七ヶ岳

天気:
メンバー:T
行程:下岳登山口 7:40 …黒森沢登山口 8:10 …護摩滝 9:30 …七ヶ岳(1636m) 10:35〜11:10 …下岳(1510m) 12:35 …下岳登山口 13:45
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

昨日は荒海山に登ったのち、会津山村道場・うさぎの森オートキャンプ場でテント泊した。夜は良く眠れて、朝6時前に目を覚ます。オートキャンプ場の朝は早い、ということは全くなくて😅、他のテントは皆、まだ寝静まっている。音を立てないよう、手早くパンとカップスープの朝食をとり、テントを撤収して車に積み込む。隣のソロキャンプの方が起き出してきたので挨拶。朝早いですね、と声を掛けられて、行く所があるので、と返す。

7時過ぎにキャンプ場を車で出発。山麓を北に向かい、富貴沢沿いの道に入る。わらび園の小屋の先で右に林道古桧峠線を分け、左の林道富貴沢線に入る。あとは一本道。わらび園の管理棟の脇を通り、広大なススキ野原を走り抜けて、林道七ヶ岳線に合流する。

合流地点のT字路が下岳登山口で、既に駐車が2台あり、老夫婦のハイカーさん2組が出発の身支度中。私の車が林道富貴沢線から出て来たのに驚いて、良い道で通れるんですか、と尋ねられる。少し草が被さるけれど、全線舗装道で良い道ですよ、と教えて差し上げる。未舗装の林道七ヶ岳線で遠回りして来たようで、帰りは私が来た道にする、とのこと。ちなみに、私は事前に登山口ナビで調べて、今回の経路を知ったのであった。


下岳登山口に駐車


下岳登山口

ハイカーさん2組は下岳経由で七ヶ岳を往復するようだ。私は黒森沢登山口に向かって七ヶ岳林道を歩く。なだらかな山裾を大きく蛇行しながら横切って行く。昨日に続いて今日も晴れているが、上空には薄雲が広がり始めている。周囲の山林の紅葉は終盤で、晩秋の高原情緒がある。伐採地から北側の眺めが開け、駒止湿原から舟鼻山にかけての真っ平なスカイラインが長々と横たわっているのが見える。平ら過ぎる山容で、逆に興味が湧く。


七ヶ岳林道から北側の眺め


七ヶ岳林道を黒森沢へ向かう

刈野畑橋(かのはたはし)を渡ってすぐの所が黒森沢登山口だ。道標と広い駐車場があり、車が1台。先行者が居られるようだ。登山口から林道に入り、緩斜面の樹林と下生えの笹原の間をゆるゆると登る。


黒森沢登山口


黒森沢登山口の駐車場


林道を緩く登る


山道に入る

林道を20分ちょっと歩いたところで、林道のカーブから分岐して山道に入る。分岐点には「←黒森沢登山道」「←分岐点 ゴマ滝 50分」の道標がある。山道を辿ると黒森沢のゆったりと広い谷間に入っていき、だんだんと傾斜が増す。左岸の山腹をトラバースし、水量の少ない黒森沢を跨ぎ越して右岸に渡る。谷の上流は直線的に開け、青空が広がっていれば「気分はサイコー」と言いたくなりそうな景観だが、今日は上空がすっかり薄雲に覆われ、日差しが遮られて寒々しい雰囲気である。


左岸の山腹をトラバース


黒森沢の右岸へ渡る

登山道は右岸に移り、急な山腹を高く巻いて登る。ここまでの歩き易い登山道とは変わって、道型は細く、滑り易い急坂が連続し、ロープが張られた箇所もある。まるで沢登りの大高巻きの道だな。大きく巻いたのち、ロープが張られた急斜面を下り始めると護摩滝が見えて来る。これはかなり落差のある滝だ。


右岸の高巻き道


護摩滝へ急降下

護摩滝の下に降り立って、滝を見上げる。傾斜がきつい階段状の滝で、幾筋かに分かれた水が細々と流れ落ちる。滝壺はない。見えている落ち口は高く、さらにその上も滝になっているようだ。滝にはロープが下がっている。えー、これを登るの、完全に沢登りじゃん😱、と一瞬焦ったが、左岸にちゃんと高巻き道があるので、そちらに進む。巻き道も急斜面にロープが張られているような難路で、気が抜けない。


護摩滝


左岸を高巻く

巻き終わると護摩滝の中段に降り立つ。ここから滝を登る。やっぱり、沢登りになった😅。傾斜は緩んでナメ滝となり、張り流されたロープを手繰って直登する。水流の左右にロープが下がっているが、最初は右側が登り易く、一段上がって直ぐに左側に渡り、あとは左側を延々と登る。ナメの濡れた岩は、特に登山靴では滑り易くて、注意を要する。振り返るとナメ滝を見おろして高度感がある。スリップして滑落したら、徒では済まない。


護摩滝中段に出る


護摩滝上段のナメ滝を直登


ナメ滝を見おろす


護摩滝上流の緩やかなナメ

傾斜が緩んでロープが終わり、ほとんど平坦なナメとなる。周囲は笹原の緩斜面で、源流部の雰囲気。沢沿いの笹は刈り払いされて、整備の手が入っている。開放的で気分の良いルートだが、ここも足元が滑り易いので、気を付けて歩く。徐々に水量が細って二股に着き、道標にしたがって左の溝状の沢に入る。緩く登って行くと直ぐに水流は消え、樹林中の笹原を切り開いた登山道となる。


笹原の中のナメを遡行


道標にしたがって二股を左へ


水流が消えた溝を登る


黒森沢を振り返る

程なく七ヶ岳頂上の西の稜線に登り着く。眼前には南面の展望が開け、昨日登った荒海山も見える。その左奥の高峰群は高原山かな。手前左にあって目を惹く小さな鋭峰は門倉山というらしい。ここから左へ、なだらかな低木帯の稜線をひと登りして、七ヶ岳(一番岳)の山頂に着く。


稜線に登り着くと展望が開ける


稜線を左へ登る


七ヶ岳頂上直下の登り


七ヶ岳頂上

頂上は小広く平坦で、ほぼ360度の展望が得られる。特に北東に延びる稜線は七ヶ岳の山名の由来となる大小のピークを連ね、右斜面は懸崖が続き、なかなか素晴らしい山岳景観を示す。稜線の先のもっこりしたピークは1558m標高点で、下岳はその向こうのようだ。復路はあの稜線を下岳まで縦走する。開けた稜線で眺めも良さそうだし、楽しみだなあ。

頂上の東には、これも目を惹く小さな鋭峰がある。地図を見ると1374m標高点のようだ。山名はないのかな。下岳への稜線が眺められるポジションに陣取って昼食休憩とし、カップ麺を食べる。🍜を啜りながら縦走路を眺めていると、こちらに向かうハイカーさんの人影がある。程なく、頂上に到着。下岳登山口でお会いした2組のうちの1組であった。お疲れ様です、と挨拶を交わす。


七ヶ岳から下岳への稜線を望む


1374m標高点の鋭峰と男鹿山塊

昼食を終えて下山にかかり、お楽しみの縦走路に入る。笹原を綺麗に刈り払った登山道をゆるゆると下って行く。展望も開け、右側の崖下を覗き込んで高度感を楽しんだりする。これは気持ちの良い道だなあ。晴れていればなお良かったが、眺めがあるので大満足だ。

途中でもう1組のハイカーさんとすれ違う。話を伺うと、黒森沢コースは滝があるので避けて、下岳経由の往復にしたそうだ。確かに、護摩滝の登りはハイキングの範疇を少々越えているかも知れん。


1588m峰(右奥)へ向かう


1588m峰の左に下岳が覗く

縦走路は小さく上下しながら緩く下る。1588m標高点峰の手前に小ギャップがあり、急坂を下ったのち、固定ロープが張られた急坂を登り返す。と言っても、特に危険はない。再び小さな上下のある稜線歩きとなり、1588m標高点の頂上はどこか気付かずに通過。振り返ると既に七ヶ岳(一番岳)の頂上からだいぶ遠ざかっている。縦走路を進むと、下岳が見えてくる。下岳まで、まだまだ縦走が楽しめそうだ。


1588m峰への登り


固定ロープが張られた急坂


七ヶ岳を振り返る


右奥に下岳を望む

縦走路を進むに連れて、高度も少しずつ下り、樹林や笹の丈が高くなってくる。しかし、眺めはまだまだ開けて楽しめる。小さなアップダウンを繰り返し、最後に短い急坂を登ると下岳の山頂に着く。ここで一休み。狭いピークに露岩が点在し、岩の上に三角点標石が鎮座している。また、「下嶽頂上」の文字が掠れた古い山名標識が風雪に耐えて立っている。振り返ると、七ヶ岳の頂上がもう遥か彼方に小さくなって見える。


下岳への縦走路


1220m標高点の鋭峰


下岳頂上


下岳から七ヶ岳(一番岳)を振り返る

下岳から先は樹林に覆われた尾根道となる。20分程進んだところの小ピークに「下岳頂上1,509m」の新しい山名標があるが、地理院地図の下岳とは位置が違っている🤔


下岳からさらに稜線を辿る


「下岳山頂」の標識あり

さらに尾根道を辿ると、右側の樹林が切れて、中腹の七ヶ岳林道を見おろす。「下岳・古内コース分岐点」の道標のある地点に到着。尾根上を直進する古内コースを分け、左折して下岳コースを下る。


なだらかな稜線を辿る


下岳・古内コース分岐点

樹林と下生えの笹原に覆われた幅広い尾根を一直線に下る。ところどころにロープが張られた坂があるが、それに頼るほどの急坂ではない。枯れ葉を踏み分けてぐんぐん下り、傾斜が緩むと車を置いた下岳登山口に着く。駐車は1台増えていた。往路の沢と滝、復路の縦走路からの展望と変化に富んで、とても楽しい山行であった。


幅広い尾根を下る


下岳登山口に帰着

帰りはR352沿いで会津高原尾瀬口駅の近くにある「夢の湯」に日帰り入浴で立ち寄る(500円)。浴室は小さいが他に客がいなくて貸切。源泉かけ流しを謳っており、仄かに硫黄臭のするお湯にゆったり浸かって温まる。これは最高ですわ。

それから、「道の駅たじま」にも立ち寄る。会津山村道場で貰ったクーポン券(ソフトクリーム100円引き)を使って山ぶどうソフトクリームを食べ、まだ小腹が空いているので地鶏の唐揚げも賞味。帰りの道路は、日光の神橋の手前で渋滞に巻き込まれたが、それ以外は順調。R122を経由して桐生に帰った。