燧石山〜白萩山
(2017-05-19追記)掲載時の山行記録の題目は「燧石山〜岳山」としていましたが、「岳山」は誤称で「白萩山」と呼ぶのが正しい(桐生地域百山No.10)ので、山行記録の題目と行程、ルート地図中の表記を改訂し、本文中の表記も改めました。
今年1月に、鳴神山脈の白萩山から南に派生する長い支尾根のうち、南半分の二渡山〜持丸山を歩いた。今回はその続編で、残りの北半分をMさん、Kさんと登って来ました。なお、本編に出てくる燧石山、赤粉山、キノコ岩山の山名はKさんの記事に拠っています。
Kさん宅に朝7時半に集合し、車で鍋足に向かう。鳴神山の木品登山口の先で、崖崩れ対策工事のため時間通行止となっているが、日曜日は休工で通行に差し支えはない。
鍋足の集落に到着し、折よく農作業に出て来た住人の方に許可を頂いて、空きスペースに車を置く。ついでに住人の方に大茂への峠道について訪ねる。ネットで、地形図の破線の峠道は入口に立入禁止の表示がある、という情報を得て気になっていたのだが、住人の方曰く、その道を行けばいいよ、とのこと。また、峠の名称については、大茂(だいもん)へ越える峠だから大茂峠と呼んでいる、とのことだった。
峠道に入って橋を渡ると、対岸に今は使われていない釣り堀と廃屋がある。ここはうっかりすると高沢(こうざわ)川本流に沿って登ってしまうので注意(Mさんの体験談)。小さな谷に沿って杉林の中の作業道を少し登ると工事中の林道梅田小平線に出て、忍山トンネルの入口に着く。トンネル自体は2008年秋に開通しているが、林道の方は1989年に事業が開始されて未だ完成していないそうだ。
トンネル入口から大茂峠へは、最初は向かって右側の谷を登り出したが、左側の谷を登ってすぐ上に見えている稜線を目指した方が良い。杉林の斜面の微かな道型を詰めて、大茂峠に出た。
峠では、雑木林の新緑が芽吹き始めていた。稜線を北へ辿ると最初は緩い登りだが、左に向きを変えると燧石山頂上への急な登りとなり、岩場が立ちはだかる。ここはかなりの難所だ。滑りやすい枯れ葉の急斜面を、立ち木を手掛かりにして強引に這い上がる。
急斜面がようやく緩むとポツポツとアカヤシオが咲き始めていた。右手に大きな岩搭があり、こういう物件をみると血が騒ぐMさん(^^;)、まだダブルストックを松葉杖代わりにして歩いているのに果敢に登攀し、岩塔の天辺に立つ。石祠などがあるかと思ったが、残念ながら何もなかったようだ。
岩塔からはひと登りで燧石山の頂上に着く。三等三角点と「火打石山 848m」と書かれた山名標がある。難所を越えたので、枯れ葉の上に腰を下ろして一息つく。
燧石山から北へ緩い稜線をアップダウンすると、行く手に岩場が現れる。岩場は鞍部を乗り越して左から簡単に巻ける。鞍部から左の高みに登ると、丸山から鍋足沢の頭、鳴神山にかけての稜線、さらに桐生市街までの展望が開ける。また、周辺には見頃のアカヤシオが瑞々しく咲いている。ここはお勧めの展望スポットだ。
岩場とそれに続くピークを左から巻いているところで、またまたMさんが岩場の上を調査しに寄り道して登って行く。そのあとを追って、Kさんと私も登って見たが、特に何もなかった(^^;)。しかし、ここのピークには一応「赤粉山」という山名がある。南東面のアカゴナ沢が由来だそうだ。
赤粉山の先も緩い稜線が続き、ところどころにアカヤシオを見ながら登る。登り着いたピークが1003m標高点で、キノコ岩山という山名がある。この名も南東面のキノコイシ沢に由来するとのこと。「岩」を「いし」と読むのはちょっと無理がある気もする。展望は乏しいが明るく気分の良い頂上なので、のんびり休憩をとる。
キノコ岩山からは雑木林の稜線が続く。このあたりはまだ冬枯れだが、芽吹くと新緑が綺麗ではないかと思う。いくつかの小ピークを越えたのち、白萩山の頂上に到着した。
頂上は大人数が休憩するにはちょっと狭いが、3人ならば問題ない。ここで昼食とする。缶ビールで乾杯して、Kさんに頂いたおにぎり、ソーセージ、トマト、イチゴなどなど、たくさんのご馳走を食べる。頂上にあるアカヤシオの大きな株は今年も咲いているが、こちらは花がちょっと少ない感じだ。まだ早いのかな。
白萩山から座間峠への尾根道も、雑木林のプロムナードだ。右手には木の間を透かして草木湖を見おろし、遠くには日光白根山の白い頂きが見える。座間峠に着くと道標があるが、文字板が柱から取れて地面に置かれていた。
座間峠から桐生市側に下る。こちら側を歩くのは1996年冬以来で久し振りだ。前回は、雑木林の中を沢沿いにゆるゆる歩く良い道だった記憶があるが、今日は右岸斜面の植林があちこちで根こそぎ倒れて沢を塞ぎ、歩きにくいことこの上ない。どうも先日の季節外れの大雪で倒れたらしい。
少し下って植林帯が終わると邪魔な倒木もなくなり、沢筋にニリンソウやハルトラノオ、シロバナエンレイソウなどの春の山野草が咲く。ハシロドコロも青々とした葉を出して、紫色の花が咲いている。
やがて両岸から岩場が迫ると小滝が現われ、滝の横をトラバースして下る。こんな面白い所があったっけ。全然記憶にない(^^;)。何度か沢を渡る個所には、橋の土台の石組みの痕跡が残っていて、かつては峠道としての往来があったことを偲ばせるが、今では道型がちょっと怪しい個所もあり、ハイキングコースとしてもあまり歩かれていない感じだ。しかし、自然の趣きがあって、予想外に楽しめた。
沢沿いに下って高沢林道に出れば、あとは林道をてくてく下るだけだ。アカヤシオが咲く岩峰を見上げたり、道端のスミレ(名前知らず)を愛でながら、車を置いた鍋足に向かった。