泉ヶ岳
GWの後半は折角まとまった休みがあることだし、普段は行きにくい遠方の山に行きたいな。ということで仙台に出かけて、周辺の山2座に登って来ました。
初日は仙台市民のハイキングの山で行程の短い泉ヶ岳に登る計画を立てて、桐生を朝5時前に車で出発。北関東道、東北道を順調に走って、10時前に泉ICで高速を降りる。ICに程近い泉中央は仙台都心部から地下鉄が通じており、商業施設が集中して非常に栄えている地区だ。今回は山麓のキャンプ場にテントを張って2泊する予定で、食料はこちらで調達。泉中央のイトーヨーカドーの食品売り場で3日分の食料を買い揃える。品揃えが豊富で、面白そうな物を見定めていたら、買い物に40分もかかってしまった(^^;)
急いで泉ヶ岳に向かおう。市街地を抜けると、なだらかな山野の向こうに端正な三角形の山容の泉ヶ岳が姿を現す。山麓の坂を上がってスノーシェッドを潜り、登山口の泉ヶ岳スキー場のベースに到着する。ここにはキャパ1000台!の大駐車場があるが、今日はかなりの割合が車で埋まっており、二度ビックリ。しかし、泉ヶ岳に登るハイカーさんの車だけではなく、行楽客の車も相当多いようだ。
大駐車場に車を置いて、11時半に出発。普通の山歩きなら遅過ぎる出発時刻だが、今頃歩き出す他のハイカーさんも多数いて、なんとも気楽な山歩きだ。登りは最もポピュラーな水神コースを辿る。スキー場の前の車道を西に辿り、改築中の泉岳少年自然の家の前を通ると水神コース入口で、ここから登山道に入る。
七北田川源流樋沢(ひざ)川の緩やかな谷間に通じる幅広い登山道をゆるゆると登る。周辺はナラノキ、アカマツ、カラマツの林で、まだ冬枯れの様相だ。水神平でお別れ峠への道を右に分けると、雪が残っている所がポツポツ現れる。
やがて、左に北泉ヶ岳・船形山コースを分ける。ここの川沿いに広場があり、大勢のハイカーさんが休憩している。私もここでパンの昼食を摂る。北泉ヶ岳への道が川を渡って続いており、そちらのコースも面白そうだ。しかし、明日は行程が長いので、今日は体力を温存。分岐を右に登って、最短コースで泉ヶ岳の頂上に向かう。
分岐のすぐ上に水神碑が建つ。どうやって建立したのか、驚くような大きさだ。碑の銘を読むと「泉嶽村中 明治廿八歳十一月廿八日」等と書いてある。
水神碑からは傾斜が増した山腹を登る。やがて尾根に乗ると大岩という標識が立つ。それほど大きな岩は見当たらないが、登山道にはゴロゴロと大石が多い。登るに連れて周囲の木々が低くなり、だんだん高山的な雰囲気になる。
さいの河原という標識のある地点には、小さな地蔵尊が祀られている。「大正五年八月廿六日」との銘がある。ここから、名の通りゴーロの稜線となり、振り返ると山麓が俯瞰できる。雲が多くてすっきりとした展望は得られないが、奥羽山脈の山々も眺められる。
ゴーロを登りきって、頂上に到着する。「御大典記念碑 南無妙法蓮華経」との銘がある石柱が立ち、小さな社の裏手に三角点標石がある。頂上は小広い広場となっているが、低木に遮られて展望に乏しい。
真っ平らな頂上部を北泉ヶ岳に向かって250m程歩くと、登山道がようやく下り始めて、ここから北側の展望が得られる。峰続きの北泉ヶ岳が見え、その奥、遥か遠くに後白髪(うしろしらひげ)山から船形山まで、真っ白な稜線が続いているのが眺められる。明日は、あの船形山に登る予定だ。ワクワクするなあ。
下山は頂上に戻って、かもしかコースを下る。雪があるので水神コースを通るように、との張り紙があるが、数週間前の掲示なので問題ないだろう。下り始めると低木と笹原の急斜面となり、融けた雪が泥濘となって少々滑りやすい。仙台市街の眺めが開けて、その向こうの太平洋岸(3.11で大きな被害のあった辺りだ…)まで見える。
笹原を急降下すると、雑木林の尾根の下りとなる。道端の枯れ葉の中には、今が旬のカタクリがたくさん咲いている。東北の春は関東より一か月遅れだ。
傾斜が緩くなり、岡沼と呼ばれる山上の開けた凹地に着く。雪融けと大雨の時は水が溜まるそうだが、今は枯れ草原が広がっている。振り返ると泉ヶ岳がもっそりとした山容を横たえている。どこも緩やかな山に見えるが、下って来た道は結構な急坂だったので見かけによらない。
岡沼から小尾根を乗り越す。この登りでは、これも旬のショウジョウバカマが群落を作って咲いている。
お別れ峠への遊歩道を右に分けると、兎平と呼ばれる二つ目の枯れ草原に出る。シラカバ林が美しく、広々として気持ちの良い場所だ。
兎平のすぐ先が泉ヶ岳スキー場のゲレンデのトップとなる。営業中のリフトに乗れば、ここまでは歩かずに登って来られる。家族連れやカップルなど大勢の行楽客が、ゲレンデの草原に三々五々腰を下ろして大展望を楽しんでいる。
リフトは使わずに、ゲレンデの端を歩いて下る。結構面白そうな斜面なので、冬に仙台に来る機会があったら序でに滑ってみたいかも。オフシーズンはパラグライダーのスクールもあるようだが、今日は風が強過ぎて誰も飛んでいない。
展望を楽しみながら下り、すぐに麓に着く。麓にも大勢の行楽客がいて、ボール遊びに興じたり、体験乗馬を楽しんでいる。もう少し後の時期にはワラビ等の山菜も採れるらしい。いろいろな楽しみ方で、仙台市民に親しまれている山である。初日は4時間弱の軽い山歩きだったが、十分に楽しめた。
この晩は船形山東麓の旗坂キャンプ場でテント泊し、明日の登山に備える計画だ。キャンプ場に向かって宮城県道升沢吉岡線を走ると、田植えで水が張られた水田と新緑のなだらかな山野の遥か奥に真っ白な船形山が浮かんでいるのが眺められる。こういう風景は大好きだ。テンションが上がる。
最後の民家を過ぎ、山間の車道を延々と走ると内水面水産試験場があり、そのすぐ先に旗坂キャンプ場の駐車場がある。ここが船形山升沢コースの登山口で、登山者の車十数台が駐車されている。
キャンプ場は沢を渡った対岸のブナ林の中にある。入口に越屋根のWCがあり、その左奥に炊事場、野外炉がある。ここにテントが一張あり、ご夫婦が焚火を熾して寛いでいた。宿泊者はこのご夫婦だけで、GWというのにガラガラである。一段上がった台地にもテントサイトがあり、ここに張ることにする。
テントを設営したら、次は宴会だ。お誂え向きにベンチのある東屋があり、ここに陣取る。現地調達のカルビで焼肉して、缶ビール500mlをあける。実にうまい。夕飯はレトルトご飯に、新商品?フリーズドライのチキンカレー。150mlのお湯を注いで10秒で出来上がり。これはかなり美味かった。登山に持ってこいの一品かも。
夕食を済ませたのち、もうひとつのテントの方に福島の日本酒・奥の松を持ってお邪魔して、焚火に当たりながらご夫婦と話をする。横浜から来られたとのこと、私の実家も横浜で奇遇だ。いろいろ話がはずんで、いつの間にか720mlの酒が空いてしまった(^^;)。おいとまして、就寝。夜中にはパラパラと雨粒がフライを叩く音がした。
(仙台の山2日目、船形山に続く。)