三十六童子

天気:
メンバー:T
行程:駐車地点 10:25 …三峰山登山口 10:40 …清浄の滝 11:05〜11:45 …八海山大神 12:00〜12:25 …三峰山(697m) 13:00〜13:35 …三峰山登山口 14:50
ルート地図 GPSのログ(誤差多し)を地理院地図に重ねて表示します。

二か月前にも訪れた三峰山の三十六童子ですが、そのときは八海山大神と烏天狗を見つけられず、課題が残りました。その後、三十六童子に興味を持つメンバーによる合同調査隊(都合のため私は不参加)が三峰山の山中を綿密に探索した結果、八海山大神と烏天狗の詳しい位置が明らかになったほか、八大童子や不動明王の石像・石塔群が発見(正確には再発見)されました。この成果を参考にさせて頂いて、ちょっと時間が空いた週末に課題を片付けるべく出かけて来ました。

(注記:三峰山の石像の名称については諸説がありますが、ここでは「やまの町桐生」の三峰山の記事に依って記述します。)

自宅を車で出発し、大崩林道奥の三峰山登山口に向かう。名久木〜大崩間の車道は途中で道路工事のため通行止になっているので、宏愛会第二リハビリテーション病院の横から名無しの峠を越えて、大崩林道に入る。三峰山登山口の手前、金沢峠へ林道が分岐する辺りに車を置き、歩き始める。

林道脇の谷川に架かる古い木橋で対岸に渡ると石造りの小さな道標があり、側面に「右 三峯山 金澤」、「左 御嶽山 石尊宮」と刻まれている。

金沢峠への林道を右に見送り、凸凹が惨い坂道を登ると林道終点の小平地に着く。三峰山登山口の道標は前回のままだが、周囲の樹林はすっかり葉を落として、二か月前の鬱蒼とした感じは全くない。今日はカラッと晴れて、山の奥の方まで見通せる。


右 三峯山 金澤
左 御嶽山 石尊宮


「三峰山登山口」の道標

沢沿いの山道は、最近、多くの人が歩いたためか、踏み跡がしっかりした気がする。分岐点の少し手前で、谷の奥を眺めるために左岸の山腹を登ってみた。冬枯れの木立の間から八海山の尾根が見える。あの尾根に今日の目的の八海山大神と烏天狗があるはずである。

分岐点にはハイトスさんが積んだケルンがあり、これが崩れない限り、真っすぐ行き過ぎることはないだろう。三本杉の石祠を通って、谷の奥に向かう。右手に沢が分かれる地点で、左手の岩場に前回見逃した如意輪観音を見る。桐生山野研究会のMさんが数度の探索で見つけ出したものだ。倒木の陰に隠れていたそうだが、Mさんが倒木を取り除いたので、今では難なく見つけられる。


三峰山を望む
中央の尾根が八海山


如意輪観音

この観音像は沢の二股にあり、良い目印となる。左の沢に進むと、三方を岩壁に囲まれ、小滝が落ちる谷間に着く。かつての御嶽信仰の修験の行場で、左の岩場を御嶽山、右の岩場を八海山、正面の三十六童子のある尾根の末端を三笠山に見立てていたそうだ。

滝の下流には、これも前回見落としていた不動明王と八大童子の石碑が並ぶ。これらの石像・石碑は、合同調査隊が見つけたときは沢の中に散乱していたようだが、その後、誰かが磨いて並べたらしい。沢の中に4つ、近くの岩場に清浄童子と慧喜童子の石碑がある。岩場にかかる滝は、童子の名前に因んで清浄の滝と名付けられている。


滝下の不動明王


八大童子


清浄童子と清浄の滝


慧喜童子

清浄の滝の左の岩壁には浅い岩屋があり、中に不動明王が置かれている。木々がすっかり葉を落としているので、岩屋の中から周囲の岩壁を見渡すことができる。


岩屋の不動明王
(帰りに撮影)


岩屋から八海山

清浄の滝の向かって右の岩壁の中腹にも、矜羯羅童子の石碑と不動明王の石像がある。これらも前回は気がつかず、合同調査隊が発見したものだ。今では見通しが利くので、下からもよく見える。急な岩場を注意して矜羯羅童子まで登る。これが八大童子のうちの七個目になる。残りの慧光童子はどこだろう。

ここから斜め左上に向かってバンドがあり、清浄の滝の上に抜けれそうな感じだ。かつての修行の道かも。単独行で無茶はできないので、登るのは止めておく。不動明王の写真を撮り、岩場を慎重に下る。


岩屋と清浄の滝(右)


岩壁の途中にある
矜羯羅童子と不動明王(奥)


矜羯羅童子


岩壁の不動明王

次は八海山大神に向かう。行場から如意輪観音まで戻って、右の沢に入る。道のない沢を暫く遡ると、左手に庇のある大岩がある。この庇に沿って登って行くと岩場があり、その突端に八海山大神が立っていた。ぐっと秀でたおでこから後方の円光になびく怒髪が、なんかファンキーな感じだ(^^;)。周囲は赤松などの樹林に覆われているが、冬枯れの木立の向こうに、赤城の地蔵岳が遠望できた。


庇のある大岩の左を登る


八海山大神

烏天狗は、八海山大神のある岩場から10mくらい上の赤松林の中にあった。嘴が突き出た顔つきはちょっと恐ろしげだが、ずんぐりむっくりした体型がユーモラスだ。右手の剣には赤く彩色された痕跡がある。


八海山大神近影


烏天狗

烏天狗から踏み跡を辿って三十六童子に向かう。途中、木立を透かして、深い谷の向こうに御嶽山の白い岩稜が見える。行場を左から越える前回のルートに合流して、杉林を登る。尾根の上に出ると、三笠山大神の石像がある。この近辺にあったという「八界山石杭」を探すが見つからない。Mさんも何度も探しているので、そう簡単には見つからないか。既に失われているのかも知れない。


八海山から御嶽山
(白い岩稜)を望む


三笠山大神

三十六童子の文字塔群を見ながら、三峰山への緩い尾根を登る。こちらの石碑も誰かが磨いたのか、苔が落ちて文字が読み易くなっているものがあった。


獅子慧童子


制吒迦童子

三十六童子の最後にある不動明王も、周囲の草木がすっかり枯れて、明るい陽射しに包まれていた。登り着いた三峰山の頂上はひと気もなく、冷たい風が吹き抜けている。上着を着込み、お湯を沸かし、ラーメンを作って食べる。


頂上直下の不動明王


三峰山頂上

三峰山頂上から再び三十六童子を通って下り、御嶽山にあたる岩尾根を右から巻く。岩尾根の回りの樹林も葉が落ちて、木の間越しに三峰山から金沢峠にかけての稜線が眺められる。岩尾根の上の3基の石祠からの眺めも、前回より開けている。


岩尾根(御嶽山)


岩尾根の石祠

あとは谷に下って、往路を車まで戻る。これで三十六童子関係の課題も年内に終えることができた。めでたし、めでたし。あと、気がかりは八界山石杭の所在だ。

車で帰る途中、道路に面して赤い鳥居と赤い屋根が立派な神社があるのを見かけて、ちょっと立ち寄る(川内の勇進会館バス停の右隣)。社殿には「正一位赤城大明神」と書かれた扁額が掲げられている。社殿の右手には石像や石塔が集められた一角があり、その中に2体の青面金剛があった。最近、この手の石像に興味があるので、おまけとして掲載。


赤城大明神


2体の青面金剛像