雷電山〜高壺山〜天王山
先週末は久し振りの好天に恵まれたが、この週末はまた、どんよりした天気に逆戻り。天気がいまいちでも気安く歩ける近場の低山に出かけることを考える。
先月、八王子丘陵の唐沢山〜高壺山を歩いたとき、縦走路の途中で「南部保育園方面」の道標を見た。そちらへのコースがあるとは初めて知ったので興味を覚え、道標が指し示す山道に入って、246m標高点を越えた辺りまで辿って、引き返した。
あの先がどうなっているかとても気になるので、今度は逆に登り口の南部保育園(正式名称は桐生市立広沢南部保育園)からトレースしてみよう。
このコース(以下、南部保育園コースと呼ぶことにする)については、やまの町桐生に関連記事「雷電山(椿森)」があった。それによるとコース途中の246m標高点は雷電山といい、記事では山麓の雷電神社から登っている。これを参考にして、出かけてきました。
自宅を昼近くに車で出発。途中のコンビニでペットボトル飲料とパンを買って広沢町に向かい、賀茂神社の前の駐車スペースに車を置く。ここに来るのは、神籠(かわご)石を訪れたとき以来で、久し振りだ。まず、鬱蒼とした鎮守の森にある賀茂神社に参拝する。創立年代は不詳だが、延暦十五(796)年に官社に列せられたという由緒がある神社だ。
賀茂神社から東へ車道を歩き、加茂入沢を渡って、T字路を右折。山に向かって進み、ゆるく左カーブすると左に木造の建屋がある。ジャングルジムも見えるから、これが南部保育園のようだ。保育園を過ぎると、車道は鍛治ヶ入沢に入って、新しい砂防堰堤が現れる。
雷電神社は左岸の山中にあるはずだが、ここまで来ても参道入口らしきものは皆目見当たらない。仕方なく、砂防堰堤の少し手前で左岸の斜面に取り付く。雑木と竹の林に覆われて、深い藪はないが蜘蛛の巣と藪蚊が多く、腐葉土にでかいキノコが大量に生えて朽ち果てており、薄暗くジメジメしてあまり気分は良くない。訪れる季節を間違えた。そんな山林の中に雷電神社の小さな社殿を見出す。神社の周辺にも参道の痕跡はなく、参拝者が途絶えて廃れた雰囲気が濃い。
雷電神社から裏手の尾根を登る。藪はないが道型も全くない。上から南部保育園コースを辿ったときは道型が明瞭だったから、その続きがこの尾根に通じていないのは確実だ。枯れ木の枝で蜘蛛の巣を払いながら、とにかく上へ向かう。やがて、鍛治ヶ入沢右岸の尾根と合流して小ピークに登り着くと、明瞭な山道に出た。前回はこのピークまで来ている。
山道を辿って尾根を下ると、南部保育園の正門の真ん前に飛び出た。山道の入口は草藪に隠され、道標の類もないから、ここが南部保育園コースの登り口だとは、そうと知っていなければ全く判らないだろう。登り口が判明し、疑問が解消してスッキリした😀
南部保育園は、緑深い山際に小さなグラウンドを囲んでレトロな木造の園舎が建ち、子供が喜んで遊びそうな所だ(今日は休日なので園児はいない)。正門前の路側には10台程度駐車可能だが、保育園で利用しているようなので、平日の駐車は避けた方が良い。
ここから改めて南部保育園コースを登り始める。藪は入口だけで、低い尾根上に良い山道が続く。右下には木立を透かして鍛治ヶ入沢の砂防堰堤が見えている。
途中、木立が切れて陽当たりの良い個所は藪っぽい。急斜面に差し掛かり、ジグザグを切って登ると先程の小ピークに着く。ここからは雑木林に覆われたなだらかな尾根となり、小さくアップダウンして進む。登り始めに聞こえていたR50からの走行音も消え、里山にしては奥深い雰囲気がある。
雷電山の頂上(246m標高点)は平坦で、ピークは判然としない。その先に平たい大岩(展望岩)があり、木立の切れ間から八王子丘陵主脈の菅塩峠や、その向こうの関東平野が見える。少し陽が射して、ツクツクホーシやミンミンゼミが盛んに鳴いている。さらに尾根を辿り、主脈上の縦走路に合流する。ここには、今回の山歩きの切っ掛けとなった「南部保育園方面」と「展望岩250m」の道標がある。
合流点から縦走路を西へ辿る。縦走路は幅広く、両側の下生えも広く刈り払いされて蜘蛛の巣もなく、気持ち良く歩ける。程なく高壺山の頂上に到着。ベンチに腰掛けて、ペットボトルのお茶とパンの昼食を摂る。
昼食後、縦走路をさらに西へ進む。菅塩峠で左に(前回歩いた)菅塩沼への道を分けて、直進。良く整備された縦走路を辿る。
やがて急な木の階段が現れる。これを登り切るとベンチと道標があり、縦走路は右に折れる。この地点に「日向山」の古い道標がある。左(南)の枝尾根に通じる踏み跡を少し辿ると日向山二柱神社で、御影石の鳥居と2基の石祠が菅塩沼の方を向いて建つ。石祠には数十枚の一円玉がお供えされている。雨続きだった所為だろう。地面には黄色くて大きいキノコがたくさん生えていて、ちょっと気味が悪い。
縦走路上の日向山頂上に引き返すと、もう一つ古い道標があることに気が付く。文字は掠れて「唐沢山…歩く会」とのみ読める。この道標は八王子丘陵縦走の際も見た記憶がある。元は「唐沢山(石尊山)桐生倶楽部歩く会」と記されていたらしい。当時とは縦走路が整備されて様変わりしているので、昔の物が痕跡でも残っていると懐かしい。
縦走路はこの先で、天王山・八王子公園墓地への道を左に分ける。天王山まで僅かな距離だから、立ち寄って行く。立派な歩道を緩く下り、鞍部から斜面を急登。広く平坦な尾根に出て少し進むと天王山頂上で、三角点標石と「標高太田市第3位」と記された山名標識がある。すぐ西側にゴルフ場があるためか、拾われたロストボールが数個、三角点標石にお供えされている。樹林に囲まれて展望皆無。長居せずに引き返す。
縦走路に戻って籾山峠方面に向かう。当初は、縦走路の途中から分かれて愛宕山(221m標高点)への枝尾根に入り、賀茂神社に戻ることを考えていた。しかし、縦走路北側の岩石採取場の範囲が広がったらしく、枝尾根の入口付近にはトラロープが張り巡らされ、立入禁止となっている。仕方ない。籾山峠に抜けて、車道を歩いて賀茂神社に戻ろう。
意外と尖ったピークの245m標高点へ、木の階段道を急登する。頂上を越えるとなだらかな尾根となり、左下の県道から車の走行音が聞こえてくる。ここで、犬を連れたソロハイカーさんと交差する。階段道を急降下し、小さな沢沿いに下ると県道に出る。以前は、沢筋にタイヤが不法投棄されていて、最低最悪の雰囲気だったが、縦走路が整備されて、きれいさっぱり片付いている。
あとは車道を歩く。すぐに籾山峠を越え、右に広大な岩石採取場を見る。入口の岩石採取標識によると粘板岩を採取しているとのこと。坂道の途中から桐生市街を眺めると、濃い緑に覆われ、灰色の雲が垂れ込める鳴神山稜を背景として、山ん中だなーとの感が深い。
南公園の中に少し入ったり、その下の新興住宅街にちょっと迷い込んだりしたのち、山麓に下って山際の車道を歩く。途中、彦部家住宅や桐生自動車博物館(コロナ禍のため休館中)の前を通って、駐車地の賀茂神社に帰り着いた。