米山

天気:
メンバー:T
行程:米山駅 9:15 …大平 10:10 …二ノ字 11:00 …711m峰 11:10 …米山(993m) 11:55〜12:40 …大平 14:00 …米山駅 14:45

桐生駅5:52発の列車に乗り、両毛線、上越新幹線、信越本線を乗り継いで、米山駅9:03着。ホームの向こう側には凪いだ日本海が広がっている。無人の改札口を通って駅前に出ると、米山の鈍角三角形の大きな山容が見える。トラックが往来する国道8号に出て左に少し行き、「米山登山口(大平口)→」という道路標識で右折。オガチ川に沿う車道を大平に向う。

今日は暑くて、初夏の陽気だ。北陸道のガードをくぐり、旺盛な緑に覆われた広くて緩い谷を登る。行く手には米山が高々と聳えている。標高は1000mに満たないが、なかなか険しい山だ。海抜0mからのスタートなので、登り甲斐もありそう。


波穏やかな日本海


大平への車道から米山

谷が狭まり、車道がオガチ川を渡って右に曲がると、林間に民家が点在する大平に着く。よくこんな所に住んでいるなぁ、と思うほど山深いところで、過疎化が進んでいるのか、廃屋も多い。駐車場とWCがあり、10台以上の車が来ていた。道標にしたがって杉林の中の山道に入る。少し登ると米山林道に出て、ここの路肩スペースにも数台の車がある。登山コースの説明板を見て、再び山道へ。急な階段の道を登る。


大平の集落


階段の山道を登る

やがて小さな尾根の上の登りとなり、展望のない道をしばらく辿ると、ベンチが置かれた小平地に出る。道標によると「二ノ字」と呼ぶ場所らしい。ここは米山の方向の眺めが少し開けて、木の間から山頂が見える。ベンチに腰を下ろして休憩。水とビスケットを補給する。

二ノ字の先も階段が良く整備された尾根道を登る。「←捲道(悪路)|→尾根道」という道標のある分岐点は、悪路を避けて尾根道へ。しかし、直後に巻き道を降りて来たハイカーさんを見かける。大した悪路ではなさそう。帰りはあっちを通ろっと(^^)


二ノ字は尾根上の小平地


711m峰の巻き道を左に分ける

急登しばしで711m峰の頂上に着く。ここからも米山頂上が見えるが、まだ高く遠い。711m峰から痩せ尾根を一旦下る。樹林の中なので危険はないが、尾根の両側はかなりの急斜面(雪崩斜面?)だ。

捲道と合流し、「山頂まで1250m、半分を過ぎました」という道標を見る。小さなアップダウンのあと、鬱蒼と茂るブナ原生林の中の急登となる。瑞々しい緑の中に林立するブナの青灰色の幹が奇麗だ。


711m峰より米山


ブナ原生林を登る

赤くガンバレと彫り込まれた岩を過ぎ、道の脇に石仏を見ると、傾斜が緩んでブナ林も終わり。代わりに、下の方では葉だけだったイワカガミが咲き残っているのを見る。


イワカガミが残っていた


米山林道終点からの道と合流

米山林道終点から登って来る最短ルートを左から合わせる。その先で水場の道標を見るが、帰りに立ち寄ることにする。だいぶ背の低くなった林の中を登ると、頭上に青空が広がり、その中に避難小屋の大きな屋根を見る。米山頂上に到着だ。

避難小屋は二階建ての立派なもので、ここに泊まって、日本海に沈む夕日を見るのも良さそう。避難小屋から石段を上がった一番高い所に米山薬師のお堂がある。お堂の回りをぐるっと一周すれば360度の展望で、今日は霞んで遠望はないが、登って来た711m峰の山稜、日本海の海岸線、柏崎市街などが見える。周囲には高い山はなく、南にゆったりと稜線を広げた山が目立つくらいだ(帰宅後に調べて刈羽黒姫山と判った)。

さすが越後の名山だけあって、大勢のハイカーさんが頂上のあちこちで休憩している。私もお堂の裏手に腰を下ろして、缶ビールとラーメンで昼食とする。


米山山頂の避難小屋


山頂より711m峰(左手前)と日本海


山頂より柏崎方面の展望


山頂より刈羽黒姫山を遠望

ところで、米山には、現存する三つの原三角測点標石のうちの一つがある(あとの二つは雲取山と白髪岩)。その標石は、米山薬師に向って左の木立の陰に鎮座していた。側面には「原三角測點」「内務省地理局」「明治十五年八月」と彫り込まれていて、白髪岩のものより日付が二か月早い。これで、原三角測点のある三つの山を全部登ったのだが、雲取山の標石は写真を撮り忘れている。いつか撮りに行かねば。


米山薬師


原三角測点標石
現存する三つのうちの一つ

下山は往路を戻る。頂上直下の水場に立ち寄ると、「体調の悪い人、胃腸の弱い人は、生で飲まないこと」という注意書きがあったが、今日は汗をたくさんかいているので大丈夫だろう。冷たくて美味い水だった。

711m峰の手前で巻き道に入る。崩れ易い斜面のトラバース道だが、特に問題はない。この斜面にはタニウツギが一面に咲いていて見事だ。振り返ると、米山が急峻な山肌を見せて聳えている。


711m峰の巻き道より米山を振り返る


タニウツギ

尾根道と合流し、14:00に大平に下り着く。米山駅14:57発の列車があるので、大平からの車道は少し早足で歩き、丁度良い時刻に駅に到着。ホームで列車を待つ間、米山を眺めて満足感に浸る。海から登る山は、やはりいい。


米山駅のプラットホームより米山


鯨波松島温泉
メトロポリタン松島

温泉に入るため、米山駅から三つ目の鯨波駅で下車。駅前すぐ、国道8号を渡った向いにある鯨波松島メトロポリタン松島に行く。日本海が見える展望浴場で汗を流してさっぱりした後の、風呂上がりの缶ビールがうまい。その後、長岡駅でも途中下車。栃尾名物ジャンボ油揚げを肴にまた生ビールを飲んだあと、上越新幹線、両毛線経由で桐生に帰った。