甑岳〜白鳥山
鹿児島に出張したついでに3日間の夏期休暇を取って、南九州の山に登って来ました。
仕事が終わって休暇1日目の8月29日。出張先で一緒だったY氏も1日時間を空けて山に登りたいとのことなので、この日は一緒にえびの高原周辺の山を歩くことにする。Y氏との山歩きは、2000年の飯豊山〜大日岳以来だ。
Y氏が借りたレンタカーに同乗してえびの高原に向かい、不動池の駐車場に車を停める。不動池はえびの高原周辺に点在する火口湖の一つで、円形の窪地の底にコバルト色の水を湛えている。今日は青空が広がる良い天気だが、風が強く、半袖では寒いくらいだ。ここから見上げる韓国岳は、こちらに向かって爆裂火口を開いた双子峰の山容を見せている。この韓国岳から高千穂峰への縦走は霧島連峰の人気コースだが、新燃岳の噴火のため、8月29日現在、登山禁止となっている。
車道から観光客と共に不動池を覗き込んだのち、池めぐりコースに入る。こちら側の登山は禁止されていないが、「新燃岳の噴石に注意してください」との看板が立つ。平坦で幅広い遊歩道を歩くと、すぐに甑岳分岐の道標があり、池めぐりコースから一旦分かれて、右の甑岳への細い山道に入る。
鬱蒼と茂る樹林の中をゆるゆると下ると平坦な鞍部に着いて、左に白鳥温泉への道が分岐する。ここから急な登りとなり、途中、休憩している7人グループを追い抜く。
ほどなく、浅い火口原を取り囲む火口縁の一角に登り着く。甑岳の山名標識があり、標高1315mと書いてある。甑岳の三角点(標高1301m)は火口原を隔てた反対側にあるが、こちらの方が標高が高いので、ここが甑岳の頂上ということで納得。
頂上は小広く、7人グループが到着してもゆったりと休憩できる。えびの高原方面を眺めると、緑に覆われた緩やかな山並みが横たわる。その中の最高点が、次に登る白鳥山だ。韓国岳はひときわ高く聳え、頂上をかすめて雲が流れて行く。
甑岳の火口原を見おろすと気持よさそうな草原が広がって、その中央には池もある。7人グループが火口原に下って行くので、我々もそれに続いて下ってみる。踏み跡を辿ると「甑岳火口部」という標識があり、その先に火口原が広がる。穂が出始めた背丈の低いススキが、火口原一面を覆っている。中央の池は浅く、澄み切った水に青空が映っている。
池の畔で風景を眺めていたら、7人グループの中の女性が、シャッターを押してあげましょう、と言う。デジカメを渡してお願いすると、わざわざ池の反対まで走って行って、水面を前景にした写真(右下)を撮ってくれた。保母さんと伺ったが、それにしても鹿児島の人はとってもfriendly。
甑岳から往路を池めぐりコースの分岐点まで戻る。池めぐりコースの良く整備された遊歩道を辿ると、六観音御池の湖畔に出る。六観音御池は深さ14m、周囲1.5kmの円形の池で、やはり酸性湖のため、コバルト色をしている。湖畔の展望テラスから眺める六観音御池と韓国岳は、なかなか神秘的だ。
六観音御池に沿って遊歩道を進み、右に分岐する白鳥山への道に入る。短い急坂を登ると、白鳥山北展望台に着く。六観音御池と甑岳の眺めが良い。稜線を緩く登ると白鳥山の頂上だ。こちらも展望が良く、白紫池を見おろして、その向こうに韓国岳を望む。風が止んで日差しが強く、少し暑いくらいの天気になった。ここでパンの昼食とする。
白鳥山から開けた砂礫の稜線を下る。霧島山麓に緩やかに広がる緑の山並みが、いかにも南国九州らしい。二湖パノラマ展望台という標識のある地点からは、白紫池と白鳥山、六観音御池と甑岳がそれぞれペアになって眺められる。
ここからアカマツ林の中を下ると、再び池めぐりコースと合流し、遊歩道を下ってえびの高原のビジターセンターに着く。ススキ原が広がるえびの高原の中を少し登り返して、不動池の駐車場に戻った。軽いハイキングコースだったが、2つのピークに登って結構歩き甲斐があったし、何より3つの池がそれぞれ綺麗な眺めだった。
えびの高原から下界に降りると、猛烈な暑さだった。R223沿いの日之出♨で汗を流したのち、帰京するY氏と鹿児島空港で別れて、この晩は空港近くのホテルに泊まった。
(南九州の山2日目、開聞岳へ続く。)