赤岩山〜古賀志山〜鳥屋山

天気:
メンバー:T
行程:林道内倉線 8:25 …北ノ峯(433m) 9:00〜9:25 …赤岩山(535m) 10:00 …中岩(546m) 10:40〜10:45 …御嶽山(560m) 11:10〜11:45 …古賀志山(583m) 12:00 …班根石山(559m) 12:35 …540mP 13:20 …鳥屋山(444m) 14:35〜14:50 …林道内倉線 15:20
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

先月、次石山に登ったとき、東にギザギザの稜線を連ねた古賀志山を眺めて、このギザギザ(=古賀志山〜赤岩山の稜線)を歩いてみたくなった。古賀志山には一度、2011年11月に登っているが、御嶽山から先の赤岩山への稜線は岩場が多い難路とのことなので、そのときはチャレンジしていない。

改めて古賀志山〜赤岩山の縦走についてネットで調べているうちに、「古賀志山を守ろう会」のサイトに辿り着く。このサイトの古賀志山についての情報は大変充実していて、とても参考になる。その中から「古賀志山周辺地図」(以下、周辺図と略)を印刷させて頂いて携帯し、赤岩山→古賀志山→班根石山(559m標高点)→鳥屋山(444m標高点)と稜線を繋ぐ、いわゆる馬蹄形コースを歩いて来ました。

桐生を車で出発。高速を鹿沼ICで降り、古賀志山を眺めながら県道宇都宮今市線を走る。今日は快晴で、青空に赤岩山から御嶽山への稜線がくっきりと浮かぶ。赤岩山と中岳の間には小岩峰があり、その右側が切れ落ちているのが見える。あそこは難所がありそうだ。

「宇高学校林入口」の看板で県道から右折、未舗装の林道内倉線に入って、白石川の広い谷に出る。(現地の看板によると)平成27年9月関東・東北豪雨で白石川上流に大規模な山崩れが発生し、流出した大量の土砂が谷を埋めた、とのこと。災害復旧工事が行われて床固工(低い堰堤)が完成しているが、災害の爪痕がまだ生々しく残っている。

工事関係の広い空き地があり、その隅っこに車を置く。明け方に桐生を発ったときは風が強くて寒かったが、今は治まって暖かい。フリースはザックにしまって、歩き出す。

南麓から望む古賀志山主稜線
左から赤岩山、中岳、御嶽山
林道内倉線の駐車スペース

林道を奥に進むとすぐに十字路となり、直進方向は「関係者以外の立入禁止」のプレートと共にチェーンで閉め切られている。守ろう会が設置した道標があり、「←腰掛岩・P444 ↑富士見峠 北ノ峯・赤岩山→」と記されている。ネットの古い山行記録に「西登山口」とあるのは、ここのことかな。今日は右の道から白石川上流域を稜線伝いにグルッと周回し、左の道からここに戻ってくる計画である。

右の道に入って土砂が堆積した涸れ川を渡り、笹藪の切り開き道を進むと、新しい林道に出る。こちらの林道もこの奥は通行止。林道の対面は枯れ草藪に覆われて道が見えないが、突っ切ってピンクテープから林内に入ると、明瞭な道型が現れる。

林道内倉線の十字路
左は鳥屋山、右は北ノ峯へ
林道を横断して正面へ

笹とシダ、アオキが繁茂する檜林を緩く登るとT字路となり、左折。程なくプレハブの作業小屋が現れる。小屋の横手を登ると段々傾斜が増して、露岩の多い急斜面の下端に着く。右に道が分かれ、小さな道標に「↑北ノ峯 →無縫塔経由籠岩」とあるので、無縫塔に寄り道してみよう。

岩壁の基部を登って行くと岩洞があり、中に卵形の石塔が安置されている。これが無縫塔だ。石塔に近寄ろうとしたが、登るのが難しい岩場の上にあり、断念。それにしても、ここの岩壁は凄い。高さは30mはありそう。幾重もの岩層が大きく褶曲して、固い岩なのに躍動感があり、芸術作品のようだ。

作業小屋の脇を通る
無縫塔

山道は無縫塔の先へさらに続いているが、分岐に戻って北ノ峯へ向かう。低木帯で岩場混じりの急斜面の登りとなり、新しい鎖が張られた所もある。振り返ると白石川の谷を隔てて、鳥屋山の蒲鉾形の山容が眺められる。

岩場混じりの急登
振り返って鳥屋山(右)を望む

急斜面から枝尾根の上に出て、岩場を交えた尾根を登ると、三角点標石のある北ノ峯に着く。白く雪に覆われた日光連山や、次石山、かまど倉など前日光の山々を見渡し、山麓の集落を俯瞰する展望が開ける。

北ノ峯頂上
北ノ峯から日光連山を望む

周辺図を見ると籠岩は遠くないので、立ち寄ってみよう。低木帯の尾根を下った小鞍部に道標があり、林道背中当線と無縫塔の二方向からの道と合流する。籠岩は尾根を直進してすぐ先の大岩だ。岩の上に登ると眼下に山麓の田園風景が広がる。この先にも岩稜と尾根が続いているが、切り上げて北ノ峯に引き返す。

籠岩手前の小鞍部
左:林道背中当線、右:無縫塔
籠岩

赤岩山に向かって主稜線の縦走を開始。ソロハイカーさんとすれ違う。岩場が多い急斜面を登ると、早速、鎖場が現れる。これは楽勝。行く手には稜線から右(南)に突き出た岩場が見え、その天辺には人影がある。あれが猿岩らしい。

主稜線の縦走を開始
最初の鎖場
猿岩の天辺に人影

小岩峰を越えて短い鎖場を下り、杉林に覆われた急な尾根を登る。右の枝尾根に向かって斜面を横切ると、猿岩の基部に着く。刃先のような鋭い岩塔で、左側は切り立った岩壁となっている。右のバンドを伝って岩の上に出られるが、バンドの下は高く切れ落ちて、一歩誤ればアウト😱。天辺からの眺めを楽しんだのち、慎重に戻る。

猿岩
猿岩の天辺からの眺め
二股山(左)と次石山(右)

猿岩から岩尾根を絡んで登り、風雷神社口からの登山道を右から合わせると赤岩山の頂上に着く。小広い頂上は樹林に囲まれて、展望は北側に鳥屋山が見える程度。地味な頂だが、険しい縦走路中にあって、気が抜ける所でもある。

風雷神社口分岐
赤岩山頂上

頂上の少し先にはパラグライダーの離陸地の跡が残っている。ここから檜植林帯の滑り易い急斜面の下りとなり、さらに岩稜を鎖で下る。中岩との最低鞍部からちょっと登りに転じたところに二つの奇岩が並び立ち、「二尊岩」の道標がある。

パラグライダー離陸地跡
岩稜の鎖場
二尊岩
小岩峰への登り

二尊岩から岩尾根を辿って、小岩峰の天辺に登り着く。南麓の田園と集落を俯瞰する爽快な眺めが広がる。遠景に目を凝らすと、谷倉山の左肩に白い富士山が霞んで見えた。

小岩峰から山麓を俯瞰
谷倉山の左肩に富士山を遠望

小岩峰の先は、山麓からも見えたギャップとなって切れ落ち、向こう側には岩壁が聳り立つ。どこをどう登るのかな。岩壁の上端には鎖が架かっているのが見えるが、その下は分からない。まあ、行ってみてのお楽しみだ。

ギャップへの下りは岩場に張った木の根が手掛かり足掛かりとなって容易。ギャップの底から岩壁を見上げると、左側のルンゼ状に新しい鎖が張られている。

ギャップの向こう側の岩壁
ギャップの底から岩壁を仰ぐ

鎖場をグイグイ登って、岩壁の上に出る。ギャップを見おろすとかなりの高度感だ。こんなに顕著なギャップでも地形図では表現しきれず、読図だけでは存在が読み取れない。鎖の上端には「古賀志山を守ろう会 2016.10」のプレートが付いている。1年置き位の日付の刻印もあり、定期的に点検もなされているようだ。大変に有難い(他の鎖や道標、山名標についても、守ろう会が認可を得た上で設置しているそうである)。

小岩峰を振り返る
中岩の頂上へ

岩場を交えた稜線を緩く登ると、中岩の頂上に着く。三方に展望が開け、東西に延びる主稜線を見渡し、南麓を俯瞰する眺めが素晴らしい。行く手には御嶽山を望み、その頂上に人がいるのが判る。向こうからも、こっちが判るかな。その右側の尾根は切れ落ちている。「周辺図」によるとあの尾根にもルートがあるらしい。面白そうだな。さらに右奥には、まったりした山容の多気山を望む。

中岩頂上
中岩から赤岩山を振り返る
中岩から御嶽山を望む
中岩から多気山を望む

中岩から南麓に向かって急角度で落ちる支尾根にも、「周辺図」によると雨乞岩、中当山などの地名があり、こちらも大変興味を引かれる。

中岩から南麓を俯瞰
御嶽山(右)と古賀志山北陵を望む

中岳の頂上は休憩適地で、昼食にしようかなとも思ったが、時間が早いので、御嶽山まで行って昼食にしよう。主稜線を進むと眺めの良い岩稜となり、御嶽山の左に、今日これから辿る古賀志山の北稜が眺められる。主稜線はこの先で岩壁となって切れ落ちる。岩壁の上部にはボルトが連打されていて、かつてはロープを出して通過した場所らしい。現在は新しい鎖が架り、下り口へのトラバースは高度感があるが、容易に下ることができる。

鎖場の下り
下って来た鎖場を振り返る

この先は安穏な山道となり、左へ林道内倉線に降りる西尾根コースを分ける。樹林帯の尾根を緩く登ると道標があり、右に瀧神社・雨乞岩・中当山への道を分ける(このコースは「周辺図」に未掲載)。御嶽山に向かうと、子供とお母さんグループの一団とすれ違う。もちろん、瀧神社に下るのだろう。

御嶽山頂上
御嶽山の石祠
弘化三(1846)年木曽御嶽山勧請

程なく、御嶽山に到着する。前回(9年前)はここにベンチがあり、ハイカーさんで大賑わいだった。あのベンチは、無認可で勝手に設置された物だったらしい。現在はベンチが撤去され、新たに展望案内図が設置されている。休憩しているハイカーさんは数組程で、比較的空いている。岩陰に腰を下ろし、ガソリンコンロで鍋焼きうどんを煮立てて昼食とし、冠雪した日光連山を眺めながら熱々のうどんをハフハフと美味しく頂く。

御嶽山の展望案内図
御嶽山から日光連山を遠望
御嶽山から赤岩山を振り返る
御嶽山から古賀志山北陵を望む

御嶽山からしばらくは大勢のハイカーと交差する。古賀志山の頂上にはベンチが多数あり、御嶽山よりも休憩中のハイカーさんが多い。樹林に囲まれているが、南面は少し開けて山麓の眺めが得られる。ここの山名標識も「守ろう会」が設置した新しく立派なものだ。頂上の様子を数枚撮って、先に進む。

古賀志山頂上
古賀志山より南麓の眺め

階段道を下って、富士見峠に着く。左に林道内倉線(岩崎林道)、右に森林公園駐車場への道を分ける。直進すると、まだ幼い檜植林帯に覆われて露岩が多い稜線となり、西面の展望が開ける。振り返ると古賀志山や、御嶽山から中岩、赤岩山に至る主稜線が眺められる。こちらから見た主稜線は樹林に黒々と覆われて、剣吞な様子は感じられない。

富士見峠
御嶽山、中岩、赤岩山を望む
振り返って古賀志山を望む
中尾根コース分岐から班根石山を望む

檜や赤松が混じる雑木林に入り、小さな岩場を通過。行く手に班根石山が結構高く眺められる。やがて右に中尾根コースを分ける。このコースも人気が高いようで、登ってくるハイカーさん数組と交差する。中尾根最高点(525m)のピークを左から巻き、班根石山への登りに取り付く。途中、小さな鎖場もある急登で、足が重くなって来る。登り着いた稜線を少し右に進んだ地点が班根石山だ。古賀志山の眺めが良く、ベンチもあって、数組のハイカーさんが食事休憩中。胡椒を使った炒め物の美味そうな香りが漂っている。

班根石山頂上
班根石山から古賀志山〜中岩の稜線を望む

縦走路を西進し、急坂を下って小鞍部に着く。正面には高い岩壁があり、そちらが縦走路と思って、長くて急な鎖場を登って小ピークの上に出るが、どうも方向がおかしい。周辺図を確認し、林道内倉線に下るサブコースに入り込んだことが分かる。これは大ポカ(^^;)。折角、鎖場を登ったので、こちらのコースも偵察しておこう。平坦なピーク上には弁当岩という大岩が鎮座する。その先は急峻な岩稜となって下っており、なかなか面白そうだ。

鞍掛山と篠井富屋連峰を遠望
弁当岩へ鎖場を登る
弁当岩
縦走路に戻って巻道に入る

鎖場を下って小鞍部に引き返し、東側の巻道に入る。急斜面をトラバースして稜線に戻り、少し進むと岩場の下りとなるが、ここは右に手摺り付きの立派な巻道がある。最初、巻道を見落として直進、古い鎖場の下りに出くわして気が付いた。ポカ連発(^^;)。

次の岩場も右から巻く
明るい雑木林の斜面を登る

檜林から明るい雑木林に入って斜面を登り、稜線に出てひと登りすると「540m」の標識のあるピークに着く。ここも展望が良く、ハイカーさん数組が休憩中。ここから見る班根石山は、北面が切れ落ちた険しい姿を見せている。歩き始めて約5時間が経過し、小さなアップダウンが多かったので、結構疲れて来た。水を飲んで一休みしてから、先に進む。

540mP頂上
540mPより班根石山を望む

540mPから短い急坂を下り、丸太ベンチのある小ピークを過ぎると、左に山道が分岐する。ここが馬蹄形コースの後半の入口だ。テープ類のマーキングが多数あり、道型も明瞭で、多く歩かれている様子が窺える。

丸太ベンチのある小ピークを過ぎると…
…馬蹄形コース入口

馬蹄形コースに入り、ザレた急斜面をトラバースして下る。「←三峰山・腰掛岩」の古い道標(三峰山は、鳥屋山のかつての誤称のようだ)から檜林の急斜面のジグザグ下りとなり、やがて傾斜が緩んで尾根歩きとなる。藪は全くなく、歩き易い。行く手には木立を透かしてチョンと尖ったピークが見え、あれが鳥屋山のようだ。結構、遠くに感じる。

「←三峰山・腰掛岩」の古い道標
木立を透かして鳥屋山を望む

「新栃木線239号に至る」との送電線巡視路の標識を通過。地形図にはこの辺りに尾根を越える実線が載っているが、それらしい道型はない。上空に送電線を見上げながら、キブシなどの低木が繁茂した伐採跡を下る。下るにしたがって行く手の鳥屋山は高くなり、あそこまで登り返すのかと思うとガックシ。下りついた峠の左右には山道が通じている。

無名峠への下りから鳥屋山(左奥)を望む
無名峠からの登り

峠から急な尾根道を登り返す。振り返ると、540mPから弁当岩のあるピークにかけての稜線が良く眺められる。樹林帯に入り、露岩の多い尾根を登る。

540mP(左)と弁当岩のピークを望む
鳥屋山へ尾根を辿る

やがて、尾根上に岩場が現れ、見上げると新しい鎖がぶら下がっている。岩尾根を巻いて右斜面に道型が通じているので、ここは日和って巻道へ。だいぶ疲れて、今日はもう鎖場はいいや、という感じ。巻道から稜線に復帰し、岩稜を戻って少し下ると展望が開け、古賀志山から赤岩山にかけての主稜線を一望し、山崩れの現場を俯瞰する。ここの鎖場は一カ所だけのようで、それならば登った方が良かったな。

鎖が架かる岩尾根は右から巻く
岩尾根から古賀志山〜赤岩山の眺め

傾斜が緩んだ尾根を登って、鳥屋山のなだらかな頂上に着く。石祠と「鳥屋山444m」の山名標識がある。また、山頂に一角がロープで囲まれていて、「イチヤクソウ保護地」の立て札がある。檜林に囲まれて、展望は南に古賀志山主稜線が見える程度。静かな頂だ。今日、最後の山頂なので、ブロックチョコレートを齧ってのんびり休憩する。

鳥屋山頂上
イチヤクソウ保護地

後は下りだけだ。稜線を少し進むと細尾根となり、腰掛岩が現れる。名の由来は一目瞭然。腰掛けるにはちょうど良いか、少し大きめのサイズだ。ここから左へ、向かいに赤岩山と北ノ峯を眺めながら、低木帯の急斜面をジグザグに降下する。所々の岩場の段差には鎖やU字アンカーの足場が設置されている(守ろう会が昨年、設置した物だそうだ)。

腰掛岩
向いに赤岩山(左)と
北ノ峯を見ながら急降下

傾斜が緩んで檜植林帯に入り、「腰掛岩 P444 登山口 →」の道標を過ぎて、林道内倉線の十字路に帰着する。いやー、今日の周回コースは結構歩き応えがあった。岩場が多くて変化に富み、展望にも恵まれてとても面白かった。500m級の低山と雖も侮れない。

傾斜が緩んだ尾根を下る
林道内倉線の十字路に下り着く

駐車地点に戻ると、もう1台、駐車があった。帰りは、前回に続いて鹿沼華ゆらりに立ち寄る。良く温まって筋肉痛になりそうなところを解したのち、桐生への帰途についた。