茅ヶ岳〜金ヶ岳

天気:
メンバー:T
行程:PICA八ヶ岳明野入口 7:45 …茅ヶ岳登山口 8:10 …茅ヶ岳(1704m) 10:40〜11:15 …観音峠分岐 11:50 …金ヶ岳(1764m) 12:10〜12:20 …金ヶ岳登山口 13:35 …PICA八ヶ岳明野入口 13:45
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

茅ヶ岳には一度登ったことがあるが、大昔のことで記憶もだいぶ薄れているし、再訪するのも良いな、と以前から考えていた。

ノートの登山日誌に記した山行記録を見ると、登ったのは1996年11月。横浜の実家をS&Sと共に車で7時過ぎに出発し、深田記念公園の駐車場に10時着。女岩、深田久弥終焉の地を経て、茅ヶ岳12時着。快晴の下、360度の展望を楽しみつつ、昼食にカップ麺を食べて、13時に下山開始。往路を戻って14時半に駐車地に帰着、とある。

先週、瑞牆山に登頂した際、頂上から茅ヶ岳を遠望して再訪へ気分が乗ってきたので、この週末に実行。峰続きだが前回は登頂していない金ヶ岳と繋いで、歩いてきました。

桐生を未明に車で出発。中部横断道を終点の八千穂高原ICで降り、R141を南下する。長野県側では曇りだったが、山梨県に入ると晴れてきて、南ア北部や南八ヶ岳の高峰がドーンと現れ、テンションが上がる。道の駅南きよさとでWC休憩したのち、茅ヶ岳広域農道に入って、茅ヶ岳西麓の緩傾斜地に広がる畑地を走る。この辺り(北杜市明野町)は日照時間日本一で晴天率が高いそうだが、今日はその評判に違わぬ好天で、絶好の山歩き日和だ。

茅ヶ岳広域農道から
鳳凰三山と甲斐駒の展望
南八ヶ岳の展望

広域農道を途中で左折して、PICA八ヶ岳明野と称するキャンプ場(旧称、明野ふるさと村)に向かう。入口に「金ヶ岳 茅ヶ岳 登山道→」の道標と6台分程の駐車スペースがあり、ここに車を置く。なお、この先は、キャンプ場利用者以外、駐車禁止である。

PICA八ヶ岳明野入口に駐車
金ヶ岳・茅ヶ岳登山道は右へ

カラマツ林の中に点在するテントやコテージを横目に見て出発。「登山道→」の道標に従って未舗装林道に入る。車で走れなくもないが、雨裂が深いので止めておいた方が無難だ。程なく茅ヶ岳の中腹を巡る前山大明神林道に出る。「←金ヶ岳登山道 茅ヶ岳登山道→」との道標があり、ここは右の茅ヶ岳へ向かう。

未舗装林道を上がる
前山大明神林道に出る

林道は傾斜がきつい山腹に通じ、栃沢川の谷間に入り込んでトラバースして行く。行く手に茅ヶ岳〜金ヶ岳の稜線を見上げる。意外と奥山の雰囲気がある。水が枯れた谷を横切り、尾根を一つ回り込むと茅ヶ岳登山口に着く。

金ヶ岳〜茅ヶ岳の稜線を仰ぐ
茅ヶ岳登山口

茅ヶ岳登山口で林道から左に分かれる未舗装林道を辿る。入口にはゲートが有り車両は進入できない。山腹をゆるゆる上がり、大きく蛇行して尾根上に出ると「←茅ヶ岳登山道」の標識があり、ここから千本桜公園に入る。

未舗装林道で山腹を登る
尾根上に「←茅ヶ岳登山道」の道標

千本桜公園は、幅広くなだらかな尾根の上を切り開いて、多くの桜の木が植えられている。下草は綺麗に刈り払いされ、芝生状の緩斜面が広がる。「明野村千本桜公園」の看板があり、それによると1997年に整備され、ソメイヨシノやオオヤマザクラが植栽されたそうである。展望台やベンチもあるが、どれも老朽化が著しい。しかし、桜の木はたくさんあるので、花の時期は見栄えがしそう。梢越しだが南アや富士山の眺めも得られる。

千本桜公園
公園上端の三角点標石(点名:南机)

公園上端には三角点標石がある。山と高原地図に「大机」と山名が記載されている地点だが、緩斜面の途中で山頂らしくない。ここから登山道に入り、防火帯のような樹林の切り開きを通り抜け、樹林中の踏み跡を辿る。道型は微かだが、ところどころに道標があり、不安なく歩ける。

平坦な尾根を進む
樹林中の踏み跡を辿る

平坦な尾根道がしばらく続いたのち、ある地点から唐突に急登となり、一直線状に急坂を登る。途中、傾斜が緩んだ踊り場で一息つくが、尾根が細くなって再び急坂となり、ところどころに露岩を交えた尾根道でグングン高度を上げる。

道標がところどころにある
唐突に急登に変わる
グングン高度を上げる
尾根上に登り上げる

急登は1404m標高点の西の肩に登り上げて漸く終了。木立を透かし、栃沢川源流域の深い谷を隔てて、金ヶ岳と茅ヶ岳が眺められる。ここから、小さく上下しつつ、ほぼ平坦な尾根を辿る。見頃の紅葉が陽射しに照り映えて、とても雰囲気が良い。

小さな上下のある尾根を辿る
見頃の紅葉

やがて傾斜が増し、急坂をひと登りすると、深田記念公園から登って来た尾根道と合流する。さらに冬枯れで明るい雑木林の尾根を登って、茅ヶ岳の頂上に到着する。

尾根道を登る
深田公園からの尾根道に合流
さらに尾根道を登る
茅ヶ岳頂上

頂上では大勢のハイカーが休憩中。日本二百名山の一座らしい人気っぷりだ。頂上からの展望は360度に開けて素晴らしい。まず北方にはこれから向かう金ヶ岳を望み、その左奥に南八ヶ岳の編笠山、権現岳、阿弥陀岳、赤岳、横岳を遠望する。

頂上の展望盤と山名標柱
金ヶ岳と南八ヶ岳を望む

目を右に転じると、奥秩父主脈の瑞牆山から金峰山、国師ヶ岳にかけての稜線を遥か遠くに望む。雄大な山岳展望で素晴らしい。金ヶ岳から右に延びる稜線は観音峠へ一旦落ちたのち、曲岳、黒富士、太刀岡山へ連なる。これらの山々は未踏なので、いつか登りたい。

瑞牆山と金峰山を遠望
曲岳と黒富士を望む

南には霞んでいるがうっすらと冠雪した富士山を遠望する。西には南ア北部の高峰が連なるが、雲に隠れて、甲斐駒の頂上が僅かに覗いているだけだ。大展望を楽しみつつ昼食とし、鯖味噌煮をつまみに缶ビールを飲み、お湯を沸かしてカップ麺を食べる。

冠雪した富士山を遠望
南アは甲斐駒だけ頂上が覗く

昼食後、金ヶ岳に向かう。急坂を下り、ダケカンバの大木が立ち並ぶ細尾根を辿る。行く手には木立を透かして急峻な金ヶ岳を仰ぐ。

茅ヶ岳から細尾根を下る
行く手に金ヶ岳を仰ぐ

最低鞍部から露岩の多い痩せ尾根を急登すると、程なく岩峰に突き当たる。岩峰の左側の基部を進むと、岩壁に大穴が開いていて、これを潜って反対側に抜ける。実に奇観だ。

鞍部から登り返す
石門を潜る

さらに岩場を縫って登る。登山道の脇に大岩があり、眺めが良さそうなので上がってみる。大岩の天辺から西面の谷間を俯瞰すると、一面の紅葉に覆われていて、なかなか見事。中でも右側の尾根(金ヶ岳南西尾根)の斜面は黄と橙の中に点々と赤が混じり、良い色合いだ。振り返ると茅ヶ岳の金字形の山容が眺められ、これも紅葉に覆われて綺麗。

展望の良い大岩
大岩から西側の谷間を俯瞰
大岩から茅ヶ岳を振り返る
金ヶ岳南西尾根の紅葉が見事

大岩から登山道に戻り、さらに岩場を交えた急坂を登る。樹林に囲まれた小平地に登り着くと「観音峠→」の道標があり、観音峠への下山道が右に分かれる。警告プレートがあり、それによると、観音峠へのルートは急峻な箇所が多いので要注意、とのこと。

金ヶ岳へ岩場の登り
急登が続く
観音峠分岐
金ヶ岳へ稜線を辿る

金ヶ岳に向かって稜線を辿る。小さく上下し、稜線の左を絡んで登ると樹林が切れて、下山予定ルートの南西尾根を俯瞰する。ここから短い急坂を登って、金ヶ岳の頂上に着く。

頂上には十名弱のハイカーさんが休憩中。茅ヶ岳程ではないが、こちらも人気だ。樹林に囲まれ、西面だけ低木帯と草地の斜面となって、韮崎市街を俯瞰する展望が得られるが、ますます靄がかかって、南アまでは見通せない。

金ヶ岳頂上直下から南西尾根を俯瞰
金ヶ岳頂上

少し休んだのち、南西尾根に入って下山にかかる。低木とカヤに覆われた明るい尾根で、随所で眺めが得られる。左手には茅ヶ岳を望み、その奥に富士山を遠望する。実に快適。

南西尾根を下る
茅ヶ岳を望む
明るい低木帯の尾根を下る
これから辿る尾根を俯瞰
ちょっとした岩場を通過
金ヶ岳を振り返る

途中、右斜面に崩壊地があり、その縁の小さな岩場を固定ロープで下る。あとはなだらかな下りの尾根道が続く。大岩を右から巻き、尾根に絡んで左斜面をトラバースして下る。

崩壊地の縁を下る
崩壊地から西面の谷を俯瞰
明るい雑木林の尾根が続く
大岩は右を通過
尾根に絡んで下る
なだらかな尾根を下る

尾根上に復帰し、紅葉に覆われた尾根道をゆるゆると下る。こちらの尾根は、茅ヶ岳南西尾根と違って急坂がほとんどなく、歩き易い。下るに連れてだんだん樹林が高くなり、緑の葉が多くなる。赤松が混じる樹林に入り、広くなだらかな尾根を下ると前山大明神林道に出る。すぐ左が往路で通った三叉路だ。ここから未舗装道を下って、駐車地のPICA八ヶ岳明野入口までは、ほんの十分弱の距離である。林間のキャンプ場には多数のテントが張られ、焚き火の煙の微かな臭いが漂って、賑わっている様子が窺える。

前山大明神林道に下り着く
駐車地の手前から甲斐駒の眺め

帰りは日帰り入浴で甲斐大泉パノラマの湯に立ち寄る(830円)。ここに来たのは権現岳に登った帰りに立ち寄って以来、2回目。今回もそう混んでなくて、ゆったり湯船に浸かる。明るいうちに帰途につき、南八ヶ岳の展望を楽しんだのち、帰桐した。

茅ヶ岳広域農道から
金ヶ岳と茅ヶ岳を仰ぐ
八ヶ岳高原大橋から
権現岳と赤岳を仰ぐ