見晴山〜地蔵岳〜朝香嶺〜長七郎山〜小地蔵岳
この週末、予報では土曜が晴れそう。金曜まで仕事が立て込んだため、疲れて遠出する気力が湧かない。近場の軽い山歩きにしようと考えて、赤城の見晴山のレンゲツツジが見頃じゃないかなと思い付く。前回(と言っても一昔前)、見晴山に行ったのも今頃で、そのときは満開のレンゲツツジが楽しめた。
レンゲツツジの花見に加えて、まだ歩いたことのないコース、未踏の朝香嶺のピークハントや、いくつかの気になるスポットを訪ねることも絡めて、大洞(だいどう)から標題のルートを周回して歩いてきました。
桐生を朝のんびりと車で出発。R353、県道前橋赤城線を経由して、赤城山に上がる。快晴の休日とあって、おのこ駐車場は満車。比較的空いている大洞駐車場に車を置く。辺りにはゴミ袋を持ってゴミ拾い活動されている方が大勢いらっしゃる(後日知ったが、『あかぎ大沼・覚満淵「爽やか」クリーン作戦活動』と称する環境美化イベントが開催されたそうである。当日、山が一番さんも参加されている)。
大洞駐車場から大沼(おの)側の通りを歩いて大洞へ向かう。途中には気になるスポット①の旧赤城神社(赤城神社元宮跡地)がある。赤城大明神の額束を掲げた石鳥居から一段下がって、玉垣と針葉樹の大木に囲まれてガランとした境内が広がり、奥には大沼の湖面が見える。ロープが張られ、境内は立入禁止となっている。後日調べると赤城神社は1970年までここにあったが、社殿が荒廃したため、現在地の小鳥ヶ島に遷宮したとのこと。
大洞の土産物店街から湖畔に出る。途中で国定忠治の像を見る。そう言えば、桐生に越して来る前は、群馬と言えば博徒忠治と「赤城の山も今夜を限り」が第一印象だった(今は群馬を知悉して、さすがに印象も変わっている)。
大洞のボート乗り場から西へ湖畔の歩道を歩く。この歩道は初めて歩く。大沼に流れ込む小川では鴨が泳いでいる。水は澄んで、水面のさざ波で屈折した日差しが、川底の砂地に光の縞模様を描いている。旧赤城神社裏手の湖畔には気になるスポット②の弁天宮があり、出島の上に石鳥居と石碑、石祠が建つ。ここからの大沼と黒檜山の眺めは見事。
弁天宮のすぐ先には気になるスポット③の赤城神社御神水があり、玉垣に囲まれた岩の間から水が湧き出している。水流に手を浸すと冷たいが、落ち葉が堆積しているので、飲むのは止めて置く。脇の石碑の碑文によると、五月八日の山開き祭・例大祭にはこの水を持ち帰り、各村の田の口に注いで豊作が祈願されているそうである。
さらに水際の樹林の中の歩道を辿る。至る所から湖面や黒檜山、駒ヶ岳の眺めが得られ、雰囲気が良い道だ。ここもクリーンハイクの人が多い。前橋市赤城少年自然の家のカッター乗り場を過ぎ、湖畔を進み、武蔵学園赤城青山寮の裏手から車道に出ると、向かいが青木旅館だ。
青木旅館から赤城山第二スキー場跡の草斜面を登る。雪が積もれば気分良く滑れそうな斜面だ。途中の右手の大きな木に気になるスポット④の通称「ハイジのブランコ」がある。大沼を見おろし、黒檜山と駒ヶ岳を望んで、絵になる風景だ。子供が漕げば、よりハイジっぽい絵が撮れそう。生憎、子供はいないので、空のブランコを揺らして写真を撮る。
スキー場跡を抜けると樹林と笹原の中の緩い登りとなり、程なくヤマツツジやレンゲツツジが咲くエリアに入る。道標があり、白樺牧場の中を経由して赤城山総合観光案内所に至る道を右に分けるが、そちらは笹が深く、道型は消えている(現在、白樺牧場内は関係者以外立入禁止になっている)。
牧柵沿いに歩き、すぐに見晴山頂上に着く。辺り一帯、ヤマツツジの赤とレンゲツツジの橙色の花が見頃だ。レンゲツツジは蕾も多く残る。つぶさに見ると花弁が裂けているものがあり、先日降った雹にやられたのかも。しかし色は褪せていなくて瑞々しく、綺麗だ。
見晴山の辺りでは多くの花見の観光客が熱心にツツジにレンズを向けている。しかし、前回に比べれば観光客の数は少ない感じ。未だコロナ禍の影響が残っているようだ。
見晴山の東屋の下の斜面もレンゲツツジが咲いているが、白樺牧場の中はまだ蕾が多い。レンゲツツジの株の間では数頭のヒツジがのんびり草を喰んでいる。頭が黒いサフォーク種と呼ばれるヒツジだそうだ。低木に隠れて写真が撮れる位置になかなか出て来てくれなくて、しばらく粘ってようやく撮影できた。
赤城山総合観光案内所に立ち寄ってWCを借りたのち、新坂平駐車場から地蔵岳に登る。最初は牧場の柵に沿って緩く登り、それから急坂の登りにかかる。途中、休憩している若者グループの先に行かせて貰ったら、急坂で猛追される。トレーニングモードに入ってギヤを上げたので、地蔵岳の頂上の一角に登り着いたときは気息奄奄。最後は距離が空いたが、若者と張り合うのはやはり止めておこう😅
地蔵岳の頂上はハイカーさんで大賑わい。眼下の大沼と対岸の黒檜山の景観は定番だが、今日は大気が澄んで遠望が効き、谷川岳から武尊山、至仏山、燧ヶ岳にかけて、まだ雪を残す連山がくっきりと見える。
地蔵岳から八丁峠へ下る。登って来るハイカーさんも多い。小沼とそれを取り巻く小地蔵岳、長七郎山を眺めつつ、最初は小さくジグザグに、それから木の階段道を一直線に下って、八丁峠の駐車場に着き、県道大胡赤城線に出る。
小沼駐車場に立ち寄ってWCを借りる。やまの町桐生によると、県道の北側の1510m圏のピークにも北山の山名があり、未踏なので登ってみようと思っていたのだが、笹原に覆われて登り口が見つからない。まあ、今日は割愛して、またの機会にしよう。
次はやはり未踏の朝香嶺(あさかみね)に登る。県道から「小沼・朝香嶺」の道標に従って登山道に入り、右に分岐する道に入る。すぐに丘に上がると、ベンチと「関東ふれあいの道」の石標がある。丘の上を辿ると右に血の池への関東ふれあいの道を分ける。この地点には朝香峠との手書きの道標がある。少し細くなった尾根を直進すると、大した登りもなく朝香嶺の頂上に着く。頂上と言っても朽ちた山名標識があるだけだ。展望もない。
山頂から小沼尻に下る。道はなく、笹原が広がる林間を適当に下ると、天竜弁財天のある辺りで小沼湖岸の登山道に下り着く。
ここから長七郎山までは、ひと月前のGWに歩いたばかりの道だ。小沼尻にあった残雪はさすがに消え、湖岸にはズミの花が咲く。周囲の山々もすっかり新緑に覆われている。
長七郎山の登り口付近にはシロヤシオが群生する。黄緑色の葉っぱが瑞々しくて綺麗だが、花は数輪しか見かけない。既に花の時期を過ぎたか、不作の年に当たったようだ。
長七郎山の山頂もハイカーさんで賑わっている。頂上の石祠にお参りすると、今日の日付の絵馬が奉納されていて、「澳比古神社チャレンジ」澳比古神社、長七郎山頂、大猿公園ゴールと書いてあった。頂上からの展望を一通り楽しんだのち、小地蔵岳に向かう。
北へ稜線を辿ると、右(東)側は渡良瀬川支流の猿川の谷へ急傾斜で落ち、深山の雰囲気がある。鳥居峠へ下る登山道を左に分け、「小地蔵岳→」の道標に従って稜線上の道型に入る。
頂上手前の道端には気になるスポット⑤の石祠がある。屋根の正面には「小沼神社」と刻まれている。以前、小地蔵岳に登ったときは、深い笹原に隠されて、この石祠には気づかず見逃していた。その後、小地蔵岳に立ち寄る人が増えたようで、道は良く踏まれて笹原も低くなり、見逃すべくもなく容易に見つけることができた。
小地蔵岳頂上の山名標識はだいぶ老朽化しているが健在。西側の樹林が疎になって、地蔵岳の展望が得られる。
頂上から北斜面を下り、一直線に鳥居峠を目指す。樹林内の笹原に明瞭な道型が続く。途中、シダに覆われた転石帯で道型が拡散して不明瞭となるが、ほぼ真っ直ぐ下って行く。
最後は木の階段が現れ、小地蔵岳の西面を巻いて来た正規の登山道に合流する。ちょうど、登山道を通りがかった年配男性のソロハイカーさんに、変な所を下って来たところを目撃される。どこから来たの?と尋ねられて、小地蔵岳から下って来た、と答えると、興味を覚えたそうで、下って来た道を登っていかれた。とにかく上を目指せば良いから大丈夫と思うが、無事、小地蔵岳の頂上に登り着けただろうか。
鳥居峠の駐車場は観光客の車やバイクの出入りが多い。赤城山頂駅サントリービア・ハイランドホールは営業中。その前の休憩広場にも観光客が三々五々やってくる。ケーブルカー軌道跡の上端まで行って、水沼方面や遠く鳴神山を眺める。
鳥居峠から覚満淵に下る。ここの眺めも定番だが、今日は特に湖畔から眺める駒ヶ岳の新緑が綺麗だ。また、湖面には鴨が居て、木道の脇にはズミの花が咲く。
覚満淵を抜けて赤城公園ビジターセンターの前に出、県道を少し歩いて大洞駐車場に戻る。クリーンハイクも終了して解散したようだ。今日は天気に恵まれ、見頃のレンゲツツジや好展望が楽しめた。気分良く桐生への帰途につく。なお、この山行の2日後に関東甲信地方は梅雨入りした☔️。