白尾山

天気:一時
メンバー:T
行程:大清水 5:55 …一ノ瀬 7:10 …尾根上に出る 8:10 …白尾山(2003m) 11:40〜12:55 …一ノ瀬 13:50 …大清水 14:15
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

戸倉〜大清水の冬期閉鎖が16日に解除された。3年前の同じ時期に、大清水から尾瀬沼を経て、皿伏山にスノーシューで登ったことがある(山行記録)。今年はまだ一回も雪山を歩いていないし、大清水を基点に今度はスキーでどこかに登りたいな。

3年前の皿伏山の山行のとき、三平峠への登りの途中で、白尾山から一ノ瀬へゆったりと落ちる木立が疎らな雪尾根を眺めたことを思い出した。この尾根(東尾根と仮称)は地形図で見ても広く緩やかで、スキーで登降するのに適しているように思える。東尾根の末端は急斜面で登るのは大変そうだが、うまい回避ルートがありそうだ。という訳で、大清水から一ノ瀬を経て白尾山をテレマークで往復して来ました。

桐生を夜3時半頃に車で出発し、県道沼田大間々線、R120を走って尾瀬に向かう。山間の路面には先日降った季節外れの雪が薄く凍り付いていて、運転に神経を使う。戸倉〜大清水の車道はきれいに除雪されていたが、大清水にはべったりと雪が残り、3年前の山行のときに車を置いた奥の駐車場は雪に閉ざされて使えない。手前の駐車場に車を置く。10台程の車があった。車外に出ると、路面はコチコチに凍っていて、上空には寒々とした灰色の雲が広がっている。今日は晴天の予報だが、山岳地帯の天気はやはり回復が遅いようだ。

大清水から先の林道は除雪されておらず、完全に雪に覆われているので、スキーにシールを貼って歩き始める。一ノ瀬までは板を担いで歩く覚悟をしていたので、これは助かる。

大清水
雪に覆われた沼田街道

久し振りのスキーでの歩きと雪景色を楽しみながら一ノ瀬に向かう。一時、青空がのぞいて陽も射したが、一ノ瀬に近づく頃には再び雲が広がって、小雪が舞う天気となった。積雪は一ノ瀬で1.5mくらいありそうだ。

振り返ると四郎岳が聳える
一ノ瀬休憩所

三平橋の袂から片品川の右岸斜面をトラバースし、すぐ上流で左から合流するセンノ沢に入る。沢をしばらく遡ると、ナメ滝が現われる。雪の付いた左側の斜面から楽に巻けたが、雪が少ない場合は越えるのに苦労するかも知れない。

三平橋
センノ沢のナメ滝

ナメ滝の上流は、右岸が疎らなブナ林の比較的緩い斜面になっていて、ここを斜上して東尾根を目指す。登り着いた尾根の上は、平坦でだだっ広い雪原となっている。これはスキーで歩くにはもってこいだ。

尾根への登りでトレースを振り返る
平坦で広い東尾根の上に出る

小雪がちらつく中、カラマツやダケカンバが疎らに生えた雪原を進むと、多少傾斜が出て来て、ブナが主体で針葉樹が混じる尾根となる。展望には乏しく、所々から物見山〜燕巣山の稜線が見えるくらいだが、雪景色の中の快適な登りが続く。

緩やかな尾根を登る
燕巣山方面の展望

徐々に傾斜が増し、尾根の幅が狭くなると、行く手に白い斜面を抱いた白尾山のピークが現われた。小雪も止み、青空を背景に聳える銀嶺。素晴らしい。しかし、頂上は意外と高く急だ。GPSでチェックすると、標高差あと150mくらい。ラッセルがきつくなって来たので、これは結構応えそう。

振り返って三平峠方面を望む
白尾山の頂上を仰ぐ

このあたりで新雪は30cmくらい積もっているようだ。新雪の下は締まった雪なのでそう深くは沈み込まないが、雪に潜ったスキートップを引き上げるのがえらい労力だ。頂上直下は新雪の急斜面となり、とうとうスキーを脱いでつぼ足で登る。最後は膝まで雪に埋もれて、ようやく頂上に登り着いた。標高差150mの登りに、1時間15分もかかった(^^;)

頂上直下の急登
振り返って燧ヶ岳を望む
白尾山頂上

白尾山の頂上は、疎らに針葉樹が生えた雪原が広がる。風を避けて木陰に入り、ジャケットを着込んで、まずは缶ビール。ラッセルで一汗かいたので、久し振りに頂上で飲むビールが格別にうまい。昼食にラーメンを作って食べているうちに風がパタッとおさまって、青空が広がる絶好の雪山日和となった。

頂上からの展望は、まず燧ヶ岳が一番近くて立派に見える。北から西にかけては、樹林の間から真っ白な平ヶ岳や至仏山が遠望される。今年の残雪期の尾瀬は、十分に雪がありそうだ。南の隣りには、荷鞍山が端正な三角形の山容を見せている。地形図で見ると大した距離ではないが、今日の雪ではかなり時間がかかりそう。登るのは次の機会だな。荷鞍山の左には錫ヶ岳、日光白根山から黒岩山にかけての山々が連なる。どちらを見ても雪山また雪山。いい景色だ。

白尾山頂上から燧ヶ岳
白尾山頂上から至仏山を遠望
白尾山頂上の山名標
白尾山頂上から荷鞍山
遠くに四郎岳と日光白根山を望む

のんびり休憩したのち、スキーからシールを外して下山にかかる。白尾山の東側頂上直下には、登りでも見えた無木立のちょっとイイ斜面があるのだが、上端から見るとかなりの急斜面に新雪がたっぷり積もっている。転倒したら止まらないかも。単独行なので慎重を期し、勿体ないがこの斜面を滑るのは止めて、素直に尾根上を滑る。

白尾山頂上から燧ヶ岳
白尾山東斜面から東尾根を俯瞰

新雪も既に重たくなっていてテレマークターンもままならないが、直滑降でもスピードが出ない雪なので、これはこれでOK。登り4時間半かかったところを、ちんたら下って55分で一ノ瀬に着く。林道も滑って下ることができて楽だ。大清水に到着すると、駐車場の路面の氷はすっかり消えて乾いていた。

東尾根末端付近を下る
大清水に帰り着く

今シーズン初めての充実したスキー登山の締めは、やはりで。帰途、鎌田の寄居山温泉センターに立ち寄り、雪山で冷えた身体を湯船に浸かって温めた。極楽、極楽♪