高尾山〜二十丁山〜彦谷湯殿山
2月末から続いた缶詰状態の仕事は3月頭で終わったが、その疲労が残っていて、この週末はだれ気味。土曜は雑用を片付けて終わる。日曜はすっかり寝坊。起きて表を見てみれば、風が強くて寒いが天気は晴れ。これはどこかで山歩きしないと休日がもったいないし、ますます体が鈍る。こんなときは手軽な足利百名山(以下、足百)巡りに出かけよう。という訳で、未踏の足百2座と繋いで、彦谷(ひこや)湯殿山を再訪してきました。
桐生を11時過ぎに車で出発。最寄りのコンビニで食べ物を買ったのち、彦谷湯殿山の南麓に向かい、彦谷自治会館のグラウンドの隅に車を置く。前回はここを起点として、西登山口から東登山口へ周回した(山行記録)。ここにある「彦谷湯殿山ハイキングコース」の案内看板は健在。コースを確認すると、東登山口の場所が(太陽光発電所が建設されたため)変更されて、新東登山口に付け替わっている。
彦谷自治会館から東に向かう。前回から15年が経ち、周囲には新しい住宅がポツポツ増え、丘の中腹には大きなケアハウスが建っていて、時の流れを感じる。小彦谷橋を渡った所の十字路に「湯殿山新東登山口→」の新しい道標があるが、今日はそちらに向かわずに十字路を右折。まず、高尾山に向かう。坂西中学校の前を過ぎ、左に熊野神社への参道を分ける。参道入口には石鳥居が建ち、坂道の奥に熊野神社の社殿が見える。
その先、粟谷町入口バス停を過ぎた所の広い三叉路が高尾山の参道入口で、民家の間に「別格高尾山第一分社」の石柱や石碑、石灯籠がある。入口は立派だが、参道に入ると酷い笹藪に覆われて、歩かれている様子が全くない。藪が蔓延る夏には歩きたくない所だ。
僅かに痕跡が残る参道石段を辿って斜面を登ると、岩場に突き当たる。岩場には屋根が転げ落ちた石祠と「奉納金毘羅大…」と刻まれた石碑がある。岩場を左から回り込んで登ると、足百№60の高尾山の頂上に着く。
頂上は小広い平地で、コンクリ製の社殿、社殿の左に1基、右に3基の石祠が南麓を向いて建つ。周囲は赤松や雑木に囲まれているが、南の太田金山や八王子丘陵東部の景色が良い。右の3基の石祠には、それぞれ「大天狗」「小天狗」の銘があるから、これは石尊信仰の祠のようだ。左の石祠には額に「髙尾山」と刻まれている。
社殿の左から奥の尾根に通じる山道に入ると、すぐに左へ熊野神社への道を分ける。こちら側の道は良く踏まれており、そのため昔の参道を歩く人がいなくなったようだ。尾根上にはさらに山道が通じる。良く刈り払いされてマーキングのテープもあり、ハイキングコースレベルの歩き易い道になっている。
なだらかな尾根を絡みつつ、ゆるゆると登ると足百№41の二十丁山の頂上に着く。三角点標石がある他は樹林に囲まれて展望は全くなく、頂らしくない地味〜な頂だ。正午を過ぎているので、コンビニで買ったゆで卵2個とシュガーラスクを食べる。これで腹が膨れたから、カップ麺を食べるのは止めておく。
二十丁山までは、足百巡りのハイカーさんが多いのか、大変良い道が通じていた。この先は道型がぷっつり途絶え、樹林中の微かな踏み跡を辿る。尾根は幅広くなだらかで、藪はほとんどないから、道型がなくても問題なく歩ける。また、古いテープ類も見かける。
やがて左斜面が伐採された尾根となり、谷間を通る林道や、その向こうに東コースが通じる尾根、振り返って金山の展望が得られる。陽当たりが良くなった尾根上は笹に覆われ、少々藪っぽいが藪漕ぎと言う程ではない。行く手には送電鉄塔を肩に乗せた湯殿山が見えてくる。白い雲を浮かべた青空を背景に、冬枯れのもこもこした雑木林に覆われた稜線を眺めながら、のんびりした気分で歩く。
東コースの尾根を左に見上げながら、しばらく並走する。やがて尾根に近づき、斜面を斜め右上に登ると、尾根上に通じる東コースに合流する。
ここからは良く歩かれているハイキングコースだ。木の間から送電鉄塔と湯殿山を眺めつつ一旦下ると粟谷分岐だ。「粟谷林道 深高山方面」の道標があり、右に下る送電線巡視路を分ける。
尾根道を直進し、送電線巡視路のプラ階段を登ると、巨大な送電鉄塔(新栃木線138号)に着く。ここから急坂となり、左に巻き道を分けると、岩場の登りに差し掛かる。易しい岩場だが、意外と長い。前回はここを下ったが、あまり記憶にない😅。登りに取った方が面白さが感じられるな。
巻き道を合わせ、岩場を登り切って351m三角点に着く。小広い平地に三角点標石とR.K氏の標高標識、石祠がある。振り返ると送電鉄塔の上部が目の高さにあり、東コースの尾根を俯瞰する。
ここからは傾斜が緩んだ尾根となり、露岩が多く、いくつもの石祠がある。これらの石祠は出羽三山を勧請したものだそうで、どれがどれかはわからないが、月山神社や羽黒山神社が祀られているとのこと(湯殿山神社は名の通り頂上に祀られる)。展望が開け、石尊山〜深高山、行道山〜大岩山〜障子岩などの山並みが眺められる。
程なく足百№10の湯殿山の頂上に登り着く。頂上は段々の平地となり、ベンチが置かれている。最高点の石垣の上に石鳥居と石祠が祀られ、信仰の山らしい雰囲気がある。南面に関東平野の展望が開け、休憩適地だ。やっぱり腹が減ってきたので、ベンチに腰掛け、ガソリンコンロでシーフードヌードル用にお湯を沸かす。うーん、なんかコントロールバルブからガソリンが漏れとるな(後日、コントロールバルブとフューエルチューブのOリングを交換。漏れなくなった)。
遅い昼食の後、下山はまだ歩いたことのない表登山口への道(表参道)を降りる。赤松が生えてザレた尾根を、ほぼ直線的に下る。樹林が疎なので、終始見晴らしが良い。
岩尾根を絡んで下り、脇を見ると里山らしからぬ険しい岩壁があったりする(良く見ると残置ピトンとカラビナもある)。ちょっと急な岩場を下ると、お顔が欠けた不動尊像がおわす。ワンカップ酒がお供えされていて、やはり表参道、参拝する人がいるようだ。
やがて傾斜が緩むと岩尾根は終わり、樹林中の土の道を淡々と下って、谷間に位置する表登山口に着く。登山口付近には5台分程の駐車スペースがある。
登山口には湯殿山神社里宮があり、立派な石灯籠や、湯殿山神社、羽黒山神社、月山神社の新設を記念する石碑群がある。石碑には1980年代の銘が刻まれれいる。すぐ隣には、これも新し目の神楽殿がある。「彦谷神楽」の説明板によると、地元で100年以上継承されている民族芸能で、湯殿山神社には春の例大祭で奉納されているとのことである。
表登山口には一軒家があり、これが旧高松館(かつての鉱泉宿)のようだ。人里からちょっと離れた山間だが、現在も人が住んでいる様子。
あとは彦谷川沿いに車道を下る。途中に二段の溜池があり、湯殿山頂上から水面が見えていたことを思い出して、立ち寄ってみる。案の定、溜池を囲む堤の上から水面越しに湯殿山を望むことができ、これはなかなか良い風景だ。堤には大きな桜の木が立ち並び、花の時期も見てみたいかも。溜池の堤から下流に降りて集落に入る。あちこちに咲いている梅の花と香りを愛でつつ、駐車地の彦谷自治会館に戻った。