京ヶ倉

天気:
メンバー:T
行程:総合グラウンド前駐車場 8:05 …京ヶ倉登山口 8:40 …剣刷山 9:35 …京ヶ倉(990m) 10:05 …大城 11:25〜11:35 …はぎの尾峠 10:55 …休憩舎 11:10〜11:30 …眠峠 11:45〜12:00 …下生坂バス停 13:00 …総合グラウンド前駐車場 13:35
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

長野県東筑摩郡生坂(いくさか)村にある京ヶ倉は、標高1000mに満たない低山ながらも険しい稜線を連ね、眼下を蛇行して流れる犀川と北アの展望が素晴らしい、と評判の山だ。ヒカゲツツジの群生地があることでも知られているので、咲いている時に訪れたいと思っていた。GWの行き先をネットで探していたところ、京ヶ倉でヒカゲツツジが咲いているとの情報に接する。天気も良さそうなので、GWの2日目に日帰りで出かけてきました。

桐生を早朝に車で出発。北関東道、上信越道を経て麻績ICで長野道を降り、R403で明科に抜け、R19で犀川沿いに下流に向かう。今日は快晴。青空の下、周囲の低山の新緑が日差しに照り映えて鮮やかだ。生坂村の中心部に入り、総合グラウンド前の駐車場に車を置く。だだっ広い駐車場には他の車はわずかに1台。今日は、生坂村HP「大城・京ケ倉」のお勧めコースにしたがい、ここから京ヶ倉、大城(おおじょう)を縦走し、眠(ねむり)峠から林道を下って周回し、ここに戻ってくる予定だ。


生坂村総合グラウンド前駐車場


生坂小学校への通学路に入る

グラウンド前を東に進んで車道を渡り、「←生坂小学校」の標識にしたがって通学路の坂道を上る。「京ヶ倉登山口」への道標が要所にあるから進路を迷う心配はない。坂を上がって、犀川が三方を囲繞する丘の上に出る。丘の上は広く平坦で万平(まんだいら)と呼ばれ、畑地が広がり、小学校の他、集落が点在する。北アの雪が残る稜線が見え始め、行く手には京ヶ倉〜大城の稜線も眺められる。


生坂小学校


京ヶ倉(中央)を望む

道標にしたがって、万平松並木を通り抜ける。説明板によると、戦国時代、万平には生坂地方を領有していた丸山氏・日岐氏の居館や馬場があったとのこと。また、松並木は元禄四(1691)年に防風林・風致林を兼ねて250本が植えられたもので、以前は松の古木が5本の残っていたとのこと。現在ではざっと見た感じ松は見当たらず、桜並木になっている。


万平松並木


双体道祖神と稲藁細工の酒樽

松並木を過ぎると防獣フェンスがあり、ゲートを開閉して通過する。ゲートの手前にも登山者用の駐車場があり、車が1台。案内看板があり、登山口の駐車スペースが満車の場合にはここに駐車するように、と書かれている。


防獣フェンスのゲート


ズミ

ゲートから車道を5分程辿ると京ヶ倉登山口に着く。路側の駐車スペースは既にほぼ満杯で、10台以上の駐車がある。ハイカーさんの大半はここまで車で来ているようで、どうりでグラウンド前の駐車場はガラガラだった訳だ。これから出発するハイカーさんも数組居られる。登山口の案内標識は駐車の背後に隠れているので、見落とさないように。


京ヶ倉登山口の駐車場


京ヶ倉登山口

ハイカーさん達と前後して登山道に入る。新緑の樹林に覆われた尾根を絡んで、平坦な山道を辿る。右下には木立を透かして犀川の生坂ダムの湖面が見える。行く手には京ヶ倉から剣刷(けんすり)山にかけての山並みが、黒々として急峻な斜面を巡らせ聳え立つ。


尾根を絡んで登る


右手に犀川の生坂ダム湖を望む

やがて登山道は急斜面に取り付き、数箇所の梯子を交えながら、小さくジグザグを切って登って行く。樹林に覆われて展望はあまりないが、ところどころで振り返ると、蛇行する犀川とその向こうに北アが眺められる。途中、踊り場的な小ピークに「おおこば見晴らし台」の標識があり、ここも眼下に犀川の生坂ダムを俯瞰する眺めが素晴らしい。


急な尾根道を登る


険しい山道が続く


おおこば見晴らし台


見晴らし台からの展望

見晴らし台を過ぎると登山道は山腹を左にトラバースして岩壁を回り込み、稜線を目指して急登する。この辺りにヒカゲツツジの群生地がある。花期はもう終盤に差し掛かっているが、淡いクリーム色の花があちこちに咲いている。なんとか時期に間に合って良かった。花の写真を撮りながらゆっくり登る。


山腹をトラバース


ヒカゲツツジの群生地


崩落注意


ヒカゲツツジ(1)


ヒカゲツツジ(2)


京ヶ倉を望む

傾斜が緩むとヒカゲツツジの群生地は終わり。ほとんど目の高さに京ヶ倉の山頂を望み、程なく稜線に登り着く。右にちょっと登って剣刷山の頂上に立ち寄るが、大岩と石標があるだけで、樹林に覆われて展望は全くない。頂上の先の稜線上にも山道が続くが、長野の里山あるあるで「茸山立入厳禁」の古い看板が転がっている(後日、生坂村HPを読み直すと、剣刷山の頂上は稜線をさらに150m程南下した所の950m圏峰だったようだ)


稜線に登り着く


剣刷山(と思った)頂上

稜線を北上して京ヶ倉に向かう。アカマツに覆われた稜線をゆるゆる下ると大岩が現れ、「←巻き道 馬の背→」の道標がある。ここはもちろん馬の背へ。


平坦な稜線を辿る


巻き道と馬の背の分岐

ゆるい登りに転じ、若い松の生えた砂岩の岩稜となって左右の眺めが開ける。右(東)側には6年前に登った岩殿山の山稜が眺められる。岩殿山との間には麻績(おみ)川支流野原沢の直線的な谷(入山渓谷)が刻み込まれ、秘境的な景観で興味を惹かれる。


岩殿山(右)を望む


馬の背

左(西)側には大きく蛇行する犀川と流域の山村を俯瞰し、その向こうに北アを望む。これは素晴らしいパノラマだ。北アの高峰を左から右へ指呼していくと、大滝山、常念岳、大天井岳、その手前に黒々とした台形の山容の有明山、さらに燕岳、餓鬼岳と連なる。北アの展望地の中でも、ここは前景の大河との組み合わせが絶妙だ。一見の価値あり。


馬の背から北アを遠望


馬の背から京ヶ倉を仰ぐ

馬の背の岩稜はある程度幅があるし、そう危なそうには感じないが、両側とも急傾斜のスラブだから滑落しないよう要注意(滑落死亡事故も起きている)。京ヶ倉へは松林に覆われた尾根の急登となる。梯子やロープを伝って岩場の上に出ると再び展望が開け、振り返ると剣刷山やその右の登って来た尾根が眺められる。あの急な所をよく登って来たなあ。


馬の背から剣刷山を振り返る


岩場を登る


岩場から剣刷山を振り返る


蛇行する犀川を俯瞰

京ヶ倉の頂上はここからすぐだ。頂上は砂岩のザレに覆われて小広く、御影石の山名標識がある。松の木に囲まれて360度までの展望はなく、犀川と北アの眺めならば馬の背の方が優れている。北には峰続きでこれから訪ねる大城が、台形のピークを突き出しているのが眺められ、見事。頂上は日当たりが良すぎて暑く、木陰は多くのハイカーさんが休憩中で、のんびり休める場所がない。まだ昼にも早いので、先に進もう。


京ヶ倉頂上


京ヶ倉から大城を望む

京ヶ倉から樹林中の細尾根を急降下。途中でイワカガミを見かける。傾斜が緩むと松林に覆われた岩稜となり、岩殿山や聖山が眺められる。やがて、天狗岩という岩塔が現れる。これを左から巻き、次の双子岩も左側を通過。急坂を登って大城の頂上に着く。


イワカガミ


聖山を望む


天狗岩


双子岩

大城の頂上は松林に囲まれて、展望は岩殿山の方面に限られる。説明板によると、戦国時代に城が置かれ、周辺には井戸跡などがあったそうである。岩殿山を眺めながら水を飲んで少し休憩。女性グループが到着したのを潮に縦走を再開する。


大城頂上


大城跡

頂上のすぐ先の樹林中の小平地に、二の廓、三の廓の標識がある。標識によると、人の手が加わったものかどうかは確かでないらしい。松林に覆われたなだらかな下りの尾根道が続く。途中、犀川と北アの展望所が二箇所ある。さらに丸みを帯びた大岩が現れ、「物見岩」の標識がある。ここも戦国時代の見張り場だったそうだ。物見岩のすぐ先に919m三角点標石がある。特に山名はないようで、標識のタイトルは単に「三角点」となっている。


物見岩


三角点

幅広くなだらかな尾根を緩く下ると「はぎの尾峠」で、左に下生坂への道を分ける。大城から先はハイカーさんに出会うこともなく、静かな里山歩きとなる。峠からなだらかな稜線を絡んで下ると、樹林中の浅い凹地に休憩舎が建つ。これは好都合。ここで昼食とし、お湯を沸かしてカップ麺のみそラーメンを食べる。少し離れた所には簡易なWCもある。


はぎの尾峠


休憩舎

休憩舎からは幅広い山道となり、尾根から外れて左山腹を斜めに下る。途中で右に山道が分岐し、眠峠登り口の道標がある。ここは右の道へ。明瞭な道型を登るが、倒木が道を塞いだりして、歩く人は少ない模様。程なく、林道雲根線の終点に登り着く。2,3台であれば駐車可能。舗装された林道を少し下った鞍部に眠峠の案内標識がある。説明文によると、明治まで犀川沿いの山清路は通れなかったので、上生坂や下生坂の人々は眠峠を越えて込地に下り、大岡、麻績方面へ行った。眠とは多くの曲がり坂の意味である、とのこと。


左山腹をトラバースして下る


眠峠登り口


林道雲根線終点(振り返って撮影)


眠峠

眠峠のすぐ先に「大菅池方面入口」の道標がある。地形図には「大須沼池」と記載されている池に至る道があるようだ。道があるなら、これは立ち寄って行かなかれば。右(東)斜面の雑木林にジグザグにつけられた山道を下る。道型は幅広く明瞭で、古の峠道らしい風情があるが、落ち葉に埋もれ、人通りが絶えて久しい様子。


大須が池下り口


峠道の道型が残る

やがて下方に木立を透かして、深い窪地の底にある水面が見えてくる。「大須が池」の標識があり、次の様に記されている。曰く「標高730m、外周130m、土砂の流出により谷の一部が埋まって出来たくぼ地の池。昔は水泳もできたと云うが、現在は湿原かして次第に縮小されている。眠峠下にあるので、大蛇伝説や赤牛伝説がある。」

峠道は池の堤を半周したのち、さらに下って明瞭な道型が続いているが、藪っぽい。池の水際まで下ってみる。水は少なく、茶色に染まって水溜りという感じ。綺麗な池ではなく、泳げる気はしない。カエルの鳴き声だけが池を取り囲む山にこだまして、ひと気のなさが染み入って行く。写真を撮ったのち、眠峠まで登って戻る。


大須が池(1)


大須が池(2)

あとは車道歩きだ。蛇行してちょっと登り、NTTドコモの電波塔を過ぎて北に向かう。展望はあまりないが、𣘹原山を間近に仰げる箇所があり、頂上のレーダードームが見える。こちらから見るとなかなか立派な山容だ。

林道はUターンして、西側斜面を南へトラバースして下る。途中に眠峠への登り口があり、山道が急斜面を登っている。往時、犀川の上流と下流を往来するには、この急斜面を登って眠峠を越えなければならなかったのだから、大変である


𣘹原山を仰ぐ


眠峠登り口

さらに林道を下って山麓に近づくと、下生坂の集落や畑地が見えてくる。日差しを遮る樹林から出ると暑い🥵。林道始点のT字路を左に進むと虚空蔵堂の裏手を通り、眠峠へのルートとはぎの尾峠を経て大城に登るルートが分岐するT字路に着く。ここには道標あり。虚空蔵堂に戻ってお参りしたのち、参道石段を下ったら、最後のところが農地開発で参道が途切れていた。


下生坂へ下る


林道雲根線始点


虚空蔵堂


左:眠峠、右:大城

R19に下り着いた所に下生坂バス停があるが、休日のバスの便はない。R19をテクテク歩き、生坂トンネル入口で右折。大河の風格を見せる犀川に沿って歩く。振り返れば、大城と京ヶ倉が険しいスカイラインを描く。この川と山を組み合わせた眺めは素晴らしい。


京ヶ倉(右)を仰ぐ


生坂トンネル入口を右へ


大城と京ヶ倉を振り返る


駐車場に帰着

最後は暑さでバテバテになって、駐車地に帰着。すぐ近くのやまびこ荘に移動して、日帰り入浴する。GWだがお客さんはそう多くなくて、ゆったりのんびり湯に浸かって汗を流す。帰りは差切峡を抜け、聖高原駅近くのA-COOPに立ち寄って特別純米「大雪渓」等のお土産に買ったのち、麻績ICから長野道に乗って桐生への帰途についた。