ガッチン山・黒川無名沢
黒川無名沢は、黒川ダム上流左岸の名前が判らない沢なので、仮に無名沢と呼んでいます。名前をご存知の方があれば、ご教示頂ければ幸いですm(__)m。(2007-12-23追記)無名沢の名称がワタルクラ沢であることが判明しました。詳細については、このページの最後をご覧下さい。
金曜日の夜に新宿で宴会があり、久し振りに都会の人混みに踏み込んだら、それ以来、どうも喉の調子が良くない。土曜日は喉を気にしながら仕事。日曜日は体調を考えて、近場の軽い山歩きにする。桐生の周辺の山々は紅葉がピークで、自宅から見えるガッチン山もいい色に染まっているので、久し振りに登ってみることにする。しかし、ガッチン山だけではちょっと歩き足りないので、以前から気になっていた黒川ダム上流の小さな沢も探訪してみました。
ザックを背負って、自宅から歩き出す。幸橋を渡り、まず、コンビニで缶ビールと食べ物を調達する。登山口は少し戻った所にあり、「菱ハイキングコース」と「菱町かるた」の案内板が設置されている。ここの句は「登り口 いろいろ菱山 ハイキング」だ。
登山口から住宅地を通り抜けて山道に入る。雑木林とスズタケの中を広く切り開いた道を登って行くと、すぐに「ガッチン山」への道標がある。「ガッチン」の文字の下には、フェルトペンで「月陣」と書き加えられている。これが「ガッチン」の漢字表記?
登山口からわずか10分でガッチン山頂上に到着した。とても手軽な山だが、露岩のある頂上からの展望は良い。桐生川と市街を隔てて吾妻山が、また、その左奥には冠雪した浅間山が見える。お隣には、いい案配に色付いた観音山がある。
露岩の陰には「早生放光禅童女」「古川周蔵娘 年七才さか」「安政…」と刻んだ小さな石碑がある。小さな子供を亡くした親御さんが、子供がよく遊んだ場所に置いたのだろうか。ここに来て、この石碑を見るたびに、ちょっとしんみりする。
さて、先に進むことにしよう。観音山へは紅葉した雑木林の中の急な登りとなる。休憩に良い平地に出た所が雷電山で、雷電神社の石祠が祀られている。以前は石祠の後ろに大きな松の木があったが、今は切り株だけが残っている。
ここにも菱町かるた「枝のばす 松に梵天 雷電山」の案内板がある。その説明を読むと、松の木に梵天を立てて雷除けや雨乞いを祈願する祭りが4月3日に行われるそうだ。今も行われているのかな。
雷電山から雑木林を少し登ると、観音山の頂上に着く。北から東にかけて、前仙人ヶ岳から白葉峠への稜線の眺めが得られる。ここから北の稜線上には、尾根に忠実に沿ったジェットコースターの様な道(桐生市菱町(金葛)歩道)が造成されている。
観音山から歩道を急降下すると、右に「秋葉山入口」という道標を見る。右に少し入った場所に秋葉山三尺坊という看板があり、赤鳥居と石祠を祀った岩窟がある。説明板によると、かつては火ぶせの秋葉様として信仰を集めていたようだ。
歩道に戻って、尾根の先に進む。この尾根は前仙人ヶ岳を経て仙人ヶ岳まで繫がっているが、今日は黒川ダムの方にも目的地があるので、右の黒川へ下る道を探す。一度、右に分岐する道を見つけて辿って見たが、出発地の文昌寺に戻っていくようなので引き返す。結局、歩道を辿って寝釈迦様がおわす中尾根まで来た。
中尾根の少し先で、「一色ハイキングコース 黒川ダム方面」という道標のある分岐を見つけて、この道を下る。小さな谷を下る雰囲気の良い道で、石仏や石祠群の横を通って、一色の集落に出た。
車道を辿って黒川ダムに向かう。黒川ダムにはいつも釣り人がいるのだが、今日はもう帰ろうとしている二人がいるだけだった。魚がいなくて釣れないらしい。
実は、黒川ダムとその先の林道は私の馴染みのジョギングコースの一つ。そして、ジョギングで来るたびに、この奥はどうなっているのだろうと、興味を持っていたのが今日のもうひとつの目的地で、黒川ダムの奥の左岸にナメ滝をかける小さな沢だ。
無名沢に入ると(もちろん、道は全くない)、自然林の中に予想通り一枚岩のナメが続いている。しかし、この秋の台風のせいか、土砂や倒木の堆積が非常に多い。これがなければ快適に登れるんだがなあ。
土砂に埋もれた沢を、泥濘に足を取られながら登って行くと、無名沢最大の滝が現れた。途中には倒木が引っかかっていて、水量も少なく、すっきりした滝ではないが、落差(10mくらい?)はなかなかだ。周囲も険しい岩壁となっている。登山靴では直登は無理で、左から高巻いた。
ドロドロの沢を詰め上げ、最後は左手の斜面に取り付いて枝尾根に上がる。急斜面で息が上がるが、藪はないので助かった。でんべい山〜仙人ヶ岳ハイキングコースに出て、沢登りの真似事を終了。長年の疑問を解消して面白かったけれど、お勧めはしません(^^;)
このハイキングコースは昨年のGWに歩いている(山行記録)。でんべい山方面に向かうと前仙人ヶ岳の眺めの良い小ピークがあるので一休み。急登でかいた汗を拭う。
小ピークから石混じりの坂を下ると、あとは歩き易い尾根道になる。黄色から橙色にグラデーションのかかったツツジの紅葉に、傾き始めた陽の光が当たってきれいだ。森山展望台、一色展望台、熊ノ沢山と、桐生市街の眺めの良いポイントがいくつかある。
最後はでんべい山の手前の山谷戸(やまがいと)峠から黒川沿いの深山地区に降り、車道を歩いて自宅に戻った。
(2007-12-23追記) 無名沢の名称について、「やまの町桐生」の楚巒山楽会代表幹事様から、地元の古老のお話として、ワタルクラ沢ではないか、とご教示を頂きました。また、そのひとつ手前の左岸の沢はモモノキ沢といい、本流を渡ってすぐの対岸に、戦後に建てられたダイナマイト倉庫があるという情報も頂いたので、早速、黒川ダムの奥へ車で確認に行って来ました。
モモノキ沢には、屋根こそ落ちていますが立派な大谷石で作られた小屋が大小二つありました。モモノキ沢から本流を上流へ行くと古いダムがあり、私が登った沢はその上流にあります。これで無名沢=ワタルクラ沢であることがはっきりしました。代表幹事様、どうもありがとうございました。