浅間隠山
先週の竜ヶ岳に引き続いて、今週も烏川源流の山を歩く。今回はMさんの発案で、わらび平から浅間隠山に登って来ました。
アプローチは先週と同じで、桐生を朝7時に車で発ち、烏川の上流に向かう。先週、見頃だった沿道の紅葉は、一週間ですっかり色褪せて、もう晩秋の装いだ。はまゆう山荘のすぐ手前で右に分岐する林道一倉線に入り、舗装道をジグザグに登って高度を上げると、わらび平森林公園キャンプ場に着く。
わらび平は背後に高倉山の急斜面が控える平地で、多分、地すべり地形ではないかと思う(後日、防災科研のHPで確かめたら、やはりそうだった)。キャンプ場入口には展望テラスがあり、角落山や雨ん坊主など、烏川右岸の山々が眺められる。
キャンプ場の開設期間は11月上旬までなので、もう閉鎖されて誰もいないのではと思っていたが、今日はキャンプ場の整備のためか、数名のスタッフさんが作業中だ。駐車場は広く、車を置くのに問題はない。管理棟は開いていて、中の売店も営業しているようだ。WCも借りられる。
管理棟で浅間隠山への登山道について尋ねると、高倉山のハイキングコース案内図を頂いた。それには、至る浅間隠山と書かれたコースが2本、破線で描かれている。一つは沢沿いのもの、もう一つは高倉山から尾根を伝うものだ。そこで、往路は高倉山を経由して尾根伝いに浅間隠山に登り、復路は沢沿いのコースを戻ることにする(実は、尾根伝いのコースというものはないことが、このあと判明する)。
高倉山への道標にしたがって、駐車場から右手の方に進む。まだキャンプ場の中なのに、いきなりカモシカ君に遭遇する。灰色の毛皮がふかふかと暖かそうだ。カモシカ君は、小首を傾げてこちらをしばらく見たのち、林の中に悠然と去って行った。
山腹にジグザグに付けられた作業道を登ると、途中から山道となって尾根の上に着く。ここには「高倉山 0.3km 30分」という道標がある。300mを30分は時間かかり過ぎでは?いやいや、キャンプ場でBBQを食べてビール飲んで酔っぱらったお父さんならば、それくらいかかるかも、などとMさんとだべりながら尾根を登る。
急坂を登ること約15分で、高倉山の頂上に着く。頂上の展望は「はまゆう山荘」の屋根を見おろし、角落山と雨ん坊主を正面に望んでますます良い。ベンチもあり、キャンプ場からファミリーで散歩するにはうってつけの山だ。浅間隠山も望めるが、その頂上は雲の中に隠れている。晴れてくれないかなあ。
高倉山から浅間隠山に向かって、落ち葉が深い尾根道を下る。この尾根の行く手には大きなピークが2つ、3つ盛り上がり、最後は浅間隠山の頂上に向かって、結構な傾斜と標高差で突き上げている。この尾根を辿って頂上に行くのは、かなり大変そうだ。
鞍部に下り着くと、道は左に曲がってキャンプ場へ向かう。尾根はカラマツの植林となり、尾根上を直進する道はない。浅間隠山へのコースはなくなっちゃった?取り敢えず直進、笹藪を漕いで次のピークに登るが、やはり道はない。こんな調子で藪が続けば、浅間隠山に到達するのは到底無理だ。
次の鞍部まで下ると、笹藪の中に「烏渕村」という標石と、尾根を越える峠道の痕跡がある。後日、調べてみると、1955年に倉田村と烏渕(うぶち)村が合併して倉渕村(現在は高崎市倉渕町)が誕生したらしい。
ここで尾根を辿るのは断念して、左の山腹を下る。標高差約50mを下れば、沢沿いコースに出るはずだ。急斜面の笹原の中にジグザグに残る微かな道型を辿ると、思惑通り登山道に出た。ちょっと回り道をしたが、高倉山に登れたので良しとしよう。
登山道はしばらく山腹をトラバースし、すぐに岩がゴロゴロの沢に突き当たる。ここには簡易水道の取水口があり、キャンプ場まで水を引いている(いた?)ようだ。
「←浅間隠山」という古い道標にしたがって、ゴーロを登る。道型は定かでなく、ほとんど沢の中を歩く。テープやペンキの丸印が多数あるので、それらを丹念に辿れば迷うことは(多分)ない。
やがて、右側に岩峰を仰ぐと沢は傾斜を増し、高さ約5mの水量が少ない滝が現れる。滝の下には氷が張っている。この滝は右側から木の梯子とロープで越える。
滝の上には「←浅間隠山 わらび平↓」という標識がある。これにしたがって、左の小尾根の鼻を巻いて左隣りの沢に入ると、行く手に大きな涸れ滝が現れる。岩壁を巡らせて、威圧的な雰囲気の場所だ。左側の山腹を登ると鎖場があり、稜線に向かって急登する。
稜線上の岩峰に突き当たって左から巻き、朽ちかけた木の梯子と鎖で岩峰に登る。岩峰の上は展望が開ける。青空が広がって、浅間隠山が綺麗な三角形の山容で聳えている。まだまだ登りがありそうだ。
岩峰から痩せ尾根を登る。短い木の桟橋を渡ったあとは、ほとんど弛みのない急登が続く。笹を摑んでグングン登ると、ようやく二度上峠からの登山道と合流した。急登で一汗かいたので、しばし休憩。ここは二度上コースからの大勢のハイカーさんが通り、浅間隠山の人気の高さが窺える。息が整ったので、頂上へ向かうとしますか。
約10分で、ハイカーさんで賑わう浅間隠山頂上に到着する。ここに来たのは2回目だ。前回は長野県側の浅間山の展望に感嘆したが、今回は群馬県側の展望に目が惹き付けられる。先週登った竜ヶ岳や、出発地点のわらび平、高倉山を遥かに望む。群馬県側の展望は高度感が素晴らしい。展望を一通り楽しんだのち、風を避けて頂上近辺の笹原に腰を降ろし、缶ビールで乾杯。お湯を沸かしてカップカレーヌードルの昼食を摂る。
昼食後、下山にかかる。急峻な往路を戻るのは少し不安があるが、二度上峠経由でわらび平まで戻るのは大変な遠回りになるので、やはり往路を戻ることにする。
岩峰から沢までの下りは滑落に注意する必要があるが、案ずるより産むが易しで、大きな困難はない。ゴーロ歩きも滑って転倒に注意。トラバース道に入れば、あとは良い道をのんびりとキャンプ場に帰る。キャンプ場に到着した時は既に日が傾いて、雨ん坊主から中垣岩にかけての稜線が夕陽で茜色に輝いていた。
帰りは亀沢温泉センターに立ち寄る(550円)。静かな山間にある、ログハウス風の一軒宿の温泉だ。渓流に面した露天風呂にのんびり浸かって、山歩きで冷えた身体を温める。一番の幸せを感じる瞬間かも(^^)。充実した山行を良い♨で締めくくって、帰途についた。
参考URL:計画の際、クタビレ爺イの山日記の「わらび平から浅間隠山」の記事や、オッサンの山旅の「浅間隠山」の山旅記録を大変参考にさせて頂きました。