仙人ヶ岳
昨年の春にでんべい山を訪れたとき、山頂で仙人ヶ岳への道標を見て、でんべい山〜仙人ヶ岳の尾根伝いのコースがあることを知り、以来、機会があればトレースしてみたいと思っていました。その後、麓に設置された道標などによって、地元のすみれ山好会の方々が登山道を整備されていることも判りました。
今年のGWは、前日の4日に物見山に登ったばかりですが、5日もとても良い天気で、どこか山に行きたい。しかし、前夜はちょっと飲み過ぎて(^^;)、遠出は無理。では、近場の山に行こうと考えたときにこのコースを思い出し、アカヤシオなどの花の時期は過ぎているけど新緑がきれいだろうし、いい機会だ、と思って登って来ました。
自宅から徒歩で出発。桐生川を幸橋で渡って、菱町のコンビニで缶ビールを買い込む。今日は暑いので迷わず500mlをチョイス。菱町公民館の手前の自動車整備工場のある角に道標があり、ここで左折。道なりに歩いて新興住宅地を突っ切ると杉林に突き当たる。左に進み階段を降りると、大きな登山コース案内図のある登山口だ(遠回りしたかも)。
杉林の中に丁寧にステップが切られた道を登ると、すぐに緑濃い雑木林の道となり、でんべい山に到着。1年前に較べて見晴しが利く気がする。仙人ヶ岳の方向を眺めると、うねるように連なる稜線の奥に仙人ヶ岳が見えて、600mちょっとの山とは思えないスケール感だ。
仙人ヶ岳への稜線を進む。すぐに貯水池経由深山地区への道を分ける。左側が開けて、歩いて来たでんべい山からの稜線、桐生市街、鳴神山にかけての眺めが開けると、熊ノ沢山の標識のあるピークだ。さらにツツジの花の点在する雑木林の道を進むと、一色展望台。ここも桐生市街の方向が切り払われていて眺めが良い。登山ポストにノートがあったので、記帳させて貰う。
一色展望台を過ぎると、森山、そして森山展望台と北森山の二つの標識のあるピークを通る。森山展望台からも桐生市街の眺めが良い。このコースの前半は里山歩きだが、このあたりからちょっと深山幽谷の雰囲気が感じられる。
尾根が右に曲がっていくつかのピークを上下すると、白葉(しらっぱ)峠からの尾根道に合流する。白葉峠から仙人ヶ岳までは2000年3月に一度歩いているが、新緑とツツジが真っ盛りの5月のこの時期はまた違った印象だ。
左に鷹の巣沢林道への道を分け(道標あり)、「鷹ノ巣沢」という標識のあるピークで一休み。ここからさらに15分くらい、小さな急坂を登ると荒倉山のピークだ。眼前に新緑に覆われた仙人ヶ岳の頂上稜線が横たわり、今回のコース中、一番の展望だ。
荒倉山から赤松の混じる雑木林の小ピークをいくつか越えると(このコースはとにかく小ピークの上下が多い)頂上稜線に到着。稜線を東に辿ると、途中、塩ノ瀬への道(崩壊危険)を左に分け、仙人ヶ岳に到着する。
花の終わったこの時期、ハイカーさんの数は少なく、静かな頂上だ。まずは草地に腰を下ろして、缶ビール。今日は気温が高く、しかも小ピークをいくつも越えてなかなかのアルバイト量だったので、500mlが空くのはあっという間だ。その他、つまみの薫玉とビスケットで昼食にする。
下山は、前仙人ヶ岳を経て観音山への尾根を辿るコースを歩くことにする。往路のコースを左に分け、その先で黒川ダム方面への道を左に分ける。一旦下って登り返すと、前仙人ヶ岳の頂上だ。展望はないが、3人パーティのハイカーさんが寛いで昼食中だった。私も最近お気に入りの「でこぽん」を食べて喉を湿らせる。今日は本当に暑いなぁ。
前仙人ヶ岳から先は少し道が不明瞭になる。左に下る踏み跡に引き込まれないように注意。灌木に覆われた伐採地に出ると、これから辿る観音山までの稜線がまだまだ続いているのが見下ろせる。
伐採地から少し急降下し、登り返すと雨降山のピーク。ここから観音山までは、尾根伝いに新しい遊歩道が出来ている。遊歩道と言っても、小ピークの連続する尾根上に斜度に関係なく直線的かつ忠実に道が付けられているので、まるでジェットコースターの線路のようである。とても老若男女が気軽に歩けるとは思えない造りだが、クロカン・トレーニングにはいいかも知れない(^^;)。
遊歩道の途中には新しい東屋があった。小ピークの上下でいい加減疲れて来たので一休み。寝釈迦の脇を通って、最後に急な坂を登り切ると観音山の頂上である。遊歩道もここで終わり。やれやれ。
ここは自宅裏の桐生川の土手の上からも見える、言わば裏山である。雷電神社、ガッチン山を経て、適当に踏み跡を辿ると、幸橋の東詰付近に降りた。ここには坂口安吾の文学碑があり「花の下には風吹くばかり」と刻まれている。この碑があることは知らなかったのだが、昨年11月に建立されたものらしい。
かなりの歩き応えのあった周回ルートに満足して、帰宅した。
謝辞: 素晴らしいコースを整備された「すみれ山好会」の皆さんに謝意を表します。また計画に際してはやまの町 桐生の詳細な記録を参考にさせて頂きました。