菅峰

天気:時々
メンバー:T
行程:チェーン着脱場 6:45 …作業道入口 7:35〜7:45 …1025m三角点 8:45 …菅峰(1474m) 10:30〜10:40 …昼食地点 10:55〜11:25 …須賀尾峠 12:10
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

菅峰(かんぽう)は、先々週に登った高ジョッキと須賀尾峠を挟んで相対し、高ジョッキや王城山から眺めると、右(北)に一直線に緩く長く落ちる台地状の稜線(以下、北尾根と呼ぶ)が目を引く山である。須賀尾峠から唯一の登山道が通じ、通常は高ジョッキと合わせて峠から往復して登られているが、できれば北尾根をコースに含めて歩きたい。

北尾根を歩く場合、1025m三角点(点名:半次郎窪)のある尾根末端は、地形図から見て取れるように、三方向とも崖や急斜面となって落ちているため、登り降り何れにしても末端〜山麓間のコース取りが問題となる。群馬300山の菅峰の記事には、北尾根を長野原草津口駅まで下った、という補足的な記述があるが、1025m三角点からは落ち葉に埋もれた古い道を下って長野原バイパスの車沢橋に着いた、という情報しかなく、これだけでは何とも心許ない。また、ネット上には、菅峰の北尾根を歩いた記録は全く見当たらない。

1025m三角点には電波塔が建っているので、保守のための作業道があるはず。1025m三角点の点の記を読むと、西麓の虻篭(あぶろう)集落から四駆の軽が通行可能な作業道が通じているとの記載がある。この作業道を利用すれば、北尾根末端を安全確実に登降できそうだ。という訳で、北尾根から菅峰に登って須賀尾峠に下る計画を立て、休暇を取っていた金曜日が天気が良さそうなので、出かけてきました。

桐生を車で未明の4時半に出発。R50、R406を経由して須賀尾峠に着き、マイ自転車 Radon I 号をデポ。ここまでは12日前の高ジョッキの山行と同じ。ただし、季節が進んで、今日は一段と寒気が厳しい。車の外気温度計は氷点下を示している。

R406を長野原町側へ下り、R145長野原バイパスを少し西に進んで、路側のチェーン着脱場に車を置く。まだ積雪はないから、長時間駐車しても差し支えないだろう。寒いのでフリースを着、手袋を付けて出発。R145を西へ歩くと、直ぐに車沢橋がある。橋上から北尾根末端を見上げることができ、尾根上には反射板も光って見える。車沢左岸には作業道があり、群馬300山ではここに出て来たと思われる。今は枯れ薄に茫々と覆われて、入り込む気にはちょっとなれない。

長野原バイパスのチェーン着脱場
車沢橋から北尾根末端を仰ぐ

まだ営業時間前の浅間酒造観光センターを過ぎ、さらにR145を西へ。交通量は多いが、ずっと歩道があるので安心。やがて右(北)側が開けて、雪雲に覆われて中腹まで白くなった草津白根山が眺められ、見ているだけで寒くなる。R145から斜め左に分岐する林道(与喜屋赤宿線)に入り、山際を左にカーブして、吾妻川支流の熊川の谷を遡る。谷と言っても広くて緩く、農家が点在する長閑な田園風景が続く。

林道与喜屋赤宿線を歩く
雪雲に覆われた草津白根山を望む

やがて「ここは虻篭」との道標のある分岐を過ぎ、虻篭の集落を抜けると、左に分岐する作業道がある。入口には「NHK長野原TV中継放送所」の道標がある。

←ここは虻篭
熊川発電所1.5km
作業道入口

作業道入口の直ぐ先には仙峩滝不動堂があるので、ついでに見て行こう。お堂の周囲に多数の石像、石碑があり、その中に町指定文化財の「仙峩滝不動堂の宝塔」がある。説明板によると、この宝塔は供養塔で、塔身の四方に金剛界の種子(しゅじ)を刻み、大日如来を本尊とする。室町時代のものとのこと。私は種子は読めないが、確かにそれっぽい文字が刻まれている。なお、お堂の脇に沢が流れているが、仙峩滝がどこかは判らなかった。

仙峩滝不動堂
仙峩滝不動堂の宝塔

作業道に入ると、最初は舗装道、やがて砂利道となり、戻り気味に集落の上部をトラバースする。集落を俯瞰して眺めが開ける地点があり、左には浅間山、右には草津白根山を遠望する。どちらも中腹まで積雪があり、真っ白い雪雲がかかっている。

最初は舗装道
砂利道となる
浅間山を望む
草津白根山を望む

作業道はやがて冬枯れの雑木林に覆われ、陽の当たらない陰気な急斜面を大きくジグザグに登り始める。路面に敷き詰められた砂利は比較的新しいが、所々で雨裂が深い。要所にNHKの道標があり、迷う所は全くない。

急斜面をジグザグに登る
要所に道標あり

尾根上に近づくと斜面の傾斜が緩み、陽も射し始める。左にトラバースすると反射板(東京電力大洞反射板)に着く。反射板の前は樹林が切り開かれ、草津白根山の眺めが(この日はここが一番で)良い。今は雪雲が薄れて、真っ白な頂上稜線が見えている。

反射板がある
反射板から草津白根山の展望

さらにひと登りで広い北尾根の上に出る。落ち葉に覆われた道型を辿って北に緩く下ると電波塔(群馬県防災行政無線長野原中継局)があり、その裏手の平地に雑木林の木漏れ日を浴びて1025m三角点の標石がひっそりと佇む。その少し先にも電波塔(NHK長野原デジタルテレビ中継放送所)がある。ここから北に下る群馬300山のコースも未だ興味のあるところだが、落ち葉に深く覆われて道型は見当たらない。尾根は広く、藪もないのでどこでも歩けるが、下は果たしてどうか。気になる所ではある。

広い北尾根の上に出て下る
電波塔(群馬県防災行政無線)
1025m三角点
電波塔(NHK中継放送所)

さて、ここから楽しみにしていた北尾根の登りが始まる。作業道を右に分けると道型はなくなるが、広く緩い尾根上は雑木林に覆われ、藪は全くなく、積もった落ち葉を踏みしめて快適に歩ける。ただし、今日は西から寒風が間断なく吹きつけて、少々寒い。

1105m標高点は小さな瘤で、それとわかる。僅かに下って、再びゆるゆるの尾根の登りが続く。左側には並行して尾根が走り、間には結構深い谷がある。台地状の北尾根の上にはこのような複雑な地形があり、面白い。この点は北尾根を下りに取った際のルートファインディングを難しくするが(群馬100山でも尾根を間違えて途中で乗り換えている)、登りに取れば高い方へ進めば良いだけだから、迷う心配はない。

広い尾根を緩く登る
1105m標高点
ゆるゆると尾根を登る
左手の谷は結構深い

しばらく明瞭な尾根のゆるい登りが続き、丈の低い笹原が現れて小ピークに登り着くと1271m標高点である。ここで尾根は少し左に方向を変え、広い斜面を緩く登る。棘がある系の枯れ草の藪が広がるが、丈が膝下なので全然問題ないな。と思っていたら、行く手に青々とした丈の高い笹原が出現!群馬300山で密笹帯と書かれている物件がこれらしい。

1271m標高点付近
行く手に笹原が現れる

笹藪を回避できないか右に回り込んでみたが、ずっと続いているので、諦めて突入。腰高の笹藪で、あれば助かる獣道もなく、ひらすら笹を漕いで進む。ほとんど平坦なのは幸いだが、笹の葉に付いた朝露と先日降った雪が笹の葉の上に消え残っているのが始末に悪い。こういう場合は下ゴアやスパッツを早目に付けるべきだが、頂上まであと少しだし(と言っても約800mある)、面倒なので着ないでいたら、腿の辺りと靴の中がじんわりと湿気ってきて気持ち悪い。しかし、やがて丈の低い笹に変わり、ホッとする。

腰高の笹藪に突入
丈の低い笹に変わる

須賀尾峠からの登山道を左から合わせ、小笹の斜面を少し登ると、菅峰の頂上に着く。三角点標石(点名:寒峰)と山名標識がある。カラマツ林と雑木林に囲まれて、展望は木の間越しのものしか得られない。平日のためか、ハイカーさんもいない。風が強くて、ときおり風花が舞うような寒さだし、昼食にはちょっと時間が早いので、10分程休憩したのちに下山にかかる。

須賀尾峠からの登山道と合流
菅峰頂上

北尾根を戻って、分岐から登山道で東斜面を下る。この下りはかなり急で、立木を摑んで滑らないように気をつける。両側が沢となった痩せ尾根の小鞍部に下り着き、僅かに登り返して平坦な小ピークに着く。日溜まりで風もないので、ここで昼食としよう。今日は冬の山歩きの定番、天ぷら鍋焼きうどんを作る。ガソリンコンロも今シーズン初の使用だ。ゴウゴウと煮立て、アツアツのうどんを食べて、体の芯から温まる。うーん、満足。

頂上からの下り
東へ急降下
痩せ尾根となった鞍部
昼食地点

あとはのんびり須賀尾峠に下る。小笹に覆われた尾根を辿り、緩く下る。振り返ると、菅峰の頂上稜線が既に高い。尾根を覆う雑木林はすっかり冬枯れで、ダケカンバの白い幹が目立つ。行く手には木の間越しに高ジョッキの岩峰が見える。

平坦な尾根を辿る
菅峰頂上付近を振り返る
高ジョッキを望む
尾根を左から巻いて下る

やがて尾根の急坂を左から巻いて下る。急斜面をトラバースし、なだらかな尾根に復帰。緩く下って、須賀尾峠の長野原町の看板のところでR406に出る。

須賀尾峠へなだらかな下り
須賀尾峠

デポしておいた Radon I 号でR406を長野原側にダウンヒルする。下りは楽だが、簡単にスピードが出て強い風を浴びるので、鍋焼きうどんでちょっと温まった体がすっかり冷える。R145に下り着いて西に進み、最後は緩い登り坂でペダルを少し漕ぎ、峠から20分程で駐車地点に帰り着いた。

帰途はまず浅間酒造観光センターで日本酒やつまみ、お菓子を土産に買ったのち、道の駅あがつま峡の天狗の湯に立ち寄って日帰り入浴する(400円)。冬の一日、充実した山歩きの締め括りに湯船にとっぷり浸かって、冷えた体を温めるのは最高に気持ちが良い。長湯をしたのち、下道を走って明るいうちに帰桐した。