根本山〜熊鷹山
軽登山部メンバー6名による山行で、根本沢コースを経て根本山、熊鷹山に登って来ました。前半の根本沢コースについては2019年5月に、後半の根本山〜熊鷹山の行程については2012年8月に歩いているので、行程(特に根本沢コース)の詳細についてはこれらの山行記録も参照下さい。
T氏の車で登山口の三境林道入口の駐車スペースに到着。薄雲が広がる天気で、少し肌寒い。既に駐車が3台。ハイカーさん以外の人も来ていて、ミツマタが目当てのようだ。
昨日はまとまった雨が降ったが、不死熊橋で見る根本沢の水量は少し多い程度で、問題ない。橋の袂から沢を直行する道は険しいので今回は避けて、根本沢林道で迂回する。
中尾根登山口を過ぎ、土砂崩れが林道を塞ぐ地点から急斜面の踏み跡をジグザグに下り、不死熊橋から沢沿いに直行して来た道に合流する。ふとん籠の階段状の護岸からアルミ梯子+足場板の橋(前回は天狗のかけ橋という名札があった)で右岸に渡り、しばらく沢沿いに進んだのち、ジグザグに登って高巻きに入る。谷底まで急斜面で高度があり、この高巻き道の通過は毎度緊張させられる。
無事、高巻きを終えて、十四丁の標石のあるヒノキデ沢で一服。さらに渓流の沿って右岸の道を辿る。
やがて「←高巻き(トラバース) 根本古道(沢沿い)→」の道標のある分岐に着く。ここは右の沢沿いの道へ。岩壁を固定ロープを伝ってトラバースし、水量をやや減じた渓流を左右に渡り返しながら遡る。渓谷を包む新緑が美しい。左岸の十丁の標石を過ぎ、固定ロープのある滑り易い岩場を通過すると岩壁の下に九丁の標石がある。
大割沢出合を過ぎて少し進んだ地点に、六丁の標石とともに「川講中」と刻まれた標石が置かれている。これは前回は見ていなくて、初めて見た気がする。
小割沢出合を過ぎると魚止めの滝が現れる。右岸を登り、さらに大高巻きする道を左に分け、滝上に向かって固定ロープや鎖、ボルトのステップが設置されたルートを下る。大高巻きよりこちらの方が安全である。
木根畑沢出合、二対の石祠、鈴台と過ぎ、水流を減じた沢を遡ると、「奉獻根本山神宮 大天狗 小天狗」と刻まれた石塔が大岩の上に建つ。このすぐ先で下部が崩れ落ちた石段を登ると、二基目の根本山神宮の石塔がある。こちらは屋根が付いている。
沢に降りて籠堂跡を過ぎ、両岸が切り立った谷に入る。女坂と男坂の分岐は左の女坂へ。滝を鉄梯子で越える。梯子はくの字に折れ曲がっているが、ガッチリしていて頑丈だ。さらに滑状の流れを固定ロープの助けで越えると、「奉」の一字と「大天狗」が刻まれた大きな石塔と、続いて首のない石仏(薬師如来像)が現れる。
石仏から右上の小尾根上に見える根本山神社の釣鐘堂と本社を目指して岩場を攀じ登る。鎖場があり、登っているところを下から見ると怖そうだが、階段状なので実際には容易だ。小尾根上の神社に登り着いて参拝する。社殿の床は老朽化しているため、中には入れない。覆屋の中を覗くと、龍などの精巧な浮き彫りで飾られた木の社が納められている。
ここから岩尾根を急登する。初っ端に急で長い鎖場がある。木の根岩角のスタンスが豊富で、鎖はバランスを取る補助として登れば良い。とはいえ、昨夜の雨で湿った木の根や岩は滑り易く、神経を使う。鎖場で苦戦したメンバーもいたが、空身になって無事に登る。
さらに急峻な岩尾根の登りが続く。再び長い鎖場が現れるが、初っ端に比べれば傾斜は緩く容易。根本山神社奥社の立派な石祠に登り着けば岩尾根の登りは終わりで、このあとの行程には難所はない。
行者山を越え、稜線を緩くアップダウンして根本山に向かう。アカヤシオの花びらが散っていて、僅かだが咲き残っているものもある。樹林に覆われて展望はないが、木立の隙間から黒々とした皇海山とまだ白い日光白根山を遠望する。
山腹をトラバースして中尾根十字路に出、ひと登りして根本山の頂上に着く。他のハイカーさんはいない(その後、数人登って来た)。少し先の「天狗の見晴し」で昼食とする。ここのアカヤシオも終盤だ。曇っているが、幸い風がなく寒くはない。Wさん差し入れのワインで乾杯。Tmさんから頂いたかぶの柚子漬けが美味しい。私はガソリンコンロでお湯を沸かし、COOPちゃんぽん風ヌードルを作って食べる。
昼食後、熊鷹山へ向かう。稜線上の山道を下って十二山神社跡に着く。新しい石祠の前に巨大な鉞(まさかり)の鉄製の刃部が残されている。T氏が持ち上げようとするも能わず(50x50x4cmの鉄板と仮定すると質量78.74kg)。さらに稜線を辿ると小鞍部に「←氷室山地蔵岳 熊鷹山野峰→」の小さな道標があり、左右に山道を分ける。稜線を直進すると「文政十二」の銘のある石祠を過ぎ、図根点標石と山名標識のある十二山頂上に着く。
熊鷹山への稜線は十二山で南に方向を変える。すぐ先で右に十二沢コースを分ける。下り口の手製の道標もだいぶ色が褪せたなあ。六丁目の標石を過ぎ、緩くなだらかな稜線を辿る。最後にちょっとだけ登り返して、展望櫓のある熊鷹山の頂上に着く。
展望櫓に登ると360度の大展望が得られる。上空を灰色の層積雲が覆い、北の日光連山や西の赤城山の頂は残念ながら雲の中だが、南には丸岩岳や鳴神山、桐生市街、南から東にかけて足尾山地の山並みを一望する。頂上周辺はツツジ類の樹木に覆われ、蕾が膨らんで一部咲き出している。見頃は次の週末あたりだろうか。一斉に咲くと見事だろうな。
展望櫓からの眺めを満喫し、Tmさん差し入れの冷たくて甘いオレンジを頂く。一休みしたのち、下山にかかる。頂上直下の石祠と木の鳥居を過ぎ、左に小戸川への道を分け、丸岩岳への縦走路から分かれて、右に下る。下り口には根本山瑞雲倶楽部が設置した「ふじくま橋→」の道標がある。
小尾根上の良く整備された山道を降りて、石鴨林道に下り着く。この地点にも道標が整備され、取り付き点が分かり易くなった。
あとは林道を歩いてダラダラと下る。途中、林道の曲がり角に十二沢コースの登山口がある。ここにも道標が設置されている。この先、林道は十二沢に沿って下る。前回、ここを歩いたのは10年も前だが、当時は周辺が大規模に伐採されている最中で、殺風景だった。現在へは植林が大きく育って山肌は緑に覆われ、時の流れを実感する。
ソロの場合、林道歩きはひたすら先を急ぐのみだが、パーティーの場合、四方山話をしながら歩くと時間は長めにかかるが、体感は短い。駐車地の三境林道入口に帰着すると残っている車は1台だけであった。9時間に及ぶ山歩き、お疲れ様でした。