楢俣川洗ノ沢
沢登り第2弾。桐生山野研究会のMさんの計画に参加して、尾瀬笠ヶ岳西面の洗ノ沢(小楢俣川本流)を遡行して来ました。中流域にナメとナメ滝が続く楽しい沢でしたが、詰めには藪漕ぎが待ち受けていて、笠ヶ岳の頂上に出るまでが大変でした
Mさんを車に乗せて桐生を3時半に出発し、関越道・赤城IC〜水上ICを経由して湯ノ小屋に向かう。周囲の山には雲がかかっているが、徐々に晴れそうだ。ならまた湖のダムサイトで朝食&WC休憩したのち、林道を笠ヶ岳の登山口に向かう。以前、湯ノ小屋から笠ヶ岳に登ったとき(山行記録)の記憶だと、登山口の前にゲートまで車で入れたはずだ。しかし、手前のオートキャンプ場との分岐点にゲートがあり、がっちり施錠されている。湯ノ小屋に戻って、別の林道経由で行こうとしたが、こちらもゲートでだめ。最初のゲートに戻って、車を置く。広いスペースがあり、20台くらいは置ける。既に数台の車があるのは、釣り師のものだろうか。
アプローチで手間取ったが、ようやく出発。舗装された林道を20分程歩くとT字路になり、ゲート、笠ヶ岳への道標と登山口がある。以前はこのゲートの手前まで車で入れた。駐車スペースが狭いので、手前にゲートが設けられたのかな。
T字路を左へ、楢俣川の上流に向かう林道を進む。カーブから草むらの間を洗ノ沢に下ると、沢沿いに踏み跡がある。これはかつての森林軌道の跡らしい。しばらく軌道跡を進むが、泥濘と藪がひどいので川に降りる。トレラン用シューズを渓流タビに履き替えて、ここから沢登りの開始だ。
最初は鬱蒼とした森林の中の穏やかな流れを歩く。曇って陽が射さないので、陰鬱な感じ。しばらく歩くと釣り師に追い付く。邪魔をして悪いが仕方ない、ササッと追い抜く。やがて、最初の小さな滝(写真右下)が現われた。深い釜を持っていて、綺麗だ。右から簡単に越える。
両岸が切り立った沢を行くと、今度は2人組の釣り師がいた。追い抜くと、その先に2段7m滝が落ちている。階段状なので、楽勝で登る。その上にも小さいが深い釜を持ったナメ滝が連続する。これは易しくて楽しい沢だなあ。一ノ沢出合を過ぎた辺りで、沢の中に埋もれた線路を見た。昔はここまで軌道が敷かれていたらしい。
二ノ沢出合で一休み。ここから、綺麗なナメとナメ滝が連続する。さらさらと水の流れる花崗岩の岩盤をぺたぺたと登る。ときおり、日も射して来て、水がキラキラ輝く。こういうのを癒し系の沢と言うらしい。
ちょっとした淵やナメの窪みの流れにも、魚影が濃い。浅瀬に追い込めば、手摑かみで捕まえられるかも。実際、惜しい所までいった(^^;)
やがて、洗ノ沢最大の12m滝が現れる。これは右側から高巻く。落ち口でふと見上げたカエデの葉は、もう赤みがかかっていた。
12m滝の上流にもナメと小滝が続く。四ノ沢出合を過ぎた所で休憩し、パンを齧る。この辺りから傾斜が強まり、小滝の連続となる。段々、両側から低木や針葉樹の枝が被さって来て、藪っぽい。水流がなくなる前に、ポリタンを水で満たす。枝と笹を搔き分けつつ、枯れた窪を登る。左上に見えている露岩帯を目指して進むと、ようやく草原の下端に出た。渓流タビをトレラン用シューズに履き替える。
草原は傾斜はあるが、格段に歩き易い。頭上には笠ヶ岳頂上の露岩帯、振り返れば、洗ノ沢の樹林に覆われた緩やかな谷間が広がって、爽快な眺めだ。洗ノ沢左岸の咲倉尾根の向こうには武尊山も見える。
しかし、少し登ったところで草原は終了。針「幼」樹の密藪に突入する。縦横に張った幹と枝がザックに引っかかって、前進をブロックする。Mさんも音を上げて、とうとうザックを降ろし、引きずって突破。その次はハイマツとシャクナゲの藪が現れる。露岩帯までわずかの距離が遠〜い。
ようやく密藪から開放され、露岩帯に出た。あー、疲れた。Mさんは、パイオニアの気分が味わえる、と喜んで岩場を直登して行く。元気だなあ(^^;)。笠ヶ岳の西尾根に出るとならまた湖が見おろせる。露岩とハイマツの明るい稜線を緩く登り、誰も居ない笠ヶ岳の頂上に到着した。
頂上では、遮るものがない360度の展望が得られる。南のゆったりと広がる針葉樹林の中に、片藤沼の水面が見える。その向こうに左右に稜線を広げる雄大な山容の山は武尊山だ。北には至仏山と燧ヶ岳が見え、平ヶ岳も遠望できる。展望を楽しみながら、昼食に残りのパンを食べる。
藪漕ぎで予定以上に時間がかかり、もう午後2時を回っている。休憩の後、下山にかかる。うわっ、足が凝ってガクガク(^^;)。笠ヶ岳の頂上からの急な下りには、高山の花が数種類咲いていた。ブラシのような花は初めて見る。後で調べるとタカネトウウチソウと言い、北海道と本州の一部(谷川山系、至仏山、白馬山系)だけに分布する、少し珍しい花だ。
急斜面は至仏山・鳩待峠方面の分岐までで、あとは笹原とオオシラビソの中の良く苅り払われた緩い道となる。片藤沼のほとりには、水面の向こうに至仏山と燧ヶ岳を望む絶景ポイントがある。前回来た時も印象に残った光景だ。その少し先には蛍池の池塘があり、こちらも懐かしい。
下りの途中には、三か所水場がある。冷たくて美味く、手柄杓で何回も飲む。その先、振り返ると笠ヶ岳がよく見える場所があった。前回、ここから頂上が見えたっけ?樹林の密度が少し薄くなった気がする。
さらに尾根を下り、咲倉沢ノ頭避難小屋(旧ロボット雨量小屋)に着く。ここも前回は樹林に囲まれ、小屋の屋上に鉄梯子で登らないと展望がなかった記憶があるが、今は登らずとも武尊山が見える。避難小屋の様子は写真の通りで、緊急時以外は泊まる気にならない。
なお、山と高原地図「尾瀬 燧ヶ岳・至仏山」(2005年版)に記載されている避難小屋の位置には間違いがある。正確には、避難小屋は1678mピークにある。
避難小屋から樹林の中の急な下りとなるが、地面がふかふかして足に優しい。ひとしきり下ると林道に出る。振り返ると、笠ヶ岳の小さく尖ったピークが遥かに遠い。
しばらく林道を辿り、道標にしたがって再び尾根上の登山道に入る。小さなアップダウンが多く、登りが堪える。陽が傾いて夕暮れの雰囲気が漂う。こんな遅くまで山の中を歩いているのは久し振りだ。登山口に出、林道を下って、なんとか明るいうちに駐車地点に戻った。他の車は、1台を残して既にない。
帰途は真っ暗。Mさん推奨の諏訪峡温泉に行こうとしたが、場所が判らない。後で検索したらココでした。こりゃ判らんわ(^^;)。かなり良い温泉らしいので、次回は是非。代わりにお馴染みの上牧風和の湯に入り、赤城高原SAで遅い夕食をとって、桐生に帰った。