石森山・絹谷富士・鬼ヶ城山・閼伽井嶽・水石山

〜2019年1月2日(水)
メンバー:S,S,T

正月恒例のS&Sとの温泉旅行。今回は4年ぶり3回目となるいわき湯本温泉@福島県に2泊して、周辺の山を歩くことにする(前回の山行記録)。湯本温泉は本格的な温泉かつ鉄道・高速とも交通の便が良く、周辺の阿武隈高地は積雪が少ないなだらかな山地で、冬のハイキングに向いた山が多いので、正月の旅先として結構気に入っている。今回は登りが僅か10〜20分のピークハントがほとんどですが、3日間で5座の頂を訪ねてきました。

石森山・絹谷富士

12月31日
天気:
行程:駐車場 14:20 …石森山(224m) 14:30 …駐車場 14:40 =(車)= 中央広場 14:45 …絹谷富士(217m) 15:00〜15:05 …中央広場 15:20
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

桐生を8時半に車で出発し、北関東道、常磐道を経由して、12時前にJR常磐線湯本駅に到着。湯本駅の駅舎は2015年に改装されて、外観内装とも一新している。品川から特急で来たS&Sと合流。まず、昼食で駅近くの蕎麦処に入ろうするも、正月休みで客が多く、駐車場が満杯。仕方なくいわき市街に移動して別の店に入るが、ここも1時間の順番待ちとなる。いわき市、栄えているなあ。ちなみに、いわき市は東北地方で仙台市に次いで人口が多い都市だそうで、このことは待ち時間の暇潰しにWikipediaを読んで初めて知った。

ようやく天ざる蕎麦に有り付いたのち、石森山に向かう。常磐線を高架橋で渡り、丘陵に上がってフラワーセンターを過ぎ、石森山頂上直下の広い駐車場に着いて車を置く。


湯本駅


石森山頂上直下の駐車場

駐車場のWCは冬季閉鎖中。頂上はすぐ近くなので、空身で防寒具を着て、革靴のまま歩き出す。駐車場左奥の「石森山入口」から落ち葉が積もる遊歩道に入り、赤い実が成るアオキの間を緩く登る。すぐに稜線上に出て左折、ひと登りで石森山頂上に着く。

頂上は冬枯れの木立に囲まれ、展望は木の間越しにしかないが、雰囲気は明るい。三角点標石と石祠、「奉納石森権現」と刻まれた御影石の立派な石碑2基がある。


遊歩道を登る


石森山頂上

駐車場に戻り、山上に通じる林道石森線を車で移動。この付近には多数の遊歩道が整備されていて、それらを結ぶと面白い歩きができそうなのだが、今日は昼食に時間を取られたので、次の絹谷(きぬや)富士には最短コースで登る。

東屋のある中央広場の駐車場に車を置き、絹谷富士への遊歩道に入る。入口に「石森山海底火山岩塊」と題する説明板があり、それによると、絹谷富士の頂上は約2000万年前の中新世に活動した海底火山の火山砕屑岩が聳えたもの、とのこと。これは興味深い。


中央広場の駐車場


尾根道を登る

尾根上の遊歩道を登り、尖ったピークを右から回り込んで反対側から登る。ロープが張られた短い急坂を上がると、絹谷富士の頂上に登り着く。


頂上直下の登り


絹谷富士頂上
遠景は二ッ箭山

頂上は大きな岩塊から成り、樹林から突き抜けて360度の展望が得られる。周囲には小さな尾根と谷が入り組んだ低い山地が広がる。東に太平洋を望む。西に見える鍋を伏せたようなゆったりとした山容の山は、明後日行く予定の水石山のようだ。


絹谷富士から太平洋を望む


絹谷富士から水石山を望む

展望を楽しむが、風が冷たくなってきた。往路を駐車場に戻って、今日の山散歩は終了。今回の宿のいわき湯本温泉吹の湯旅館に向かった。

鬼ヶ城山

1月1日
天気:時々
行程:いわきの里鬼ヶ城 11:15 …鬼ヶ城山(887m) 12:50〜13:05 …東峰 13:25 …いわきの里鬼ヶ城 14:05
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

明けて元日。穏やかな快晴で、絶好の山歩き日和だ。今日は「うつくしま百名山」の一座で、いわき市第二の高峰(といっても900mに満たない低山)の鬼ヶ城山(おにがじょうさん)に登る。朝食を頂いたのち、車でのんびり出発する。

いわき湯本IC〜小野ICは高速を利用。小野市街から山間を縫うように走り、幾つもの集落を通過する。日陰の路面には薄らと雪が残る。鬼ヶ城山の中腹にあるキャンプ場「いわきの里鬼ヶ城」に向かい、宿泊・研修センター「ききり荘」前の駐車場に車を置く。ききり荘の背後には、鬼ヶ城山の平坦な頂上稜線が青空に浮かぶ。ここにある説明板の山名由来によると、坂上田村麿によって大滝根山で滅ぼされた大多鬼丸の残党が立て籠って頑強に抵抗したことから鬼ヶ城と呼ばれるようになったそうだ。


いわきの里鬼ヶ城・ききり荘


バンガローの間を登る

ききり荘の右脇から瀟洒なバンガローの間を上がる。さすがに正月にこの山奥で冬キャンする人はいないようで、ひと気はない。キャンプ場の外れから道標に従って登山道に入り、花崗岩の大岩が散在する冬枯れの雑木林を緩く登る。やがて左に大きな風力発電機が見えてくると、東西のコースの分岐に着く。西コースから東コースへ周回する計画なので、ここは左の西コースへ。


登山道に入る


西コース(左)・東コース(右)分岐

風力発電機の脇を通り、桜が植樹されたカヤト原を抜けて、樹林に覆われた緩斜面をトラバースすると、未舗装の林道に出る。コースは良く整備されていて、要所に道標がある。


風力発電機


頂上稜線を仰ぐ


山腹をトラバース


林道に出る

しばらく林道を辿って、山腹を下り気味にトラバースする。やがて道標があり、再び山道に入る。笹を切り開いた尾根道を緩く登り、左斜面のトラバース道に入って、二つ程、細い水流を横切る。マムシ注意の看板があるが、もちろんこの時期は心配ない。


林道から登山道に入る


山腹を巻いて登る

途中、「展望ポイント」の標識のある大岩がある。岩の上に登ってみたが、育った木立が邪魔して、お隣りの矢大臣山の円頂が眺められる程度だ。緩く登って頂上稜線に着くと、山頂まであと700mの道標がある。ここまでも急な登りは全くないが、この先はほとんど平坦で、至極楽チンな稜線歩きとなる。


展望ポイント


なだらかな稜線を辿る

「ブナ巨木」の標識があり、左に大きなブナの木を見るとやや急な坂に差し掛かるが、その先は再びゆるゆるの稜線となる。最高地点が地形図上の892m標高点だ。鬼ヶ城山の最高点でもあるが、登山道の途中のような頂らしからぬ場所で、山名標識の類も全くない。


ブナ巨木


892m標高点付近

稜線はこの先でちょっと下ったのち、巨石が積み上がった小ピークを起す。ごく短い区間だが、急坂に薄く雪が積もっていて滑り易い。登り着いた小ピークには「鬼ヶ城山 山頂 標高887m」と「鬼ヶ城 西峰山頂(892m)」の二つの山名標識がある。展望は素晴らしい。南側には山麓のキャンプ場を俯瞰し、その向こうには見渡す限りなだらかな山並みが広がる。展望盤があり、屹兎屋山(きっとやさん)や神楽山(かぐらさん)などの山名が記されているが、いずれも顕著なピークではないので、同定が難しい。北側は木立に遮られるが、ひときわ高く大滝根山が眺められる。展望を楽しんでしばし休憩し、昼食のパンを齧る。風は強くないのでそう寒くはないが、じっとしているとしんしんと冷え込む。


巨石が積み上がったピーク


鬼ヶ城山(西峰)頂上


鬼ヶ城山から南麓の
いわきの里鬼ヶ城を俯瞰


鬼ヶ城山から大滝根山(奥)を望む

下山は東峰を経由する東コースへ。頂上直下には大岩があり、数基の石碑が置かれている。大岩の上も展望が良く、水石山の左奥には太平洋も見える。大岩からの下りは短いが急坂で、S&Sはちょっと苦戦。張られたロープを頼りになんとか無事に下る。


東峰を望む


鬼ヶ城山から水石山を遠望

下ってしまえば、再び平坦な稜線上の道となり、東峰へは少しの距離だ。東峰頂上には三角点標石の他には特に何もなし。展望もない。


東峰へ平坦な稜線を辿る


東峰頂上

登山道は東峰で右折して、アセビ林の間のちょっと急な下りとなるが、ここは問題ない。一直線に降りると傾斜が緩んで、アカマツやヒノキ林の中をのんびり下る。簡易給水施設の小屋を過ぎ、林道を横断すると、西コースと東コースの分岐に戻り着く。あとは往路を戻って、ききり荘前の駐車場まで5分程の距離だ。ゆっくり歩いて全行程3時間弱の軽い山だが、頂上からの展望が良く、登山道も整備されていて、とても楽しく歩けた。


東峰直下の急坂を下る


林道を横断


ききり荘駐車場より鬼ヶ城山を仰ぐ


夏井川渓谷・篭場の滝の下流の景観

湯本温泉への帰りは下道を走る。JR磐越東線川前駅に出て、鉄道と夏井川に並行する県道小野四倉線を走る。途中、夏井川渓谷と称するなかなか険しい渓谷が続く。道も細く、低山らしからぬ奥山の雰囲気があって、ドライブが楽しめる。紅葉の名所としても知られているそうだ。いわき市街を経由して、宿に戻った。

閼伽井嶽・水石山

1月2日
天気:
行程:登山口 10:40 …閼伽井嶽(604m) 11:00 …登山口 11:20 =(車)= 駐車場 11:30 …水石山(735m) 11:50 …駐車場 12:00
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

正月温泉旅行の最終日。今日も良い天気だ。宿をチェックアウトし、いわき市街からR49を郡山方面に向かい、「水石山入口」交差点で右折。県道赤井停車場線を登って、水石山と閼伽井嶽(あかいだけ)の鞍部を越える。今日はこの2座に登る予定だ。2座ワンセットで「うつくしま百名山」に数えられている。

山歩きの前に、閼伽井嶽の東山腹にある閼伽井嶽薬師常福寺に初詣に行く。県道を下って閼伽井嶽薬師裏手の駐車場に着くと、参拝客の車がいっぱい。誘導係も配置されている。幸い数台の空きがあり、直ぐに誘導されて車を置くことができた。

境内には露店も出て参拝客で賑わっているが、2日なのでそう混雑はない。参道石段を登って、本堂にお参りする。本堂は杉檜の大木に囲まれ、神さびた雰囲気がある。


閼伽井嶽薬師常福寺
背後に閼伽井嶽


閼伽井嶽薬師・本堂

初詣を終え、次は閼伽井嶽に登る。鞍部に戻って路側のスペースに駐車。ここが登山口で、尾根伝いに登山道が通じている。また、西麓の成沢集落への山道も分岐する。

一応、登山靴に履き替えて出発。アセビやモミに覆われた広く緩い尾根を登ると、三角点標石とケルンのある閼伽井嶽頂上にあっさり着く。樹林に覆われて展望は乏しい。閼伽井嶽薬師側は結構急な斜面だ。往路を引き返して鞍部へ戻る。


閼伽井嶽登山口


登山口より閼伽井嶽を望む


登山口の標識


アセビやモミの尾根を辿る


広くなだらかな尾根を歩く


閼伽井嶽頂上

次の水石山へは、鞍部の三叉路から車で上がる。頂上直下の分岐は左へ進み、突き当りの未舗装の駐車場に車を置く(分岐を右に進んでも駐車場があり、そちらの方が展望が良くてポピュラーである)。

ここはもう平坦な水石山頂上の一角なので、空身で防寒具を着て、革靴のまま歩き出す。広々としたカヤトの原をゆるゆると登る。遮る樹林がないので、風が強い。


水石山公園・西側駐車場


広いカヤトの原を歩く

左手に展望塔が現れ、そこが水石山の最高地点だが、もうちょっと直進。少し下ったところに一脚のベンチが置かれ、その辺りが南面の展望を楽しむのに絶好のポイントだ。黒々とした閼伽井嶽の向こうに平野が広がり、ビルが立ち並ぶいわき市街を俯瞰。その向こうには太平洋が輝く。右奥のもそっとした山容の山は湯本温泉に近い湯ノ岳だ。


水石山南面の展望


展望塔に向かう

少し戻って展望塔へ。三角点標石は展望塔の前にある。塔に登ると360度の展望が得られ、北方にひときわ大きな山容の大滝根山を遠望する。水石山は車で容易に登れる山であるが、草原が広がる平坦な頂上は開放的で展望も素晴らしく、訪れる価値ありと思う。


水石山頂上


展望塔から大滝根山を遠望


草原と展望塔


戦没者慰霊碑

これで計画した山歩きは完了したが、湯本駅からの帰りに予約した列車の時刻まで余裕があるので、太平洋岸の観光スポットの塩屋埼灯台に立ち寄ることにする。閼伽井嶽薬師に戻り、さらに東麓へ下ろうとしてビックリ。駐車場に入ろうとする車の列が延々と続いている。我々は図らずも裏側から入ったおかげで、サクッと駐車できたようだ。

塩屋埼灯台の登り口には広い駐車場と土産物店があり、大勢の観光客で賑わっている。ジグザグの階段道を登って岬の丘の上に出ると、白亜の灯台を高く仰ぐ。


塩屋埼灯台登り口


塩屋埼灯台

ここで参観料200円を払うと、灯台の中まで入ることができる。螺旋階段を登って、灯火直下で外のテラスに出ると、テラスの幅は狭くて押し出されそうな感じだし、海面をほぼ真下に見おろすしで、なかなか高度感がある。当然、眺めは素晴らしく、南北の海岸線を遥か遠くまで見渡すことができる。ここはお勧め。


灯台上から北側の展望


灯台上から南側の展望

塩屋埼は、美空ひばりの昭和62年のシングル「みだれ髪」に歌われたそうで、岬の麓にその記念碑がある。美空ひばりは知っているが、歌はあまり聴いていない。ちなみに、この年(32年前^^;)どんな音楽を聴いていたっけと思って後日調べると、小泉今日子の「木枯らしに抱かれて」やTMNの「Get Wild」があった。土産物店で「めひかり」の甘露煮と地酒「又兵衛純米酒いわき郷」を買い、湯本駅でS&Sと別れて、桐生への帰途についた。