竜門岳

天気:
メンバー:T
行程:登山口 7:25 …竜門の滝 7:40 …奥ノ滝 8:15 …竜門岳(904m) 9:05〜9:20 …登山口 10:30
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

(この記事は奈良県の山3日目、山上ヶ岳からの続きです。)

三連休を利用した奈良県での山登りも4日目。今日が最終日で、夕方までにJR奈良駅前でレンタカーを返却しなければならないので、下市口の宿から近い日本三百名山で、コースタイムが半日行程の竜門岳(りゅうもんがだけ)に登ることにする。

竜門岳の標高904mは、三百名山の中で低い方から数えると比叡山(848m)、筑波山(877m)に次ぐ3位。4位以下は開聞岳(924m)、京都の愛宕山(924m)、六甲山(931m)と続く。これらの山々の圧倒的知名度に比べると、竜門岳はほとんど知られていないのではなかろうか。少なくとも私は、今回の奈良県の山登りを計画するまでは知らなかった。マイナーそうな山だが、それだけにどんな山か、興味を惹かれる。

宿を7時前にチェックアウトして車で出発。R169を近鉄吉野線と並行して吉野川上流に向かう。途中、吉野川を渡って吉野山に向かう近鉄線と分かれ、その先で大宇陀方面に左折。県道吉野室生寺針線に入って、集落が点在する広くなだらかな山間を走る。行く手にはどっしりとした山容の竜門岳が眺められる。頂上は雲の中だが、雨の心配はなさそうだ。県道から分かれて山口集落に入り、吉野山口神社の左脇から谷間に入って進むと、竜門岳登山口の駐車場に着く。先行者の車が1台。新しく綺麗なバイオトイレがある。


登山口


杉植林中の作業道を辿る

登山靴に履き替えて出発。登山口から先は未舗装の作業道となり、渓流に沿って杉林の中を緩く登る。途中の林間に多数のベンチやハンモックが設置された区画があり、森林セラピーの基地だそうだ。道はこの先で二手に分かれるので、沢沿いの左の道に進む。この沢は花崗岩の岩盤を穿って流れ、水量も多く、なかなか綺麗だ。


竜門の滝は左へ


渓流に沿って歩く

ほどなく竜門の滝の下に着く。三段で、くの字に流れ落ちる優美な滝だ。芭蕉の句碑があるが、達筆過ぎて良く読み取れない。復路で見た説明板によると、芭蕉が元禄元(1688)年にここを訪れた際に残した「龍門の花や上戸の土産(つと)にせん」「酒のみに語らんかかる滝の花」という二句が刻まれているようである。


竜門の滝


芭蕉句碑

右斜面の木の階段を登り、先程分かれた作業道に合流して進む。滝の上には龍門寺塔跡がある。石積の基壇に平らな自然石を利用した塔の礎石が残っているそうな。これも説明板によると、龍門寺は奈良時代建立の名刹で、平安の頃には菅原道真、藤原道長も参詣して隆盛を誇り、三代実録、扶桑略記、今昔物語等の文献にも現れるとのこと。


龍門寺塔跡分岐


龍門寺塔跡

花が咲く時期ではないし、芭蕉が見た花?が何かはわからないが、その代りに一風変わったキノコがニョキニョキ生えている。写真に撮ったので、お土産代りに掲載しよう(^^)


サンゴタケ


ソウメンタケ

作業道に戻り、谷間を緩く登る。「龍門寺宿坊趾」の石碑を過ぎると道も徐々に細くなり、やがて水流から離れて、小尾根上の木の階段道を登る。急登が一段落して山腹をトラバースすると、奥ノ滝の落口に着いて足元に滝を見おろす。


谷間を緩く登る


龍門寺宿坊趾


水流を離れて急坂を登る


奥ノ滝

再び沢に沿い、山道を歩く。何度も沢を左右に渡り返しながら、ゆるゆると登る。こういう沢沿いの道は、変化があって楽しい。


再び渓流に沿って登る


水量が減じた沢を遡る

途中で先行ハイカーさんとすれ違う。水量を減じた沢の二俣に着き、その間の尾根に取り付く。ここから頂上まで、標高差300mの急登が続く。雑木林の中を小さくジグザグに登り、檜植林帯に入ってほぼ一直線に急登する。展望もなく、ひたすらの登り。気温は高くないが、霧が立ち込めて湿度が高く、汗が噴き出す。


二俣の間の尾根に取り付く


尾根を一直線に急登

30分程登ると、ようやく傾斜が緩む。しばらくなだらかで広い尾根を登り、檜林に囲まれて一等三角点標石と神社のある竜門岳の頂上に着く。霧が立ちこめ、誰も居なくて、静寂に包まれた頂だ。


やっと傾斜が緩まる


竜門岳頂上

手頃な石に腰掛けて一休みしたのち、往路を下山する。行きの急登も、帰りは鼻歌交じりだ。30分程で二俣に下り着き、後は沢に沿って緩く下る。


往路の尾根を急降下


二俣から尾根を振り返る

竜門の滝には降りず、そのまま作業道を辿ると、道端に「久米仙人窟趾」の石碑がある。久米仙人と言えば、女性の太腿を見て乗っていた雲から落ちた人だっけ(後日調べたら、その女性を妻としたそうな。いい落ちだ)。伝説上の人ではあるが、山上ヶ岳が女人禁制になっているのも、西ノ覗から落ちないためと考えれば、かなり納得だ(^^;)


渓流沿いにのんびり下る


久米仙人窟趾

あとは作業道をのんびり下って登山口に戻る。ある程度予想していたように、地味でマイナーな山だったが、なかなか古い歴史もあって、こういう山も良いものである。まだ午前中だが、計画通り三連休で4座に登頂でき、大いに満足したので、サクッと帰ることにしよう。大汗をかいたので、着ていた物を全取っ替えして、奈良駅に向かう。


登山口に帰着


山麓から竜門岳を仰ぐ

途中、「大宇陀温泉あきののゆ」という日帰りに立ち寄り、汗をサッパリ流す。それから、近くのコンビニで登山装備を自宅へ発送し、手荷物を減らす。桜井市、天理市を経由し、JR奈良駅前でレンタカーを返却。路線バスで近鉄奈良駅に移動し、14:40発の特急で京都駅15:30着。三連休最終日とあって、京都駅は国際的に大混雑。みどりの窓口で「のぞみ」の指定席を確保し、駅ビルの飲食街で生ビール、日本酒、鱧等を頂いて適度に酔っ払ったのち、17:29発のぞみ422号に乗車して、桐生への帰途についた。