雷電山〜両崖山〜天狗山
この週末は、予報によると土曜日が穏やかな晴天に恵まれるとのこと。晴れるならば展望が楽しめる山に出かけたい。遠出を計画する暇がなかったので、近場の山を考えて、足利市の天狗山を思いつく。織姫神社〜両崖山〜大岩山というメインのハイキングコースから西に少し外れたところにあり、展望が良いことで知られる人気の山だ。ついでにメインコースから東に少し外れたところにある雷電山にも登ることにして、雷電山、両崖山、天狗山を繫いで歩いてきました。
桐生を車で朝遅くのんびり出発。途中、コンビニで昼食のペットボトル飲料とパンを買い、織姫神社参道入口にある織姫観光駐車場に車を置く。参道入口には早くも初詣の看板が立つ。今年もあと一ヶ月。時が経つのは速いなあ。しかも年々加速している気がする。
参道石段では、高校陸上部男子が階段ダッシュで練習している。昔は私も運動部でやらされたなあ、と思い出す。織姫神社の境内に着くと、高校排球部女子がワイワイ集まって、自撮り棒を使って自撮りしている。こちらの一団は観光気分っぽいが、今日は足利に試合をしに来たのかな。その他の参拝客も多くて賑やかだ。
織姫神社から両崖山へのコースは、逆コースで歩いたことがある(山行記録)。最初は織姫公園の中を歩く。もみじ谷の紅葉は11月中旬が見頃だったそうで、既に終わっているが、それでも駐車場には多数の車があり、訪れる人が多い。紅葉は終わっても黄葉はまだまだあり、青空を背景にして日差しに照り映え、いい感じの色を出している。
休憩所のある鏡岩展望台を過ぎ、尾根上のハイキングコースを緩く登る。露岩が多くて変化に富み、見晴らしも良くて足利市街や関東平野が一望できる。
やがて両崖山南の丸太見晴台に到着する。ここも足利市街の眺めが良い。両崖山の頂上はここからすぐだが、雷電山には麓の雷電神社から登りたいので、ここでメインのハイキングコースから分かれて、「本城1丁目」への道を下る。
こちらも良く整備されたハイキングコースだが、ハイカーさんの姿は全く見かけなくなる。杉林に入り、擬木の階段を下る。この階段は緩斜面にかなり長く続く。
小沢に沿って下って閑静な住宅街に出、車道を緩く下るとT字路に着く。「両崖山ハイキングコース」の案内看板と「←小谷弁財天まで 0.2km JR足利駅まで 3.4km→」の道標がある。雷電神社へは右だが、小谷(こや)弁財天にも興味が湧いたので立ち寄ってみよう。道標に従って左に向かう。
すぐに看板があり、下の方に「小谷辨財天大神入口」と書いた小さなプレートが付いている。ここで右に曲がる車道から分かれ、真っ直ぐ畦道を進む。山間に分け入ると、樹林に覆われた谷間に石鳥居と小さなお堂が建つ。このお堂は覆屋で、中に祠が収まっていた。
T字路に戻って、雷電神社に向かう。「雷電神社参道入口」の石碑で左折、右の大きな建物は病院のようだ。石鳥居を潜り、参道の立派な石段を登る。登り始めの左側には小谷社神社の社殿、右には織姫神社や生駒神社の石祠があり、いろいろな神社が祀られている。
長い石段を登り、鳥居を潜って広く開けた境内に着く。立派な拝殿や神楽殿が建つが、無住のようである。案内看板によると雷電神社の草創は古く、天喜二(1054)年まで遡ると伝えられているとのこと。
拝殿の左脇の「両崖山麓HC起点」の道標から登山道に入る。常緑樹(たぶんヒサカキ)が生い茂る斜面を木の階段で一直線に急登し、尾根上に出る。雑木林の尾根を緩く登ると石鳥居があり、これを潜ると石祠と三角点標石のある雷電山頂上だ。
石鳥居の前からは東の展望が開け、足利市江川町の街並みや、その向こうに塩坂峠、鳩の峰(317m)から越床峠にかけての山並みを望む。昼食にパンを齧りながら眺めを楽しむ。今日は風もなく暖かいので、のんびり休憩できる。
空腹を満たしたところで出発。すぐに展望の良い地点があり、行く手に両崖山とその右奥にちょこんと天狗山の頂、右に稜線を辿って大岩山が眺められる。ここも休憩に良い。
黄葉した雑木林に覆われ、小さなアップダウンが多い尾根歩きが続く。なかなかいいハイキングコースだ。途中、やまの町桐生で「小谷山」と称している、ベンチとテーブルのあるピークを越える。
右に作業道を分けると石段の急登となる。両崖山ハイキングコースの案内看板では、この先に「しらひげ神社」の名が記載されていたから、その参道の石段かな。しかし、登り着いた個所には特に神社らしいものはなく、両崖山〜大岩山の縦走路に合流する。
ここから再びメインのハイキングコースで、人通りも多い。ベンチで休憩中の地元のお年寄りと話をして、両崖山を経ず天狗山に行くルートを教えて頂くが、それは次の機会ということで、今日は両崖山経由のノーマルなルートで行くことにする。
短い急坂を登って、タブノキの大木が茂る両崖山の頂上に着く。両崖山は3回目の登頂。御嶽神社にお参りし、参道の石段を下る。下った所に東屋、「天狗山ハイキングコース」の小さな道標と案内看板がある。
天狗山への登山道に入り、両崖山頂上の南を巻いて尾根上に出る。ベンチと道標があり、直進すると紫山で広いベンチがあるそうだが割愛。右折して雑木林の尾根を下る。樹林が疎らな天狗山の頂が正面に見え、見るからに展望が良さそうなピークだ。
鞍部に下り着くと左に本経寺、右に大岩町へ下る道を分ける。尾根を直進すると、結構大きな岩場に突き当たる。天狗岩と言うそうで、巻道もあるが、もちろん直登。固定ロープを頼る程のことはなく、簡単に登れるが、変化に富んで低山にしてはなかなか面白い。
さらに尾根を登って、天狗山の頂上に着く。疎らな樹林の間から四方八方に展望が得られ、ベンチがあちこちに設置されていて、憩うには誂え向きの頂だ。三角点標石と少し離れた所に山神宮の石祠がある。
頂上からの眺めは、今日の山歩きに期待していたもの以上に良い。北には大岩山を望み、日光男体山と女峰山を遠望する。南には関東平野が広がり、足利市街を俯瞰する。眼下の谷間に見えるグラウンドは学校のものだろうか。西には広沢丘陵や、遠く榛名山や赤城山の山影を望む。東にはきつね色に染まる両崖山がお隣に見える。
展望を楽しんだのち、南尾根を下る。緩やかな尾根道となり、西宮・本経寺への道を左に分ける。202m標高点を過ぎると「←見晴台0.2km ↓通七丁目1.4km 天狗山0.6km →」の道標のある分岐に着く。尾根を直進して見晴台に向かうと、少し下がって「富士見岩」の標識のある大きな岩場に着く。ここも展望が良く、平野の中に突き出た山並みの末端が島や岬のように眺められて面白い。ただし、既に陽が西に傾き、写真を撮ると逆光だ。
分岐に戻り、通七丁目に向かう。しばらく尾根の東側を斜めに下って、再び尾根上へ。背骨のように続く露岩に沿って歩く。再び西宮町への道を分け、露岩の多い尾根を登る。振り返ればなかなか良い色付きの天狗山が眺められる。電波塔の建つピークを越え、緩くアップダウンすると「須永山202m」の標識が現れる。ただし標高は154mの誤りだろう。標識がなければ通り過ぎてしまうような、平坦なピークである。
西日に照らされた雑木林の尾根をゆるゆる下るとすぐにベンチとテーブルがあり、あまり山頂らしくない所だが、観音山の山名標がある。ここから少し急な坂を下り、観音堂の裏手に着く。近隣から集められたと思しき多数の庚申塔があり、その中に1基の青面金剛像が建つ。一面六臂で、左手は女人の頭髪を摑んで吊るし、足元には邪鬼を踏み付け、彫りが立体的で写実的な像である。これは今まで見た青面金剛像の中でも見事な物と思う。
観音堂には子安観音像が祀られているとのこと。なんでもこの像は、足利義兼公(鑁阿寺の開基)の時子夫人が懐妊したとき、女の子と占いに出たので、産まれるまでに男の子に変える「変成男子の呪法」を行った時に用いられた仏像なのだとか。何それ怖い(^^;)。
階段を下ると、通七丁目の県道の切り通しに出、あとは市街地の車道を歩く。途中、和菓子屋に寄ってお土産を買い、織姫観光駐車場に戻った。
参考URL:足利市HP「足利市ハイキングマップ」、やまの町桐生「雷電尾根」「天狗山」の記事。