飯盛山〜横尾山
GW前半の三連休はずっと天気が良いとの予報で、先週に続いて泊りがけで出かけるチャンスだが、いろいろ溜まった雑用もあるので、2日目に日帰りの山歩きを計画。八ヶ岳山麓の飯盛山(めしもりやま)から横尾山を経て、信州峠まで縦走してきました。
桐生を薄明の4時半頃に車で出発。北関東道、上信越道を走り、横川SAで朝食に上州麦豚丼をがっつり頂き、佐久小諸JCTから中部横断道に入る。私は全く知らなかったのだが、中部横断道は前日に八千穂高原ICまで延伸開通していて、八ヶ岳方面への所要時間が短縮され、大変便利になった。ラッキー♪しかも、中部横断道は従来から通行無料である。
八千穂高原ICから一般道を走り、長野・山梨県境の信州峠に7時半頃到着。峠の駐車スペースに車を置く。他に車が2台。多分、横尾山に登っているハイカーの車だろう。私はここから野辺山駅に回って飯盛山に登り、横尾山を経て、ここに戻って来る予定である。
信州峠をマイ自転車Radon I号で7:40発。長野側に下って作付けが始まった広大な高原野菜畑を突っ切り、埋沢大橋を経由して信濃川上駅に8:05着。ずっと緩い下りで、実に快適なダウンヒルだった。駅の駐輪場に自転車を置き、野辺山駅までの切符(210円)を買って、8:32発の列車をのんびり待つ。
定刻通りやって来た小渕沢行の列車はワンマン2両編成。旅行者や鉄道愛好家、地元の高校生がそこそこ乗車している。列車は千曲川の谷から大きくカーブして野辺山高原に上がり、八ヶ岳連峰を眺めながら10分間の短い列車の旅で野辺山駅に到着。下車する。
野辺山駅はご存知の通り、JRで日本一高い所(標高1346m)にある駅として有名な観光地で、早くも観光客が訪れていて、ユニークな形の駅舎をバックに記念撮影をしている。駅前の通りを南に向かい、踏切を渡って直進。右側には畑地の向こうに常に八ヶ岳連峰を望み、車道歩きではあるが、爽やかな高原の散歩が楽しめる。
宇宙電波観測所の大きなパラボラアンテナを左に見て程なく、山際の十字路に着く。ここから道標に従って、平沢峠へのショートカットの登山道に入る。笹原と新緑が芽吹くカラマツ林の中をゆるゆると登り、平沢峠に着く。
峠には広い駐車場があり(WCも有)、ハイカーと観光客の車がざっと見て50台程も来ている。八ヶ岳連峰を一望する眺めが素晴らしく、大勢がスマホを向けて写真を撮る人気のスポットだ。峠の脇の丘の上には獅子岩と呼ばれる溶岩があり、さらに展望が良い。
飯盛山への登山道に入って、なだらかな尾根を登る。老若男女のハイカー、特に小さな子供連れの家族が多い。途中で右に宮司の滝への道を分け、さらに平沢山側道(巻き道)を右へ分けて尾根を直進すると、すぐに三角点標石(点名:八岳屋)がある平沢山の頂上に登り着く。
頂上はこの近辺の最高地点で、飯盛山より10m程高いが、多くのハイカーさんは側道で巻いてしまう。四方に展望が開け、北に野辺山高原と遠く浅間山、西に八ヶ岳、南に南アの北岳と甲斐駒、南東に整った円錐形のピークの飯盛山と微かに富士山を遠望、東に横尾山への稜線と奥秩父を望む。
平沢山から下って側道と合流し、飯盛山に向かって笹原の明るく開けた道を歩く。清里駅からの道を右から合わせ、木の階段道を登って飯盛山のちょこんと尖った頂に着く。頂上はハイカーさんが鈴なりで、山名標柱の近くは記念撮影の人がなかなか途切れない。こちらも展望が素晴らしく、特に平沢山を前景とした八ヶ岳が絵になる。また、これから歩く稜線も見え、大きく蛇行して遠く横尾山へ続く稜線を眺めて、ワクワクが抑えられない。
展望を楽しんで小休止したのち、すぐ北の1643m標高点に向かう。テキサスゲートを通り、左に野辺山学園の道を分けると、見晴台との標識のある頂上に着く(山と高原地図には平盛山と記載されている)。ここも360度の展望があり、特に飯盛山の盛り上がり具合が良くわかる。こちらは人が少なくて、休憩地の穴場だ。
見晴台から横尾山への縦走路に入ると、途端に人がいなくなって、静かな山歩きとなる。最初は三沢から飯盛山へのハイキングコースなので、道は良く整備されている。路面は芝のような草地で、あちこちにキジムシロやスミレが咲いている。小さな岩場のある小ピークを越え、右斜面がカヤトの原で明るく開けた稜線を辿る。天気は良好で眺めも良く、開放的で気持ち良い稜線だ。
やがてカラマツ林に入り、木の階段道を急降下する。芽吹き始めのカラマツ林も明るい雰囲気で、なかなか良い。下り着いた鞍部には案内図があり、現在地は十文字峠となっている。ただし、左右に峠道は見当たらない。
稜線を緩く登ると「←三沢」の道標があり、登山道は左折して下る。ここでハイキングコースから別れて、稜線を直進。笹原の微かな踏み跡を辿る。道型は薄いが、笹の丈は低く、藪と言う程のものではない。破れかけた鉄条網に沿って登る。
やがて鉄条網は頑丈な金網柵へ代わり、道型ははっきりしてくる。1656m標高点峰の頂上は直下を巻く。そろそろお昼時なので、この辺りで昼食にしよう。道端に腰を下ろし、缶ビールを開けて、鯖味噌煮、カップ麺の天ぷら蕎麦を食べる。日差しが強く、ジリジリと肌が焼ける感覚。まだ4月とは思えない暑さだ。
縦走を再開し、金網柵に沿って歩く。この柵は次のピーク(古い「山と高原地図」には三ッ沢ノ頭と記載)の直下で右折し始めたので、どこかで柵を通り抜けなければならない。しかし高くて頑丈な柵なので、越えるのは一苦労だ。楽に通れそうな所を探して歩くと、お誂え向きの隙間があり、ここで柵を潜り抜ける。そこから少し登って稜線に復帰する。
笹原の稜線を辿り、カラマツ林に入って下り始める。この辺りから長野・山梨の県境稜線となる。道型は消え、笹原を適当に下る。途中で2人組のハイカーさんとすれ違う(あとは横尾山までの間ではソロハイカーさん一人と交差)。
下り着いた鞍部(三ッ沢ノ大ダル)には国土調査の補助三角点の標石がある。ここから大きな登りとなり、笹原の中に再び現れた微かな道型を辿って急登する。小ピークを越え、カヤトの稜線を辿って急坂をこなすと、「槍 中央分水嶺 MHC」との山名標のある小尖峰の頂に登り着く。
「槍」の頂上は東から南にかけて展望が開け、瑞牆山から金峰山、茅ヶ岳にかけての眺めが良い。また、木々の梢越しに横尾山も眺められる。飯盛山から眺めたときは遠かった横尾山が、だいぶ近づいてきた。
「槍」から笹原と雑木林の稜線を小さく上下して歩く。ちょっと下った鞍部が木賊ノ大ダルで、ここから木賊ノ頭に向かって登り返す。やがてカヤトの斜面に出て、振り返ると飯盛山の狐色のピークが遠く低く眺められる。なかなかの距離を歩いてきたな。
木賊ノ頭の頂上直下に道標があり、頂上を巻いて右へ。なだらかな稜線を辿ると、その名の通りの形の豆腐岩が現れる。ここにも「豆腐岩 中央分水嶺 MHC」の標識がある。そう言えば、以前、日本山岳会で中央分水嶺を踏破するプロジェクトをやっていたな、と思い出す。
稜線は豆腐岩で右折し、横尾山に向かって小さく上下しながら、なだらかに続く。途中に「←大平牧場」という古い道標があり、右に微かな踏み跡を分ける。稜線は細くなり、ゴロゴロと積み上がった大石が目立つ。稜線の右にゴルフ場の様な草地を俯瞰する。あれが牧場かな。最後に短い急坂を上がって、横尾山の誰もいない頂上に登り着く。
頂上には三角点標石と山梨百名山の山名標柱がある。樹林に遮られて眺めは南西に限られ、飯盛山と八ヶ岳の一部が遠望できるくらい。しかし明るい雰囲気で居心地の良い頂だ。あとは信州峠への下りなので、すっかり寛いで休憩する。
横尾山からの稜線は、開けたカヤトと針葉樹に覆われた岩ゴロゴロの区間が交互に現れる。右側は急な斜面で茅ヶ岳を遠望し、左には高原野菜畑をそう遠くない所に眺める。途中でハイカーさん数組とすれ違う。
唐突に広いカヤトの原に出て、正面に瑞牆山や小川山から金峰山にかけての山並みがドーンと現れる。これは素晴らしい。特に瑞牆山はニョキニョキと岩峰が集まっている様子がよく見える。瑞牆山には大昔に登ったことがあるが、これを見るとまた行きたくなるな。
カヤトの原の末端から急坂となり、一気に標高差100mを下る。その先はカラマツ林と笹原の広く緩い尾根道となり、傾き始めた陽射しに明るく照らし出されて、とても和む。振り返れば、木立を透かして横尾山の山影が意外と急で高い。
程なく信州峠に到着。朝来た時は気が付かなかったが、切り通しの上には「甲信林道開通記念碑」が建つ。飯盛山〜横尾山の縦走路は、終始明るく展望に恵まれ、途中、道が怪しい区間もあり、歩き応えも十分。とても楽しめた。
帰りはまず信濃川上駅で自転車を回収。それから八峰(ヤッホー)の湯に行ったが、GWとあって大混雑。入るのを諦め、ちょっと戻って海ノ口♨和泉館に立ち寄る。こちらも人が多かったが、汗を流してゆっくり湯船に浸かる。高速では大きな渋滞もなく帰桐した。