雨巻山

天気:
メンバー:K,T
行程:大川戸登山口 9:55 …足尾山(413m) 11:15 …御嶽山(433m) 11:40 …大峠 12:15〜12:45 …雨巻山(533m) 14:10〜14:50 …林道終点 15:35 …大川戸登山口 16:15
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

栃木県南東部の益子町と茂木町の境にある雨巻山(あままきさん)は、地元によって登山道や駐車場が整備され、ハイキング向きの山として人気が高い山だ。栃木百名山の一座にも数えられている。

雨巻山には昨年春から何度かKさんと出かける予定を立てたことがあるのだが、天気や諸事情で毎度計画倒れとなり、登頂が延び延びとなっていた。この冬も厳しい寒さが続いたせいで二の足を踏んでいたが、天気予報によると今週末の日曜日は寒さが緩んで最高気温が20℃近くまで上がり、絶好のハイキング日和になりそう。ようやく雨巻山に登る順番が回って参りました。という訳で、Kさんに同行頂いて出かけてきました。

Kさんを車に乗せて、桐生を朝8時に出発。北関東道を真岡ICで降り、真岡市と益子町の市街を抜けて、登山口の大川戸(おおかわど)に向かう。明るく開けた山合いに入り、長閑な大羽(おおば)の里を抜けると大川戸ドライブインという食堂があり、そのすぐ先に登山者専用駐車場(約50台)がある。広い駐車場はハイカーさんの車で既にほぼ一杯。話に聞く通りの大人気の山だ。

駐車場の隅に木製郵便箱があり、中に雨巻山ガイドマップが置かれている。このマップは益子町HPにも掲載されていて、予め印刷して持って来てはいるが、記念に一部頂いて出発する。雨巻山の登山コースはたくさんあるが、今日はハイトスさんの後追いで、足尾山(あしおさん)、御嶽山(おんたけさん)、雨巻山、三登谷山(みつとやさん)を周回するコースを歩く予定である。


大川戸登山口の登山者専用駐車場
(奥が茶屋雨巻)


登山口から望む三登戸山

登山口から茶屋雨巻という小洒落たカフェの前を通って、小さな沢沿いの山道に入る。冬枯れの雑木林に差し込んだ日差しがアオキの緑に照り映えて、明るい雰囲気の道だ。短い坂を上がって枝尾根上に着くと「小峠」の標識があり、右に足尾山尾根コースを分ける。


小峠への登り


小峠

峠を直進して枝尾根を越え、足尾山沢コースへ。すぐに沢沿いの道に降り立ち、左に地蔵院への道を分けて右に進む。この分岐には「大羽御嶽山 開闢之祖 中興之祖 田中長平霊神 黒子道之祐霊神」と刻まれた石柱が建てられ、御嶽山が信仰の山であることが窺える。


霊神碑


沢コースを辿る

水流の傍らを登っていくと清滝へ往復する道の分岐点に着く。ここはもちろん清滝を見に行く。アオキが繁茂する谷を遡ると、水の少ない沢の中を歩くようになる。スケールは極小さいものの、両岸が切り立った渓谷となり、如何にも滝がありそうな雰囲気。突き当たりに現れた清滝は、V字の溝の中に細々と水を落としている。手前の倒木がちょっと邪魔だなあ。しかし、里山にしては険阻で、面白い場所だ。


清滝へ向かう


清滝

分岐に戻って足尾山に向かう。ガレ沢を辿ると小さなナメが現れ、固定ロープを手摺にして越える。ここもプチ沢登り気分が味わえて楽しい。道標に従って左山腹に取り付き、ジグザグに登る。枝尾根の上に出て少し登ると、足尾山の頂上に着く。雑木林に覆われて展望はないが、この季節は冬枯れなので日差しはタップリで明るい。


小さなナメを通過


足尾山頂上

ベンチで少し休憩したのち、縦走路を雨巻山に向かう。丹念にジグザグが切られた坂を下り、鞍部から御嶽山の登りに取り付く。露岩が現れ、御嶽山に向かって岩場の急坂となる。鎖もあるが、なくても登れるレベル。とは言え、里山歩きでは良いアクセントだ。


雨巻山への縦走路を辿る


御嶽山の頂上直下の岩場

登り着いた御嶽山の頂上は、北面が開けて足尾山やその向こうに広がる丘陵の眺めが良い。黒々とした小さな富士型の目立つ山は芳賀富士(272m)のようだ。頂上から一段下がった平地には、御嶽山信仰の痕跡と思しき水盤が残っている。


御嶽山頂上


御嶽山頂上の水盤

今回が久し振りの山歩きというKさんは、御嶽山の急登でへばったようで、少し遅れて到着。先は長いが、コースタイムの5割増の所要時間を見込んで計画しているから、ゆっくり歩けば大丈夫だろう。ベンチで休憩したのち、のんびり歩き出す。

小さなアップダウンの多い稜線を辿る。小峠への尾根コースを右に分けるところにもベンチと道標があり、至る所で整備が行き届いている。登り着いた小ピークには東小丸山という山名標と説明書きがあり、それによると大川戸林道を挟んで真西のピークを西小丸山と命名しているそうである。


尾根コース分岐


東小丸山頂上

東小丸山から明るい雑木林の稜線をゆるゆると下ると、大峠の標識のある鞍部に着く。右に大川戸林道へ下る道が分岐する。既に正午を回ってかなり腹が減ってきた。日当たりが良く風もない休憩適地なので、ここで昼食とする。Kさんに用意頂いたパンやチーズ、サラダ、コーヒーの昼食をパクつく。

ここまでハイカーさんにほとんど会わなかったが、休憩の間に数組のハイカーさんが通り過ぎる。周回コースは、我々の逆回りで歩いているハイカーさんの方が多い気がする。


明るくなだらかな稜線を辿る


大峠

エネルギーを補給して元気が出たところで、雨巻山に向かおう。交差したハイカーさんから、ここから雨巻山へは結構登りですよ、と伺う。小さく上下しつつ小ピークを越えると、行く手に黒々と高いピークが現れる。と言っても里山なので、全てにおいてミニスケールだが(^^;)。あそこが周回コース唯一無二の急登、猪転(ししころ)げ坂だろう。


行く手に黒々とした山影


猪転げ坂に差し掛かる

坂を登ってビックリ。もし直登したら結構な急斜面だが、丸太を並べて細かくジグザグを切ってあるため、実に登り易い。グングン高度を上げて453m標高点に登り着くと、あとはなだらかな登りとなる。右から雨巻山沢コースを合わせて、雨巻山の頂上に着く。


雨巻山を望む


沢コース分岐

頂上は高い雑木林に囲まれた小広い広場となり、テーブルとベンチがたくさんあって公園のようだ。昼時を過ぎているので、ハイカーさんは一組だけ。眺めの良いベンチを選んで腰を下ろし、ノンアルを開ける。それからコンロでお湯を沸かしてフリーズドライの野菜スープを作り、ボイルしたシャウエッセンを投入。これは初めて食べてみるが、手軽で美味いな。ツマミにピッタリだ(^^)。Kさんからデザートのイチゴも頂く。


雨巻山頂上


仏頂山(左奥)と高峯を望む

頂上からは東面に展望が開け、昨年11月に歩いた仏頂山〜高峯が良く眺められる。頂上から少し南の稜線上の平地にもテーブルとベンチがあり、傍らに木組みの展望台が建つ。これに上がると南面が展望できるが、そちらは靄がかかって、筑波山の山影を薄っすらと遠望するのみであった。


展望台


薄っすらと筑波山を遠望

下山はKさんが久し振りの山歩きでお疲れなので、行程を短縮して三登戸山は割愛し、最短経路で大川戸登山口に戻る。ブナが混じる雑木林の尾根を三登戸山に向かって緩く下ると、途中で岩の道と階段の道に分かれるが、すぐに合流。尾根コースの分岐に至る。


三登戸山への縦走路


尾根コース分岐

尾根コースに入り、檜植林帯の斜面をジグザグに下る。しばらく細尾根を辿り、再び植林帯の斜面に入る。地形図で見るとここは等高線が混んでいて、急降下を予想していたのだが、ここも丹念にジグザグが切られていて、実に楽チンに下れる。


尾根コースを下る


檜植林帯を下る

植林帯の道は途中で岩場を直進するコースと巻道に分かれるが、直ぐに合流。呆気なく谷底に下り着いて沢コースに合流する。軽やかな水流に沿って山道を下ると、程なく林道終点に着く。あとは林道を歩いて大川戸登山口に戻るだけである。


沢コースに下り着く


林道終点

ひと気のない山間の林道を辿ると、途中に空き家がある。これが大川戸鉱泉(廃業)のようだ。この辺り、道端のあちこちからコココと小さな鳴き声がするので、何かと思って目を凝らすと、小さな茶色いカエル(多分アカガエル)がたくさんいた。もうすっかり春だなあ。

林道歩きも然程長くなく、40分程で大川戸登山口に帰り着く。低山にしては雑木林が大部分で雰囲気が明るく、変化に富んで面白かった。人気が高いのも頷ける。

たくさんあった車も、残りは数台となっていた。車の台数に比して山中で会ったハイカーさんは少ない気がする。最短経路で登る人が多いのかも。


大川戸鉱泉(廃業)


大川戸登山口に帰着

帰りは真岡井頭温泉に日帰り入浴で立ち寄る(730円)。広い駐車場はほぼ満車で、お客さんが多くてビックリ。しかし、浴室はそこそこ広く、ゆったり浸かれる。塩分が多い泉質で、僅かだが肌がキシキシする感じ。温泉らしくて、なかなか良い。温まったのちに真岡ICから北関東道に乗って、桐生への帰途についた。