白尾山

天気:
メンバー:T
行程:富士見下 7:50 …田代原 8:35 …冨士見小屋 10:35〜10:50 …白尾山(2003m) 11:55〜12:25 …冨士見小屋 12:45 …富士見下 13:35
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

この日曜日の天気は快晴の予報。最初は久し振りに至仏山にテレマークで登ってワル沢を滑るつもりだった。しかし、車で戸倉に着くと、鳩待峠の駐車場は満車との表示(まあ、これは想定内)、乗合バスと乗合タクシーがそれこそ切れ間なしに鳩待峠に向かうのを見、今日の至仏山の人出の多さが思いやられて行く気を喪失。私としてはあまりやらないことだが現地で転進し、富士見下から富士見峠に上がることにする。そっちならば登山者は格段に少ないだろうし、冨士見小屋の人が小屋開けのためスノーモビルで入っているから、ルートファインディングの不安もない。富士見峠から先は、行ってまた考えよう。

ゲレンデからすっかり雪が消えたスノーパーク尾瀬戸倉を突っ切り、完全に除雪された舗装道を走って富士見下に向かう。たまに路面に転がっている岩には要注意。富士見下の駐車場には車3台しかなく、余裕で駐車可能。雪の上にはスノーモビルが2台置かれている。

今日は良く晴れて暑いくらい。日焼け止めを塗り、ジャケットはデイパックにしまって、Tシャツ1枚で歩き出す。一面の残雪で車道は隠れているが、スノーモビルの跡があるので、迷う心配はない。カーブは適当にショートカットし、ザラメ雪にシールを効かせて登る。


富士見下の駐車場


十二曲りを上がる

やがてルートは浅い谷に入って登る。途中、雪が割れている個所があった。この暑さではどんどん雪も薄くなるだろうな。谷の底を避け、斜面をトラバースして登る。

傾斜が緩くなると、一面の雪原となった田代原に出る。ここまでは、大行山に登った際、来たことがある。田代原も中央部は雪が割れ始めている。雪が消えて湿原になった時期にも来てみようかな。

ブナ林を緩く登ると、次は雪に覆われているが表面が解け始めた池(馬洗淵)が現れる。アヤメ平の白い稜線を背景に配し、なかなか良い景色である。


浅い谷を登る


田代原


馬洗淵


山腹をトラバース

ルートは山腹をトラバースして緩く登っていく。途中で、スノーモビル2台に追い抜かれる。ブナの木立の間から冬路沢を隔てて、二つの綺麗な三角ピークを並べる荷鞍山を望む。こちら側の斜面は黒々とした樹林に覆われて険しく、なかなか立派な山容である。その左には、白尾山の円やかな頂があり、頂上に建つマイクロ波中継塔に日光が反射して光って見えている。白尾山からこちらへ落ちる尾根は緩く、樹林も疎らで滑るのに良さそう。ただし、冬路沢からは水音が聞こえてくるので、渡渉点があるかどうかが問題だ。


荷鞍山(左)を望む


オオシラビソの樹林

少しずつ高度が上がると、ブナ林からオオシラビソの樹林帯となり、アヤメ平の白い稜線が視野に入って来る。先行して歩いていたご夫婦のパーティに追いつき、挨拶して先に行かせて貰う。アヤメ平の稜線の下は広々とした雪斜面となっていて、見上げると雪庇から巨大な雪のブロックが落ちている。なので、通過するときはあまりのんびりしない方が良いが、木立が切れて展望が良いので、急いで写真を撮っておく。


アヤメ平の稜線を望む


白尾山(左)と荷鞍山


アヤメ平の雪庇を仰ぐ


富士見下の方向を俯瞰

雪がたっぷりと残る山腹をトラバースして緩く登り、冨士見小屋に到着。小屋の前で大休止とし、テルモスのホットココアを飲んで、チョコレートを齧る。程なくご夫婦パーティも到着。話を伺うと、やはり鳩待峠の混雑を避けてこちらに来たとのこと。

小屋周辺は二階の高さまで雪があり、WCも雪に埋もれている。屋根の雪は下ろされて、スノーモビルで来た小屋のスタッフ(おじさん2人)が布団を干していた。よく見ると屋根の軒先は雪の重みで曲がり、トタンが捲れている。小屋の維持管理は大変である。

屋根の上のおじさんから「どこまで行くの」と尋ねられたので、「白尾山まで」と答える。アヤメ平とどっちに行こうか迷っていて、どちらでも良かったが、白尾山の方が標高が僅かに高いとか、そんな理由である。休んでいる間に単独行で縦走中の大荷物のお兄さんもやって来て、今回出会った登山者はこれで全て。


冨士見小屋


布団干し中

一休みしたのち、白尾山に向かう。オオシラビソの樹林の薄いところを縫って、広く緩やかな稜線を登る。高みを目指すとマイクロ波中継塔があり、四方の展望が開ける。頂上へ緩やかな起伏のあるだだっ広い稜線が続き、まさに白銀世界の散歩。最後に短い坂を上がって、白尾山の頂上に登り着く。


マイクロ波中継塔


だだっ広い稜線


奥が白尾山頂上


頂上に到着

白尾山に登るのはこれが2回目である。前回もほぼ同時期にテレマークで登ったが、そのときは新雪がたんまり積もり、寒気も厳しくて冬山の様相だった。今回は暖かくてジャケットを着込むまでもなく、長袖シャツを羽織るだけで過ごせる。腰を下ろして、ホットココアとパンで昼食とする。こんなド快晴になるなら、ビールを持ってきても良かったなあ。

頂上は疎らな樹林に取り囲まれているが、少し移動すれば360度分の展望が得られる。南西には武尊山、南には端正な三角形の荷鞍山、南〜東にかけて日光〜尾瀬間の黒々とした樹林に覆われた山並みが連なる。北には燧ヶ岳が猫耳を立てたような双耳峰で聳え、左に視線を移すと平ヶ岳や至仏山の白くなだらかな頂が眺められる。


日光白根山を遠望
右は荷鞍山


武尊山を遠望


至仏山を望む


燧ヶ岳を望む

大展望を堪能したのち、下山にかかる。荷鞍山に往復する時間的余裕はあるが、実は新しいスキー靴があたって足がかなり痛い。何度か履いていてもう慣れると思ったのだが、どうも具合が宜しくない。今日は無理せずサクッと下ることにする。白尾山は気に入っているので、また来て荷鞍山にも訪ねる機会があるだろう。

シールを外し、転倒に備えてジャケットを着て、広く緩い稜線を滑る。ザラメ雪なので快適にターン出来るが、この暑さで雪面が湿っているせいか、スピードはあまり出ない。


冨士見小屋とアヤメ平


往路を滑る

冨士見小屋に戻り、往路を滑って富士見下に向かう。林道に沿ってほぼ直滑降なので、ターン出来る斜面はあまりないが、下りは楽チンなので、これはこれで楽しい。冨士見小屋から1時間弱で、車を置いた富士見下に帰り着く。軽い行程だったが、尾瀬の雪山で散歩が楽しめて良かった。そして、この暑さで雪解けが加速するから、今シーズンはもう残雪の山は終わりかなあ。ちょっと名残惜しい気持ちを抱いて、帰途につく。


田代原


富士見下に帰着

途中、鎌田の寄居山ほっこりの湯に立ち寄ってさっぱり汗を流したのち、GWの行き先などを考えつつ桐生に帰った。