粕尾山〜横根山〜古峰原

天気:
メンバー:T
行程:尾ざく山神社バス停 8:25 …林道横平線 9:25 …粕尾山(852m) 10:15〜10:20 …林道前日光線 11:25 …湿原荘跡 13:00〜13:35 …横根山(1373m) 13:50〜13:55 …方塞山(1388m) 14:40 …三枚石 14:55 …古峰原(1378m) 15:00 …三枚石 15:05〜15:20 …古峯神社バス停 16:30
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

昨年12月に、足尾山地の山でまだ登ったことがない発光山と粕尾山の2座を横根山と繋いで歩こうとしたが、発光山から横根山への登りが意外と大変で時間切れとなり、粕尾山が未踏で残った(山行記録)。

横根山の近辺では、三枚石のすぐ北の1378m三角点峰も未踏だ。地形図に山名はないが、栃木百名山に「古峰原」という山名で選定されている。三枚石には古峰ヶ原峠から往復したことがあり、その際「古峰原」もすぐ近くを通っている。しかし、三角点には行っていないので、細かいことを言うと未踏となり、以前からちょっと気になっていた。

という訳で、この週末は未踏の粕尾山と古峰原を合わせてピークハントすることを目的として、出かけてきました。

桐生駅5:18発の両毛線に乗車して出発。栃木駅で東武日光線に乗り換えて、新鹿沼駅に6:41着。この駅に来るのは今年に入って3度目で、すっかりお馴染み。7:21発の上五月行きリーバスに乗車する。乗客は二人で、途中から私一人。尾ざく山神社バス停に8:09着で下車する。運賃は400円也。

ここは石裂山(尾鑿山)への入粟野側からの登拝路の入口で、こちらのルートもいつか登ってみたいが、今日は入口の賀蘇山(がそやま)神社に参拝するだけにする。石段を上がって境内に入ると、神楽殿や「尾鑿山」との立派な額を掲げた社務所兼拝殿が建つ。

賀蘇山神社入口
賀蘇山神社社務所兼拝殿

登拝路に少し入ると、杉の大木に囲まれて遥拝殿が建つ。四方の龍の彫刻が見事だ。ここは下の宮とも呼ばれ、尾鑿山直下の岩屋に御本社が祀られているとのこと。これはやはりいつかはこちらからも登って、御本社を参拝しないと、だな。

賀蘇山神社遥拝殿
1701年建立
遥拝殿の彫刻

さて、ここから粕尾山へは、上粕尾へ稜線を越える地形図の破線路(峠道?)を利用してみるつもりである。県道を少し戻り、粟野川に架かる木橋を渡る。この橋は橋板が老朽化して、入口にはビニル紐が張られているので、渡る際は踏み抜きに注意。

粟野川を渡る
耕作放棄地を横断

対岸の小道を右に進み、折り返して一段上がると、雑草に覆われた畑地跡が広がる。振り返ると、石裂山のギザギザの稜線が眺められる。微かな道型を辿って畑地跡を突っ切り、墓地の右側から尾根末端に取り付く。竹林に覆われた斜面に、そこはかとなく掘り窪んだ道型が残っており、これを辿ってジグザグに登って行く。

竹林から尾根に取り付く
掘り窪んだ道型を登る

竹林を抜けて雑木林に入ると、掘り窪んだ道型がはっきりしてくる。落ち葉がフカフカに積もり、所々に大型のけものが寝た跡らしき大きく丸い凹みが残っている。やがて広い尾根に上がって、杉林の中を緩く登る。道型は薄くなるが、どこでも歩けるので問題ない。

広い尾根を緩く登る
小藪の中のけもの道を辿る

しばらく緩い登りが続くが、若い杉植林帯に入ると傾斜が強まり、小藪が煩くなる。縦横に付けられたけもの道を拾って登ると、林道横平線に出る。

ここから右(北西)へ舗装された林道を辿る。すっかり濃くなった緑に覆われて、展望はほとんどないが、木立の切れ間から石裂山が眺められる個所がある。先週は、あのギザギザの上を辿った。やはり、なかなか険しい山である。

林道横平線に登り着く
林道から石裂山を望む

上粕尾へ下る作業道を左に分け、766m標高点の左(西)を巻いて林道を進む。山腹をトラバースすると、みっしりと植林に覆われたなだらかな山容の粕尾山と、その左奥にゆったりと稜線を広げる横根山がすっきりと眺められるポイントがある。

766m標高点を巻く
横根山(左奥)と粕尾山を望む

林道が再び稜線を越える所から、左の稜線に取り付く。稜線の左側は檜の若い植林帯で、しばらく防獣網に沿って歩く。藪はないが、この季節になると蜘蛛の巣が頻繁に顔に引っかかって鬱陶しい。

林道から左の稜線に入る
防獣網に沿って尾根を辿る

だんだん植林の丈が高くなり、広い尾根を緩く登ると、三角点標石のある粕尾山の頂上に着く。樹林に囲まれて、展望はほとんどなく、わずかに木の間に尾出山が見える程度。発光山と同じような感じの山頂で、予想通りの地味〜な頂である。標石の他には山名標識が二つ。一方の裏面には「SHIMO」と書いてある。最近、新しく設置されたものらしい。

粕尾山頂上
尾出山を望む

水を飲んで少し休んでから出発。植林に覆われた幅広い尾根をしばらく辿ると、未舗装の作業道の終点に出る。ここから林道前日光線まで、一部ショートカットした以外はこの作業道を辿り、楽するために957m標高点は左山腹を巻く。

作業道に出る
957m標高点を巻く

「平のたわ県営林」の看板を過ぎると伐採された斜面の上端に出て、間近に横根山の大きな山容を仰ぎ、左に発光山のピークを眺める。横根山頂上へはまだ約450mの標高差があり、発光山から登ったときもそうだったが、結構な登りがこの後に控えている。

発光山を望む
横根山の大きな山容を仰ぐ

やがて作業道が少し下りになって、林道前日光線に出る。地形図にはここから横根山に登る破線路が載っているが、実際には道はなく、けもの道や微かな踏み跡の類が通じるのみである。林道を横断し、切り通しの石垣の端から斜面に取り付く。杉林に覆われた急斜面の登りとなるが、藪はなく、一部に枯れスズタケの叢がある程度だから歩き易い。

林道前日光線を横断
杉林の急坂を登る

ぐんぐん登ると、花崗岩の大石が点々と現れ、中には雨宿りできそうな岩屋を成す巨石もある。杉林を抜け、新緑の雑木林と丈の低い笹原、ところどころ枯れスズタケの斜面を急登する。「日光社寺」の標柱が連続して建ち、何かの境界を表しているようだ。

花崗岩の巨石
丈の低い笹原を登る

傾斜が緩むと井戸湿原の南の峰に登り着く。峰の上はヤマツツジが満開で、赤いトンネルの下を潜って進む。ズミの白い花も多く、青空に映える。

湿原へ向かって、カラマツ林と笹原の踏み跡を下る。防獣網をゲートで通過して湿原を周回する遊歩道に出ると、大勢のハイカーさんで大賑わい。湿原にはヤマツツジの他、トウゴクミツバツツジやシロヤシオ、ズミが群れて咲く。ヤマツツジはピーク、トウゴクミツバツツジは終盤、シロヤシオとズミはピークを少し過ぎといった所だが、見渡すと赤、紫、白、緑が混ざり合ってとても綺麗だ。ツツジの開花状況は全く調べてなかったが、運良くピッタシのタイミングで来たようだ(^^)

稜線のヤマツツジとズミ
井戸湿原のツツジ

湿原を木道で渡って、湿原荘跡に向かう。湿原は乾燥化して草地が広がるが、中に一筋の小川が流れている。

ヤマツツジが満開
湿原荘跡に向かう
湿原を流れる小川
湿原を木道で渡る

湿原荘跡には東屋とベンチがあり、すぐ近くの沢には水が流れている。既に午後1時で腹ペコ。ベンチの一つに腰掛けて昼食とする。今日は暑いし、ツツジを鑑賞しながら飲む缶ビールは最高だねえ。それと鯖塩焼き缶、カップ麺を食べる。

湿原荘跡
井戸湿原を俯瞰
ヤマツツジ
シロヤシオ

腹を拵えて一休みしたのち、横根山に向かう。こちらもズミとヤマツツジが多く、見事な株があるたびに撮影で足が止まる。

横根山へ向かう
満開のズミとヤマツツジ

木の階段道を登って横根山の頂上に着く。この周囲もヤマツツジが満開。袈裟丸山から皇海山にかけての展望が良い。頂上の東屋では、ハイカーさんがコンロでジュージューと炒め物をしていて、脂の焦げる良い匂いが漂って来る。次回の昼食でやりたくなるな(^^)

横根山頂上
袈裟丸山〜皇海山を遠望

横根山から少し下って、牧場を見渡しながら前日光ハイランドロッジに向かう。山上に牧草地の緑がゆったりと広がり、日光連山を遠望する景勝地だ。車はハイランドロッジまで入れて、その先は車両通行止。ハイランドロッジの駐車場はほぼ満車となっている。

前日光ハイランドロッジに向かう
右奥は男体山
方塞山を望む

しばらく車道を歩き、それから牧場の右端を牧柵に沿って歩く道(関東ふれあいの道)に入って、方塞山に向かう。こちらはハイカーさんが少なくなり、ソロハイカーさんがチラホラと、年配ご夫婦+小さな男の子(お孫さん?)が歩いているくらい。私は帰りのバスの時刻がそろそろ頭にあって、ペース上げ気味で歩いているのだが、このお孫さん連れはそれにあまり遅れないペースで、妙に足が速い。

樹林の中を緩く登って、方塞山の頂上に到着。一番高い所には大きな電波塔が建つ。樹林に覆われているが、南面が開けて、牧場の向こうに象の鼻展望台が眺められる。

方塞山へ緩く登る
方塞山頂上
方塞山頂上の電波塔
方塞山から象の鼻展望台を望む

三枚石へは広く平坦な稜線を歩く。こちらの道もヤマツツジとズミが満開で、あちこちで紅白のトンネルを潜る。

三枚石へ平坦な稜線を辿る
ヤマツツジとズミのトンネル

三枚石に着くと、女性ハイカーさん四人組が休憩中。「金剛山奥之院」の額と天狗の団扇が掛かる社の他、聖観音菩薩、弁天龍神、大白龍神、別雷神、弘法大師修行像、勝道上人古峯原開山之碑などの石碑、石像が目白押しに建つ。

古峰原の三角点は、古峰ヶ原峠への登山道をちょっと進んで、道から左の樹林に入ったところにある。三角点標石と「古峰原」の山名標があるだけで、展望もなく、なーんだという感じの場所だが、これで課題を一つ解消してスッキリした。

三枚石
弁天龍神・大白龍神・弘法大師修行像
勝道上人古峯原開山之碑
古峰原頂上

三枚石に戻ると、お孫さん連れが到着していて、男の子は三枚石の上に居る。お爺さんに話を伺うと、ご夫婦で日本二百名山を登って、完登まで高千穂峰の1座を残すのみ。今日はお孫さんに山歩きを教えながら登っているのだとか。どおりで健脚な訳だ(^^;)

三枚石から古峯神社へ、お孫さん連れと前後して三枚石新道を下る。最初は苔むした巨石が点在する緩斜面の下りが続くが、小尾根上の道となると傾斜が増す。両側は深い樹林に覆われた谷で、深山の雰囲気がある。ただし、遥か下の山麓に射撃場があり、発砲音が微かに聞こえてくるのが、ちょっと気にかかる。

転石の多い斜面を下る
サラサドウダン

急降下して、ようやく傾斜が緩くなると、道は尾根から左に折れて沢に下る。すぐ下流には何かの建物が見えるが、そちらには行かず沢を渡る。山腹をトラバースし、小鞍部を越えて下ると、古峰ヶ原峠を越える県道草久(くさぎゅう)足尾線に出る。登山口には「三枚石新道(健脚者に限る)」との道標が建つ。確かに途中の尾根道はなかなか急だった。

尾根を急降下
左に降りて沢を渡る

古峰ヶ原峠から県道を下って来たハイカーさんもパラパラとあり、後について車道を下ると古峯神社バス停に到着。未踏の2座に登ったことに加えて、図らずも横根山で満開のツツジを堪能でき、大変楽しめた。

17:15発のJR鹿沼駅行きリーバスまで少し時間があるので、門前の土産物屋に立ち寄ったり、古峯神社に参拝して過ごす。流石に時刻が遅くて、大半の参拝客は帰ったあとなので、境内は閑散としている。夕暮れが迫り、社頭の灯籠には明かりが灯っている。

三枚石新道入口
古峯神社鳥居
古峯神社拝殿
古峯神社バス停

バス停に戻ると折り返しのバスが既に来ていて、車内で発車を待つ。結局、乗客は私一人だけで、途中からの乗客もなく、東武新鹿沼駅まで貸切状態。運賃は400円也。帰りの列車は接続が良く、新鹿沼18:04発、桐生19:26着で帰宅した。