根本山〜氷室山〜熊鷹山
このところ忙しくて少々バテ気味だったので、日曜日の朝はのんびり起きる。窓の外を見ると意外と天気が良い。好天で出掛けないのは勿体ないので、リフレッシュを兼ねて近場の根本山〜氷室山に登ることにする。真夏に登るのに適した山ではないのだが、群馬300山を読んでいて氷室山の項の略地図に記載されている「立石山神」の所在が気になったので、その探索を目的に出掛けて来ました。
車で三境林道入口の駐車スペースに着くと、既に2台の車がある。真夏でも登る人はいるんだなあ。この先の不死熊橋への林道は四輪車両通行止で工事用バリケードが置かれているし、不死熊橋のゲート前の駐車スペースは狭いので、ここに車を停めて歩き始める。道端ではタマアジサイが花を開き、アキアカネが飛び回っている。
不死熊橋で水量の多い根本沢を渡り、ゲートを通って根本沢林道を上がる。中尾根への林道分岐と中尾根の登山口には、以前は道標があったような気がするのだが、今はなくて、ルートが判りにくくなっている。中尾根を登りにとるのは3回目くらい。最初は檜の植林帯を登るが、やがて雑木林の尾根となると石祠が建つ。明治年代の造立のようだ。
露岩も現われて雰囲気の良い雑木林の尾根を登ると、中尾根十字路に着く。ついでに根本山の頂上も踏んでおこうか。短い急坂を登り、緑濃い樹林に覆われた根本山の頂上に着く。ハイカーさんの人影なし、展望もなし。灰色の雲が広がって来たのが気にかかる。雷雲でなければ良いが。根本山から東へ稜線を下って十二山に向かう。
稜線上の明確な踏み跡を下って中尾根十字路からの巻き道と合流すると、十二山根本山神社の跡地に着く。ここも緑陰が濃く、しっとりとした空気に包まれている。
さらに東へ雑木林と笹の稜線を辿って、十二山手前の十字路に着く。右は熊鷹山、左は氷室山への縦走路、正面は十二山(1143m標高点)だ。雲行きが気になるが、十二山を往復したのち、氷室山に向かう。十二山から氷室山への縦走路は、雑木林と笹原に覆われた緩やかな稜線の上にあり、標高も1,100m内外あるから、盛夏でもまあまあ涼しく歩ける。
石標を見て1126m標高点のピークの右を巻くと、中ノ沢を経て黒坂石方面に下る道が左に分岐する。以前、この道を下ったときは、この分岐点にも道標があったのだが(山行記録)、現在はなくて判りにくい。降り口は開けた笹原で、晴れていれば袈裟丸山が眺められるのだが、今日は白い積乱雲に覆われて見えない。この笹原の中に通じる中ノ沢への道は微かな踏み跡に過ぎず、歩く人はごく少ない感じだ。
縦走路が1120m圏のピークを右から巻き始めたところで、立石山神はこのピークの上かな?と推測し、縦走路から外れてピークに登ってみる。疎らな雑木林と低い笹原に覆われた緩斜面を登ると、頂上に大岩が鎮座し、その上に石祠が祀られていた。
岩に攀じ上って石祠を近くから見てみる。風化が進んで銘の類は「九月吉日」くらいしか読み取れない。しかし、これが立石山神であることは間違いないだろう。今回の目的物を発見して、ちょっと嬉しい。虫が多いのには閉口するが、しばし休憩する。
目的は果たしたし、天気が怪しいのでここで引き返そうかとも思ったが、ここまで来たらやはり氷室山まで行くべき、と思って先に進む。宝生山の手前では、西側から林道工事が進展中で、近いうちに稜線に達しそうな様子だった。東側の大戸川からも林道が延びており、将来は林道が主稜線を横断するのだろうか。大戸川源流域の自然環境が保全されるのか、懸念される。
宝生山は巻き、道祖神の石碑を過ぎて、氷室山神社に到着する。ここを訪れるのはもう6回目かな。薄暗い境内に木漏れ日が差し込んで、夕立の心配はなさそう。天気は持ちそうだ。パンを齧って、遅い昼食とする。
氷室山から往路を十二山まで戻る。天気が良くなったので、熊鷹山にも立ち寄ることにする。こちらの稜線も笹原が広がる気持ち良い道だ。氷室山への稜線と較べると、雑木林は若くて細い。最後に短い坂を登って、展望櫓の立つ熊鷹山に着いた。
好展望で知られ、安蘇山塊では人気の熊鷹山だが、今は他に誰もいない。展望櫓を独占して眺めを楽しむ。袈裟丸山や日光連山の展望は水蒸気が多くて望むべくもないが、綿雲が浮かぶ空は青く澄んでいる。南側には安蘇山塊の山並みが広がり、関東平野が遠望される。アキアカネが飛び回り、周囲の樹林の葉も色付き始めて、秋の気配を感じさせる。
軽い山歩きのつもりが、成り行きで長い歩行距離となり、いい感じに疲れて来た。あとは最短経路で下山する。傾いだ木の鳥居を潜り、左へ小戸川への道を分け、次に右に分岐して石鴨林道に下る道に入る。小尾根を急降下し、最後は左の小沢に下って林道に降り着く。ここにも道標がなく、逆コースの際の取り付き点が分かりにくい。
あとは林道を下るのみだ。すっかり晴れて、陽射しが容赦なく照りつける。道脇を流れ落ちる水を飲んだら、冷たくて美味い。やがて十二沢に沿って下る林道になれば、谷間の日陰に入って涼が得られる。途中、両側の斜面が大規模に伐採中(日曜は作業は休み?)の区間があり、様子が一変している。
伐採地を過ぎると、再び渓流沿いの林道となり、ゆっくり下る。中尾根分岐付近で振り返ると、青く晴れ上がった空に真っ白な綿雲が浮かんでいた。三境林道入口の駐車スペースに着くと、外人の家族連れが水遊びに来ていて、BBQでいい匂いのする煙を振りまいていた。
後日談:同日の午前中にげきさかさんも熊鷹山に登っておられた。立石山神のことをMさんに話したところ、訪問したことがあるとのこと。さすが桐生の山の生き字引と感服。