鷲ヶ巣山

天気:
メンバー:T
行程:縄文の里・朝日 8:25 …避難小屋 9:50 …前ノ岳(826m) 10:15 …中ノ岳 11:20 …鷲ヶ巣山(1093m) 12:55〜13:35 …前ノ岳 15:55 …避難小屋 16:10 …縄文の里・朝日 17:10
ルート地図 GPSのログ(赤:往路、青:復路)を地理院地図に重ねて表示します。

GWの前半は少し遠出し、新潟県村上市の周辺の山へ。『新潟100名山』(新潟日報事業社刊)を参考にして、1日目に鷲ヶ巣山(わしがすやま)、2日目に光兎山(こうさぎさん)の合わせて2座に登ってきました。

桐生を深夜に車で出発、関越道、北陸道、日本海東北道を経由して村上市へ向かう。時間帯が早いので渋滞はないが、SA・PAが混雑しているのはさすがGWと言うところ。給油のため日本海東北道を荒川胎内ICで降りて、R7を走る。途中の村上瀬波温泉IC付近にはイオン等のロードサイド店舗が集積し、買い物には便利そう。

国道から分かれて郊外に出ると、田圃の向こうに鷲ヶ巣山の鋭峰が眺められる。三面(みおもて)川沿いの道を上流へ向かって走ると、鷲ヶ巣山と前衛の前ノ岳が急峻な山肌を見せ、雪解け水を川幅いっぱいに押し流す三面川を扼するように立ちはだかり、1000m級の山とは思えない威圧感がある。

最奥の岩崩(いわくずれ)集落を過ぎ、縄文の里・朝日の駐車場に車を置く。他に車はない。今日はドの付く快晴で早くも暑く、羽虫の群れが元気良く纏わり付いて来る。虫除けの効果も期待して日焼け止めを塗り、Tシャツ1枚になって出発する。

山麓の岩崩付近から
前ノ岳と鷲ヶ巣山(奥)を仰ぐ
縄文の里・朝日

縄文の里のすぐ先で分岐する林道沼田線に入る。林道入口にはゲートがあり、登山者の車は縄文の里の駐車場に置くようにとの指示の看板がある。未舗装の林道を500m程進むと鷲ヶ巣山登山口の標識があり、杉林の中に登山道が通じている。

林道沼田線入口
鷲ヶ巣山登山口

登山道を緩く登って新緑の樹林に入り、ハルゴ沢を渡る。ここはかつての登拝者がウガイ場と呼んで休憩した場所とのこと。沢から水を汲んで、2ℓポリタンを満タンにしておく。

ハルゴ沢を渡る
エンレイソウ

登山道は沢から離れるとブナ林に覆われた小尾根の上に出て、一直線に急登する。道の上には、沢山のブナの雄花が敷き詰めたように落ちている。この様子だと今年はブナが豊作の年に当たり、秋には実が大量に成って森の動物達が大喜びとなりそうである(^^)

小尾根を急登する
ブナの雄花

やがて尾根が広がって、鬱蒼としたブナ林と下生えのツバキ林に覆われた急坂を登ると、鷲ヶ巣山避難小屋に到着する。小屋の中は狭くて、非常時以外は泊まれそうにない。小屋のすぐ上の斜面に水場があり、ブナ林から浸み出した水がチョロチョロと流れている。

鷲ヶ巣山避難小屋
避難小屋の水場

ところどころロープの張られた急坂を登る。ようやく傾斜が緩むと丈が低く明るい樹林帯となり、オオカメノキやイワウチワ、タムシバの花が多くなる。

ブナとツバキの林を急登
オオカメノキ

登り着いた前ノ岳の頂上には三角点標石がある。展望が開け、深い森林に囲まれた三面ダム湖の湖面を俯瞰する。目指す鷲ヶ巣山への稜線は、途中に中ノ岳を持ち上げて大きくアップダウンし、これを辿るのはなかなかのアルバイトになりそうである。

イワウチワ
前ノ岳頂上
三面ダム湖を俯瞰
中ノ岳と鷲ヶ巣山を望む

一休みしたのち、中ノ岳との鞍部に下る。陽当たりの良い低木帯ではタムシバが満開だ。鞍部にはブナ林の緑陰があり、見下ろす山腹には残雪があって涼める。ここから中ノ岳の最高点(1004m)へは標高差約320mの大登りとなる。ブナ林を延々と登って小ピークに着くと石祠があり、ここが中ノ岳のようだ。石祠の刻銘は読めないが、ガイド本によると薬師如来を祀っているとのこと。

新緑の稜線
中ノ岳頂上

頂上からは360度の展望が開ける。振り返ると越えて来た前ノ岳が低く見え、山麓を貫流する三面川を俯瞰し、村上市街や日本海を遠望する。鷲ヶ巣山はもう一山越えた先に鋭く聳え、まだまだ遠い。

前ノ岳を振り返る
鷲ヶ巣山を望む

陽当たりの良い稜線を辿る。部分的に残雪があるが、問題はない。満開のタムシバを愛でながら急登すると、大日如来尊の石碑のある小ピークに着く。稜線に帯状に残る残雪を辿って、鷲ヶ巣山との鞍部に向かって下り始める。

残雪を歩く
タムシバ
大日如来尊
鷲ヶ巣山を望む

やがて根曲りの樹林と笹原に覆われた斜面をトラバース気味に下る道となる。道と言っても踏み跡レベルで、足元が傾いていて歩きにくく、体力を消耗する。歩き始めて既に3時間を超え、夜通しの運転による寝不足や酷暑もあって疲れが出てくる。いや、それよりもシャリバテが一番の原因か。ピーナッツラスクを食べて糖分を摂り、元気をちょっと回復。鞍部から標高差約220mの登りに取り付く。

残雪のトラバース
稜線の右を絡んで下る
鷲ヶ巣山を見上げる
頂上への急登

急坂をなんとかこなし、ようやく鷲ヶ巣山頂上に登り着く。頂上には大岩が点在し、新旧2基の石祠が祀られ、小平地の中央に三角点標石がある。

鷲ヶ巣神社の新しい石祠
古い石祠

今日、登っているのは結局私だけのようで、正に360度の大展望を独占する。周囲には森林に覆われた尾根と残雪を鏤めた谷が幾重にも重なって広がり、その涯を画するように東には朝日連峰、南には飯豊連峰の白銀の峰々が囲繞する。この辺り一帯には顕著なピークは見当たらず、この鷲ヶ巣山と、明日登る予定の光兎山の鋭鋒が一頭地を抜いている。

鷲ヶ巣山頂上
朝日連峰を遠望

展望を楽しみながらラーメンを作って遅い昼食を摂ったのち、下山にかかる。往路を戻るが、二つのピークを越えなければならないので楽ではなく、時間もかかる。

そろそろ陽が傾くなか、前ノ岳を下って避難小屋の水場に辿り着く。コッヘルで掬って飲む水は冷たく、生き返る心地。さらに下り、縄文の里に着いたのは17時過ぎとなった。往復8時間半の長丁場で疲れ切ったが、それだけ歩き応えのある山で満足感は大きい。

光兎山(右)を遠望
中ノ岳と前ノ岳(奥)

この晩は、イオン村上東店に立ち寄って夕食を買い込んだのち、南大平ダム湖公園でテント泊する。テントを張って寝床を確保し、鳥のから揚げをツマミに缶ビールを飲む。疲れているお陰で気持ち良く酔い、シュラフに潜り込むと直ぐにぐっすりと眠りに入った。

(新潟県村上市周辺の山2日目、光兎山に続く。)