(後日、同日に日向山に登った方のレポによると、9時過ぎにはほぼ満車になっていたそうである)。

帰りはすぐ近くの尾白の湯に立ち寄る。白州・尾白の森名水公園の中にあり、園内のキャンプ場は大賑わい。尾白の湯も子供連れが多く混み合っているが、浴室が広いので意外とゆったりと湯に浸かって、凝った足をほぐす。あー、極楽。

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山麓から甲斐駒(左)と
鞍掛山(右)を仰ぐ

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サントリーレストランじんぐうで夕食
田舎風とん勝定食(ロース)

さっぱり汗を流したら、次は夕食。家に帰り着くのは遅くなるだろうから、早めに食べておこう。R20沿いの「サントリーレストランじんぐう」というドライブインに入り、ノンアルビールを飲んで、とんかつ定食を食べる。千切りキャベツと海苔が乗ってドレッシング風ソースがかかったとんかつで、大変美味しかった。それから朝来た道を戻り、上信越道でちょっと自然渋滞に捕まった他は順調に走って、桐生に帰った。


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