1257m三角点峰
(2016-04-20追記:『勢多郡誌』10頁の記述によると、998m三角点峰には栗生奥山という山名があるようです。)
この週末は日曜にランニング大会でハーフマラソンを走る予定なので、土曜に近場の軽い山歩きに出かけることにする。さて、どこに行こうかな。
地理院地図で渡良瀬川西岸に広がる山地を見ると、赤城山から袈裟丸山へ続く郡界尾根(旧勢多郡と旧利根郡の境界)を越えて、渡良瀬川筋と根利を結ぶ三本の黄色い線(=県道)が記載されている。一番西が群馬県道62号沼田大間々線で、主要地方道として整備され、桐生から尾瀬片品方面に出かける際には毎度お世話になっている道路である。
また、一番東には小中から根利へ越える県道268号船笹神戸停車場線がある。山越えの区間は破線路となり、その上、中間が途切れている。「家の串越え」として知られる峠道であるが、現在では谷筋の道は消滅し、稜線上にのみ道型が残っている(山行記録)。
三本の県道のうち、中央にあるのが上田沢から根利へ越える県道257号根利八木原大間々線である。この道も山越えの区間が破線路で、中間が途切れている。この破線路もかつての峠道なのだろうか。また、現在はどうなっているのか、興味を惹かれる。という訳で地理院地図の破線路を辿り、序でに郡界尾根の1257m三角点峰まで足を延ばしてきました。
桐生を車で出発。水沼から根利八木原大間々線に入り、田沢川に沿って北上。葛葉峠への道(田沢楡沢線)に入って最初の小尾根を越えた先の路側スペースに車を置く。
獣道を伝って小尾根に上がると、尾根上にはコンクリ舗装の跡のある細い道がついている。これはやはり昔の峠道か。松林の尾根を登ると杉植林帯に入り、倒れた石祠を見る。
尾根を絡んで道型を辿るが、しばらくすると尾根から離れて左斜面をトラバースし始めたので、道型を辿るのを止めて尾根筋を忠実に登る。ツツジなどの低木の小枝が少々煩いが、藪漕ぎと言う程の藪もなく登ることができる。樹林に覆われて眺めは得られないが、木立を透かして右側の谷や山を望む。それなりに奥山の雰囲気のある道が続く。
やがて、左斜面が広大に伐採された地点を通る。先程の道型が通じているのではないかと思って、伐採斜面とその周辺を良く見てみるが、どうもありそうにない。
杉植林帯に入って尾根を登っていくと、左から道が合流する。これは峠道?作業道?ところどころ深く掘り込んで、斜面をジグザグに登っており、峠道っぽい道ではある。
この道を辿ると尾根を巻いて、杉林の切れた場所から行く手に1017m標高点峰や栗生山に続く稜線を望む。眺めがあるのはココくらいで、あとは樹林中の道が続く。
道型を辿って1017m標高点峰の北東斜面をトラバースする。斜面が崩壊しているが問題なく通過可能。北へ延びる稜線の上に出る。丈の低い笹原に覆われた稜線で、辿って行くとやがて道型が現れる。これは明らかに峠道と思われる。右斜面は杉林となり、チェーンソーの音が響いている。
笹原の中の道型を辿る。998m三角点峰(栗生奥山、点名:根利沢、俗称:ヤヨウ)は左から巻いてトラバースしているので、適当なところから笹原を登って頂上を目指す。三角点標石は樹林に囲まれた笹原の中にある。山名標や標識の類は全くない。笹原を下って、道型に復帰する。
この先も緩やかな稜線の直下をトラバースして、笹原の中に明瞭な道型が続く。家の串越えの稜線上の道と同じような雰囲気である。ほとんど平坦で歩き易く、樹林の緑も綺麗で至極快適。
やがて行く手に送電線が見え、カラマツ植林帯に突き当たって峠道は終了。直進して植林を抜けると林道に出て、左には巨大な送電鉄塔が見える。そろそろ正午なので、林道の舗装の上に腰を下ろして(車はまず来ない)、パンとペットボトル飲料を腹に入れる。
地理院地図によると、県道はここから郡界尾根の間で途切れている。この区間は赤面川源流域のカラマツ植林帯で、かつて峠道があったとしても残っているかどうかは期待薄な気がする。林道を辿って、郡界尾根に向かう。
林道が郡界尾根に近づいた地点で林道を離れ、浅く小さな沢を登って郡界尾根に向かう。最初、方角を間違えたが気がついて修正。杉植林帯を緩く登ると、あっけなく郡界尾根の上に出る。平坦で広い稜線は丈の低い笹原で覆われている。道はないが、適当に歩ける。
郡界尾根を西へ、1257m三角点峰に向かう。稜線を進むと樹林中にぽっかりと開けた砂礫地に出る。ここが、峠道が郡界尾根を越える地点のようだ。北へ下る道型もある。
(『桐生市ことがら事典』によると、赤面川の源流に赤面山と岩苔山があり、火山灰の赤土で表面が覆われていることを赤面と称しているそうである。もしかしたら、この砂礫地のような場所を赤面と言うのかも。赤面山と岩苔山の位置は不明。1257m三角点峰が赤面山ということも考えられるのではないかと思う。)
砂礫地を横断して、カラマツ林と笹原の斜面を登る。笹原の中に明瞭な踏み跡が通じ、歩き易い。笹原と雑木林に覆われた稜線を辿ると、1257m三角点(点名:根利)の標石のあるピークに登り着く。緑深い樹林の中にヤマツツジの鮮やかな赤い花が点在する。緑に遮られて展望はないが、冬枯れの季節ならば袈裟丸山と赤城山が望めそうである。なお、このピークにも山名標の類はない。
下山は往路を戻る。1017m標高点のピークにも立ち寄ってみたが、僅かな樹林の切れ間から鳴神山辺りの山々を望むことができるだけで、あとは何もない。作業道を忠実に辿って下ると、山腹をトラバースして伐採地に突き当たる。その先の道はないので、仕方なく尾根上に復帰。あとは尾根を下り、駐車地点に戻る。
帰りは水沼♨に立ち寄り、汗を流したのちに帰桐した。意外に歩き応えのある行程となり、疲労が残るかもと心配したが、翌日のハーフマラソンはなんとか気合いで完走した。