大坊山〜大小山〜玄藩山

天気:
メンバー:T
行程:日光鹿島神社 11:15 …大山祇神社 11:45〜11:50 …大坊山(286m) 12:15〜12:20 …つつじ山 12:30 …山頂番屋 12:55〜13:10 …妙義山(314m) 14:15 …新田山(198m) 15:05 …玄藩山(139m) 15:30 …日光鹿島神社 16:05
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

この数週間は多忙で休日が潰れたため、山歩きの間隔が空いた。その間に季節は着々と真冬へと移り変わって、すっかり寒くなった。ようやく暇ができたこの週末は、厳しい寒波が襲来するとの予報が出ている。天気が良さそうな近場の低山に出かけることにしよう。足も鈍っているしな。十数年振りに大坊山(だいぼうさん)と大小山に登り(前回の山行記録)、さらに大小山南尾根にある足利百名山3座へ繋いで歩いてきました。

桐生を朝のんびりと車で出発。県道桐生岩舟線を走って足利市街を通過し、大久保町の日光鹿島神社の小広い境内に車を置く。まず、神社にお参り。立派な社殿があり、「日光𢈘島神社 海軍中将 鈴木貫太郎書」と書かれた扁額が掲げられている。後日調べると、𢈘(実物は横線が3本)は鹿の俗字。鈴木貫太郎は、聞いたことがある名前だなと思ったら、終戦時の内閣総理大臣でポツダム宣言を受諾した偉い人であった。

日光鹿島神社
毛野小学校前を大坊山に向かう

神社から発って、県道を足利市街へ少し戻る。切り通しを北西からの寒風が吹き抜けて、落ち葉がクルクルと舞い上がる。尾名川沿いの道に入り、大坊山の小粒ながら端正な三角形に向かって歩く。右手には大きくて新しい校舎が立ち並ぶ毛野小学校、奥には毛野中学校が見える。休日だから児童生徒の姿はなくて静まり返っている。

広い車道に出て住宅街を北上。これから辿る大坊山から大小山にかけての山並みをグルリと見渡す。低く近くに見えるので、今日の行程は楽勝かなと思う(が、実は意外と歩き応えがあった)。「←鹿島園」の看板で左折、駐在所の先で右折し、あとは道なりに大坊山に向かう。途中に大山祇神社の石灯籠があり、「初詣」の看板が立てられている。元旦は参拝客で賑わいそうな感じ。「毛野大坊山ハイキングコース案内図」の標識もある。

南麓から大坊山を望む
大山祇神社入口

住宅地を抜け、緩い坂道を蛇行して登ると大山祇神社の駐車場に着く。WCもあり。駐車が多く、大勢のハイカーさんが登っているようだ。既に登頂して帰って来るハイカーさんもちらほら。まあ、もうすぐ正午なので、私の出足が遅過ぎなのである。こちらの社殿も立派だ。創建は平安時代に遡り、かつては大坊山頂上に社殿があったが、1965年に雷火で焼失し、現在地に再建されたとのこと。

大山祇神社の駐車場から
大坊山を仰ぐ
大山祇神社

社殿の右脇から登山道に入る。山腹をジグザクに登り、尾根上に出る。説明板があり、この付近は2001年に山火事で焼けたらしい。つい先日も前仙人ヶ岳頂上(=2014年の大きな山林火災で燃えた跡)で山火事があったし、2月の両崖山の山火事は記憶に新しい。

山腹を登って…
…尾根上に出る

冬枯れの明るい尾根を登り、4基の石灯籠を通って参道石段を上がると、大坊山の広く平坦な頂上に着く。石段や石畳、狛犬、社殿の土台が残っていて、往時の神社の立派さが想像できる。失われた社殿に代わって、奥に小祠がある。芝生に覆われた広場の中程に三角点標石があり、妙に大きく「大坊山頂」と書かれて、前回の山行でも印象に残って良く覚えている山名標識が立つ。山頂からの展望は、少し木の梢に邪魔されるが、西から南にかけて開け、関東平野が一望できる。休憩適地だが、今日は吹きっさらしで寒い。もう少し進んで、風を避けられる場所があれば昼食にしよう。

石灯籠を通って…
…参道階段を登る
大坊山頂上
狛犬と山頂標識

大坊山から北へ向かう。少し下ると岩尾根上の道となり、展望が開ける。行手には長林寺からの縦走路の稜線と、小さく尖ったつつじ山、大岩山〜行道山の山並みを眺め、白く寒そうな雲が頂にかかった赤城山を遠望する。

つつじ山を望む
長林寺からの縦走路に合流

岩尾根から樹林中の道となり、少し登って長林寺からの縦走路に合流。縦走路を右に辿って露岩の間を登ると、つつじ山の頂上に着く。頂上には1基のベンチの他、「足利百名山 第24座 つつじ山」の山名標識がある。前回は素通りしていたが、ピークらしいピークで、360度の展望が得られ、なかなか気分良い頂だ。振り返れば大坊山のおにぎり型の山容を望む。西には眼下にゴルフ場が広がり、その向こうに足利市街や大岩山、行道山辺りの山々を眺める。東にはこれから辿る稜線と、その先に小ピークを連ねる大小山を見る。

つつじ山頂上
つつじ山から大坊山を振り返る
つつじ山から足利市街を望む
つつじ山から大小山を望む

つつじ山から露岩の多い尾根を下って縦走路を辿る。「シルバーコース→」の道標で巻き道を右に分け、左側が切れ落ちた尾根を急登すると、足利鉱山の頂上に着く。北西面は岩壁で、眼下には採石場が広がり、その先に足利から田沼に通じるR293や、樺崎八幡山〜奥山〜寺山の尾根が見える。崖っぷちは転落注意。ロープが張られ、「この先危険につき足元注意 関野建材工業(株)足利鉱山」とのプレートが掛かる。

後日調べると、2021年6月に業者が倒産し、鉱山はもう操業していないようである。

足利鉱山頂上に向かう
頂上から足利鉱山を俯瞰

頂上から手摺にロープが張られた急坂を下る。シルバーコースとの合流点には「←鉱山山頂より大坊山へ 足利鉱山」と記された道標がある。このすぐ下、開けた左斜面に山頂番屋がある。スタッフの方が一人来て居られた。前回は通過したせいか記憶は定かでないが、建物が増えて立派になっているような気がする。展望デッキがあり、そこのベンチをお借りして、パンとペットボトル緑茶の昼食を摂る。日陰で雨水が溜まった桶には厚い氷が張っているが、斜面が風を遮っているので、日向に居ればそう寒くはない。目の前には越床峠から鳩の峰へ至る足利・佐野市境尾根が横たわり、奥には山王山のドーム形の頂が覗いている。仄かに良い香りがするなと思ったら、ロウバイが咲いていた。

山頂番屋
山頂番屋のロウバイ

エネルギーを補給して元気が出た。もう13時を過ぎているので、この先は少しペースを上げよう。縦走路を越床峠に下って、右に足利病院、左にR293の旧道への道を分ける。峠から露岩と松の多い尾根を登る。登り着いたピークには「仮称 越床山」の文字が掠れた小さな山名標識がある。振り返ると足利鉱山のピークと中腹の山頂番屋が眺められる。

越床峠
(仮称)越床山への登り
頂上番屋を振り返る
露岩の多い尾根を辿る

さらに縦走路を辿る。行く手には小さいがツンと尖ったピークが見え、結構下って登り返す。露岩が多く、展望と変化に富む尾根道が続く。右手の谷間に足利病院を見おろし、その向こうに大坊山を望む。登り着いたピークには「あいの山」の小さな山名標識がある。ここも展望が良い。

あいの山頂上
(仮称)毛野山への登り

あいの山を越えて少し下り、次のピークへの登りにかかる。ちょっとした岩尾根となり、「がま岩」の標識のある大岩を越える。登り着いたピークにはベンチと「仮称 毛野山」がある。先客に男性一人(ガイドさん?)+5名程の女性陣のグループが居て、ワイワイ盛り上がっている。振り返ると大坊山から既に結構隔たっていることに気付く。

がま岩(右手前の岩)
毛野山から大坊山(左)を振り返る

少し先で山百合学園へ下る道を右に分け、グループに先行させて頂いて大小山に向かう。小さな段差のある岩場を越え、最後も岩の多い尾根を登り上げて、大小山の最高点、一等三角点標石のある妙義山頂上に着く。

小さな岩場を越える
妙義山が見えてきた

時間帯が遅いせいか、頂上のハイカーさんは一人だけ。展望は360度に開けて素晴らしい。西には大坊山を望む。いやー、結構歩いて来たなー。東には佐野市街や晃石山、三毳山、その向こうに加波山や筑波山の山並みを遠望する。南は関東平野を一望。目を凝らすと冠雪した富士山が薄らと見える。

妙義山頂上
妙義山から大坊山を望む
右最奥は赤城山
妙義山から三毳山、筑波山を望む
妙義山から富士山をズームアップ

一通り展望を楽しんだのち、風が強くて寒いし、この先の行程もそこそこ長いので、後ろからグループの嬌声が迫って来たのを潮時にして山頂を辞す。南へ岩の多い急坂を下り、登り返して大小山(鷹ノ巣山)に着く。振り返ると、妙義山の頂に複数の人影が見える。

妙義山から南へ尾根を下る
大小山頂上

さらに南に尾根を辿り、見晴台・阿夫利神社への道を左に分け、「←大久保町」の道標に従って直進。短い急坂を登ると、ベンチがあって見晴らしの良いピークに着く。振り返ると大小山、妙義山が形良く眺められる。ピークを越え、山百合学園へ下る尾根道から左に分岐してガレ場を横断する。里山ながら岩場が多くて、なかなか楽しめる。

山百合学園分岐のピークからの展望
妙義山(左)と大小山を振り返る
山百合学園への尾根を見おろす
左に分岐してガレ場を横断

次の小ピークにもベンチがあり、展望が良い。ここからは大小山の東面の大小の文字が見える。この少し先のピーク(展望良、ベンチ有)で左に阿夫利神社への道を分け、「←大久保町 電波塔」の道標に従って南西へ尾根を辿る。

大小の文字をズームアップ
阿夫利神社分岐のピーク

ここからはメジャーなコースから外れるが、道型は良く踏まれている。やがて左側にフェンスが現れ、それに沿って尾根道を緩く下る。少し登り返して小さく上下すると、新田山(しんでんやま)頂上に着く。「足利百名山第64座新田山」の標識がなければ通り過ぎてしまいそうな地味な頂だが、未踏の足百をまず一つゲットして嬉しい。

さらに南へ尾根を緩く辿る
新田山頂上

頂上の直下にNHKの小さな電波塔があり、その先の小鞍部で右に山道を分ける。鞍部からちょこっと登ると東に眺めが開けた岩場があり、「足利百名山第65座三足富士」の標識がある。未踏の足百の二つめをゲット。新田山から僅かな距離しかなく、何故この2座が選定されたか、ちょっと不思議。三足富士は別名、浅間山(せんげんやま)というそうなので、富士山関係の宗教モニュメントがあるのかもと思って探してみたが、特になかった。

三足富士(浅間山)頂上
三足富士から関東平野の展望

頂上の僅かに先で道は二手分かれ、直進には「大久保町」、右には「毛野小・中学校」の古い道標がそれぞれあって行き先を示す。ここは右の道へ。若干、藪っぽい雰囲気が出てくるが、下枝が刈り払いされて道型も明瞭だ。傾き始めた陽射しに日没までの残り時間を意識しつつ、なだらかな尾根を辿ると、三角点標石のある玄藩山(げんばやま)頂上に着く。未踏の足百の三つめをゲット。山名標識は古くて文字が消えかかっている。つつじに囲まれて、春は花が咲き、夏は枝葉が繁って煩そうな感じ。冬枯れのこの時期は明るくて、予想外に雰囲気が良い。

毛野小・中学校への分岐にある古い道標
陽射しが傾き始めた大坊山を望む
なだらかな尾根に良い道が続く
玄藩山頂上

ここから南に下れば、車を置いた日光鹿島神社へ最短だが、そちらは密藪に塞がれているので、「毛野小・中学校」の道標に従って下る。さらに良い道が続くが、やがて尾根が拡散して、道型が怪しくなる。適当に直進すると毛野中学校の敷地境界のフェンスに突き当たる。その向こうは高い切土法面だ。フェンスに沿って右に向かい、防獣用の金網(そんなに高くない)を越える。今度は太陽光発電の敷地に入るが、特にゲート等はなく、無事に公道に出る。最後は道が怪しくなった。毛野小・中学校では野外活動とかで玄藩山に登ったりしないのかな。

さらに良い道が続くが…
…毛野中学校に突き当たる
中央付近に出て来た
日光鹿島神社に帰り着く

あとは車道を歩いて日光鹿島神社に帰り着く。そこそこの行程があり、里山ながら鈍った脚には歩き応え十分だった。気温が低くてほとんど発汗しなかったので、日帰り入浴は省略。帰宅して一風呂浴びたのち、最近、桐生市内にオープンした中華料理店で🍺と炒飯の夕食をとった。