七沢森林公園・白山
横浜の実家のS&Sに「GWは帰省するので、近場でドライブがてらうまい昼飯を食べに行こう」と提案して店の選定をお願いしたら、昼食のかわりに東丹沢の飯山温泉で一泊の予約を取ってくれた😃。
自家用車で出かければ、もとより移動中の人との接触は最低限しかない。飲食店もだが、行政の許可を受けて営業している宿泊施設はしっかり感染対策をしているので、問題ないだろう。という訳で、久しぶりの温泉旅行に出かけて、軽い山歩きを楽しんできました。
七沢森林公園
4/29(祝)は午前中に仕事。4/30(金)に休暇を取り、昼過ぎに車で出発して、実家に直行する。夕食には好物の鰻蒲焼が出る。
翌朝、実家を車でのんびり出発。R246で厚木方面に向かう。例年のGWの酷い渋滞こそないが、車は結構多い。
厚木市街から県立七沢森林公園に向かい、途中のコンビニで昼食のパンと飲み物を仕入れたのち、森林公園の中央口駐車場に車を置く。ここも駐車は結構多い。WC有。休日は有料で、普通車530円。駐車料金を係員に支払うと、公園の案内図が貰える。所要時間ごとに四つのモデルコースが掲載されていて、実に便利だ。所要時間約60分のコースを参考にして歩くことにする。
車道を緩く上がって、「森のかけはし」と称する歩道橋を潜る。橋の下にはシャクナゲが植栽されていて、ちょうど満開だ。園芸種と思うが、花びらや蕾がプリップリと厚くて瑞々しく、ゴージャスで見応えがある。
橋を潜ってすぐ左の谷間が公園の表玄関となる「であいの広場」で、奥には鯉のぼりや公園管理事務所の建屋が見える。そちらには行かず、車道を渡って反対側の幅広い歩道に入る。この歩道はBBQ場に向かうので、食材を抱えたと思しき家族連れが行き来している。
途中でBBQ場への道から分かれ、階段道を登ると「おおやま広場」と称する広場に出る。その名の通り大山を正面に望んで、緩斜面に芝生の広場が広がる。新緑に囲まれ、薫風が吹き渡って、実に気持ち良い。ベンチに腰掛け、パンとペットボトル飲料の昼食をとる。
おおやま広場の周囲にもシャクナゲ園があり、濃い紅、ピンク、斑点のある紫(ブルー・ピーターという名札が付いていた)など、色々な種類のシャクナゲが咲いている。
広場を取り囲む樹木の中には花をつけているものがある。クリーム色で大きく目立つ花を付けた木は、後日調べたらホオノキであった。ホオノキの葉は山歩きで良く見かけるし、朴葉焼きにも使われていて馴染みがあるが、花がこんなに見事とは、初めて見知った。
おおやま広場から枝尾根上の歩道を登る。公園内の歩道はどこも良く整備されていて、老若男女誰でも楽に歩ける。程なく南北に延びる主尾根に登り着くと東屋があり、こもれびの丘という看板が架かっている。
東屋から、主尾根上の遊歩道を北に向かう。小さなアップダウンはあるが、楽で歩き易い。右(東)側は急斜面で、雑木林を透かして下を見ると住宅地が広がっている。
やがて、「もみじ展望台」と称する展望テラスのある小ピークに着く。東には関東平野の眺めが開け、南東には緑に覆われた丘陵が横たわる。この丘陵は高松山で、今回の旅行で登る山の候補に数えている。中腹に立ち並ぶビル群は、森の里青山の研究所や大学だ。
余談だが、森の里青山には、青学の厚木キャンパスがあった頃、某研究所の見学会で訪問したことがある。そのときは本厚木駅から路線バスに長々と乗車してようやく辿り着き、すごい山奥にキャンパスがあるなあ、と思った(案の定、厚木キャンパスは学生・教職員に全く不人気で、2003年に閉鎖された)。強烈に辺鄙だった記憶があるが、こちらから眺めると、そこまで山奥でもないか。いずれにしても懐かしい。
(さらに余談だが、強烈に辺鄙なキャンパスと言えば、東京理科大の長万部キャンパス。昔、旅行の途中で立ち寄ったことがあるが、心底たまげた^^;)
さらに尾根道を辿ると、教会風の東屋のある「ながめの丘」に着く。森林に囲まれて、もみじ展望台に比べると眺めの方角は狭くなるが、広場にベンチが設置されて休憩適地だ。
ここから駐車場へ「沢のさんぽ道」を経由して戻るつもりであったが、下り口に「落石のため通行止!」の標識があり、まさかの通行止。別の道を下るため、もみじ展望台の近くまで戻ることに。しかし、下り口の巡礼峠には石仏や石碑があり、由緒ありそうな雰囲気のある峠だったので、峠まで行けたのは結果オーライだ。
もみじ展望台の手前で下山ルートの「森の小道」に入り、杉林をトラバースして下る。林間にはウツギの白い花が群れて咲いている。左にシャクナゲ園と芝生公園を見て枝尾根を直進。短い階段道を上がると「ななさわの丘」の頂に出る。ベンチがあり、丈の低いツツジ(花はもう終わっている)の植え込みに囲まれて、ここも大山の眺めが良い。
ななさわの丘から階段道を下ると、森のかけはしの袂に着く。右に階段を降りれば中央駐車場への最短路だが、左に歩道を辿って、もう少し園内を歩く。なだらかな坂道を上がると、谷間に「野外ステージ」と称する気持ち良い芝生広場が開ける。
急な階段をジグザグに下り、チョロチョロと水が流れる谷に出る。和風な園地と森の民話館の前を通り、であいの広場に着く。これで森林公園内をほぼ一通り歩いたことになる。
七沢森林公園は、都市近郊の小さな丘を想像していたが、成長した自然林に覆われた、存外に山らしい山だった。園内の歩道や広場は非常に良く整備されていて、快適に歩けた。レクリエーションのスポットとして、誰にでもお勧めできる。
七沢森林公園から車で、今夜の宿の飯山温泉元湯旅館に向かう。元湯旅館は白山の北東山麓、県道から少し奥まった渓流沿いにひっそりとある宿だ。客室は蔵のような造りの離れで、カジカが鳴く池に面している。
宿に着いた頃から雨粒が落ちてきて、一風呂浴びて客室に戻る頃には雷鳴と共に大粒の雨が池の水面を叩き始めた。風情があって良いねえ。感染対策のため、酒を飲む客の夕食は部屋食となる。贅沢だねえ。久しぶりに旅先でのご馳走を満喫した。
白山
翌朝は、再び快晴となる。元湯旅館をチェックアウトし、すぐ近くの飯上山長谷寺(飯山観音)に向かう。今日は、飯山観音から裏山の白山に登る予定。
飯山観音入口の交差点で右折して朱塗の欄干の橋を渡り、「飯山白山森林公園へようこそ」と書かれた鳥居風のゲートを潜る。山間の車道を上がり、飯山観音の参道入口の広い駐車場(500円)に車を置く。WC有。朝早いので、他の駐車はまだ少ない。
木の香が新しい山門を潜って参道石段を登ると、イヌマキの大木がある。振り返ると山門の屋根越しに関東平野が眺められる。もう一息、石段を登ると、白亜の石灯籠が建ち並ぶ境内に着いて、奥に本堂が建つ。背後は大きな樹林に覆われて、深い緑が美しい。
本堂の左脇から白山の登山道に入る。すぐにY字分岐となり、右が枝尾根伝いの男坂、左が沢沿いの女坂で、どちらも白山頂上に至る。ここは男坂へ。入口に「ヤマビルに注意して下さい」とデカデカと書かれた看板があるが、今の時期はまだ大丈夫だろう。
防獣フェンスのゲートを通過し、樹林に覆われた枝尾根上の階段道を登る。昨日の七沢森林公園に比べると勾配がきつく、標高差もあってS&Sにはちょっと厳しい。しかし、コースタイムの倍くらいの時間をかけて休み休み登り、ついに頂上稜線に登り着く。
頂上稜線を右(北)へ進む道は、桜山(280m)を経由して周回する登山道だ。白山頂上は左へ僅かに進んだところで、三角点標石とベンチ、展望台がある。展望台から俯瞰する山麓は宅地開発が進んでいるが、緑が多くて、田園風景が残っている。
復路は女坂へ。尾根上の細い山道を下る。樹林中には緋色のヤマツツジの花が満開。家族連れのハイカーさん数組と交差する。
少し下った地点で、尾根を直進して見はらし坂経由で長谷寺に向かう道と分かれ、左に分岐して女坂経由で長谷寺に向かう道に入る。この道は山腹の樹林帯をトラバースし、階段を下って小渓谷沿いの道となる。最後は平坦な道で、山野草を眺めつつ、のんびり歩く。
見はらし坂からの道を合わせ、防獣フェンスのゲートを通過すると、飯山観音の本堂に帰着する。
白山は標高が300mに満たない低山だが、思いの外、深い森林に覆われて、山らしい山歩きができた。行程が2時間弱と短く、まだ午前中だが、S&Sはお疲れなので、今回の山歩きはこれで終了。午後に考えていた高松山は、またの機会ということで。
帰りは高松山の南麓を通り、途中で蕎麦屋を見つけて昼食に立ち寄る。店先から仰ぐ大山はキリッと整った金字の山容で、名山の風格がある。今日も頂上は大勢のハイカーさんで賑わっているだろう。蕎麦を食べたのち、R246を経由してサクッと横浜の実家に帰った。