根本山
この週末は土曜が良く晴れて暑いくらいの天気でしたが、午前中は所用があったので、午後から近場の山へ。涼を求め、久し振り(1998年11月以来)に根本沢コースを歩いて、根本山に登ってきました。なお、根本沢はハイキングコースと銘打たれていますが、道迷いや滑落の危険があり、経験者向きのコースです。
自宅から車で約30分で三境林道入口に着き、ここの駐車スペースに車を置く。他に3台程の駐車があり、そこそこハイカーさんが登っている模様。好天に誘われたドライブの車やバイク、サイクリングの自転車がときおり林道を通り過ぎていく。
車道を歩いて不死熊橋へ。ここで出合う根本沢は、大きな杉の木が折り重なって倒れこみ、ちょっと悲惨なことになっている。これは一昨年2月の大雪(平成26年豪雪)によるものだそうだ。根本沢コース入口の左岸の斜面も崩壊しており、固定ロープを手繰って直上し、上部の作業道に出るように道が変わっている。
作業道を辿って沢身に降り、飛び石伝いで右岸に渡る。今日は水量は少なく、渡渉には問題なし。しばらく進むと苔むした「二十丁」の丁石があり、以降、カウントダウンして丁石が現れる。再び飛び石伝いで左岸に渡り、高巻き道に入る。川床からかなり高い所をトラバースするので、足元注意。
高巻きが終わると金網に石詰めした護岸に出て、右岸に渡る。すぐ先に「根本山国有林」の青い看板と、「根本沢県自然環境保全地域」の看板が立つ。後者によると、この流域にはシオジ、イヌブナ、ブナ、ツガなどの林が見られるとのこと。
根本沢は岩の間を滔々と流れ、登山道は右岸の斜面をトラバースして緩く登る。根本沢入口の倒木を見たときはどうなることかと思ったが、コースに入ると倒木は散発的で、通行に大きな支障はない。
右岸の高巻きが終わると「十四丁」の丁石が建ち、右岸から支流が出合う。丁石の側面には「金屋治兵衛」と刻まれている。ヒデノキ沢と書かれたプレートがあるが、やまの町桐生の記事(末尾の参考URLを参照)によると、ヒノキデ沢が正しい名称のようである。
パンとペットボトル飲料の昼食を摂って一休みしたのちにリスタート。この先で大きな倒木が沢を塞ぎ、その前後で道が不明瞭になるが、赤テープを追って沢沿いに進む。
本流は小滝をかけ、登山道は左から小さく高巻く。岩場に大きく根を張るケヤキがある。
穏やかな渓流に沿ってしばらく進む。左岸に渡り、岩壁の基部を通る所には「十丁」の丁石が日差しを浴びて佇む。
左岸の道を進み、すぐに「九丁」の丁石を見る。「ハイキングコース」の道標に導かれて右岸に渡る。この辺りから水流のすぐそばを歩くようになり、左右に流れを渡りながら遡ると「六丁」の丁石がある。
次に苔むした「五丁」の丁石を見ると、小さな滑滝が現れる。前回の山行記録(HP未公開)では魚止めの滝としているが、出典はなんだっけ。なお、根本沢に魚はいなさそう。この滝は左から高巻く。固定ロープが張られているが、かなり高い所で岩場をトラバースするので緊張する。沢登りだったら、水線通しで通過したいところだ。
高巻きが終わると、自然石の石段の上に二基の石祠が祀られ、お賽銭の小銭が供えられている。一方の祠には「文化七(1810)年九月吉日 世話人高草木幸助」の銘が見える。だいぶ細くなった水流に沿って遡る。途中、苔むした石柱があるが、文字は読み取れない。
このすぐ先の大岩の上に「奉獻根本山神宮」の石碑が建つ。銘の右と左には大天狗、小天狗と刻まれ、側面には「維時文政十二己丑(1829)十一月吉祥日」とある。
石碑の奥で左岸に渡り、上の杉木立ちを目指して斜面を登る。石段を登って杉木立ちに着くと、「奉獻根本山神宮」の屋根のついた石碑(石灯籠?)がある。側面には「維時文政十丁亥(1827)八月吉祥旦」と刻まれている。
杉木立ちの先の二股の小平地が籠堂跡だそうだ。道標に従って二股を右へ。両岸が岩壁となった沢の中を進み、奥の二股は道標に従って左に入ると不動滝が現れ、年代物で踏み子が抜けるんじゃないかと思われる鉄梯子をヒヤヒヤしながら登って滝を越える。
不動滝の上流は伏流となり、石碑と首のない地蔵尊が相次いで建つ。石碑の正面には「奉一」、側面には「大天狗」「小天狗 田沼講」やその他の文字が刻まれているが、苔が生えているため、良く読めない。
地蔵尊から左岸斜面に取り付き、鎖場を越えてすぐに小尾根上に登り着く。右手の岩場の上に鐘楼、その奥に根本山神社奥の院が建つ。奥の院は大岩に乗っかって建てられた覆屋の中に、彫刻が立派な社殿を祀る。覆屋も老朽化し、床板が抜けそうでヒヤヒヤする。
小尾根上の登りは鎖場が続く。と言っても、木の根岩角を摑めば鎖に頼らず登れる程度の難度。途中の岩場の上に灯籠台の跡があり、森林に覆われた根本沢を俯瞰し、根本山〜三境山の稜線上の一ピークの三角山を望むことができる。
小尾根の左斜面が崩壊して、根本山の頂上が仰げる箇所がある。前回はこんな所はなかった気がするが…。さらに鎖場が続くが、二基の石灯籠の跡と石祠が現れればそれも一段落だ。この石祠は根本山神社の奥社とのこと。
奥社からひと登りで峰の平の小ピークに着く。左折して尾根を辿り、小ピークを二、三越えると根本山の頂上をぐるっと取り囲む山道に出て「←三境山 黒坂石 ↑根本山10分」の道標がある。右に山道を辿れば中尾根十字路に至る。ここは道標に従って直進。短い坂を上り、平坦な稜線を辿ると、根本山の頂上に着く。ここは相変わらず樹林に覆われて展望皆無の地味〜な山頂である。
一休みしたのち、中尾根コースで下山する。ここは3年前にも歩いていて(山行記録)、様子はあまり変わっていないので、写真だけ記載して記述は省略。
最後に大きく育った杉植林帯を下って、林道に出る。「中尾根コース」と「根本山右へ」との道標あり。倒木や崖崩れで荒れつつある林道を下り、駐車地点に戻る。山中では結局誰にも会わなかった。数台あった車も既にお帰り。桐生市街に帰るとむわーっとした湿気と熱気に包まれ、やはり山は涼しかったのだなあ、と改めて認識した。
参考URL:やまの町桐生根本山、丁石を追って根本沢道の各記事。