大篦柄岳
(この記事は、南九州の山2日目、開聞岳からの続きです。)
南九州の山3日目。今日は、高隈山最高峰の大篦柄(おおのがら)岳に登る予定だ。高隈山は標高1000m級の連山だが、垂水市街から眺めると大篦柄岳から連なる主稜線が屛風のように立ちはだかって、なかなかの山岳展望だ。日本三百名山にも数えられている。
宿で朝食を頂いて出発。垂水市街から大隅湖に抜ける県道を走り、途中、道標に従って、垂桜(たるざくら)の集落への道に入る。集落の中の道は入り組んでいるが、要所の道標に従って大野原林道に入る。未舗装の林道は、高隈山の広大な山裾を蛇行しながら延々と走る。どこまで行くのだろうと心配になるころ、登山口に到着する。数台分の駐車余地があり、車が1台ある。先行のハイカーさんがいるのかな?
ここから大篦柄岳に登るコースは九州自然歩道の一部になっており、登山口にその案内の看板が立っている。登山道は、最初、樹林の中を緩く登る。南国の鬱蒼と茂る照葉樹林の中は、日光が遮られて薄暗い。途中、「沢水吞場400m」の道標があるが、遠過ぎるので立ち寄らずに通過する。
登山道はやがて傾斜を増し、ひと登りで5合目に着く。樹林が切れて、振り返ると広大な山麓の向こうに垂水市街や錦江湾が眺められる。周囲の草叢の中に黄色い花が咲いているのに気がついた。後日調べると、タカクマホトトギスという鹿児島特産の花らしい。
5合目の上の急坂は短く、再び展望のない樹林帯に入って、7合目付近は緩い斜面を登る。やがて、杖捨祠という標識と苔むした石祠のある地点に着く。かつての岳参りの際、この先に急な登りはないので、ここで杖を捨てたという由来があるらしい。実際、ここからゆったりとした稜線歩きとなる。しかし、背の高いスズタケが密生し、展望は全くない。
スズタケを丹念に切り開いた道を辿ると、ふいに開けた場所に飛び出して、そこが大篦柄岳の頂上だった。頂上の垂水側は岩場と急斜面で、なかなか高山的な雰囲気がある。残念ながらガスがかかり、山麓の森林が俯瞰できるだけで、遠くの眺めは得られない。
そろそろ昼食の時間なので、パンを齧っていると、急にガスが切れて青空が広がり、遠くに垂水市街や桜島が見え始めた。これはlucky。また、高隈山主稜線の妻岳、横岳の鋭峰もガスの中から現われる。なかなか格好良い山々だ。
頂上で1時間近くのんびり過ごしたのち、往路を戻る。結局、誰にも会わない山行だった。登山口に戻るともう1台の車はなかった。ハイカーさんの車ではなかったようだ。
下山後は温泉へ。最初、「道の駅たるみず」の湯っ足り館に行ったのだが、定休日で休館。次に立ち寄った曽於(そお)市の「道の駅すえよし」で教えて貰ったメセナ住吉交流センター(300円)で入浴した。曽於市は起伏のある山野に耕地が広がる農業地域で、長閑で懐かしい雰囲気がある。
鹿児島空港へ戻り、レンタカーを返却する。2つの道の駅に立ち寄ったのは、実は「大隅地域レンタカー無料プラン」のサービスを受けるため。料金24時間分が無料になってhappy v(^^)。なお、このサービスは2012年3月31日まで。
空港のレストランで生ビールを飲んで夕食を摂ったのち、羽田空港への最終便に搭乗。羽田からは桐生駅南口行きの高速バスに乗車して、翌日の午前1時過ぎに帰宅した。