彦谷湯殿山
この週末は家でだらだらと過ごしていたが、天気が良いので、やはり少しは外で身体を動かそう、と思い直し、近場で手軽に山歩きができる彦谷湯殿山に出かけることにする。
湯殿山は、これまでに2回登ったことがある。初回は西コースから東コースへ周回、2回目は足利百名山のピークハントで高尾山、二十丁山に登った後、湯殿山まで足を延ばし、表参道を下った。今日は初回とは逆のルートで、東コースから西コースへ周回してみよう。
昼近くに車で出発。コンビニで昼食を調達した後、彦谷自治会館に向かう。彦谷地区では子供駅伝大会の真っ最中で、沿道にはたくさんの応援の人がいる。自治会館の前が中継所になっており、大勢の子供が出番を待っていて賑やかだ。大会スタッフに確認すると自治会館の駐車場は使用OKとのことで、車を置かせて貰う。ハイカーさんのものと思しき駐車が10数台と多い。今日は完全に出遅れているが、3時間程の軽い行程だから問題ない。
小腹が空いたのでシュークリームを一個食べた後、出発。自治会館の前で懸命に走る子供ランナーを見送って、新東登山口(登山道の付け替えにより、以前の東登山口と位置が変わった)に向かう。通りがかった民家の庭先に居た女性から、今日は天気がいいですね、と声を掛けられて、挨拶を返す。民家が尽き、「林道小彦谷線」の古い看板を過ぎて、刈り入れが終わった田圃が広がる小さな谷地に入る。晩秋の里山の雰囲気が好ましい。谷地の奥には溜池があり、その脇を通ると新東登山口の道標が立つ。
登山口から作業道跡に入り、小さな谷に沿って登る。谷の途中で左に切り返し、山腹を削ったトラバース道となる。薄らと黄葉した枯れ色の雑木林に入ると尾根の上に出て、以前の東登山口からの登山道(廃道)と合流する。ここには小さなベンチが3台ある。
ここから、スズタケがぽさぽさと生えた雑木林の尾根道となる。ゆるゆると登っていくと、途中、急坂も交えて、天池山の平坦な頂上に着く。前回の登頂時にはなかった「足利百名山第22座天池山」の山名標識をゲット。すぐ先の天池(猪の楽園)は大きなヌタ場で、中央に泥水が僅かに溜まり、掘り返された跡がある。前回は、天池は密な笹藪に覆われて、登山道からは良く見えなかった。各地でスズタケが減少しているという話を聞くが、ここでも減少しているようだ。
天池山の先で登山道は右に折れ、平坦な尾根を辿る。右側の樹林が途切れた箇所があり、梢越しに関東平野が見える。緩く左に折れ、なだらかな尾根を小さく上下して進む。途中で、二十丁山からの尾根を右から合わせる。どこが合流地点かは定かでないが、何となく覚えのある尾根道となる。小ピークを越え、木の間に湯殿山を眺めながら急坂を下る。
下り着いた鞍部で左に表登山口(旧高松館)への道を分け、急なプラ階段を登り返す。途中で粟谷林道への山道(送電線巡視路)を分ける。プラ階段を登り切ると「新栃木線138号」の黄色標柱があり、巨大な送電鉄塔が建つ。鉄塔の基部から見上げると、湯殿山の頂上付近が見える。ここから急登となり、正面に岩場が現れる。右に巻き道もある。
赤ペンキのマーキングを辿って、岩場に取り付く。手がかりと足場が豊富、傾斜も適当で、初心者でも楽しめる。意外と長くて面白い。途中に踊り場的な平地があり、振り返ると巨大な送電鉄塔と紅葉した二十丁山、その向こうに関東平野の眺めが良い。
もう一段、岩稜を登って石祠と標高351m三角点の標石のある平地に着き、巻き道と合流する。頂上はもう少し先。赤松と岩を交えた尾根を登ると、出羽三山信仰の祠が次々に現れる。羽黒山神社、粟谷湯殿山神社、月山神社と石祠が続くが、最後の月山は撮り忘れた。
人声が聞こえて来て、程なく1組のハイカーさんが憩う湯殿山の頂上に着く。頂上は段々の平地となり、数台のベンチもあって、大人数でも休憩に適する。眺めも良く、南に関東平野を一望する。最高点に湯殿山神社があり、石垣の上に石鳥居と3基の石祠がある。
頂上の一角で「見晴岩 眺望100% ←1分」と書いた新し目の標識を見つける。これは前回はなかった。行ってみよう。南面のザレた踏み跡を急降下すると、矢尻のように尖った大岩が現れる。これが見晴岩らしい。見栄えする大岩だが、関東平野の眺望は頂上と同レベルかな。好奇心は満たされたので良し。頂上に戻る。
頂上のベンチに腰を下ろし、さて、コンビニで買ったカップ麺のとんこつラーメンで昼食にしよう、と思ったら、車に置き忘れて来たことが発覚😅。まあ、短い行程だし、シュークリームを食べているから、問題ない。サクッと下山しよう。
西コースに入り、平坦な頂上稜線を辿る。右側は樹林に覆われているが、結構、切れ落ちた急斜面となっている。すぐに「つつじ峰↔︎」の標識のある小ピークを過ぎ、小さな登降を交えつつ尾根道を下る。
途中に開けた岩場があり、北に石尊山〜深高山を間近に眺めることができる。石尊山の南面は採石場跡で、大きく階段状に削られた岩肌が目立つが、頂上直下にも天然物らしきスラブがある。このスラブは、今まで気が付かなかったなあ。ちょっと興味を惹かれる。
ガレた岩尾根を下り、ちょっと登り返して小ピークに着くと、前方西面の眺めが開ける。「槍見台(中山)」の手製の標識があり、「運が良ければ槍・穂高が見えますよ!双眼鏡で見てみてね!」と書いてある。浅間山は薄らと見えるが槍穂は霞んで、今日は残念ながら見ること能わず。
槍見台から、木の間に見える小俣川沿いの集落を見おろしつつグングン急降下する。右側には小俣川を隔てて小俣城山が眺められ、赤城山も遠望できる。
ザレた急坂の途中に「←石尊山登山口 叶花集會所」の道標があり、右に微かな踏み跡が分かれて下っている。こんな道があるとは知らなかった。前回、ここを登ったときは道標に気づいていない。この道にもちょっと興味を惹かれる。
眺めの良い岩尾根を下ると、岩場の段差がある。ここは前回、通った記憶がある。巻き道もあるが、使う程のこともなく、簡単に下れる。
ザレて滑り易い急坂が終わり、ようやく平坦な尾根となって、のんびり歩く。左に中山駐車場へ下る道を分けると、プラ階段の登りとなる。プラ階段の途中に「足利百名山第108座鉄塔山」の標識があり、右に登山道を分ける。
プラ階段を登ると、すぐに巨大な送電鉄塔の建つ頂に着く。「鉄塔山」とは味も素っ気もないネーミングだが、頂上からの眺めはまあまあ。振り返ると、白雲を浮かべた青空を背景にして湯殿山の頂上稜線が眺められ、晩秋らしい良い景色だ。
登山道に入ってプラ階段を下り、再びなだらかな尾根道となる。あとはずっと平坦。登山道の両側の下草や低木は広く刈り払いされていて、整備の手が入っているようだ。里山らしい気持ち良い道が続く。
次の送電鉄塔の基部を潜り、伐採された尾根を進むと、右斜面一面に広がる太陽光発電所が現れる。前回(2007年)歩いた時にはなかったもので、歳月の移り変わりを感じる。程なく、経持坂(現地の標識では慶路坂)の標識のある峠に着く。左に下るとすぐに彦谷地区の集落に出て、彦谷自治会館まではほんの僅かの距離だ。3時間弱のごく軽い山歩きだが、岩場もあって低山にしては険しく、いくつか新しい発見もあって、存外に楽しめた。
自治会館の駐車は残り数台になっていて、帰り支度中のハイカーさんも居られる。私も続いて帰ろうとしたら、近所のおじいさんに呼び止められて、本日採れたての葉っぱ付きの大根を1本頂く。
帰りは足を延ばして「オレンジショップいいだ」で大七1.8ℓとチーズケーキ3個を買い、帰宅。貰った大根は、葉っぱはベーコンと一緒に野菜炒めにし、本体はおでんの具にして美味しく頂きました。