男抱山〜半蔵山〜羽黒山

天気:
メンバー:K,T
行程:男抱山入口 9:30 …富士山 10:05 …男抱山(338m) 10:25〜10:40 …半蔵山(502m) 12:00 …羽黒山 12:25〜13:05 …石碑 13:30 …山麓 14:00 …男抱山入口 14:30
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

先日、篠井富屋連峰に登ったとき、日光宇都宮道路を挟んで西隣りにミニ山塊を成す半蔵山を眺めて、興味を惹かれた。後日、調べてみると、半蔵山の南に男抱山(おただきやま)という展望の良いミニ岩峰があり、両方の山を結んで周回するハイキングコースがあるらしい。行程も手頃で、どこか登りたいとのKさんのご要望にも打って付けの山かも。

という訳でKさんに同行頂き、前日の三峰山に続いて栃木の山に出かけてきました。Kさんの記事はこちら→男抱山〜半蔵山〜羽黒山

桐生を8時に車で出発。東北道を宇都宮ICで降りれば、男抱山の登山口はICからすぐ。R293の「山王団地西」交差点北の墓地が登山口で、「男抱山入口→」の道標がある。墓地の前の広い駐車スペースに車を置く。交差点の斜向かいにはコンビニと、篠井富屋連峰の帰りにも立ち寄って気に入った「ただおみ温泉」がある。今日は周回コースを歩いてここに戻ってきたら、ただおみ温泉に直行する予定である。アプローチの便利さといい、下山地に温泉が完備していることといい、今日の山は実に好立地である(^^)

登山道に入り、浅い窪の中を緩く登る。杉林の林床にアオキやシダが繁茂して、一面緑に覆われている。ほどなく男抱山と富士山の分岐に着く。ここは左の富士山に向かい、小さな沢を丸太橋で渡って、雑木林の山腹を登る。


男抱山入口の駐車スペース


アオキと杉の林を登る


男抱山・富士山分岐


富士山へ向かう

小尾根に上がり、尾根を辿って緩く登る。ところどころに岩場があり、山麓や古賀志山が眺められる。途中、空身で歩いているご夫婦と行き合い、気持ち良い道ですねー、と挨拶を交わす。


小尾根に乗る


岩場が点在する

岩場を登って富士山の頂上に着く。犬連れに子連れの2組のハイカーさんが展望を楽しんでいる。低い松に囲まれているが、南から東にかけて眺めが開け、男抱山がお隣に見える。頂上には「富士山」の他に「女抱山」の山名標があるが、後者は(特に根拠はないが)男抱山に合わせた後付けの別名のような気がするな。


富士山頂上


隣りの男抱山を望む

次は男抱山に向かう。岩場を下って鞍部に着くと、左に半蔵山への道が分岐する。男抱山へは直進。大きな岩場を木の根、岩角を摑んで登ると、男抱山の頂上に着く。


富士山と男抱山の鞍部


男抱山へ岩場を登る

頂上は松林から突き出て四方が切れ落ちた岩峰で、正に360度の展望が得られる。東には先日登った篠井富屋連峰の七つの峰が全て見える。西には、手前に先程登った富士山、その向こうに古賀志山と北尾根、鞍掛山が眺められる。鞍掛山の右に鋭く尖った峰があり、目が留まる。あれは登らねばなるまいて(後日、鞍槍というピークと判った)。また、北にはこれから登る半蔵山と羽黒山が緩やかな稜線を引いてこんもりと盛り上がっている。

頂上の南には微妙なバランスで立つ大岩があり、一説ではこれが山名の由来とか。また頂上直下には石祠がある。想いが叶う縁結びの社としてお参りされているそうな。


男抱山頂上
後方は篠井富屋連峰


頂上直下の大岩


男抱山から富士山(手前)と
古賀志山(左)〜鞍掛山(右)を望む


男抱山から羽黒山(左)と半蔵山

鞍部に戻り、「半蔵山ハイキングコース」の道標に従って、半蔵山に向かう登山道に入る。アオキと杉の林の中を緩く下り、鞍部から杉植林地の登りにかかる。尾根の左を絡んで幅広い山道を登る。この道は送電線の巡視路で、ところどころに巡視路の黄色い道標が設置されている。


鞍部から半蔵山に向かう


アオキと杉の林を緩く下る


杉植林地を登る


送電線巡視路を辿る

やがて、送電線の下の樹林が帯状に切り開かれた場所を緩く登る。枯れた草藪の中に石祠がポツンとある。この辺りにはあちこちに石切場の跡があり、岩屑が散乱している。


枯れ草藪の中に石祠


送電線の下を登る

再び杉林の中に入ると、取り分け大きな岩場がある。ここも石切場の跡地のようだ。緩やかな尾根の登りから、右斜面の山腹をトラバースする道に入る。この辺りは雰囲気の良い自然林に覆われている。途中で半蔵山を往復して戻って来たご夫婦と行き合い、気持ち良い道ですねー、と挨拶を交わす。あれ、さっきも同じようなことを言った気が(^^;)


石切場跡?の大岩


自然林の山腹をトラバース

少し傾斜が増して杉林の中を登ると林道に出る。林道を右に辿り、再び杉植林帯の中の山道に入る。ゆるゆる登って稜線の上に出ると、雪が薄く積もっている。稜線の反対側は北西向きの急斜面で、意外と高度感があり、雑木林を透かして山麓を俯瞰する。遠くの日光連山は雪雲の中に霞み、そちらの方向から寒風が吹き付けて来る。


林道に出て右へ


再び山道に入る

そんな状況なので、登り着いた半蔵山頂上も風がピュウピュウ、杉林に囲まれて薄暗く、あまり休憩したい場所ではない。三角点標石と山名標を確認し、写真を撮って先に進もう。すぐ先の岩の上には石祠が祀られている。そのときは気づかなかったが、後日、写真を良く見たらこれは珍妙、陰陽のアレとアレが祀られていますな(^^;)


半蔵山頂上


頂上の石祠


北西面の山麓を俯瞰


羽黒山へ縦走路を辿る

稜線を吹き抜ける寒風を衝いて緩くアップダウンすると、「羽黒山 493m」の山名標が掲げられたピークに着く。「←池鳥屋山」の道標もあり、さらに西に縦走できるようだ。

頂上の南の直下に巨大な石祠がある。比較的新しそうな祠だが、亀裂が入って崩壊しそうである。祭神は不明。石祠の周囲は陽だまりの平地になっていて、風も遮られ、休憩にもってこい。枯葉の上にシートを敷いて腰を下ろし、ゆっくり昼食とする。


羽黒山頂上


頂上直下の巨大な石祠

ここから南へ落ちる尾根を下る。明瞭な踏み跡を辿ると、直ぐに倒壊して柱だけとなった石鳥居が現れる。コンクリート造だから近代のものだが、倒れてからは久しい様子。


南へ尾根を下る


石鳥居跡

さらに尾根を緩く下る。左斜面は杉植林帯で、作業道が縦横に走っている。ところどころ雑木林の区間があり、露岩も点在して、この尾根道もなかなか良い雰囲気がある。

やがて雑木林の中に祀られた石祠を見る。屋根に巴紋、塔身に「明治四十二(1909)年旧十月二十五日建立」の銘がある。頂上の巨大石祠や石鳥居もこの頃に造立されたのだろう。すぐ下には、石灯籠2基と石祠1基がある。さらにその下には「男體(体)山供羪(養)」と刻まれた大きな石柱が建つ。こちらは古くて「享和元辛酉(1801)歳十月吉祥日」の銘がある。これはなかなか良い物を見た。この少し下にも石碑と石切場跡がある。


尾根を緩く下る


途中の石祠


石灯籠と石祠


「男體山供羪」石碑

尾根を下るに連れ緑が増えて、少々藪っぽくなるが、明瞭な道型が続く。山麓に近づき、右側に杉林を透かしてゴルフ場を見る。道の脇には大きな庚申塔が点々と建つ。「嘉永元戊申(1848)年十月吉祥日」、「大正九庚申(1920)年十二月」、「萬延元庚申(1860)年九月三十日」などの銘があり、長らく庚申信仰が続いたことが判る。現在はどうだろうか。


山麓に近づき緑が増える


庚申塔群

墓地を過ぎ、竹林の掘割道、畑地の脇道を通って、山麓の車道に出る。広々とした畑地から振り返ると、羽黒山と半蔵山が青空をバックにしてなだらかな稜線を延ばしている。山麓の集落にとっては日光連山からの寒風を遮るありがたい山なので、麓から三角形のピークが一番目立つ羽黒山が信仰の対象となったのだろう。富士山も富士山形の小振りな山容を見せている。


山麓から羽黒山(中央)と
半蔵山(右奥)


山麓から富士山

あとは車道を辿って登山口に戻る。途中から怪しい作業道に入って山裾の杉林の中をショートカットすると、ドンピシャリ。駐車地点の男抱山入口のすぐ脇に出た。

早速、ただおみ温泉に移動。小一時間、ゆったり湯船に浸かったのち、宇都宮ICから高速に乗って、桐生への帰途についた。

参考ガイド:新ハイキングNo.664(2011年2月)の男抱山―半蔵山の記事。『関東周辺やまなみ歩き』にも同じ記事が収録されている。