斑尾高原〜鍋倉山(信越トレイル)
予報によると、この週末は梅雨の晴れ間で、土日2日間とも天気が良さそう。久し振りにテント泊の山行をやろうかな。実は4年前にテントを新調して、DUNLOP VS20を買ってあるのだが、未だに使っていない😅。現在の体力で、テント泊の大荷物を背負ってどれだけ歩けるか、少々不安があるし、テントサイトも混む所は避けたいと考えて、信越トレイルを歩くことを思い付く。
信越トレイルは標高約1000mの関田(せきだ)山脈を歩くので、大きな登り降りはないし、指定されたテントサイトが数箇所あって整備されているのもいい。その中でも桂池テントサイトは黒岩山に登ったときに偵察していて、ここに泊まってみたいなあ、と思ったことがあるので、それを実行に移そう。早速、信越トレイルHPで桂池テントサイトを予約(利用料1500円/人)。信越トレイルマップ1〜2も買って計画を練り、1日目に斑尾高原〜桂池、2日目に桂池〜鍋倉山を歩くという行程で出かけてきました。
桐生駅6:22発の両毛線に乗車し、高崎駅で7:17発北陸新幹線に乗り換え。飯山駅に8:16着。今回はリッチに往復とも新幹線利用で指定席も取ってあり、アクセスは早くて楽だ。
飯山駅は在来の飯山線を跨いで新幹線の近代的な駅舎が建ち、広い駅前ロータリーが整備されている。駅前から8:50発の斑尾高原行コミュニティバスに乗車。バスは飯山市街からなだらかな起伏の山地を登り、ホテルや別荘が散在する斑尾高原に至る。山の家前バス停8:15着で下車。料金は500円で、乗客は最後まで私一人だけだった。
山の家の水道をお借りし、プラティパス2ℓボトルを満杯にして出発。少し車道を歩いたのち、八坊塚トレイルに入って、小さな窪の山道を下る。「シラネアオイの小径」との看板もあり、5月中旬〜6月上旬の開花期には楽しめるらしい。残念ながら、今日は全く咲いていないが、しっとりと緑に覆われた山道で、思いの外、気持ちが良いトレイルだ。
やがて水流が現れ、小沢を右に左に渡り返しながら緩く下る。だんだん谷が開けると、沼の原湿原に着く。湿性の草原が広がり、奥に斑尾山を望む。これはなかなか良い景色。周辺には多数のトレイルがあり、斑尾山にも通じている。斑尾山には、今回は時間が足りないので登らないが、近くの赤池テントサイトをベースにして登るのも面白そうである。
湿原の東側に一段上がったところに駐車場があり、ハイカーさんの車数台がある。綺麗なWCも有。ここから希望(のぞみ)湖トレイルに入り、樹林帯の山道をジグザグに登る。道端にはニガナの黄色の花が多い。
僅かな登りでなだらかな丘の上に出て展望が開ける。僅かに雪を残す妙高山を遠望し、これから向かう毛無山の丸い頂が眺められる。ベンチや倒れた展望板もあり、休憩適地だ。
展望所から下ると林道に出、道標に導かれて少し林道を歩き、すぐに再び山道に入る。小さな窪に沿って登ると希望湖の湖畔に出る。近くにはボート小屋や船着場がある。湖畔には釣り師が点々と居て、釣り糸を垂らしている。湖の堰堤まで行くと、湖面を隔てて斑尾山が遠望される。これもなかなか良い景色だ。斑尾高原は見所が多いな。
希望湖から毛無山トレイルに入って、毛無山に向かう。トレイル入口にはWC有。毛無山は地形図を見るとすぐに判るように、舟を伏せたような山容の山だ。最初は杉と雑木の林に覆われた斜面をジグザグに登る。道端の草が刈り払いされたばかりで、整備の手が良く入っている。広くなだらかな尾根を進むと三角点標石のある毛無山頂上に着く。樹林に囲まれて展望はない。ここで木陰に腰を下ろして、昼食休憩とする。
今まで夏山ではプリムス112スーパーマイクロバーナーⅡを愛用して来たが、ガスカートリッジと接続する部分のねじ山がすり減ってガス漏れするようになったので、ストーブも新調して、今回、初めてプリムスエッセンシャルトレイルストーブを使ってみる。パッキング時は少々嵩張るが、シンプルな構造で堅牢、火力が強い。お湯を沸かして、カップヌードルカレーを食べる。
昼食を終え、さらに尾根を緩々と辿る。少し眺めが得られる場所があり、野沢温泉やその背後の毛無山を遠望する。斜面をジグザグに下り、右に希望湖へ戻る巻道を分ける。
程なく、涌井新池の畔に出る。山麓の集落の共同用水として利用されてきた溜池で、周りを取り囲む緑を湖面に映して、シンと静まり返っている。トレイルはこの先で緩斜面に広がる畑地に出て、未舗装の林道を大きく蛇行しながら下る。
途中、冷たい水が湧き出る水場があり、樹林の中にひっそりと溜池もある。しかし、大半は畑地の間の林道歩きで、強い陽射しを遮る木陰がなく、暑い暑い🥵
やがて舗装道となり、程なくR292沿いの涌井集落に下り着く。自販機でもあれば冷たいジュースを買って飲みたいところだが、周囲には数軒の民家が点在するだけで、何もない。
R292を横断し、「←富倉峠2.6km」の道標の脇を通って、再び山道に入る。ジグザグに登るとすぐに林道に出る。林道と言っても車通りが絶えて久しい感じ。トレイルとしては良く踏まれ、急登もなく歩き易い。このような林道歩きが、黒岩山の手前まで延々と続く。
山腹をトラバースする林道を辿ると、富倉峠に着く。峠からは南東の山麓を俯瞰できる。説明板があり、それによると、この峠道は北西の関谷集落と南東の上新田集落を結ぶ最短経路として明治10年に開通し、相当の貨物や人馬の往来があった、とのこと。峠には石垣が残り、往時の峠道の様子が窺える。東西の峠道も残存するが、草叢に覆われている。
さらに尾根を絡んで林道を辿ると、大将陣跡という地点がある。説明板によると、こちらにもかつて峠道が通じ、上杉謙信が通った際、ここで兵を休ませた、とのこと。富倉峠が通じるまで利用されていたそうである。背後の斜面をひと登りすると稜線上に「馬頭観世音」の石碑が建つ。これも往時の往来を偲ばせる。
大将陣跡から蛇行して下ると現役の林道に突き当たる。この林道を左に進むと、木立の間にソブの池の水面が見えてくる。湖畔の森の中に石祠や記念碑が建つ。池の全景は少し先の堰堤部の上からが良く見渡せる。
再び林道を辿るトレイルに入る。こちらは轍があり、軽トラなどがたまに通っていそう。なだらかに起伏する広い尾根を絡んで延々と歩く。樹林に覆われて展望はなく、変化に乏しくて長く感じる。疲れはあまりないが、久々に重荷で長距離を歩いたせいか、路面を踏む足の裏が痛くなって来た。
やがて直線的な尾根上の登りとなり、行く手に黒岩山辺りの稜線が見えて来る。野沢温泉の眺めもところどころで得られ、少し変化が出てくる。
「桂池2.5km→」の道標で左に林道を分けて尾根上の山道を直進。938m三角点峰の手前で右折して、ブナ林の急斜面を下る。938m三角点峰と黒岩山の間の細長い窪に降りると、ブナ林の恵みだろう、細い水流がある。ブナ林を登り返して、黒岩山の頂上稜線に着く。少し稜線を辿ったところに休憩舎があり、野沢温泉から信濃平にかけての展望が良い。
休憩舎から桂池までは、既に歩いたことがある。黒岩山の頂上は林道の途中で、ピークらしくない。山名標識もなく、うっかりするとそれと気付かず通り過ぎてしまう。
稜線伝いに直進し、鷹落山に向かう道を分けて右折。ブナ林の山腹をトラバースし、細長い窪地に下ると、深い樹林に囲まれて熊ノ巣池がヒッソリと佇む。
浅い谷間を下り、右に桂池への近道を分けて、左の太郎清水経由の道を下る。県道飯山新井線に出たところに太郎清水があり、バンバン湧水が流れ出している。プラティパスに水を汲んで満タンにし、桂池の畔の車道を歩いてテントサイトに向かう。
桂池テントサイトにはまだ誰も着いていない。芝生に覆われた平坦なテントサイトで、とても快適そう。WCと避難小屋もある。早速、テントを設営する。最初に買ったテントがDUNLOPだったから、新テントも既に馴染みが深くて、懐かしさを感じる。
小屋の中に椅子と机があり、まず、そこで一人宴会。鯖味噌煮缶やミックスナッツをツマミにウィスキーの水割りを飲む。うまーい。そのうち、2人組男性パーティ、さらにソロの男性が到着する。いずれも逆コースで歩いているようだ。夕食にレトルトご飯とカレーを食べ、19時頃には就寝する。エア枕も持って来ていたが、接着剤が劣化して空気が漏れる😢。これも新調しなければ(後日、KLYMIT Pillow Xを購入)。
夜中はシュラフが暑く、さらにWCでちょくちょく目が覚めたが、まあまあ良く眠れて、夜が明けた4時頃に起床する。昨日の疲労もだいぶ取れた。2人組はすぐに出発。太郎清水に給水に行くと水位が下がっていて、プラティパスを満たすのに手間取る。朝食はレーズンロールとコーンスープ。ソロの男性も出発し、お気を付けてと挨拶して見送る。テントを撤収し、一番最後にテントサイトを発つ。
桂池の水面は凪いで、黒岩山をくっきりと映している。「仏ヶ峰登山口3.5km→」の標識から、良く刈り払いされた山道へ入る。一段下がって中古池の湖岸を進む。中古池のさらに一段下に北古池湿原があり、草深い山道が通じているが、先は長いので割愛。
未舗装林道に突き当たって左へ。林道はすぐに終点となり、再び山道に入って、小さくジグザグに下る。左には長野・新潟県境稜線が急峻な山肌を峙てていて、その中腹の森林に覆われた帯状の小起伏面を辿って行く。ケスタ地形と言うのかな。単純な縦走ではなく、変化に富んだトレイルで、この区間はなかなか楽しめる。
右に風穴への道(戸狩トレイルの標識有)を分け、左へ緩く登る。やがて行く手に深い谷が現れ、谷底に向かって急坂を下る。この辺り、深山の雰囲気が横溢する。
渓流を跨いで渡ると、右に大ケヤキ(北条地区)への道を分ける。左へ草叢を刈り払った山道を登り、さらにブナ林の急斜面のジグザグに登る。小起伏面を進み、渓流を渡ると「↑仏ヶ峰登山口0.2km」の道標がある。仏ヶ峰登山口まで頑張って、休憩にしよう。
ブナ林を抜けると、戸狩温泉スキー場の開けたゲレンデに飛び出す。野沢温泉の毛無山が朝靄を纏って眺められる。リフトの鋼索を潜った辺りが「仏ヶ峰登山口」と思うが、道標は見当たらない。道標を探して進んで行くうちに、ブナ林のジグザグの登りとなり、さらに細く急なゲレンデの登りとなる。強い陽射しに背中を炙られて、なかなかつらい。
登り着いたところはスキー場トップで、ようやくここでひと休み。腰を下ろして水を飲む。振り返ると斑尾山が遥か遠くに小さく見える。いやー、重い荷物を背負って、よく歩いて来たなあ。
「←小沢峠1.6km」の道標があり、この少し先から県境稜線上の縦走路となる。ブナ林や低木帯に覆われたなだらかな稜線をゆるゆると辿る。低木帯では東側の展望が得られ、野沢温泉方面が眺められるが、そういう所は陽射しを遮るものがないので、暑い。
だらだらと登って行くと仏ヶ峰の三角点峰(1140m)に着き、三角点標石がある。さらに僅かに下って登り返すと「小沢峠0.5km→」の道標があり、この辺りが仏ヶ峰の1146m標高点のようだが、山名標識の類はない。なだらかな稜線の途中という感じで、どこが山頂なのか定かでない。
ここから短いが少し急な下りとなり、小ピークを一つ越えた鞍部が小沢峠だ。右に戸狩温泉スキー場への山道を分ける。ここでも水を飲んで小休止。今日は水の消費が速い。
小沢峠からは、鍋倉山に向かってほぼ一直線で、小さなアップダウンを交えた縦走路となる。一段登ると、前方に鍋倉山の鍋を伏せたようななだらかな山容が眺められる。高さはないが、距離はだいぶあるなあ。
ブナ林と低木帯が交互に現れる。低木帯では東の眺めが開けるが、陽射しを遮るもがなくて暑いのは相変わらず。鍋倉山が見る度に徐々に近づいているのに励まされて足を運ぶ。
1194m標高点で「鍋倉山0.8km→」の標識を見る。少し下って、若いブナ林に覆われた尾根を緩く登ると三角点標石と潰れた石祠のある鍋倉山の頂上に着く\^o^/。樹林に囲まれて、展望はない。木陰に腰を下ろして休憩し、少し時間は早いが昼食にして、カップラーメンシンガポール風ラクサを食べる。その間、関田峠から数組のハイカーが登ってきた。
昼食後、もう少し県境稜線を辿る。この辺りは雪が遅くまで残るのだろう。途中で咲き残りのタムシバを見た。その先には小さな池があり、水中に白いはんぺん状の塊(サンショウウオの卵?)が沈んでいる。
下り着いた鞍部が久々野(くぐの)峠で、右に巨木の谷を経て県道上越飯山線に下る道を分ける。計画ではここで信越トレイルを離脱して、そちらに下る予定だが、もうちょっと頑張って、すぐ先の黒倉山まで往復してこよう。
少し先で左に柄山口・ヨシ八池への道を分けて、右の道を登る。急坂をひと登りすると、黒倉山頂上に着く。老夫婦のハイカーさんが休憩中。山名標識の他、「標高一二四二米」と刻まれた古そうな石柱が建つ。新潟側の樹林に隙間があり、少し展望がある。晴れていれば日本海まで見えそうだが、今日は靄って、そこまでの見通しはない。
久々野峠まで戻り、長野側へ下る。ブナ林の山腹をトラバースする細い踏み跡で、外傾して歩き難い。おまけに豪雪で曲げられて横に張り出した木が多く、大荷物を背負ってその下を潜るのは労力がかかる。このトラバースは意外と長く、ようやく尾根上に出てひと息つく。この地点でブナの巨木として有名な森太郎への道を右に分ける。残念ながら、森太郎は昨年、寿命が尽きて倒れてしまったそうだ。
尾根上の近道を下り、森太郎経由の道を合わせて、左の山腹をトラバースする道に入る。切り返して下り、傾斜が緩むと、ようやく県道上越飯山線に出る。
県道に出たところには道標の類はなく、逆コースの場合は入口が分かり難いだろう。あとは車道を下って、上境駅に向かう。幅広い県道をてくてく歩いて下る。車の通りはそこそこある。振り返ると、黒倉山〜関田峠間の県境稜線がゆったりとスカイラインを延ばす。
周囲の山々は深い森に覆われているが、県道には木陰がなく、とにかく暑い。足の裏も痛くなって来た。途中で休憩して、プラティパスの水を飲み干す。その下で田茂木池の湖畔を半周する。水面を眺めている間は、気分だけだが涼しい。
大きく蛇行して下り、ようやく温井集落に入る。温井バス停があるが、バスの運行は平日のみであることは事前調査済み。集落の間の坂を下っていき、上境への分岐の手前まで来ると、ありました!待望の自販機。良く冷えたペットボトル飲料を飲んで、生き返る。
ここからも周囲の田園・里山風景を眺めながら、車道歩きが続く。大きくカーブして千曲川へ下って行くと、やっと上境駅の乗り場が見えて来て、2日間の山旅のゴールは近い。
上境駅に15:30着。次の長野行列車は17:29発で2時間待ちだが、これは計画通り。5分程歩いた近場に、いいやま湯滝温泉という日帰り温泉があるのであ〜る。
早速、いいやま湯滝温泉で入浴(550円)。2日間の汗を流し、足の筋肉の凝りを解す。下着を着替えてサッパリ。風呂上がりに飲むロング缶の🍺が超旨い。16時半になると食事処が開いたので、ポークしょうが焼き定食を食べる。これも旨いなあ。充実した山行を温泉とビールと食事で締めくくり、すっかり寛いだのち、上境駅から予定の列車に乗車。飯山線の列車の旅も楽しみ、飯山駅18:12発北陸新幹線に乗り換え、桐生への帰途についた。