唐沢山〜高壺山
秋雨前線が停滞し、この週末もどんよりした天気。前回に引き続き、近場の里山歩きで八王子丘陵に出かける。太田市HPの里山散策の八王子丘陵ハイキングMAPを参考にして、菅塩沼から唐沢山と高壺山を周回して登ってきました。
桐生を車で出発。途中、コンビニでパンとペットボトルのお茶1ℓを買い、籾山峠を越えて菅塩沼まで約30分。沼の西岸の駐車場に車を置く。結構、駐車が多くてビックリ。人気のスポットだ。ジョギング、ハイキング、散策の人や、岸辺に釣り人をちらほら見かける。
WCを済ませ、デイパックに食料と折り畳み傘を入れて歩き出す。曇って日差しがないので気温は高くないが、湿度が高くて風がなく、肌が水の膜に覆われたような感じがする。
菅塩沼の堰堤を渡って、東岸に向かう。堰堤には桜並木がある。桜の名所として知られているそうだが、今日はもちろん緑一色。堰堤から沼を見渡すと、鬱蒼と樹林が繁る低山に囲まれて、なかなかの自然景観。釣りをしている若いカップルが居て、女の子の方からこんにちはと挨拶される。ええ子やなー。
東岸を上流に向かうと「石切場1,2 キャンプ場→」の道標があり、右に遊歩道を分ける。上流にも段々に二つの池がある。岸辺には釣り用の小さな桟橋が多数あるが、こちらには釣り人はいない。その一つから池を覗き込むと、コイらしき魚がたくさん、口をパクパクさせながらワラワラと寄って来た。これ、釣りをしたら入れ食いで釣り放題ではなかろうか。なお、菅塩沼で釣りができるのは、菅塩沼釣友会の会員限定とのことである。
最上段の池は水が濁って藻が繁茂し、ワカメ入りコーンスープのようになっている。一角にハスが群生し、花が綺麗に咲いている。まさに「泥中の蓮」である。
西岸に戻り、谷を奥へ。菅塩峠へのハイキングコースを辿る。道端の草むらにツルニンジンの花を発見。花びらの先端が五裂して、クルッとカールしている様子が可愛い。
程なく「東屋・展望台まで450m→」の道標があり、右に分岐する道に入る。入口は草茫々でジャングルに踏み込む気分がするが、踏み跡がしっかりあるし、すぐに藪を抜け、舗装された遊歩道となって山腹を登り始める。道端にはお馴染みのヤブランが多い。
遊歩道は山腹を蛇行してゆるゆる登る。じっとしているだけでも蒸すが、登りでますます発汗し、特にズボンが腿に張り付いて気持ち悪い。舗装が尽き、小尾根を乗り越す所に展望台と東屋がある。周囲の樹林が成長し、展望がなくなってしまったのは、展望台あるある。落葉した季節には眺めがあるのかも知れない。
東屋・展望台に「北金井合流部まで300m→」の道標がある。先に進むと分岐点があり、左は菅塩側に周回して戻って行く遊歩道、右の道は尾根をちょいと乗り越して北金井側の遊歩道に接続する。ここが「合流部」らしい。
北金井側の遊歩道には「←北金井砂防ダム方向 北金井キャンプ場方向→」の道標があり、左右に道が別れる。左は登り、右は下りなので、ここは足が自然に向いた右の道へ。再び舗装された遊歩道となり、東屋が現れる。
短い距離だが草藪の間の細道を抜け、カマボコ型のバンガローの脇を通ると北金井キャンプ場に着く。キャンプ場と言っても、炊事場には立入禁止のトラロープが張られ、キャンプ場の一般貸出はしていない旨の張り紙があり、利用されなくなって久しい様子。すぐ下手には広い駐車場とWCがあり、こちらを起点に歩くのも都合が良い。
ハイキングMAPによると、途中に雷電宮という石祠があるはずで、見てみたかったのだが、先程の分岐で道を間違えたため、見逃したようだ。距離は大してないので、雷電宮を通って下って来る道を逆に辿って、見逃した雷電宮を見て来よう。
キャンプ場から谷を上流に向かう。すぐに溜め池があり、鬱蒼と繁る樹林が周囲に迫り、ミニ秘境の趣がある。岸辺にはキンミズヒキの黄色い花や、朝顔に似た小さく赤い花が咲いている。後日調べると、赤い花の方はマルバルコウという帰化植物らしい。
さらに谷を奥に進むとY字路があり、右の道はもう一つの溜め池に通じ、「砂防指定地 慈眼寺沢」の看板がある。ここは左の道へ。陽当たりの良い道は草が深い。樹林の日陰に入ると草藪は消え、左に折れて枝沢沿いの急坂を登る。
やがて、道は尾根上に出る。この辺に石祠があるのかと思って探し回るが、見つからない。北に向かう踏み跡があり、辿ってみる。これは高壺山に通じているようで、頂上直下まで行ってしまった。遊歩道に戻り、先に進むと急坂を下って、合流部の分岐点まで行き着く。石祠、見つからないなあ。どこにあるんだろう。
仕方ないので引き返そう。大汗をかいて急坂を登り、尾根を越えて沢に下る。すると、谷間の斜面に建つ石祠を発見\^o^/。大木の幹の陰になっているため、行きには見逃していた。大きめの石祠で、塔身には「奉建立 雷電宮」「寛政十戊午(1798)年 願主金井惣邑中」の銘がある。いやー、見つかって、良かった良かった。
次は唐沢山に向かう。ここからだと、高壺山に登って唐沢山を往復するのが早いが、予定のコースを辿るため、キャンプ場に戻る。駐車場の一角から未舗装の車道に入る。関係者以外立入禁止の看板があるが、問題ないだろう。この道は、上にある電波塔の施設管理道路だそうだ。林間を大きくカーブしつつ、ゆるゆると登る。右手(南)にはゴルフ場があり、途中、垣間見える。林間には篠竹が繁茂し、人里近い単なる藪山で味気ない。
簡易舗装の道となって山腹を登ると、左に幅広い山道が分岐して、「八王子丘陵ハイキングコース」の道標がある。唐沢山へはこちらだが、電波塔まで行ってみよう。管理道路を辿って山頂に到着すると、頑丈で施錠された柵の中に建屋はあるが、その上の電波塔はない。R50を行き来する際に見た記憶があるのだが、いつの間にか撤去されていた(後日調べると、久しく使われておらず、2019年頃にとうとう撤去されたらしい)。
分岐まで戻り、ハイキングコースに入る。すぐになだらかで広い尾根上に出ると「太田市北部運動公園 4.6km→」道標があり、右に山道を分ける。唐沢山は左へ。巨大な送電鉄塔の下を潜る。送電線の延びる先に見えるピークは天王山(243m)のようだ。青空が少し広がり、陽射しが当たって最高に蒸し暑い。天王山まで行く予定だが、無理な気がしてきた。
広くなだらかな尾根の上に整備された山道が続き、ゆるゆると上下して八王子丘陵の縦走路に合流する。この縦走路は一度、2008年2月に歩いたことがある(山行記録)。その後、縦走路も整備されて、合流点には当時なかったベンチや立派な道標が出来ている。
前回は低木の小枝がちょっと煩かったが、道の両側の灌木が伐採されたようで、すっきりした林間を登ると、一等三角点標石のある唐沢山頂上に着く。ここにも立派な山名標柱と東屋が出来ている。石祠は健在だ。相変わらず樹林に囲まれて、展望はない。北面は急斜面で渡良瀬川に落ち、R50を行き来する車の走行音が微かに聞こえてくる。
東屋で休憩して、ペットボトルのお茶をがぶ飲み。パンを食べて昼食とする。少し休んだのち、縦走路を戻って西に向かう。低木が刈り払われて開けた林内には、カラカサタケの幼菌がニョキニョキ突き出ている。運動公園方面への分岐を過ぎ、菅塩峠への縦走路を辿る。何もない林の中に、どう見ても女子WCの謎の標識を見かける。意味わからん。
途中、北に派生する尾根上に山道が分岐し、「南部保育園方面」「展望岩250m」の道標がある。展望岩に興味を引かれ、寄り道して、そちらに行ってみる。ツツジ類の低木の間に山道が通じ、クモの巣が多いが、道型は明瞭だ。
いくつかの小ピークをアップダウンすると、平べったい大岩があり、南西の菅塩峠辺りの稜線が眺められる。これが展望岩かな。今日は靄って見えないが、遠目が利く時期には、道標に示されているように富士山まで見えるのかも。尾根道をもう少し先まで辿ってみたが、岩や見晴らしのある場所は他にないので、ここが展望岩で間違いなさそうだ。
縦走路に戻り、先に進む。小さく上下すると高壺山に登り着く。南に下る山道には「←北金井キャンプ場方面 南菅塩方面」の古い道標があり、結構利用されているようだ。寄り道でちょっと疲れたので、ベンチに腰掛けてお茶を飲む。残りは少ない。やはり、天王山はなしだな。菅塩峠から下ることに決定。
高壺山から縦走路を緩く下り、深い切通しをジグザグに下りて菅塩峠に着く。地形図では実線が通る峠で、実際、南には幅広い遊歩道が下っているが、北の峠道は「賀茂神社→」の古い道標があるものの、道型ははっきりしない(ネットで検索すると、通行は出来るようである)。
サクッと菅塩沼に下りましょ。最初は簡易舗装の歩道で、少し下ると渓流沿いの幅広い未舗装道となる。傾斜が緩く、散歩向き。北金井合流部への道を左に分け(道標あり)、東屋・炭焼窯跡を通る。往路に通った草茫々の道を左に見送り、程なく菅塩沼の駐車場に帰り着く。まだ、正午を少し回った時刻だが、車の数は減って3台しか残っていない。涼しい朝の内だけ活動して帰る人が大半のようだ。
今日は里山をほっつき歩いて、結構歩いた。盆休み以来、椅子に座っている時間が長かったせいか腰痛気味だが、歩いていると痛くなくて絶好調。やはり運動しないとダメだな。
菅塩池の堰堤には自転車に乗った子供達が集まっている。遊びに来た地元の子だろう。夏休みらしいねえ。コンビニに立ち寄ってアイスと缶ビールを買ったのち、自宅に帰った。