篠井富屋連峰
金曜日(1/30)は南岸低気圧の影響で、関東甲信地方にもまとまった雪が降った。この週末は岩場や急坂のある山は避けて、雪がなさそうな里山を歩くことにしよう。標高500m級の低山だが、七つの峰を巡る縦走コースが面白そうな篠井富屋連峰に出かけてきました。
桐生を車で出発。高速を宇都宮ICで降りて、登山口の子どものもり公園に向かう。今日は良く晴れて、一段と白くなった日光連山が遠望できる。子どものもり公園入口にある広い駐車場に車を置く。既に何台か駐車があり、2組のハイカーさんが出発するところだ。
WCを済ませて私も出発。公園に入る車道を辿ると、すぐに左に登山道が分岐し、「←榛名山 男山」の道標がある。登山道に入ると杉林を抜けて、未舗装の林道に出る。路面には一面にうっすらと積雪があり、意外と降ったようだ。念の為、軽アイゼンは携行している(結局、使わなかった)。中篠井登山口からの登山道を合わせて緩く登ると、林道終点に着く。ここまでにいくつか分岐・合流があるが、要所に道標がある。
スラリと高く伸びた杉林に覆われた浅い谷をゆるゆると登る。男山への直登コース(少々藪っぽい)を左に分け、ゴロゴロと石が散乱する山道を辿って、榛名山と男山の鞍部に登り着く。稜線上にもうっすらと雪が残り、通り抜ける風が冷たい。
稜線を右に進んで榛名山を往復する。細い稜線を辿り、小さな岩場を登ると、梵天と石祠のある榛名山の頂上に着く。明るい雰囲気の頂上で、ところどころで切れた木立の間から男体山から女峰山にかけての日光連山が遠望できる。山麓を見下ろすと、一面に広がる耕地は綺麗に真っ白。平地でも結構積雪がある。
後続の女性単独ハイカーさんと入れ違いで頂上を辞し、鞍部に戻って次の男山に向かう。少々急な稜線を登って男山の肩に着く。頂上は少し左に行ったところ。こちらは木立に囲まれて狭く、展望も高原山が見えるくらいだ。
次は本山へ。雑木林に覆われた稜線を鞍部へ急降下し、右側が伐採された斜面を登る。伐採地からは半蔵山、古賀志山の眺めが良い。写真を撮っている間に、女性ハイカーさんが先行する。頂上直下は結構な急坂となり、滑り易い。坂の途中で飯盛山への縦走路を分け、本山の肩に登り着く。稜線を左に辿ると、三角点標石のある本山の頂上に着く。
頂上は明るく開け、西から北にかけての眺めが良い。振り返ると男山と榛名山が見え、遠景に安蘇山塊の山並みが続く。右へ目を転じると雪雲がかかり始めた日光連山。そして高原山までズイーッと見渡せる。平野に独立する山塊の最高点だけあって、なかなかの好展望だ。積雪は頂上で5cmくらい。予想外に雪が多いが、良いタイミングで登れたと思う。
坂の途中まで戻って、飯盛山への縦走路に入る。急な下りとなり、岩場も現れるが問題はない。雪が積もった稜線を辿り、道標で左に折れて杉林の中をジグザグに下ると、再び道標。林道に出て、道標に従って飯盛山に向かう。
杉林に覆われた平坦で広い鞍部を突っ切り、飯盛山の稜線に取り付く。巨大な送電鉄塔があり、上空の送電線からキィーンという低く唸るような風切り音が響いて聞こえる。飯盛山への登りは、地形図の同心円状の等高線の混み具合からも分かるように、かなり急だ。
一直線に登り上げて、石祠のある飯盛山の頂上に着く。今日、四つ目のピークだ。頂上を囲む雑木林は疎らで、陽射しが積雪に照り映えているが、すっきりした展望はない。
先行していた女性ハイカーさんが休憩中で、どこまで行くのか尋ねられる。富屋連峰まで縦走し、山麓を歩いて子どものもり公園に戻る予定を話すと、同行したいとのお申し出。地図をお持ちでないらしい。夕方に所用があり、早めに戻りたいとのこと、途中で林道を降りて、山麓を戻れば良いかな。相談の結果、それではご一緒にどうぞという話になる。
飯盛山の下りも、登りに増して急だ。滑り易い急坂をロープを頼りに降りる。下り着いた鞍部には林道が通っており、「大網公民館→」の道標がある。彼女に地形図のコピーを見せながら、この林道を下れば良いですよ、と説明するが、やはり道が分からなくて不安だそうで、今来た道を戻って行かれた。
なんだか良く分からないが、とにかく先に進もう。林道から再び山道に入り、平坦で広い稜線を進むと、杉林の中に青嵐峠の道標が立つ。南に下る峠道(作業道)があるが、イバラの藪が酷い。
穏やかな尾根を絡んで、ゆるゆると登る。こういう気楽な道もまた良い。やがて、尾根が痩せて雪が深くなる。先行者の足跡はないので、ちょっとした雪山気分がある。稜線上の大岩を左から巻き、笹の生えた緩斜面をトラバースすると、「←高舘山」の道標のある分岐に着く。今日巡る七峰の5つ目のピークだから、もちろん高舘山の頂上に立ち寄ろう。
明るい雑木林を緩く登ると頂上に着く。広場の片隅に山名標と三角点標石、それと螺髪の石仏が祀られている。もう正午なので、ここで昼食。風を避けて腰を下ろし、まずはALL-FREEゆずを飲む。まあ、いろんな飲み物が出て来たものだ。鍋焼きうどんを食べ終わった頃、後続のハイカーさんが到着。入れ替わりに頂上を辞して、次の黒戸山に向かう。
樹林の中を緩く下り、大網登山口への道を右に分ける。この先の日当たりの良い杉植林帯は笹が繁茂して藪っぽいが、直ぐに通り抜けて、尾根を緩く絡む気楽な山道となる。
広く緩やかな杉林の斜面を少し登ると、露岩のある黒戸山の頂上に着く。長い尾根の途中で、あまり頂上らしくない場所だ。木立の間から、榛名山、男山、本山の三山が並んで見える。露岩の上に「宇都宮市…学林払下記念…」と刻まれた石碑がある。
黒戸山頂上から杉林の斜面を真っ直ぐに下ると道標があり、「中徳次郎登山口」の方へ進むと林道に出る。この林道を辿って兜山と鬼山(地形図では兜山となっている)の間を緩く下り、送電線の下で右に分岐する作業道北日陰線に入る。少し登ると「←兜山入口」の道標がある。七峰最後のピークだから、これにも立ち寄ってみよう。
植林帯を緩く登ると大岩が現れ、その基部を通って上から少し登ると兜山の頂上に着く。樹林に囲まれて展望はないが、少し先の岩場から木立を透かして西側の眺めが得られる。
分岐に戻り、林道を下る。途中、新しい注連縄が張られた石碑がある。何か信仰の対象になっていることは確かだが、何も刻まれていないので、何を祀っているかは謎。
雪の上に轍の残る林道を滑らないように注意して下る。この林道歩きは長くなく、30分程で開けた山麓に民家が点在する大網の集落に着く。あとは山裾に沿って、長閑な田園風景を眺めながら車道を歩く。県道に出てから子どものもり公園までは15分程の距離である。
帰りは宇都宮IC近くの「ただおみ温泉」に立ち寄る(500円)。農家の庭先で温泉を掘削したそうで、蔵の外壁に面して源泉掛け流しの露天風呂(冬季は屋根が掛かる)がある。素朴な雰囲気がいい感じで、客も多い。ゆっくり温まった後、桐生への帰途についた。