西御荷鉾山・高岩山・赤久縄山
梅雨のさなかで、この週末の天気もあまり良くなさそう。どこに行こうと考えて、3年前の同じ時期に西御荷鉾山へニッコウキスゲを見に出かけたことを思い出した(山行記録)。西御荷鉾山ならば、スーパー林道からすぐ登れるので、雨が降っても大丈夫だ。それだけでは山歩きとして物足りないので、同じく赤久縄山にも登ることにする。みかぼ森林公園周辺の山野草や赤久縄山頂上のイブキトラノオが期待出来る。
桐生を車で発ち、北関東道を経由して、神流川沿いに万場に向かう。途中の交通情報電光掲示板には、「西御荷鉾山のニッコウキスゲ 見頃7/10まで」とのメッセージが表示されていた。神流湖畔の長井屋製菓でまんじゅう12個入りを2箱買う。ひとつはお土産、もうひとつは今日の自分のおやつ用だ。万場から県道71号高崎神流秩父線を上がり、西御荷鉾山南登山口に到着する。広い駐車場には既に10台程の車があった。
登山道に入って薄暗い植林帯の中の急坂を暫く登ると、草原の斜面に出て、ニッコウキスゲの黄色い花がたくさん咲いている。
頂上に到着すると、こちらのニッコウキスゲも見頃だ。花が目当てのハイカーさんが大勢訪れていて、三脚に載せた大きなカメラを構える方もいる。天気が悪くて展望はないが、霧を背景に風に揺れる花も風情があって良い。しかし、長井屋のまんじゅうはさっぱりした甘さでやはり美味いなあ。ぱくぱくと何個も食べてしまった(^^;)
頂上のニッコウキスゲを鑑賞したのち、同じ道を下る。途中の草原ではガスが上がって、みかぼ高原荘が眺められた。下からはどんどんハイカーさんが登って来て、頂上は益々の賑わいになりそうだ。駐車場に戻ると車の数も増えていた。
3年前のニッコウキスゲ鑑賞山行では、西御荷鉾山の次にオドケ山に登った。今回も同じでは芸がないので、新しいピークをハントすることにする。オドケ山の南西にある1157m峰は、地形図には地名の記載がないが三等三角点(点名:上大仁田)が設置され、山と高原地図「西上州」では「高岩山」と呼ばれている。また「西上州の山と峠」p.147によると、牛頭山という別名もあるらしい。この辺りの山の例に漏れずスーパー林道が稜線直下を通っているため、最近は山歩きの対象になっていないようで、登った話はネットで検索しても出て来ないが、逆に興味がわく。
オドケ山登山口の駐車スペースに車を置く。車道を高岩山の方(西方)へ少し進むと、草に覆われているが明瞭な山道が尾根の上に向かっている。半分埋もれた木の階段もあり、かつては整備された歩道だったようだ。
高岩山へ続く尾根の上には、疎らな樹林の中に確かな道型が続いている。草藪も薄く、歩き易い。しかし、最近雨が降り続いたせいか、足元の腐葉土はたっぷり水を吸っていて、にちゃにちゃとした足裏の感覚がちょっと気色悪い。晩秋の乾燥した落ち葉の時期ならば良さそうな道なのだが。
平らに近い緩い登りの尾根を辿る。途中、掠れた文字で「←ミカボ山 塩沢峠→」と書かれたかつてのハイキングコースの道標を見た。道標の指し示す方向の道は稜線の北を巻いているが、そちらは藪が深い。稜線上には朽ちた木の階段が続いていて、こちらはスーパー林道開通後に整備された道らしい。後者を辿るが、こちらもようやく跡が残っているという程度の道だ。
なおも緩い尾根上を進むと小鞍部に着いて、「水源かん養林」の倒れた標柱と「折るまい採るまい御荷鉾の植物」という看板がある。木の階段を辿って稜線の右を巻く微かな山道に入る。ここは自然林の中で緑が美しく、コアジサイの花が道の脇に並んで咲いている。小さな岩場を木の桟道で通過すると尾根は傾斜を増し、高岩山への最後の登りらしい。右の山腹を巻く山道もあるが、ここは尾根上を急登する。
急坂を登りきると、三等三角点のある高岩山の頂上に着いた。樹林に覆われて展望は全くない。地味な山頂で、一つピークを踏んだという満足だけがある。しかし、こんな山にも登る奇特な人はやはりいるようで、金属プレートにビニルテープを張って作製した山名標が、頂上の木の梢にぶら下がっていた。金属にまだピカピカの光沢があるところを見ると、最近付けられた物らしい。
頂上からさらに稜線を西に辿って、スーパー林道に降りた。こちら側から登れば距離は短いが、道はあまり明瞭でない。あとは林道を歩いて、オドケ山登山口に置いた車まで戻る。
再びスーパー林道を車で走って、みかぼ森林公園の管理棟に向かう。管理人さんに挨拶をして、この辺の花の様子を伺ったら、今年はまだ時期が早いよ、とのこと。ヤマオダマキが一輪咲いている場所を教えて頂いた。
正午を過ぎて腹も減ったので、管理棟に入れて頂いて、パンとペットボトルのお茶で昼食を摂る。食べ終わった頃、一組のご夫婦(実は相互リンクしているK2Coupleのあたさん、はらっぱさんご夫婦であったことが後日わかる)が車でやって来て、管理人さんと話をしている。赤久縄山に登るらしい。スーパー林道は管理棟のすぐ先にゲートがあり、その先は車両全面通行止になっているが、管理人さんからお許しが出て、通行に注意すれば赤久縄山の登山口まで車で通って良い、ということになった。管理人さんからのアドバイスで、クマが出るから熊鈴が必要とのことで、ご夫婦は管理棟で熊鈴の貸し出しを受けていた。また、赤久縄山の山道は西コースのみ草を刈ったので、そちらから登ると良い、イブキトラノオは送電鉄塔の所にも咲いている、等の親切なアドバイスも頂く。ご夫婦の車に続いて、私も赤久縄山に向かう。
送電鉄塔のところには、伺ったとおり、早滝への登山道を覆い隠すようにイブキトラノオが咲いていた。周囲にはキフリツネやシモツケなどの花もある。
西コース入口に向かうと、途中の北コース入口に車が置かれて、先のご夫婦がいらした。こちらから登るのかな?私は西コースを登るつもりなので、ここは通過する。
西コース入口には以前は東屋があった(私も見た記憶がある)が、倒壊したために撤去されて(管理人さん談)、きれいさっぱりなくなっていた。空き地に車数台を駐車することができる。
西コースを歩き始めると、霧が巻いていて確かに何か出そうな雰囲気だ。しかし、話の通り綺麗に苅り払いされて歩き易い。
樹林の中を緩く登る道の脇には、クサタチバナの花が多い。ナツツバキの木に付いた蕾はぷっくり膨らんで、もうすぐ開きそうだ。15分程で赤久縄山の頂上に着いた。
頂上の草地には、期待していたイブキトラノオやニッコウキスゲが咲いている。3年前に較べると密度は低い気がするが、ひっそりと静かな頂上にぽわーっと咲くイブキトラノオは、やはりいいもんだ。
頂上から東コースや南尾根コースの様子をうかがうと、夏草に覆われていて、この季節に歩くのは大変そう。北コースは深い樹林帯中の道なので、草藪はそれほどでもない。ご夫婦が登って来るかなと思ったが、どうもいらっしゃらないようだ(やはり、クマを警戒して登らなかったそうです)。来た道を車に戻る。
管理棟に戻ると団体さんが来ていて、管理人さんを囲んで懇談していた。管理人さんに挨拶とお礼を述べて、帰途につく。
帰りの林道の脇に「山の神の丘150m 展望台20m」という道標を見つける。20mならば行ってみよう(^^)ということで、車を停めてちょっと道草。デジカメだけを携えて山道に入ると、すぐに展望が開けた斜面があり、東屋が建っている。
東屋の周囲の草地にはヤマオダマキが群生していた。これはめっけもの!ちょうど咲き始めで、花も蕾も多い。道草して良かった♪
ヤマオダマキを撮影しているうちに、ポツポツと雨粒が落ちて来て、やがて本降りとなった。慌てて車に戻る。
帰りは塩沢峠から県道富岡万場線を北へ下り、鮎川を渡る。このあたりはすごい山奥で、鮎川の上流域には興味を引かれる。さらに小峠から甘楽町の那須の集落へ、つづら折れの狭隘な県道を下る。この県道はかなりの山岳ドライブが楽しめる。雄川に沿って走り、富岡ICから上信越道に乗って桐生に帰った。