神戸山〜小中山
(2010-10-23追記)この山行記録では、1116m峰(点名:小中山)の山名を「神戸山」としていますが、掲載後に「袈裟丸山」著者の増田さんから、①地元では1116m峰の一帯を小中山と称している、②『足尾山塊の山』に記述されている神戸山の位置は間違い、③神戸山と呼ぶとすれば、857m峰(点名:神戸)が相応しい、とのご指摘を頂きました。ですので、この山行記録の行程、ルート地図、以下の本文中の「神戸山」は「小中山」と読み替えるようにお願いします。この山行記録は、そのうち改訂します。
(2011-01-11追記)山行記録の行程とルート地図中の山名の表記を「神戸山」→「小中山」、「857m峰」→「神戸山」と改訂し、山行記録の題目を「神戸山」から「神戸山〜小中山」に変更しました。本文中の山名の表記は掲載時のままとしますが、読み替えるべき個所に下線を付しました。
この週末、土曜日は晴天なのに出勤となり、山歩きは日曜日にしかできない。遠出は止めて、近場で以前から気になっていた山に、半分は偵察のつもりで出かけることにする。
袈裟丸山の賽の河原を経て、東は草木湖、西は小中川に挟まれて南へ長く延びる尾根は、途中に1116m峰(点名:小中山)、857m峰(点名:神戸)の二つの三角点ピークを起こしたのち、わたらせ渓谷鐵道(以下、わ鐵)の小中駅辺りに落ちる。足尾では顕著な部類の尾根だと思うのだが、地形図上ではどちらのピークも名無し(題目の山名は、登って初めて知った)で、ネットで検索しても山名の情報や山行記録は見あたらない。
なので、どんな山なのか未知という点で興味を惹かれる。まあ、足尾の里山なので、多分、植林に覆われた山なんだろうなあ。とっても渋い山歩きになりそう。しかし、行き帰りには鉄道が利用できる。久し振りにわ鐵に乗るのもいいな。という訳で、神戸(ごうど)駅から二つの三角点峰を周回する計画を立てて、登ってきました。
自宅から自転車で桐生駅に行き、8:08発間藤行きのわ鐵に乗る。大間々駅から、昨年11月にデビューしたという女性アテンダントさんが1名乗車して、車内で発券などの業務を行う。赤いジャケット、黒い帽子とパンタロンの制服姿がカワイイ♥
最近、わ鐵はなかなか元気で、大手企業のCMのロケに駅舎や列車が使われるなどのPRの甲斐あって、乗客数が増えているという。存続の危機にある路線だが、盛り上がって欲しい。今日は私も微力ながら貢献するよ〜。
神戸駅8:57着で下車。駅前の広場に接続良く国民宿舎行きのバスが来たが、朝早いせいか、乗客はいなさそう。つづら折れの坂道を上がってR122に出ると、最初に登る857m峰の天辺が手前の山の上に覗いている。なかなか高い。
R122を大間々方面へ少し戻り、玉木屋という古民家風うどん屋の手前で右の車道に入る。緩く登りながら山裾を回り込むと、行く手に857m峰と山麓の牛沢の集落が見える。
牛沢橋を渡って突き当たりのT字路を右へ進む。道端に小さな養魚場があり、私を餌やりの人と勘違いした魚(ヤマメ?)の大群がバシャバシャと水飛沫を跳ね上げて殺到して来た。お前ら、そんなに腹ぺこなのかー(^^)。活きがよくて、美味しそう♥
次の分岐を左に曲がり、牛沢の集落(といっても一軒家)に向かう。ちょうど農作業中のおじさんがいたので、後ろの山の名前を尋ねたが、名前なんかないよ、という返事だった。地元の方にとって、生活に直結しない裏山の山名など、興味の対象外なのだろう。
車道から分れて、ヒノキが植林された小さな谷を踏み跡を辿って登り、適当なところで右の支尾根に上がる。地形図では、この尾根に沿って破線が描かれているが、実際にはヒノキ林に全面的に覆われていて、藪なく歩ける代わりに道の痕跡もない。
緩急はあるが、ヒノキ林に覆われた尾根の単調な登りが続く。途中でカモシカが目の前を横切り、ブッハーと大きな息を吐きながら走って逃げて行った。
支尾根を登り詰めて857m峰の肩に出ると、反対側の西斜面は自然林となっている。わずかに登って、三角点の標石と「857.3M R.K」というプレートがあるピークに着いた。こんな超マイナーな山でまでR.Kプレートを見るとは、R.K氏の足跡の広さには驚かされる。
水を飲んでしばらく休憩したのち、稜線を北に辿る。今度は、シカが前を横切って行った。ヒトが滅多に来ないのでケモノが多いのかな。次はクマに遭ったりして。今日はちゃんと熊鈴を鳴らしているので、大丈夫とは思うが。
左をヒノキ林、右を自然林に囲まれて、淡々と稜線歩きが続く。自然林の側は、もう少し経てば紅葉が楽しめそうだ。樹林に覆われて展望はほとんどないが、一部で木の間から小中川流域の山々が望める。
912m標高点で次の休憩を取る。ここから傾斜がちょっと増した稜線を登ると露岩があり、ヒノキの幼い植林帯の切れ間から西側の眺めが開ける。今回のコースで一番のビューポイントだ。赤城山と袈裟丸山を遠望し、辺りは山また山で平野を全く見ない。眼下の谷間に民家の屋根が一軒だけぽつんとあった。
展望の露岩のすぐ先で右から登って来た尾根と合流し、「群山二九六」と刻まれた標石の建つ小ピークに着く。さらに尾根を北に進んで藪を突っ切ると電波塔(共同アンテナ?)があり、未舗装の林道がここまで通じている。
植林に入って緩い尾根を登ると、三角点の標石のある平坦なピークに着いた。樹林に囲まれて展望は全くなく、およそ頂上らしくない。しかし、傍らに木の幹に、「神戸山」と大きく刻まれた木製プレートが掲げられ、テプラで「神戸山」と印字された小型山名板、R.K氏の標高プレートがあった。どうやら、1116m峰には神戸山という山名があるらしい。
(この山行後、岡田敏夫著『足尾山塊の山』を古書でたまたま入手することができ、読んでみた。この中に、賽の河原からバラ沢峠、神戸山、857m峰、牛沢と歩いて神戸駅(当時は神土駅)へ降りた1986年11月の山行記録が掲載されている。このときは、神戸山から袈裟丸山、赤城山、渡良瀬川東岸の山々などの展望が開けていたそうだ。)
(2011-01-11追記:冒頭の追記で述べたように、1116m峰を神戸山と呼ぶのは誤りで、小中山が妥当な山名である。)
頂上は低木に囲まれて狭く、落ち着けないので、少し北に進んだところのピークで昼食にする。まずはウィンナーをボイルして、これを肴に缶ビール。続いて、鍋焼きうどんを作る。温かい食べ物が美味しい季節になりました。
ゆっくり休んだのち、下山にかかる。「群山ニ九六」ピークまでは往路を戻り、そこから一つ東側の尾根を下る。こちらの尾根は両側が自然林で、短い間だが、今日のコース中では一番雰囲気が良い。
やがて尾根が広くなり、右にこんもりとした瘤を見る。この瘤に引かれて右に進んだが、これが道間違い。瘤を越えて尾根を下り、見晴しの良い岩場に突き当たった所で間違いに気づき、瘤まで引き返す。正しい道は瘤の左を通る。
続いて992m標高点では、直進する尾根に明らかな道型があるが、ここは右に折れる。植林と雑木林の境界の尾根を緩く下ると林道に出て、崩壊しかけたプレハブ小屋を見る。
林道を突っ切り、地形図上の破線を忠実に辿って支尾根を下る。実際には、ヒノキ林の中に伐採された枝が散乱し、道型は全くなくて歩きにくい。作業道があちこちで交錯する。支尾根の末端は幼い植林帯で通れないので、作業道を辿る。谷川へ降りると荒れた作業道に出る。これを下るとやがてブル道になり、先程横断した林道に続く舗装道に合流する。あとは車道をてくてく下るだけだ。
少し先に車道を塞ぐゲートがあり、東京農工大演習林ににつき立入禁止の看板が立っている。浄水場を過ぎると牛沢集落への分岐はすぐで、そこからは往路を神戸駅に戻る。
神戸駅に帰って来ると、ホームには列車を待つ乗客が鈴なりで吃驚。次のトロッコ列車を待っているようだ。トロッコ列車に乗るには整理券が必要なので、私はその次の普通列車を待つ。待ち時間が1時間あるので、レストラン清流で生ビール(500円)とソーセージ(400円)を注文する。列車の旅はこれが出来るから嬉しい。トロッコ列車が発車すると、静かな駅に戻った。生ビールおかわりしよ。
神戸駅16:08発に乗って、水沼駅で下車。温泉センターでほっこり湯船に浸かる(500円)。次の列車までまだ1時間あるので、大広間で風呂上がりの一杯(500円)。食事処のメニューも以前とは一変しており、天然地元産(実地に棲息を確認したから本物間違いなし)という鹿刺し(800円)を注文する。臭み等全然なくて美味かった。今日は、わ鐵関連に大枚貢献しました。とっぷりと日が暮れた水沼駅から、18:06発の列車で桐生に帰った。