鋸山
(この記事は房総の山2日目、清澄山・烏場山からの続きです。)
前夜は安房温泉紀伊乃国屋に宿泊。夕食は海の幸を堪能、朝食もあじの干物焼きなどをしっかり頂いて9時過ぎにチェックアウト。昨日と一昨日の山歩きで結構歩いたので、旅行最終日の今日は観光として、鋸山を訪ねることにする。
安房勝山からR127を北に向かい、鋸山有料自動車道(1000円)を上がって山頂駐車場に車を置く。この駐車場は大変広く、満杯になることはまずなさそう。
ここから先、鋸山の頂上稜線を含む南面の一帯は鋸山日本寺(にほんじ)の境内で、西口管理所で拝観料(600円)を払って中に入る。ここで貰った境内案内図を見ながら、最初に大仏に行くことにする。
大仏へは急な石段を下る。人気の観光地とあって、老若男女、多くの観光客と行き交う。途中の岩窟には多数の羅漢像が祀られている。
だいぶ下って大仏前参道に出、参道を緩く下ると、大仏さまの前に出る。岩壁から彫り出された大仏は予想外にでかい。鎌倉や奈良の大仏も見たことがあるが、遥かに大きい感じがする。パンフによると、高さ31mもあるらしい。また、背景には鋸山が切り立ち、素晴らしい景観である。大仏の原型は天明三(1783)年に完成し、その後、風蝕によって著しく崩壊していたものを、1966年に復興したものとのこと。これは一見の価値あり。
大仏から鋸山の頂上稜線を目指して、急な石段を登る。等高線を数えると標高差が約130mあり、観光地にしては結構な登りである。周囲は深い樹林に覆われて、自然が豊か。途中、岩場を刳り貫いたトンネルや多数の観音像を祀る岩窟など、随所に見所がある。
急階段を登り切ると山頂展望台に着く。北面は石切場跡の垂直に切り立った岩壁で、手摺から下を覗き込むと恐ろしい程の高さである。当然、北には遮るものがない大展望が開け、山並みを縫って走る高速道(富津館山道路)や浜金谷港を俯瞰する。
左手には鋸山随一の人気スポット「地獄のぞき」があり、絶壁から突き出た岩場の先端まで行って記念撮影しようとする観光客の長い待ち行列ができている。まあ先端に行くより横から見ている方が怖いので、待ち行列に並ぶことは止めておく。
鋸山の最高点は実は山頂展望台ではなく、ここから東へ延びる稜線上の329m三角点峰で、北麓からの登山ルートがあるらしい。機会があれば、最高点にも登ってみたい。
山頂展望台から西へ痩せ尾根上の石段を下る。この辺りが鋸山のメインストリートで、観光客がとても多い。途中、右の枝道に入って石切場跡の垂壁に囲まれた廊下に入ると、百尺観音がおわす。これも岩壁に刻まれた巨大な石像だ。頭上には絶壁から地獄のぞきの岩場が青空に向かって突き出ていて、見るからに恐ろしい。それにしても山中がこんな絶壁だらけになるほど、よく石を採ったものだなあ、と感心する。
西口管理所に戻り、最後に十州一覧台に立ち寄る。ひと登りすると稜線上の広場に浅間神社と世界救世教記念碑がある。山頂展望台と同様に展望が開け、海に近づいた分、海や対岸の三浦半島が良く見えるほか、鋸山ロープウェイも見おろして眺められる。
これで鋸山を一巡り。あと、千五百羅漢という名所があったのだが、見逃した。観光と言うにしては随分と登り降りがあり、石切場跡の岩壁も予想以上に迫力があって、山歩きとしても楽しめた。見所が多く、拝観料は元が取れてお釣りが来たと思う。なお、大仏を見るならば、山麓の無料駐車場の近くまで結局下ることになるので、そちらを起点に周回するという手もある。
帰り道は途中で富津岬に立ち寄って、富津公園に数軒ある漁師料理の店の一つで名物のバカ貝料理を食べる。それからアクアラインを経由して、横浜の実家に帰った。