烏帽子岳〜シラケ山〜天狗岩

天気:
メンバー:T
行程:烏帽子岳登山口 8:50 …奥の二股 9:35 …烏帽子のコル 9:55 …烏帽子岳(1182m) 10:05〜10:15 …岩稜ルート分岐 10:35 …シラケ山(1274m) 11:20〜11:40 …天狗岩 11:55〜12:00 …マル 12:35〜12:50 …奥の二股 13:10 …烏帽子岳登山口 13:35
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

先週、大津〜三ッ岩岳を歩いて、満開のアカヤシオと西上州の山々の展望を楽しんだ。そのとき眺めた周辺の山の中では、谷を一つ隔てて聳える烏帽子岳の鋭鋒がやはり一際目をひく。烏帽子岳には2005年11月に天狗岩からシラケ山を経由するコースを往復して登ったことがある(山行記録)。しかし、表コースと言えるシボツ沢から登ったことはないし、この季節にはアカヤシオも楽しめそうだ。という訳で、登山口と季節を変えて烏帽子岳を再訪し、シラケ山を経由して天狗岩まで往復して来ました。

桐生をのんびり7時過ぎに車で出発。三ッ岩岳登山口周辺の駐車スペースは既に満杯で、大勢のハイカーさんが集まっている。GWに入り、人出も一段と増えたようだ。ここは横目に通過して、先週と同じく烏帽子岳登山口の駐車場に車を置く。こちらの駐車場は比較的空いているが、それでも7割方埋まっている。


大津東峰から烏帽子岳を望む
(2017年4月23日撮影)


烏帽子岳登山口

登山道に入り、シボツ沢の軽やかな水流に沿って登る。足元にはハシリドコロやコガネネコノメソウが咲く。すぐに植林帯を抜けて、自然林に覆われた谷を登る。天気は良いし、新緑は鮮やかで、気分もウキウキしてくる。


コガネネコノメソウ


渓流沿いに登る

両岸が岩壁となり、右岸の小さな岩稜を越えると水流は消えて涸れ沢となる。美しい新緑がずっと続く。やがて老夫婦ハイカーさんに追いつく。ルートについて相談中の模様。右岸のちょっと高いところの木の幹に、ほとんど消えかけた文字で「烏帽子岳←」と書いた道標があり、ここが「奥の二股」の分岐だ。この分岐は見逃しやすい。


新緑が美しい


奥の二股の道標

左の涸れ沢に入り、ロープが張られたザレた急斜面を登る。後続のハイカーさんもいるし、石を落とさないようしないと、と注意して登っていると、上方から落石!という声がして、拳大の石が宙を飛んで来た。直前で躱そうとしたが、急斜面では一歩も動けない。次の瞬間、石は身体の横1m弱の腰の高さのところを落ちて行った。いやー、危機一髪。上からの安否を問う声に大丈夫と返す。後続のハイカーさんも無事のようだ。お互い、石は落とさないように注意しましょう。


ロープを伝って急斜面を登る


烏帽子のコル

最後はロープを摑み、ごぼう抜きでコルに登り着く。すぐ左の岩峰に取り付いて、ロープが張られた急坂(ここも落石注意)を登り、左から回り込んで烏帽子岳の頂上に着いた。


烏帽子岳への登り


烏帽子岳頂上

小広い山頂は10人程のハイカーさんで賑わっている。360度の展望が開け、北西には、先週登った大津と三ッ岩岳が岩峰を連ねる。北には山麓の大仁田の集落を俯瞰し、西上州の山々を一望。赤城・榛名・妙義や、まだ白い上信国境稜線、浅間山を遠望する。


烏帽子岳から三ッ岩岳を望む


烏帽子岳から山麓を俯瞰

南にはマルの円頂を間近に見上げ、その左奥にシラケ山を望む。頂上の周囲やマルにはアカヤシオが点々と咲くが、蕾もあって八分咲きというところ。


頂上のアカヤシオ


烏帽子岳からマルを望む

展望を堪能したのち、続々と登ってくるハイカーさんと入れ違って、岩峰を降りる。コルからマルに向かい、すぐに左に分岐する巻道に入る。振り返ると烏帽子岳の岩峰が木の間越しに眺められる。急斜面をトラバースして、マルの東の鞍部に出る。


マルの巻き道から
烏帽子岳を振り返る


正面が岩稜コース

シラケ山に向かって、細い尾根の上の登山道を辿る。岩稜に突き当たるところに道標があり、横道コースはここから岩稜の右斜面をトラバースして進む。岩稜コースはここから左に入る。特に「岩稜コース」の道標はなく、入口がちょっと分かりにくい。岩稜コースに入ると、一旦、左斜面を下り、岩場を巻いて登って岩稜の上に出る。


岩稜コース分岐


左斜面を巻いて登る

岩稜の右は切れ落ちて、覗き込むと高度感がある。すぐ上のピークにはハイカーさんの姿が見える。ナイフリッジを辿り、小さなギャップをエイヤと飛び越える。この小ギャップを見下ろす位置に「烏帽子岳→」の道標がある。前回、この岩稜を逆ルートで歩いたとき、ここが一番スリルがあって、強い印象が残っている地点だ。


岩稜の上に出る


岩稜を見下ろす

ハイカーさんの居るピークに着いて立ち休み。展望と高度感は抜群で、行く手にはシラケ山に続く岩尾根、振り返ればマルと烏帽子岳が眺められる。


シラケ山に続く岩尾根


マル(左)と烏帽子岳を望む

後はそんなに怖い箇所はなく、明瞭な踏み跡が通じる岩稜を辿る。見頃のアカヤシオが点在して、目を楽しませる。結構大勢のハイカーさんとすれ違う。人気が高いコースだ。


アカヤシオ(1)


岩稜を振り返る

小さな岩峰をいくつか越える。P7からP1まであるらしい。最後にシラケ山へのちょっと長い登りとなる。登り着いたシラケ山の肩には古い道標がある。後は頂上まで緩く登る。振り返ると辿ってきた岩稜が俯瞰でき、その向こうに烏帽子岳の頂上がちょこんと突き出て見える。


シラケ山への登り


アカヤシオ(2)


シラケ山の肩に登り着く


烏帽子岳(中央)を振り返る

シラケ山の頂上は露岩があり、ここも360度の展望が開ける。東方には天狗岩が見え、岩峰の天辺に渡る鉄橋をハイカーさんが通る度にカツーン、カツーンという音が、風に乗って微かに聞こえてくる。その後方には桧沢岳や小沢岳、稲含山などが眺められる。


シラケ山頂上


天狗岩を望み、桧沢岳、小沢岳を遠望

南には神流川上流域の奥深くの山々を一望して、諏訪山や帳付山、滝谷山などのピークを認めることができる。大展望を楽しみながら昼食のパンを齧っていると、ハイカーさんが三々五々頂上に到着。若手会社員らしきグループもいて、大変賑やかだ。


諏訪山と上野ダム、奥秩父の山を遠望


シラケ山頂上を振り返る

腹を満たしたところで、シラケ山の頂上を辞して天狗岩に向かう。複数の踏み跡があるが、いずれも横道コースに合流して、天狗岩に通じる。天狗岩もハイカーさんが多い。錆びて鉄板に穴が開きそうな橋を渡って、天狗岩の柵に囲まれた天辺に立つ。烏帽子岳の鋭鋒と背景にぐるりと連なる上信国境稜線の山々の展望が素晴らしい。


天狗岩へ下る


天狗岩への鉄橋


天狗岩からシラケ山を仰ぐ


天狗岩から烏帽子岳を望む

復路はシラケ山の南面を巻く横道コースで戻る。新芽が萌え始めたカラマツ林を通り、まだ冬枯れの雑木林に入って、岩稜の下のザレた斜面をトラバースすると、呆気なく岩稜コース分岐点に戻る。


横道コースに入る


楽な道が続く

烏帽子岳への巻き道は通らず、マルに登り上げる。頂上は樹林に囲まれて展望はなく、北側に林を透かして烏帽子岳を見下ろすことができるくらいだ。頂上で一休みしていると、西の尾根からハイカーさんが登ってきた。奥の二股を見過ごして直進し、こちらに来てしまったそうだ。


烏帽子岳への巻き道分岐


マル頂上

私はそちらの方へ下って、稜線からの下り口に着く。この先の稜線(南牧村・上野村の境)は雑木林に覆われて藪がなく、歩いてみたいと思わせる。北の斜面を下ると、往路程ではないが、かなり急でザレた斜面をジグザグに下る。


稜線からの下り口


ザレ場の急斜面を下る

奥の二股に着けば、後は行きに登ったシボツ沢沿いの道を下るだけだ。午後の日差しを浴び、色合いを深めた新緑を愛でつつ歩いて、車を置いた烏帽子岳登山口に戻った。


奥の二股


新緑の谷を下る


烏帽子岳登山口に下り着く


大仁田集落から烏帽子岳を仰ぐ

帰り道の途中の大仁田の集落には鯉のぼりが翻り、烏帽子岳を仰ぐことができる。なかなか絵になる山村風景だが、廃屋が多いのが気がかりだ。さて、残りのGWはどこに行こうかな。思いを巡らせつつ帰桐した。