小中山〜神戸山

天気:
メンバー:K,M,T
行程:バラ沢峠 9:15 …1164m標高点 10:00 …小中山(1116m) 11:10〜11:30 …神戸山(857m) 13:35〜 13:45 …駐車地点 14:35
ルート地図 GPSのログを地理院地図に重ねて表示します。

袈裟丸山の賽の河原から南へ延びる長い尾根の上には、標高1116mと857mの2座の三角点峰がある。地形図にはどちらも山名の記載がない。一般向けガイド本やネットでも登った話を聞かないので興味を持ち、一昨年の秋に神戸(ごうど)駅から周回して登ってみたところ、1116m峰の頂上に「神戸山」と彫られた木製の古びた山名板が掲げられていた。

登頂後、神戸山という山名を手掛かりに調べて、賽の河原から神戸駅に下ってこの2座を踏破した紀行が『足尾山塊の山』(岡田敏夫著、1988年刊行)に掲載されていることを知った。それによると1116m峰を神戸山と称し、857m峰は名無しとなっている。

しかし、袈裟丸山の地域研究の著書があるMさんによると、地元では小中川上流の袈裟丸山以外の山はみんな小中山と呼んでおり、1116m峰に山名を付けるなら小中山が適切。また、神戸山は神戸の集落に近い857m峰の山名とするのが相応しい。1960年に出版された『渡良瀬源流の山々』が1116m峰を神戸山と誤って表記したのを、『足尾山塊の山』が誤ったまま参照したのでは、とのこと。本HPではこの説に拠って山名を表記しています。

ところで、最近あちこちの地方で選定されているご当地100山に触発されて、桐生・みどり100山を選ぼうという非公式プロジェクトが某所で密かに進行している(^^)。赤城山と袈裟丸山の間の広い山域にはめぼしい山が群馬100名山の栗生山と五覧田城址がある要害山くらいしかなく、小中山と神戸山はこの空白域にあって貴重な候補である。選定にあたっては、やはり実際に登らなければ、という話になり、Mさん、Kさんに同行して、バラ沢峠からのコースでこの2座を再訪して来ました。

桐生を2台の車で出発し、あにねこ号を下山予定地の牛沢集落付近に駐車。Mさんの車で、沢入から林道小中西山線を上がってバラ沢峠に向かう。今日は青空が広がる良い天気だが、峠の広場に車を置いて外に出ると、風が強くて寒い。冷え込みで紅葉も一気に進んだようで、峠から北に見上げる山々には、鮮やかな赤や黄が点々と混じる。


バラ沢峠から賽の河原南の
1549m標高点(左奥)を望む


送電鉄塔から登り始める

出発しようとして、今日のルートを入力したGPSを家に置き忘れたことに気がつく。まあ、KさんがGPSを持っているからいいか。Mさんはバラ沢峠〜小中山を25年前に歩いているそうだし、その先は私が一昨年に歩いているので、未知のルートではないし。

峠に立つ巨大な送電鉄塔から、小中山に通じる尾根に入る。尾根を絡んでかつての仕事道がはっきり残っており、これを辿って快適に歩く。


バラ沢峠の送電鉄塔から
前袈裟丸山を遠望


集材機(林業用ウィンチ)の残骸

黄葉の写真を撮りながら仕事道をのほほんと辿って行くと、途中で道が途絶える。藪のない雑木林の尾根なので進むのに支障はないのだが、念のためKさんのGPSで現在位置を確認すると……。あらら、尾根を一本間違えているよー。

引き返して正しい尾根に戻る。往復約45分のロスとなった。仕事道に引き込まれて、尾根の分岐で方向を確認しなかったのが敗因だ。なお、後日にGPS軌跡を地形図に落として眺めたら、ルートロスでたまたま踏んだピークがこの近辺で最高地点の1164m標高点だったことに気がついた。怪我の功名と言えよう。正しいルートは尾根上に細い踏み跡が続く。赤や黄に色付いた雑木林が日差しを浴びて綺麗だ。


稜線を絡む山道を歩く


紅葉した稜線から
袈裟丸山を振り返る

幅広く緩やかな尾根を辿り、笹原を横断すると、最近刈り払いされた山道に飛び出る。この道はどこから来ているのか気になるところだが、今回は先に進もう。やがて、見覚えのある植林帯の尾根道となり、小中山のほとんど平坦な頂上に到着する。

頂上の様子は一昨年と変わらない。木彫りの「神戸山」の山名標も健在だ。展望もなく、道の途中のようで寛ぎにくい山頂だが、腰を下ろして小休止とする。山名標については857m峰に移設するのが良いだろうと言う話になり、木の幹にネジ止めされていたGさん名板と共に取り外して持って行くことにする。ネジを外すのに、非常用に常に携帯しているミニマルチツール(GERBER clutch)のドライバが初めて役に立った。ちょっと嬉しい。


刈り払いされた道を辿る


小中山頂上

この先の神戸山を経て牛沢集落までは逆コースを既に歩いているので、詳細は前回の山行記録も参照下さい。

小中山からひと下りで電波塔に着く。ここまで林道が上がって来ているが、草藪に覆われて車で走るのは難しい。「群山二九六」の標石で右に分岐する尾根を下る。植林の中を下る道は藪が少々煩い。

すぐに露岩があり、植林の切れ間から袈裟丸山や赤城山が遠望できる。赤城山の手前に長々と横たわるのは、田沢奥山から南下する桐生・みどり市界尾根だ。展望をカメラに収め、この先の尾根上の小平地で昼食の大休止とする。

さらに尾根を下る。二か所程、尾根の分岐で注意が必要だ。急坂を登って神戸山の頂上に着く。樹林に覆われて展望は皆無。R.K氏の標高プレートと、前回はなかった「牛沢山」というGさん名板がある。牛沢山は山麓の集落の名に因む山名なので、神戸山の別名として有りではないかと思う。小中山から持って来た2つの山名板を立ち木に取り付ける。


桐生・みどり市界尾根と
赤城山(奥)を望む


神戸山頂上

神戸山から南に落ちる植林の尾根を下る。この下りは結構急だ。尾根通しに下ると、末端近くで尾根を横切る作業道に出る。この道を右に行けば牛沢集落だが、そちらは藪が酷い。道を突っ切って下ると、最後はちょっと草藪を漕いで、あにねこ号を置いた地点のすぐ近くで車道に出る。バラ沢峠へ走ってMさんの車を回収し、桐生への帰途についた。